2015年01月25日 (日)
【15/01/24 岡部
江部 先生
貴重なブログ拝見させていただき、
勉強になっています。
ひとつ、お聞きしたいことがありましてコメントさせていただきました。
糖質制限を行うにあたって、アスリートの糖質制限は体に負担はかからないでしょうか?
運動をする際にエネルギー源である炭水化物を摂取しなくても可能ですか?
ちなみに私は
定時制高校勤務で
毎日通勤は往復10キロランニング、
部活は平日バスケ部(生徒とともにプレー)に約2時間参加。
土日は社会人バスケ(約2時間)や3日に1回はジム(約2時間・行き帰りはランニング)でトレーニングしてます。
いきなりの質問で申し訳ございませんが、
ご返答のほど、宜しくお願い致します。】
こんにちは。
アスリートと糖質制限食について、岡部さんからコメント・質問をいただきました。
よくある質問なので、復習も兼ねて考えてみます。
まず長距離走ですが、普通の市民ランナーやトレイルランナーレベルなら、間違いなくスーパー糖質制限食が適しています。
ブログにも複数のランナーから、糖質制限食で記録がのびたというコメントをいただいています。
よりハードないわゆる選手レベルの場合はどうなのでしょうか?
これに関して調度いい論文がありました。
「オフロードサイクリストにおける運動代謝と身体能力へのケトン食の影響」
という題のポーランドの研究です。(*)
以下、この研究の要約と結果を、かなりアバウトに意訳してみました。
面倒なところは一部省いていますが、大意は合っていると思います。
<要約>
本研究の主な目的は、オフロードサイクリストの好気的パフォーマンスと運動代謝においての、長期的ケトン食の効果を決定することであった
被験者はトレーニング経験が5年間以上のオフロードサイクリングのアスリート。
8人の男性被験者、年齢は28.3±3.9歳
クロスオーバーで、ケトン食と混合食を一ヶ月ずつ。
それぞれ同じトレーニング負荷。
ケトン食:P:C:F=15:15:70
混合食:P:C:F=20:50:30
様々な強度でサイクロエルゴメーターで連続的な運動手順で検査を行った。
ケトン食は、体重、体組成、脂質及びリポタンパク質プロファイルにいおいて好ましい変化があった。
最大酸素摂取量と乳酸閾値と呼吸交換率(RER)は、安静時および運動の最初の3つの段階(10分、45分、90分・・・低~中程度の強度)においては、ケトン食が優位であった。
最後のマックス強度の運動の時は、ケトン食の優位は逆転した。
<結果>
有酸素持続的なアスリートにおいては、ケトン食は好ましい可能性がある。
高容量で、低から中等度の強度のトレーニング負荷のトレーニング過程においては、ケトン食は優位である可能性がある。
筋肉のダメージも少ない。
しかし高強度の運動においては、ケトン食は筋肉中のグリコーゲン貯蔵が少なく解糖酵素の能力が低下するので運動能力を低下させる。
*ケトン食は脂肪酸代謝を活性化させ、インスリンレベルとブドウ糖利用を減少させる。
自転車のアスリート8名の研究で、ケトン食を摂取した1ヶ月と混合食を摂取した1ヶ月で、それぞれデータをとって、比較した研究です。
結論は、有酸素運動(この研究では自転車競技)において、低強度~中等度の強度トレーニングなら、ケトン食は混合食(普通食)より優位であるけれど、高強度のトレーニングだけは、優位は逆転するということです。
これは、中程度の強度のトレーニングなら、ケトン食で脂肪酸代謝が活性化しているので、それをエネルギー源として筋肉は混合食(普通食)の時より効率的に活動できるということです。
しかも筋肉のダメージも、混合食(普通食)より少ないのですから、良いことずくめです。
この結論は、今までの私の印象とも一致しています。
このことを考慮すると、有酸素運動が主のマラソンやトレイルランなどでは、ケトン食やスーパー糖質制限食を実践していると、筋肉はしっかり「脂肪酸-ケトン体」を主たるエネルギー源として使って、中等度の強度の運動くらいまでは有利に走り続けていくことが可能です。
これにより、筋肉中のグリコーゲンを節約することができるので、最後までグリコーゲンは残っています。
ラストスパートだけは、このとっておきの「グリコーゲン-ブドウ糖エネルギーシステム」をエネルギー源に使って無酸素運動で高強度の運動で終了というパターンが可能です。
この研究のケトン食は、糖質15%ですから、高雄病院のスーパー糖質制限食の12%と似たようなものです。
Ketogenic Diet(ケトン食)という言葉は、ケトン体を産生するレベルの糖質制限食という意味を兼ねています。
1回の食事の糖質量が、20g以下で、1日の糖質量が60g以下だとケトン体が産生されます。
長距離・中距離走や一般的なスポーツ(サッカー、野球、バスケットボール、テニス・・・など)では、いつも通りのトレーニングでスーパー糖質制限食を実践していると、筋肉は「脂肪酸-ケトン体エネルギーシステム」を上手に使えるようになります。
そして筋肉のダメージも少ないのですから、とてもよいパフォーマンスが可能と思います。
100m走など高強度の運動には、スーパー糖質制限食は向かないと思います。
またボクシングも減量はいいのですが、トレーニングは高強度の運動の繰り返しなので向いていません。
(*)
http://www.mdpi.com/2072-6643/6/7/2493#tabs-5
Nutrients 2014, 6, 2493-2508; doi:10.3390/nu6072493
The Effects of a Ketogenic Diet on Exercise Metabolism and
Physical Performance in Off-Road Cyclists
Adam Zajac 1
Stanisław Poprzecki 2
Adam Maszczyk 1,*, Miłosz Czuba 1
Małgorzata Michalczyk 3
and Grzegorz Zydek 3
江部 先生
貴重なブログ拝見させていただき、
勉強になっています。
ひとつ、お聞きしたいことがありましてコメントさせていただきました。
糖質制限を行うにあたって、アスリートの糖質制限は体に負担はかからないでしょうか?
運動をする際にエネルギー源である炭水化物を摂取しなくても可能ですか?
ちなみに私は
定時制高校勤務で
毎日通勤は往復10キロランニング、
部活は平日バスケ部(生徒とともにプレー)に約2時間参加。
土日は社会人バスケ(約2時間)や3日に1回はジム(約2時間・行き帰りはランニング)でトレーニングしてます。
いきなりの質問で申し訳ございませんが、
ご返答のほど、宜しくお願い致します。】
こんにちは。
アスリートと糖質制限食について、岡部さんからコメント・質問をいただきました。
よくある質問なので、復習も兼ねて考えてみます。
まず長距離走ですが、普通の市民ランナーやトレイルランナーレベルなら、間違いなくスーパー糖質制限食が適しています。
ブログにも複数のランナーから、糖質制限食で記録がのびたというコメントをいただいています。
よりハードないわゆる選手レベルの場合はどうなのでしょうか?
これに関して調度いい論文がありました。
「オフロードサイクリストにおける運動代謝と身体能力へのケトン食の影響」
という題のポーランドの研究です。(*)
以下、この研究の要約と結果を、かなりアバウトに意訳してみました。
面倒なところは一部省いていますが、大意は合っていると思います。
<要約>
本研究の主な目的は、オフロードサイクリストの好気的パフォーマンスと運動代謝においての、長期的ケトン食の効果を決定することであった
被験者はトレーニング経験が5年間以上のオフロードサイクリングのアスリート。
8人の男性被験者、年齢は28.3±3.9歳
クロスオーバーで、ケトン食と混合食を一ヶ月ずつ。
それぞれ同じトレーニング負荷。
ケトン食:P:C:F=15:15:70
混合食:P:C:F=20:50:30
様々な強度でサイクロエルゴメーターで連続的な運動手順で検査を行った。
ケトン食は、体重、体組成、脂質及びリポタンパク質プロファイルにいおいて好ましい変化があった。
最大酸素摂取量と乳酸閾値と呼吸交換率(RER)は、安静時および運動の最初の3つの段階(10分、45分、90分・・・低~中程度の強度)においては、ケトン食が優位であった。
最後のマックス強度の運動の時は、ケトン食の優位は逆転した。
<結果>
有酸素持続的なアスリートにおいては、ケトン食は好ましい可能性がある。
高容量で、低から中等度の強度のトレーニング負荷のトレーニング過程においては、ケトン食は優位である可能性がある。
筋肉のダメージも少ない。
しかし高強度の運動においては、ケトン食は筋肉中のグリコーゲン貯蔵が少なく解糖酵素の能力が低下するので運動能力を低下させる。
*ケトン食は脂肪酸代謝を活性化させ、インスリンレベルとブドウ糖利用を減少させる。
自転車のアスリート8名の研究で、ケトン食を摂取した1ヶ月と混合食を摂取した1ヶ月で、それぞれデータをとって、比較した研究です。
結論は、有酸素運動(この研究では自転車競技)において、低強度~中等度の強度トレーニングなら、ケトン食は混合食(普通食)より優位であるけれど、高強度のトレーニングだけは、優位は逆転するということです。
これは、中程度の強度のトレーニングなら、ケトン食で脂肪酸代謝が活性化しているので、それをエネルギー源として筋肉は混合食(普通食)の時より効率的に活動できるということです。
しかも筋肉のダメージも、混合食(普通食)より少ないのですから、良いことずくめです。
この結論は、今までの私の印象とも一致しています。
このことを考慮すると、有酸素運動が主のマラソンやトレイルランなどでは、ケトン食やスーパー糖質制限食を実践していると、筋肉はしっかり「脂肪酸-ケトン体」を主たるエネルギー源として使って、中等度の強度の運動くらいまでは有利に走り続けていくことが可能です。
これにより、筋肉中のグリコーゲンを節約することができるので、最後までグリコーゲンは残っています。
ラストスパートだけは、このとっておきの「グリコーゲン-ブドウ糖エネルギーシステム」をエネルギー源に使って無酸素運動で高強度の運動で終了というパターンが可能です。
この研究のケトン食は、糖質15%ですから、高雄病院のスーパー糖質制限食の12%と似たようなものです。
Ketogenic Diet(ケトン食)という言葉は、ケトン体を産生するレベルの糖質制限食という意味を兼ねています。
1回の食事の糖質量が、20g以下で、1日の糖質量が60g以下だとケトン体が産生されます。
長距離・中距離走や一般的なスポーツ(サッカー、野球、バスケットボール、テニス・・・など)では、いつも通りのトレーニングでスーパー糖質制限食を実践していると、筋肉は「脂肪酸-ケトン体エネルギーシステム」を上手に使えるようになります。
そして筋肉のダメージも少ないのですから、とてもよいパフォーマンスが可能と思います。
100m走など高強度の運動には、スーパー糖質制限食は向かないと思います。
またボクシングも減量はいいのですが、トレーニングは高強度の運動の繰り返しなので向いていません。
(*)
http://www.mdpi.com/2072-6643/6/7/2493#tabs-5
Nutrients 2014, 6, 2493-2508; doi:10.3390/nu6072493
The Effects of a Ketogenic Diet on Exercise Metabolism and
Physical Performance in Off-Road Cyclists
Adam Zajac 1
Stanisław Poprzecki 2
Adam Maszczyk 1,*, Miłosz Czuba 1
Małgorzata Michalczyk 3
and Grzegorz Zydek 3
12/31に公表された、テコンドー選手のketone食研究の続編です。炭水化物4.3%と40%の群の比較です
The effects of ketogenic diet on oxidative stress and antioxidative capacity markers of Taekwondo athletes
http://www.e-jer.org/journal/view.php?year=2014&vol=10&page=362
先に、10/31に公表された第1報は以下の論文です
The effect of weight loss by ketogenic diet on the body composition, performance-related physical fitness factors and cytokines of Taekwondo athletes
http://www.e-jer.org/journal/view.php?year=2014&vol=10&page=326
The effects of ketogenic diet on oxidative stress and antioxidative capacity markers of Taekwondo athletes
http://www.e-jer.org/journal/view.php?year=2014&vol=10&page=362
先に、10/31に公表された第1報は以下の論文です
The effect of weight loss by ketogenic diet on the body composition, performance-related physical fitness factors and cytokines of Taekwondo athletes
http://www.e-jer.org/journal/view.php?year=2014&vol=10&page=326
2015/01/25(Sun) 22:06 | URL | 精神科医師A | 【編集】
江部先生
貴重なアドバイスありがとうございました、
本格的に糖質制限死体と思います、
ありがとうがざいました。
あり
貴重なアドバイスありがとうございました、
本格的に糖質制限死体と思います、
ありがとうがざいました。
あり
2015/01/25(Sun) 23:38 | URL | | 【編集】
似たような質問があったので見て回ったのですがケトン体のことについてしっかり聞いておきたいので質問します。
自分は今高2で陸上部に所属して、種目は走高跳です。ケトンの方は高強度の方は向いていないと書いてあったので瞬発的な力のいる高跳びは向いていないと思います。しかし、高跳びは体重にシビアなので、できる限り脂肪は減らしたいです。しかし自分はかなり量を食べてしまうタイプで体重維持で精一杯です。なのでケトン体を使う体に変わるように糖質を制限してみようと思っています。そして総体にはブドウ糖をエネルギーとする体に変えて臨もうと思うのですが、まずすぐに変わるのかというのと、ケトン体を使う体に変わったとき練習による負荷をかけたときダメージを受けにくいとあるのですがそれは筋肉痛が起きて超回復というのが起こりにくいということでアスリートとしては成長しにくいということですか?そしてその体の状態で高負荷の練習をしたときブドウ糖の状態の方が優位ということですがそれはただ力の上限が低くなって高負荷のメニューがきつくなるということでいいですか?
またケトン体にしてブドウ糖を主エネルギーに戻す考えなんですが体脂肪率を自分の目標まで落としたらすぐブドウ糖にもどして練習したほうがいいですか。総体五月下旬でそこに照準を合わせています。総体の何ヶ月前に変えたほうがいいなどアドバイスあったらお願いします。あと日常の練習は基本短距離で県内で多分一番メニューはきつい学校だと思います。
なおプロテインを併用する予定です。
自分は今高2で陸上部に所属して、種目は走高跳です。ケトンの方は高強度の方は向いていないと書いてあったので瞬発的な力のいる高跳びは向いていないと思います。しかし、高跳びは体重にシビアなので、できる限り脂肪は減らしたいです。しかし自分はかなり量を食べてしまうタイプで体重維持で精一杯です。なのでケトン体を使う体に変わるように糖質を制限してみようと思っています。そして総体にはブドウ糖をエネルギーとする体に変えて臨もうと思うのですが、まずすぐに変わるのかというのと、ケトン体を使う体に変わったとき練習による負荷をかけたときダメージを受けにくいとあるのですがそれは筋肉痛が起きて超回復というのが起こりにくいということでアスリートとしては成長しにくいということですか?そしてその体の状態で高負荷の練習をしたときブドウ糖の状態の方が優位ということですがそれはただ力の上限が低くなって高負荷のメニューがきつくなるということでいいですか?
またケトン体にしてブドウ糖を主エネルギーに戻す考えなんですが体脂肪率を自分の目標まで落としたらすぐブドウ糖にもどして練習したほうがいいですか。総体五月下旬でそこに照準を合わせています。総体の何ヶ月前に変えたほうがいいなどアドバイスあったらお願いします。あと日常の練習は基本短距離で県内で多分一番メニューはきつい学校だと思います。
なおプロテインを併用する予定です。
2015/01/26(Mon) 00:23 | URL | 赤星 | 【編集】
精神科医師A さん
情報をありがとうございます。
読んでみます。
情報をありがとうございます。
読んでみます。
2015/01/26(Mon) 07:41 | URL | ドクター江部 | 【編集】
赤星 さん
走り高跳びそのものは、高強度の運動ではないと思います。
ジャンプの瞬間だけは高強度と思います。
高強度運動の持続、例えば100m競争の全力疾走の時だけは、混合食(普通食)が優位ということです。
この論文、自転車で中等度の運動を90分ですから、結構な運動ですが、そこまではケトン食が優位です。
ケトン食は、体重、体組成、脂質及びリポタンパク質プロファイルにいおいて好ましい変化がありました。
しかし日常の練習が、短距離で高強度運動ということなら、普通食のほうが無難ですね。
体重維持は運動量でカバーしては如何でしょう。
走り高跳びそのものは、高強度の運動ではないと思います。
ジャンプの瞬間だけは高強度と思います。
高強度運動の持続、例えば100m競争の全力疾走の時だけは、混合食(普通食)が優位ということです。
この論文、自転車で中等度の運動を90分ですから、結構な運動ですが、そこまではケトン食が優位です。
ケトン食は、体重、体組成、脂質及びリポタンパク質プロファイルにいおいて好ましい変化がありました。
しかし日常の練習が、短距離で高強度運動ということなら、普通食のほうが無難ですね。
体重維持は運動量でカバーしては如何でしょう。
2015/01/26(Mon) 15:44 | URL | ドクター江部 | 【編集】
専門家ではありませんので間違いもあるかもしれませんが、そこは江部先生にご指摘頂くとして、ご参考になれば幸いです。
>ケトンの方は高強度の方は向いていないと書いてあったので瞬発的な力のいる高跳びは向いていないと思います。
高強度は、一時的な瞬発力では無く、その状態を数秒~十数秒持続・維持する程度の強度と思います。
イメージとしては、ある程度~相当程度、筋骨隆々な方が良い競技(短距離走、重量挙げ、砲丸投げ、ハンマー投げ、競輪等々)でしょうか。
細マッチョが有利な競技(高跳び、幅跳び、長距離走、ロードレース等々)は中・低強度と思います。
また動物で例えれば、高強度はトラやライオンの肉食獣で、中・低強度はカモシカ等の草食動物かなと。
>高跳びは体重にシビアなので、できる限り脂肪は減らしたいです。
>しかし自分はかなり量を食べてしまうタイプで体重維持で精一杯です。
>なのでケトン体を使う体に変わるように糖質を制限してみようと思っています。
大賛成です。
大食いタイプは、カロリーオーバーにも気を付けて下さい。
慣れてくれば食欲も落ちてきます。
>そして総体にはブドウ糖をエネルギーとする体に変えて臨もうと思うのですが、まずすぐに変わるのかというのと、
例えハイブリッド車がスイッチ式の切り替えだったとしても、そのように人の体を臨機応変に対応させることは難しいと思います。
体調管理も難しくなると思います。
糖質過多な現状では、ケトンモードへの切り替えに最低でも数日はかかります。
私の場合は、たまにチートデーとか言って炭水化物を摂りまくると、翌日は簡単に数kg太っています。
常にケトンモードのままで良いと思いますが、競技の前に糖質を補充するのが良いのか否かはまだ明確な理論がある訳ではありませんので、ご自身で試してみては如何でしょうか?
>そしてその体の状態で高負荷の練習をしたときブドウ糖の状態の方が優位ということですがそれはただ力の上限が低くなって高負荷のメニューがきつくなるということでいいですか?
力の上限が低くなる訳ではありません。
車で例えた場合、ガソリンの量の違いと思って下さい。
高糖質食は60Lの蓄えがあるけれど、糖質制限食は40Lしかないと。
つまり早いか遅いかの違いで、前者は後者より長時間高負荷に耐えられるけれど、燃料(筋肉に蓄えたブドウ糖)が無くなればどちらも同じです。
ただし、前者の方が後者よりも瞬間的な使用量(車で言えば排気量)が増加しているかも知れませんし、その可能性はあると思います。
>またケトン体にしてブドウ糖を主エネルギーに戻す考えなんですが体脂肪率を自分の目標まで落としたらすぐブドウ糖にもどして練習したほうがいいですか。
あとブドウ糖を筋肉内に蓄える際に、同時に水分も必要となります。
数kgは体重が増加することも考えると、高糖質食に戻す必要は無いと思います。
ご存知とは思いますが、人の体は肝臓でタンパク質からブドウ糖を作ります(糖新生)。
その際に自分の筋肉を使わないようにしっかりと(良質な)タンパク質を補給しましょう。
>あと日常の練習は基本短距離で県内で多分一番メニューはきつい学校だと思います。
蛇足ですが、高跳びにハードな短距離走の練習は必要なのでしょうか?
その短距離走で、メインの高跳びの練習前にブドウ糖を消費してしまうのであれば本末転倒のように思えます。
>ケトンの方は高強度の方は向いていないと書いてあったので瞬発的な力のいる高跳びは向いていないと思います。
高強度は、一時的な瞬発力では無く、その状態を数秒~十数秒持続・維持する程度の強度と思います。
イメージとしては、ある程度~相当程度、筋骨隆々な方が良い競技(短距離走、重量挙げ、砲丸投げ、ハンマー投げ、競輪等々)でしょうか。
細マッチョが有利な競技(高跳び、幅跳び、長距離走、ロードレース等々)は中・低強度と思います。
また動物で例えれば、高強度はトラやライオンの肉食獣で、中・低強度はカモシカ等の草食動物かなと。
>高跳びは体重にシビアなので、できる限り脂肪は減らしたいです。
>しかし自分はかなり量を食べてしまうタイプで体重維持で精一杯です。
>なのでケトン体を使う体に変わるように糖質を制限してみようと思っています。
大賛成です。
大食いタイプは、カロリーオーバーにも気を付けて下さい。
慣れてくれば食欲も落ちてきます。
>そして総体にはブドウ糖をエネルギーとする体に変えて臨もうと思うのですが、まずすぐに変わるのかというのと、
例えハイブリッド車がスイッチ式の切り替えだったとしても、そのように人の体を臨機応変に対応させることは難しいと思います。
体調管理も難しくなると思います。
糖質過多な現状では、ケトンモードへの切り替えに最低でも数日はかかります。
私の場合は、たまにチートデーとか言って炭水化物を摂りまくると、翌日は簡単に数kg太っています。
常にケトンモードのままで良いと思いますが、競技の前に糖質を補充するのが良いのか否かはまだ明確な理論がある訳ではありませんので、ご自身で試してみては如何でしょうか?
>そしてその体の状態で高負荷の練習をしたときブドウ糖の状態の方が優位ということですがそれはただ力の上限が低くなって高負荷のメニューがきつくなるということでいいですか?
力の上限が低くなる訳ではありません。
車で例えた場合、ガソリンの量の違いと思って下さい。
高糖質食は60Lの蓄えがあるけれど、糖質制限食は40Lしかないと。
つまり早いか遅いかの違いで、前者は後者より長時間高負荷に耐えられるけれど、燃料(筋肉に蓄えたブドウ糖)が無くなればどちらも同じです。
ただし、前者の方が後者よりも瞬間的な使用量(車で言えば排気量)が増加しているかも知れませんし、その可能性はあると思います。
>またケトン体にしてブドウ糖を主エネルギーに戻す考えなんですが体脂肪率を自分の目標まで落としたらすぐブドウ糖にもどして練習したほうがいいですか。
あとブドウ糖を筋肉内に蓄える際に、同時に水分も必要となります。
数kgは体重が増加することも考えると、高糖質食に戻す必要は無いと思います。
ご存知とは思いますが、人の体は肝臓でタンパク質からブドウ糖を作ります(糖新生)。
その際に自分の筋肉を使わないようにしっかりと(良質な)タンパク質を補給しましょう。
>あと日常の練習は基本短距離で県内で多分一番メニューはきつい学校だと思います。
蛇足ですが、高跳びにハードな短距離走の練習は必要なのでしょうか?
その短距離走で、メインの高跳びの練習前にブドウ糖を消費してしまうのであれば本末転倒のように思えます。
2015/01/26(Mon) 16:12 | URL | 福助 | 【編集】
2015/01/26(Mon) 21:03 | URL | 精神科医師A | 【編集】
返信ありがとうございます。勉強になりました。
とりあえず記録会までにいろいろ試してみて自分にあったものを見つけたいと思います。
そして自分も高跳びにそんなハードな練習いるのかな~と思うんですが一応冬は走り込みの季節ということで追い込んでます。雪であまり跳べませんし笑
また質問することがあると思うのでその時はまたよろしくお願いします。
とりあえず記録会までにいろいろ試してみて自分にあったものを見つけたいと思います。
そして自分も高跳びにそんなハードな練習いるのかな~と思うんですが一応冬は走り込みの季節ということで追い込んでます。雪であまり跳べませんし笑
また質問することがあると思うのでその時はまたよろしくお願いします。
2015/01/26(Mon) 21:57 | URL | 赤星 | 【編集】
とても気になってるコトなので、質問させて下さい。
小1の選手コースに通う息子の話なのですが、現在、私が作る食事に限り糖質制限しています。
給食や外食、祖母宅での食事は普通食です。
水泳の場合は、強度的にはどの程度に分類されるのでしょうか?
また、どちらの方に偏りを置いた食事の方がいいのでしょうか?
食べたがるもの全て炭水化物なので日々疑問に思いながら過ごしていた所、このような記事があったので思い切って質問させていただきました。
因みに半年程前まではマクロビよりでした。
よろしくお願いします(>人<;)
小1の選手コースに通う息子の話なのですが、現在、私が作る食事に限り糖質制限しています。
給食や外食、祖母宅での食事は普通食です。
水泳の場合は、強度的にはどの程度に分類されるのでしょうか?
また、どちらの方に偏りを置いた食事の方がいいのでしょうか?
食べたがるもの全て炭水化物なので日々疑問に思いながら過ごしていた所、このような記事があったので思い切って質問させていただきました。
因みに半年程前まではマクロビよりでした。
よろしくお願いします(>人<;)
井上 さん
水泳は、有酸素運動が主なので、中等度以下の強度の運動です。
陸上の100m走は、無酸素運動が主で高強度の運動です。
従って水泳は、理論的には糖質制限食のほうが、よいパフォーマンスができることとなります。
しかし小学校1年生ということであれば、社会的観点も大事なので
「給食や外食、祖母宅での食事は普通食」で良いと思います。
水泳は、有酸素運動が主なので、中等度以下の強度の運動です。
陸上の100m走は、無酸素運動が主で高強度の運動です。
従って水泳は、理論的には糖質制限食のほうが、よいパフォーマンスができることとなります。
しかし小学校1年生ということであれば、社会的観点も大事なので
「給食や外食、祖母宅での食事は普通食」で良いと思います。
2015/02/22(Sun) 10:03 | URL | ドクター江部 | 【編集】
江部先生
はじめまして。ブログ拝見しております。
私も食事について気になっていることがありますので質問いたします。すでにどこかでお答えになられているかもしれませんが、よろしくお願いします。
現在、週1回のペースでボクシングの練習に参加しています。先生がブログで書かれたように「(ボクシングは)高強度の運動の繰り返しなので向いていません。」とのことですが、練習するのは週1回のみです。
この場合は練習日以外はスーパー糖質制限食、練習日は練習前の食事だけ白米などを摂取、という切り分けをするのがよいでしょうか。
ちなみに、現在の私はスーパー糖質制限食を始めてから1年半継続し、おかげさまで体調良好です。健康診断ではHb-Alc=5.2%、血糖値84mg/dl(食後12時間ですが)の正常値をキープできています。
お忙しいところ申し訳ありませんが、アドバイスをお願いいたします。
はじめまして。ブログ拝見しております。
私も食事について気になっていることがありますので質問いたします。すでにどこかでお答えになられているかもしれませんが、よろしくお願いします。
現在、週1回のペースでボクシングの練習に参加しています。先生がブログで書かれたように「(ボクシングは)高強度の運動の繰り返しなので向いていません。」とのことですが、練習するのは週1回のみです。
この場合は練習日以外はスーパー糖質制限食、練習日は練習前の食事だけ白米などを摂取、という切り分けをするのがよいでしょうか。
ちなみに、現在の私はスーパー糖質制限食を始めてから1年半継続し、おかげさまで体調良好です。健康診断ではHb-Alc=5.2%、血糖値84mg/dl(食後12時間ですが)の正常値をキープできています。
お忙しいところ申し訳ありませんが、アドバイスをお願いいたします。
2015/07/15(Wed) 22:27 | URL | おやじボクサー | 【編集】
おやじボクサー さん
スーパー糖質制限食だと
スパーリングで、高強度の運動の繰り返しだと第2ラウンドくらいで失速します。
通常のランニングとか軽いシャドーボクシングとかはスーパー糖質制限食でOKです。
当日あるいは前日くらいからの糖質摂取で、スパーリングの失速が改善するのかどうか
私にもよくわかりません。
個人差もありますし、実際に試してみられてはどうでしょう。
スーパー糖質制限食だと
スパーリングで、高強度の運動の繰り返しだと第2ラウンドくらいで失速します。
通常のランニングとか軽いシャドーボクシングとかはスーパー糖質制限食でOKです。
当日あるいは前日くらいからの糖質摂取で、スパーリングの失速が改善するのかどうか
私にもよくわかりません。
個人差もありますし、実際に試してみられてはどうでしょう。
2015/07/15(Wed) 22:59 | URL | ドクター江部 | 【編集】
江部先生
早速のご回答、ありがとうございます。
確かにスパーリング中に途中でバテてしまうので、まずは練習当日の糖質摂取を試して様子を見ます。
これからもブログや書籍、実践を通じて勉強させていただきます。
早速のご回答、ありがとうございます。
確かにスパーリング中に途中でバテてしまうので、まずは練習当日の糖質摂取を試して様子を見ます。
これからもブログや書籍、実践を通じて勉強させていただきます。
2015/07/16(Thu) 22:02 | URL | おやじボクサー | 【編集】
ウェイトトレーニングに場合は、どうでしょうか?体重自体は、減っているのですが、ウェイトトレーニング1日置きで週3〜4なのですが、この場合は、トレーニング前後に糖質を摂取したほうが良いのでしょうか?
2015/08/08(Sat) 21:05 | URL | 筋トレ趣味 | 【編集】
このブログで勉強させてもらっているものです。ウェイトトレーニングの場合は、どうでしょうか。前後にある程度糖質をとったほうがいいのでしょうか?また、それにより体重の減少が緩やかになったりするのでしょうか。ここまで順調に体重が落ちてきているので知りたいです。
2015/08/08(Sat) 21:39 | URL | 糖質制限なう | 【編集】
糖質制限なう さん
私は、筋トレとか詳しくないのですが、
本で得た知識では、タンパク質摂取が筋肉増強には一番大切と思います。
すなわち、糖質制限食で
『脂肪を落とす』と『運動能力を維持する』が両立する可能性が高いのです。
より具体的には
ボディビルダーの
小森 保信 さんのブログ Kom's倶楽部
http://blog.livedoor.jp/koms_club/archives/1998471.html
に大変興味深い記事が載っていますので
参考にしていただけば幸いです。
一方
高強度の運動の場合は、運動後に糖質摂取しても大丈夫と思います。
筋トレ後の糖質摂取は、インスリン非依存的に筋肉細胞が血糖値をとりこむので、
血糖値も上昇しませんし、肥満ホルモンのインスリンも出ません。
2008年02月25日 (月)の本ブログ記事
「運動とエネルギー源⑨ 糖質制限食と筋力トレーニング」
をご参照いただけば幸いです。
私は、筋トレとか詳しくないのですが、
本で得た知識では、タンパク質摂取が筋肉増強には一番大切と思います。
すなわち、糖質制限食で
『脂肪を落とす』と『運動能力を維持する』が両立する可能性が高いのです。
より具体的には
ボディビルダーの
小森 保信 さんのブログ Kom's倶楽部
http://blog.livedoor.jp/koms_club/archives/1998471.html
に大変興味深い記事が載っていますので
参考にしていただけば幸いです。
一方
高強度の運動の場合は、運動後に糖質摂取しても大丈夫と思います。
筋トレ後の糖質摂取は、インスリン非依存的に筋肉細胞が血糖値をとりこむので、
血糖値も上昇しませんし、肥満ホルモンのインスリンも出ません。
2008年02月25日 (月)の本ブログ記事
「運動とエネルギー源⑨ 糖質制限食と筋力トレーニング」
をご参照いただけば幸いです。
2015/08/09(Sun) 11:46 | URL | ドクター江部 | 【編集】
| ホーム |