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「インスリン低値だけども早朝空腹時血糖値は正常」→良いことです。
【15/01/14 加賀美 

IRI/BSが0.00以下

先生こんばんは。いつもためになるブログ楽しく読んでいます。

先日ブドウ糖負荷試験を行いました。
結果、主治医から「IRI/BSが極めて低い!う~ん。不思議なんだよ。インスリンが出てないのに血糖がそれほど高くない。IRI/BSが0.00以下なんてあまり見かけない。う~ん。」と言われてしまい、ブドウ糖負荷試験が再検査となりました。
今はジャヌビアとたまに外食時にベイスンを服用しています。
このような結果はどのようなことが考えられますでしょうか。また、糖質制限と何か関係はありますでしょうか。
今のところ、内服はしていますが、糖質は昼少しのみでかなり頑張っています。

空腹時 BS:88  インスリン:2.8
30分   BS:154 インスリン:.3.1
60分   BS:185 インスリン:36.9
120分 BS:146 インスリン51.6

でした。

先生のご指導がいただけましたら大変ありがたいです。よろしくお願い致します。】



加賀美さんから、インスリン低値だけども空腹時血糖値は正常というコメントをいただきました。

1)インスリン分泌指数
⊿IRI/⊿BS=0.004 確かに低いですね。

2)HOMA-β=40.32 と正常

インスリン抵抗性の指標
3)HOMA-R=0.6 と正常

75gブドウ糖負荷試験は、境界型です。

インスリン基礎分泌がやや低めですが、早朝空腹時血糖は正常なのでうまく折り合いがついていて、好ましいです。

基礎インスリンが低くて、早朝空腹時血糖が正常なのは、基礎分泌インスリンが高めで早朝空腹時血糖が正常な状態より良いことなのです。

これは糖質制限食の影響かもしれません。


さてインスリンには、24時間少量持続的に出ている基礎分泌と、糖質を摂取したときに大量にでる追加分泌があります。

一般に、

空腹時のIRI(インスリン)は、基礎分泌とインスリン抵抗性の評価に用います。
負荷後のIRI(インスリン)は、追加分泌の評価に用います。

追加分泌のインスリンには、即分泌される第1相と少し遅れて出る第2相があります。

正常人は、血糖値が上昇し始めたら即インスリンが追加分泌されます。

この第1相反応は、もともとプールされていたインスリンが5~10分間分泌されて、糖質摂取時の急激な食後高血糖を防いでいます。

その後、膵臓のベータ細胞は、第2相反応と呼ばれる持続するインスリン分泌を行います。

糖尿人の場合は、第1相が欠落・不足していたり、第2相も、不足・遷延したりすることが結構あるようです。

HOMA-βは、空腹時血糖値と空腹時インスリン値で計算するのですが、経口血糖負荷試験時の2時間値のインスリン分泌量と、よく相関することがわかっています。

インスリン分泌指数が低いので、加賀美さんは、第1相がかなり低値で糖尿人のよくあるパターンと言えます。

一方HOMA-βが正常ということは、加賀美さんの場合、インスリン追加分泌の第2相は正常にでていることになります。

罹病期間の長い糖尿人では、HOMA-βが基準値を下回ることが多いです。

それから、負荷後60分血糖値が180mg/dlを超えているので、将来糖尿病を発症しやすいです。

今から糖質制限食で、糖尿病発症を予防しましょう。

通常は、インスリン抵抗性があるとき、インスリンが多く出るようになります。

インスリン抵抗性はHOMA-IRで計算しますが、空腹時のIRI(インスリン)が上限近い、あるいはそれ以上あればそれだけでもインスリン抵抗性がある可能性が高いです。

空腹時のIRI(インスリン)の基準値は、施設にもよりますが3~15μU/mLくらいです。

加賀美さんは、インスリン抵抗性はなく、正常です。

そして少量のインスリンで空腹時血糖コントロールができており、好ましい状態と言えます。

つまりインスリンの効きがいいので、少量のインスリンで事足りているわけです。

従って、空腹時血糖値に関しては全く問題ないと思います。


私は、最近は、農耕以前(穀物摂取なし)の人類の早朝空腹時のインスリン値は、1.5~6.0μU/mlくらいが基準値ではなかったかと考えています。

つまり、空腹時IRI:10μU/mlなどは、基準値(3~15μU/ml)内ですが、すでに肥満などによるインスリン抵抗性があるのではないかと思うのです。

ただ、インンスリンがないと、人は死亡します。

実際、1921年にインスリンが合成されるまでは、1型糖尿病で内因性インスリンゼロの場合は平均余命は半年程度でした。

一方、インスリンは肥満ホルモンであり、過剰分泌では発癌性があり、アルツハイマー病のリスクともなり、老化のリスクでもあります。

つまり、インスリンというホルモンは人体に絶対に必要なのですが、血糖コントロールができている限りにおいて、その分泌が少なければ少ないほど身体には優しいのです。

言い換えれば、インスリン分泌が少なくてすむ食生活を心がけていれば、肥満、癌、アルツハイマー病、老化、動脈硬化などのリスクは減少するのです。


(1)インスリン分泌指数
インスリン追加分泌のうち初期追加分泌能はインスリン分泌指数で見る。
Insulinogenic index(⊿IRI/⊿BS)
=(負荷後30分IRI値-負荷後IRI値)/ (負荷後30分血糖値-負荷前血糖値)
0.4以上は初期追加分泌能維持。2型では0.3以下が多い。

(2)HOMA-β
<HOMA-β=360×空腹時インスリン値(μU/mL)/(空腹時血糖値(mg/dL)-63)>
経口血糖負荷試験時の2時間値のインスリン分泌量と、よく相関する。
空腹時血糖値130mg以下なら信頼度高い。
正常値:40-60
30%以下は軽度、15%以下は顕著なインスリン分泌低下。

(3)HOMA-IR インスリン抵抗性指標
<HOMA-R=空腹時血糖値(mg/dL)×空腹時インスリン値(μU/mL)/405 >
1.6以下が正常、2.5以上は抵抗性あり。
空腹時血糖値140mg以下なら信頼度高い。

(*)
HOMA-IRもHOMA-βも糖尿病が進行した状態では適応がない。
耐糖能異常から軽度の糖尿病までの時期において有用な方法である。

(**)
参考
改訂第5版「糖尿病専門医研修ガイドブック」日本糖尿病学会編(診断と治療社)2012
202ページ




江部康二
テーマ:糖質制限食
ジャンル:ヘルス・ダイエット
コメント
江部先生
いつも素晴らしいブログをありがとうございます。
慢性的な疲労感に数年悩まされ、糖質制限で脱出することが出来ました。本当に糖質制限に出会っていなければ、今ごろ、どうなっていたのだろうと怖くさえなります。
糖質制限を始めてから知ったのですが、どうやら低血糖症だったらしく、ちょっと欝っぽかったり、脱力感、極度の空腹感、肩こり、首凝りなどから解放されました。

糖質制限を始めて9ヶ月に入りましたが、その間、2度冒険をしました。
1度目は糖質制限を始めて1ヶ月半の時に夕食に茶碗に軽くチャーハンをいただきました。(外食でしたので、コース料理の一番最後に)その日は何でもなかったのですが、翌日、身体が鉛のように感じるほど重くだるく、起き上がることが出来ず、1日中、眠気がひどく寝込んでしまい、怖くなって二度と食べないと誓いました。
その後、先日(9ヵ月目)付き合いで外食をしている時に最後にヨーグルトに小さなアイスクリームが3つのったデザートをいただきました。食後、すぐに頭痛が起こり、肩こり、首凝り、眠気が始まり、すぐに家に帰ってぐったりして眠ってしまいました。翌日もひどい頭痛で起きられず寝込んでしまいました。更に翌日は極度な空腹感を伴う胃痛が始まり、今度は眠れなくなりました。本当にひどかったのです。
いよいよ恐ろしくなり、今後は一切糖質は摂らないと身にしみて思い知りましたが、しばらく糖質制限をした後に、多めの糖質を摂ると、こんな症状になるのはどのような身体の反応なのでしょうか?
私にはまさに糖質は「毒」というのを実感した体験でした。
2015/01/14(Wed) 16:45 | URL | れんげ | 【編集
Re: タイトルなし
れんげ さん

たまに、同様の体験を語るかたがおられます。

私にはまさに糖質は「毒」というのを実感した体験でした。


しばらく禁煙していた人が、タバコをすったら、ひどい症状がでたとか、
しばらく禁酒していた人が、久しぶりに飲んだら、ひどい目にあったとか、ありますね。

タバコも酒も毒と言えば毒ですので・・・。
2015/01/15(Thu) 17:13 | URL | ドクター江部 | 【編集
同じ?
私も空腹時インスリン量が少なく、糖負荷検査も加賀美さんと同じで、多分同じような体質なのですが、医者からは、糖尿病との判断はされませんでした。(糖質制限していない頃の検査です)
薬も出されてないんですが、加賀美さんは薬をもらっているのですね。私の医者の診断は間違ってるのでしょうか?セカンドオピニオンにいった方がよいでしょうか?
2015/01/22(Thu) 13:40 | URL | 京 | 【編集
Re: 同じ?
京 さん

75g経口ブドウ糖負荷試験が正常型なら
空腹時インスリン量が少なくても、何ら問題はありません。
少なめのインスリンの量で空腹時血糖値が正常なら、インスリンの効きが良いわけで、
とても好ましいことです。

もし、1時間値が180mg/dl以上なら、現在正常型でも
将来糖尿病になりやすいので、いまから緩くてもいいので糖質制限食をしておけば
糖尿病発症の予防になります。

セカンドオピニオンは必要ないと思います。
2015/01/22(Thu) 19:20 | URL | ドクター江部 | 【編集
インスリン高値気味…
こんにちは
初めてメールします。
私は、炭水化物を多量に摂ると、低血糖になってしまうようです。
いつもは野菜中心の食生活ですが、お昼にうな重(いつもより白米が多く、野菜ゼロ)だけを食べたときに、食後3時間くらいに、手の震えと、軽いめまいになり、ブドウ糖を摂取したら、症状が和らぎました。
受診して、膵臓系の検査をしてもらいましたが、空腹時インスリンが19.4でした。
特に服用の必要はなく、食事を注意すれば問題ないと言われました。
なにかアドバイスがあれば、お願いします。
2015/12/20(Sun) 11:32 | URL | sea | 【編集
Re: インスリン高値気味…
sea さん

sea さんの症状は、機能性低血糖と思います。

空腹時インスリンが、19.4なら、過剰分泌の可能性が高いです。
インスリン抵抗性もあると思います。

インスリン抵抗性も機能性低血糖も、糖質制限食で改善すると思います。

2013年12月14日 (土)の本ブログ記事
「機能性低血糖と糖質制限食」

2015年07月06日 (月)の本ブログ記事
「75g経口ブドウ糖負荷試験と機能性低血糖について」

をご参照いただけば幸いです。

2015/12/20(Sun) 18:33 | URL | ドクター江部 | 【編集
大学病院検査
江部先生はじめまして。
この春に体調の変化に気づき、血糖値測定器を購入し食後高血糖であることを自分で確認しました。
実は、先生のこのサイトには、血糖値の異変に気づく前から「糖質制限食」に興味がありましたので何度か訪れておりました。よもや自分が糖尿病になるとは思いもしなかったのですが、自分で気づけたのもこのサイトで勉強させていただいていたからだと思います。
春から糖質制限をしているのですが、月に2~3度外食やコンビニ弁当を食べることがあり、食後2時間血糖値が200を超えておりました。それに加え、ここ1ヶ月ほど朝の空腹時血糖値が110~130の日が増えてきましたので、大学病院でブドウ糖75g検査を受けました。

検査結果
空腹時  BS: 113  IRI: 3.9
30分   BS: 217  IRI: 53
60分   BS: 242  IRI: 56
90分   BS: 176  IRI: 23
120分  BS: 183  IRI: 35
180分  BS: 90   IRI: 5.7
インスリン分泌機能 0.454
HOMAR: 1.08
HOMAB: 28.08

担当のドクターからは、糖尿病の診断には至らないので、①食事は野菜からだべること。②適度な運動?をすること の2つのアドバイスだけでした。初期の段階で対応したいので、DPP-4阻害剤の処方をお願いしましたがダメでした。

検査結果を聞いた後の昼食で、まず野菜サラダを食べてから、牛丼並を食べて、その後自分で血糖値を計った結果が次の数値です。

30分  164
60分  217
120分 210
180分 160
240分 153
300分 102
360分 72

自分ではほとんど糖尿病だと自覚しております。『スーパー糖質制限食』を実践するのは当然のことと心得ておりますが、病院を変えて薬物療法を受けたいと思っております。いかがでしょうか。ご指導の程よろしくお願いいたします。 
2016/08/30(Tue) 18:35 | URL | yoshioka | 【編集
Re: 大学病院検査
yoshioka さん


ブドウ糖75g検査では、境界型です。

まず野菜サラダを食べてから、牛丼並を食べてでは、糖尿病型です。

ともあれ、スーパー糖質制限食なら、薬なしで血糖コントロールできると思います。
2016/08/31(Wed) 06:58 | URL | ドクター江部 | 【編集
食後血糖値の改善とインスリン分泌指数の悪化
いつもブログを拝見させて頂き、大変参考になっております。ありがとうございます。

さて、私は若者ながら半年前にブドウ糖試験で境界型と判断された者で
先日、同試験を再度受けました。

そこで、半年にわたる(緩い)糖質制限等の生活習慣改善のおかげか
食後血糖値は大きく改善したのですが
インスリン分泌指数だけ悪化していました。

最初は喜んだものの、家に帰った後に
「生活習慣の大きな改善で2型糖尿病は治りつつあるが、
実はその後ろで最初期の緩徐型1型糖尿病が
進行しつつあるのではないか」
という可能性を考えてしまい非常に不安になってしまいました。

また、私はまだ20代前半かつ元々痩せ形であり、親戚に糖尿病はおりません。
その事実も1型の裏付けになるような気がしてしまいます。

以下が診断結果となります。
半年前の血糖値
前 84 (IRIは3.52)
30分 181(IRIは33.6)
60分 209
120分145
※Insulinogenic index=0.31
先日の血糖値
前 82 (IRIは3.62)
30分 160(IRIは18.8)
60分 189
120分134
※Insulinogenic index=0.195

ただの2型の境界型で、血糖値は改善しているのにインスリン分泌指数だけ下がる
ということなどあるのでしょうか。
主治医によると、IIよりも血糖値で結果を見るべきであり、IIが少し下がったからといって直ちに症状が悪化したとは言えない、そうです。
しかし、緩徐型の1型についてはその場で私が話に出さなかったので、
その可能性について伺うことはできませんでした。
とても不安な状況なので、先生のお考えをお伺いしたくコメントさせて頂きました。
お忙しいとは存じますが、どうかご回答お願いいたします。
2016/09/12(Mon) 22:08 | URL | まる | 【編集
Re: 食後血糖値の改善とインスリン分泌指数の悪化
まる さん

75gOGTTは改善しています。
境界型から正常型になっています。
従って1型の可能性はほとんど無いと思います。

それでも1型糖尿病が心配なら、抗GAD抗体を検査しまししょう。
インスリンインデックスに関しては、主治医の仰る通りです。

また、HOMA-βという指数では、しっかりインスリンが分泌されています。


HOMA-β
<HOMA-β=360×空腹時インスリン値(μU/mL)/(空腹時血糖値(mg/dL)-63)>
空腹時の検査であるが経口血糖負荷試験時の2時間値のインスリン分泌量と、よく相関する。
空腹時血糖値130mg以下なら信頼度高い。
正常値:40-60
30%以下は軽度、15%以下は顕著なインスリン分泌低下。



半年前
60.3

先日
68.6


2016/09/13(Tue) 09:31 | URL | ドクター江部 | 【編集
江部先生

ご回答、本当にありがとうございます。
過度に心配しすぎたようです。少し安心いたしました。

いずれにせよ今後も糖質制限を実施して、
より健康体へ近づいていけるよう励んでいく所存ですので、
主治医が言うように、1年後に負荷試験を再度うけることとし、
今回は経過観察ということにしようと思いました。

その上では、先生のブログをこれからも拝見させて頂きます。

本当にありがとうございました。
2016/09/15(Thu) 22:03 | URL | まる | 【編集
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