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SGLT2阻害薬で、10人死亡、厚労省、適切使用指示へ。朝日新聞デジタル。
【新型糖尿病薬服用、10人死亡 厚労省、適切使用指示へ

朝日新聞デジタル
田内康介2015年1月9日

新糖尿病治療薬の副作用報告

昨年4月以降に相次いで発売された新型の糖尿病治療薬を服用した患者10人が死亡していたことが、各製薬会社による副作用調査でわかった。因果関係は必ずしも明確でないが、脱水症を招き死亡につながったとみられる事例もあった。厚生労働省は適切な使用を呼びかけるため、添付文書を改訂するよう各社に指示する方針。

新薬は「SGLT2阻害薬」で、生活習慣が原因で患者数が多い2型糖尿病が対象。インスリンの分泌を促す従来の薬とちがい、尿中の糖を体内に吸収させるたんぱく質の働きを邪魔し、体外に出して血糖値を下げる。利尿作用があり、体重を減らす効果もあるとして注目されている。昨年4月以降、国内で6製品が販売され、専門家によると10万人以上が服用していると推定される。

朝日新聞が各社の調査を集計したところ、約3700人で約4800件の副作用報告があった。うち重篤なものは皮膚障害、尿路感染症、脱水症など630件で、10人が死亡していた。副作用報告は因果関係にかかわらず幅広く届けられる。】



こんばんは。

朝日新聞デジタル版に「新型糖尿病薬服用、10人死亡 厚労省、適切使用指示へ」という記事が載りました。

新型糖尿病内服薬とは「SGLT2阻害薬」のことです。

2014年4月に鳴り物入りで発売したものの、 いきなり死亡例が出て6月と8月に勧告(☆)ですから、 さしもの日本糖尿病学会も事態の深刻さには気がついて、 対応は早かったと思います。

しかし勧告後にも死亡例が相次いだことになります。

6月や8月の勧告にあるように 本来SGLT2阻害薬は、ごく限られた症例に使うべき薬剤です。

また、利尿剤との併用は推奨されないどころか禁忌と思います。

降圧剤の合剤で、利尿剤を含んでいるものもあるので、注意が必要です。

4月の発売時に、勧告レベルの注意喚起をしていれば、これほど重篤な副作用が多発することはなかったと思われますので 、やはり日本糖尿病学会の責任は重いと思います。

学会のプレスリリースにしても「夢の新薬」のようなイメージでした。

これにマスコミが安易に飛びつき、多くの糖尿病患者さんが偏った情報を鵜呑みにしてしまいました。

そして、SGLT2阻害薬はを長期に内服すると基礎代謝を落としてしまう可能性が高いので、短期間の使用ににとどめるべき薬剤です。

『SGLT2阻害薬を服用すると、1日あたりおよそ240kcalのエネルギーに相当するブドウ糖60gが尿から排泄される』

400kcal/日のエネルギーが排泄されるということは、単純理論的には痩せ続けることになります。

しかし、あるSGLT2阻害薬を投与開始して、一旦、37週で3kg減量になったあと、約6ヶ月目から再び体重が増え始め、最終的に102週間(2年間)90名くらいで評価して、体重は1.7kg減というデータがあります。

ということは、人体が毎日240kcal相当のブドウ糖が尿から排泄されることに関して、何らかの調整を行って、37週目でボトムになったあと、体重は102週目まで緩やかに増加して、1.3kg分は戻ったということです。

そうすると、仮説としてまず最初に考えられるのは、1日あたりおよそ240kcalのエネルギーに相当するブドウ糖が、尿から排泄される結果としてのカロリー制限に対し、人体が基礎代謝を低下させて対応して、それ以上の体重減少を防いだということです。

基礎代謝が低下すれば、人体に様々な悪影響が出ます。

夢の新薬のように登場したSGLT2阻害薬ですが、そんなええもんではなかったということです。

日本糖尿病学会は、発売までは、かなりSGLT2阻害剤を推奨していましたので、このたびの副作用の多発には、重い責任があると思います。

そもそも、きっちりスーパー糖質制限食なら、必要ない薬です。


江部康二



(☆)
以下は、日本糖尿病学会のサイトから抜粋です。

http://www.jds.or.jp/common/fckeditor/editor/filemanager/connectors/php/transfer.php?file=/uid000025_7265636F6D6D656E646174696F6E5F53474C54322E706466

SGLT2阻害薬の適正使用に関するRecommendation


策定:2014年6月13日
改訂:2014年8月29日

我が国で最初のSGLT2阻害薬が2014年4月17日発売され、続いて5月23日に新たにSGLT2阻害薬3剤が発売された。本薬剤は新しい作用機序を有する2型糖尿病薬であるが、治験の際に低血糖など糖尿病薬に共通する副作用に加えて、尿路・性器感染症など本薬剤に特徴的な副作用が認められていた。

加えて、本薬が広汎で複雑な代謝や循環への影響をきたしうることから、発売前から重篤なものを含む多様な副作用発症への懸念が持たれていた。発売開始から1ヶ月間の副作用報告を受け、重篤な副作用の懸念のうち、残念ながらいくつかが現実化したことを踏まえ、「SGLT2阻害薬の適正使用に関する委員会」を発足させ、検討を行い、6月13日に「SGLT2阻害薬の適正使用に関するRecommendation」を策定し公表した。

このたび、最初の副作用報告から2ヶ月半経過し新たな3剤の副作用報告も踏まえ最新の情報に基づき改訂を加えた。

8月17日の時点での各製剤の副作用報告によれば、予想された副作用である尿路・性器感染症に加え、重症低血糖、ケトアシドーシス、脳梗塞、全身性皮疹などの重篤な副作用がさらに増加している。

この中には、現時点では必ずしも因果関係が明らかでないものも含まれているが、多くが当初より懸念された副作用であることから、本委員会としては、これらの副作用情報をさらに広く共有することにより、今後、副作用のさらなる拡大を未然に防止することが必要と考え以下のRecommendationおよび具体的副作用事例とその対策を報告する。



Recommendation

1.インスリンやSU 薬等インスリン分泌促進薬と併用する場合には、低血糖に十分留意して、それらの用量を減じる(方法については下記参照)。インスリンとの併用は治験で安全性が検討されていないことから特に注意が必要である。患者にも低血糖に関する教育を十分行うこと。

2.高齢者への投与は、慎重に適応を考えたうえで開始する。発売から3ヶ月間に65歳以上の患者に投与する場合には、全例登録すること。

3.脱水防止について患者への説明も含めて十分に対策を講じること。利尿薬との併用は推奨されない。

4.発熱・下痢・嘔吐などがあるときないしは食思不振で食事が十分摂れないような場合(シックデイ)には必ず休薬する。

5.本剤投与後、薬疹を疑わせる紅斑などの皮膚症状が認められた場合には速やかに投与を中止し、皮膚科にコンサルテーションすること。また、必ず副作用報告を行うこと。

6.尿路感染・性器感染については、適宜問診・検査を行って、発見に努めること。問診では質問紙の活用も推奨される。発見時には、泌尿器科、婦人科にコンサルテーションすること。

7.原則として、本剤は当面他に2剤程度までの併用が推奨される。


以上、SGLT2阻害薬が発売されてから約3か月半の副作用情報を踏まえ、その使用にあたっての重要な注意喚起を行った。本薬剤は適応を十分に考慮した上で、添付文書に示されている安全性情報に十分な注意を払い、また本Recommendationを十分に踏まえて、特に安全性を最優先して適正使用されるべき薬剤である。

発売日から3ヵ月間に本剤を服用した高齢者(65歳以上)では全例の特定使用成績調査が定められており、是非ともそれに則った使用が推奨される。尚、本委員会は継続的にSGLT2阻害薬の安全性情報を収集・分析し、必要は注意喚起を行っていく。
「SGLT2阻害薬の適正使用に関する委員会」
京都大学大学院医学研究科 糖尿病・内分泌・栄養内科学 稲垣暢也
東京大学大学院医学系研究科 分子糖尿病科学 植木浩二郎
川崎医科大学 総合内科学1 加来浩平
東京大学大学院医学系研究科 糖尿病・代謝内科 門脇孝
関西電力病院 清野裕
旭川医科大学内科学講座病態代謝内科学分野羽田勝計
東京大学大学院医学系研究科皮膚科学 佐藤伸一


テーマ:糖尿病
ジャンル:ヘルス・ダイエット
コメント
先生ご無沙汰しています。いつもありがとうございます。
先生の本、日本から到着して3冊読んでしまいました。わかりやすく本当に糖質制限万歳です^^

このニュースこちらでも見ました
真っ先に薬のまずに血糖値下げれるのに~と
思ってしましました

先生の本がこちらでも翻訳されてるの発見しました。すぐに購入して主人にも読ませて、今は一緒にしています。糖尿ではないのですが
逆流性食道炎にかかっていてなかなか完治が難しいんですが、糖質制限初めて3週間なんですが、げっぷが出なくなり調子が良いと喜んでいます
やはりここでも糖質が悪さをしているのだと実感しました。
こちらでも先生の本薦めて行きたいと思ってます。
2015/01/16(Fri) 18:02 | URL | みょん | 【編集
SGLT2i について
SGLT2阻害剤に対するネガキャンは辞めて頂きたい。
なんちゃって糖質制限、緩やかな糖質制限を補完するものがSGLT2iですから。くれぐれも妨害しないで欲しいです。この薬剤は糖質制限を補完するものです。
2015/01/16(Fri) 21:44 | URL | 柴田淳治 | 【編集
本当に怖いものですね
糖尿人の方々は医師の言葉が天の言葉になってますからね。
ましてやまじめな方々では、疑うことなく指示されたとおりのことをやるでしょうね。
医師の責任の重さに私なら耐えられません。
本当に糖質制限が広く普及することを、そして食事が糖質制限が基本となることを願います。
食育の教育を私の子どもの小学校でも行ったりしてますが、まだまだご飯主食ですからね。
しんどい長い話になりそうです、はい。
2015/01/16(Fri) 21:59 | URL | クワトロ | 【編集
Re: SGLT2i について
柴田淳治 さん

決してネガティブキャンペーンではありません。

安易な使用への警鐘です。
10例の死亡例は、重く受け止めるべき事実です

症例を絞って、短期間の使用ならOKと思います。

2015/01/17(Sat) 14:43 | URL | ドクター江部 | 【編集
糖質制限を補完するならメトフォルミン
柴田淳治先生、

何らかの手段で糖質制限を「補完」しようという御意思は、たいへん有難く存じます。

本件については、しらねのぞるば 先生の実験が参考になります。
http://koujiebe.blog95.fc2.com/blog-entry-3236.html

糖質制限では「食後」高血糖はバッチリ防げますが、「早朝」高血糖は防ぎにくい。そこで役立つ薬剤として、最も安価で安全なのがメトフォルミンだ、という認識は、以前からありました。
http://allabout.co.jp/gm/gc/376483/

上記の、しらねのぞるば 先生の実験は、この「メトホルミン」を、就寝前ではなく「夜間排尿時」に服用している点が、ユニークです。

さらに言えば、Slow Release 型のメトホルミンが開発されれば、これを就寝前に飲めば良いですね。これなら夜中にトイレに起きない人でも大丈夫になる。

以上、「糖質制限を補完する薬剤」というテーマでは、メトホルミンが第一候補になりえるのではないか、と愚考いたす次第です。
2015/01/18(Sun) 09:07 | URL | さとし | 【編集
Re: 本当に怖いものですね
クワトロ さん

一歩一歩、確実にゆっくり、あせらずに糖質制限食を広めていきたいと思います。
かなり、普及してきている実感はあるのですが・・・。
2015/01/18(Sun) 11:34 | URL | ドクター江部 | 【編集
メトホルミン徐放剤
Slow Release 型のメトホルミンが開発されれば・・

米国では以前より徐放剤が認可されており、1日1回投与のGlucophage® XRが発売されております。消化器系の副作用予防にも有用で、日本でも認可が望ましいのですが、なにぶん薬価の安い薬剤であり、開発する製薬会社はないようです。悲しい現実ですが。
2015/01/18(Sun) 11:58 | URL | 加藤 | 【編集
Re: 糖質制限を補完するならメトフォルミン
さとし さん

同感です。
メトホルミンの、長時間作用型があると、大変重宝です。

私は現在、夕食前と眠前とかで処方しています。
しかし添付文書には、眠前の処方は書いてないので、医師の裁量としています。
2015/01/19(Mon) 07:34 | URL | ドクター江部 | 【編集
Re: メトホルミン徐放剤
加藤 さん

「米国では以前より徐放剤が認可されており、1日1回投与のGlucophage® XRが発売されております。」

貴重な情報をありがとうございます。
浅学にして知りませんでした。

米国の製薬会社から、日本の製薬会社が輸入販売すればいいと思うのですが・・・。
すでにメトホルミンは日本でも認可されているので徐放剤の認可もされやすいと思います。
2015/01/19(Mon) 07:38 | URL | ドクター江部 | 【編集
SGLT2阻害剤と抗高血圧薬の組み合わせ
「SGLT2阻害剤+抗高血圧薬」には血糖・血圧の低下作用(心血管イベントの抑制)に加えて、腎機能の低下した人(慢性の糖尿病者など)にも改善効果が観察されるとの特許申請が大正製薬から出願されていました。
http://www.google.com/patents/WO2014034842A1?cl=ja

抗高血圧薬というとナトリウム排泄の利尿剤が思いつくので、SGLT2阻害剤との併用は推奨されないという勧告があるので、ちょっと意外な印象です。

ついでに、既存の薬剤の組合せが特許対象になるというのも驚きでした。
2015/06/10(Wed) 08:38 | URL | 大虎猫 | 【編集
Re: SGLT2阻害剤と抗高血圧薬の組み合わせ
大虎猫 さん

興味深い情報をありがとうございます。

抗高血圧薬は、ARBとACE阻害剤のようですね。
さすがに利尿剤ではないようです。


2015/06/10(Wed) 14:50 | URL | ドクター江部 | 【編集
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