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糖質制限食 VS 従来の糖尿病食(カロリー制限・高糖質食)
【14/11/10 美月(30代)

やはり糖質制限反対されました。

こんにちは☆
9日仙台で開催されたドクターサーチみやぎ、今回は「糖尿病」をテーマにしたセミナーに参加してきました。

パネルディスカッションでは、私が事前に質問した「糖質制限について」が読まれ、お医者様に応えてもらえたのですが、はやりエビデンスがない、5年後、10年後どうなるか分からないので薦められない。

20年前に、アメリカの糖尿病学会で一度認められたが、やはりダメになってやらなくなった。

栄養失調の親から生まれた子供が数十年後に糖尿病を発症する、という言い方もしていました。

要は、糖質制限を若い人がして生まれた子供が糖尿病になるかも?ということでしょうか。

まぁ反対されるとは思っていたのでやっぱりな、という印象でした。

そのセミナーには300人以上も集まったのですが
・糖尿病と歯周病との関係
・糖尿病には症状がないので、必ず健診を受けて数値をチェックしてください
・カロリー制限と運動が大事   というようなお話でした。

糖尿病予防や、どうしたら良くなるかについては一切話がありませんでした。

たまたま私の隣の席になった女性も、もっと違う話を聞きたかった、とおっしゃっていました。

私がマイクを取り返して、「糖尿病は良くなります!!」と自分の体験を含め糖質制限の話をしようかなと思ったくらいでした。って冗談ですが、本当に残念です。

ですが、その隣の席になった女性には糖質制限と江部先生のお話をしたので、一人だけには伝わったかな?なんて思っています。

話は変わりますが、今朝めざましTVでローソンのブランパンが紹介されていました。
そして、昼休みローソンに行ったら、いつもはあるのに全て売りきれていました。
糖質プリンもなかなか出会えません。
ローソンだけではなく、大手企業で力をいれて商品開発など行ってどこでも買えるようにしてもらえるといいですよね。】


こんにちは。
美月(30代) さんから、
糖質制限食 VS 従来の糖尿病食(カロリー制限・高糖質食)
に関して、コメント・質問をいただきました。
「ドクターサーチみやぎ」の情報もありがとうございます。

美月(30代) さん

【仙台で開催されたドクターサーチみやぎ、
「糖尿病」をテーマにしたセミナー】

へのご参加。

それはそれは、お疲れ様でした。
ご苦労様でした。

「糖質制限について」事前に質問を提出されていたにも関わらず担当医師の回答は勉強不足で残念です。

『ドクターサーチミヤギでの医師の回答 
糖質制限食に関して
A)エビデンスがない、
B)5年後、10年後どうなるか分からないので薦められない。
C)20年前に、アメリカの糖尿病学会で一度認められたが、
やはりダメになってやらなくなった。
D)栄養失調の親から生まれた子供が数十年後に糖尿病を発症する、
という言い方もしていました。
要は、糖質制限を若い人がして生まれた子供が糖尿病になるかも?
ということでしょうか。』



A)
糖質制限食には少なくとも6つのRCT論文という信頼度の高いエビデンスがあります。

エビデンスがないのは、日本糖尿病学会推奨の「カロリー制限・高糖質食」の方です。

2014年11月07日 (金)の本ブログ記事
「糖質制限食の有効性を示す信頼度の高いRCT論文」をご参照ください。

B)
「5年、10年後どうなるか分からない」・・・

従来の糖尿病食(カロリー制限・高糖質食)と薬物療法により、糖尿病患者において毎年16000人の透析、3000人の失明、3000人の足切断という合併症が生じています。

5年後、10年後どころか毎年糖尿病合併症の犠牲者が多発しているのが現状です。

従来の治療が上手くいっていない動かぬ証拠と言えます。

糖質摂取は「食後高血糖」「平均血糖変動幅増大」という最大の酸化ストレスリスクを生じ将来の合併症リスクとなりますが、タンパク質と脂質ではそれらは生じません。

このように従来の糖尿病食で将来の合併症を防ぐのは理論的に考えて極めて困難なのです。

糖尿病合併症を予防できるのは理論的に考えて「食後高血糖」「平均血糖変動幅増大」を生じない糖質制限食だけなのです。

C)
2013年10月、米国糖尿病学会が「栄養療法に関する声明」を発表して「糖質制限食」を正式に受容したのは、記憶に新しいところです。回答した医師は、勉強不足の一言です。

D)
妊婦の総摂取カロリー不足とその赤ちゃんの成人後の肥満・糖尿病・高血圧発症に関しては、オランダの信頼度の高いデータがあります。

第2次大戦中、ナチスドイツ占領下のオランダにおいて、出入港禁止措置のため、オランダの一部の地域では厳しい食料難に陥りました。

妊娠中だった母親たちも十分な食事が摂れず、飢餓状態で子供を産みました。

カロリー摂取量は700 kcal/日だったと言われています。

このとき生まれた子どもに対して疫学調査を行ったところ、成人した後に高確率で肥満・糖尿病・高血圧などの病気を発症していました。

これは、摂取エネルギー不足が主たる要因であり、糖質制限食とは何の関係もありません。

そもそも糖質制限食では脂質・タンパク質から充分量のエネルギーを摂取するので、カロリー不足にはなりません。

このオランダの報告を、担当の医師はうろ覚えで話したものと考えられますが、糖質制限食とは無関係の話を持ち出して聴衆を惑わすとは詐欺同然ですね。(`Д´)


★★
なお、カロリー制限食実践により、骨粗鬆症のリスクが増加するという論文も、つい最近、発表されました。
Diabetes Care(2014; 37: 2822-2829)
Diabetes Careは米国糖尿病学会誌です。
カロリー制限食の落日ですね。 (*_*)
この論文については、近日中にブログ記事にしたいと思います。

☆☆
歯周症の元凶となるミュータンス菌などの口腔内細菌の餌となるのも糖質だけであり、タンパク質と脂質は餌になりません。

すなわちスーパー糖質制限食なら、歯周症や虫歯の予防になりますので、歯医者さんの糖質セイゲニストは多いです。

ちなみに私は現在64才で、2002年から足かけ13年スーパー糖質制限食を実践中ですが歯は全部残っていて虫歯もゼロで、歯周症もありません。(^^)


江部康二
テーマ:糖質制限食
ジャンル:ヘルス・ダイエット
コメント
私も歯周病無しです
私は現在55才で、2008年から足かけ7年スーパー糖質制限食を実践中ですが
歯は全部残っていて虫歯もゼロで、歯周症もありません。(^^)
2014/11/11(Tue) 19:34 | URL | らこ | 【編集
Re: 私も歯周病無しです
らこ さん

虫歯ゼロで、歯周症なし。
素晴らしいですね。
2014/11/11(Tue) 22:27 | URL | ドクター江部 | 【編集
長文で申し訳ありません!
はじめまして。今年の夏頃からスーパー糖質制限を始めて、体重もHbA1c数値も以前より良くなりました。
私は20才位から、尿蛋白がででいるのですが、その当時はまだ糖尿病ではなく、行った病院の医師から、早朝尿に蛋白が出てなければ大丈夫、と言われました。20代半ば頃糖尿病になったのですが、糖尿病が原因か、太り過ぎが原因で蛋白が出ているのかわからない、痩せれば良くなるかもしれないと言われました。現在30代、体重も83→66と、17kg程落ちましたが先月の健康診断で尿蛋白+2でした。
尿蛋白がでていても、このまま糖質制限を続けても大丈夫なのでしょうか?
腎機能が心配です…
2014/11/11(Tue) 23:56 | URL | てぃ | 【編集
岩田健太郎先生
2014/11/12(Wed) 07:11 | URL | IWT | 【編集
ほんとにまだまだですね
歯は私も虫歯ゼロが10年くらい続いています。
そして、糖質制限を実施(ほぼスーパー)してからは色素沈着がほとんどなくなりました。
毎日コーヒーは5杯は飲んでますが・・ブラックか生クリームを混ぜて・・。
歯医者さんには半年に1度定期的に検診を受けるようにといつも言われますが、2年ほど行ってません(笑)
2014/11/12(Wed) 09:24 | URL | クワトロ | 【編集
Re:糖質制限は体に良いのか
江部先生 おはようございます。

上記のブログですが、現代の医師ならではの目線、視点での意見なのかなと思いました。

能登論文を大いに肯定はしないが否定はしないというスタンスに感じましたが、
質の低い研究は重み付けが低いといっても、糖質制限と呼べないレベルのものもあるわけで、さらに最新のものも含めて考えれば分かるはずですが。。。

そして氏は糖質制限で体重が増加した。だから誰でも痩せる分けではないと主張しているわけですが、確かに夏井先生の本はインパクト重視であり誤解される表現もありますが、一般的には糖質制限で理想体重に落ち着く分けで、元々「BMIが20~21、体脂肪率が6%台」の細マッチョな体質で、食は「総量は少ない」細めで、かつ「おかず食いで御飯をあまり食べない方」とローカーボな食生活とのことですので、そもそもダイエット効果(一般的な余分な体脂肪を減らす)は期待できない状態なわけで、それをことさら強調すべきことでもないと思いますが…(氏が痩せる、体重を減少させるには、筋肉を落とす以外にないのでは?)。

しかし、「おかず食いで御飯をあまり食べない方」と言いながら、「昼ご飯は仕事をしながら片手でオニギリ」というのは矛盾してませんか!?

また彼は「短距離型の仕事」とおっしゃいますが、自分も若い頃は同レベルな強度でありましたし、1食おにぎりだけとか良くありましたし、その当時のツケが今になって表れている分けで、自分にフィットしているかが大事という結論には、まあ何とも…

しかしながら、糖質制限で筋肉量が増えたというのは、医師の3割が否定の根拠としている「肝臓での糖新生を亢進させ、筋肉量を減少させる」は正しくないということを証明しており、嬉しい限りですね。
2014/11/12(Wed) 12:08 | URL | 福助 | 【編集
Re: 長文で申し訳ありません!
てぃ さん

蛋白尿陽性でも、血液検査で腎機能が正常なら、
糖質制限食実践OKです。
詳しくは記事に書きますので・・・。
2014/11/12(Wed) 12:44 | URL | ドクター江部 | 【編集
ブランパンは、糖尿人の味方
はじめまして。50代男性です。
5月の健康診断で、空腹時血糖値267、HbA1c13.6という数字を叩き出しましてこりゃいかんと、本格的に治療せねばと考えていたところ、先生の本に巡り会えました。すぐさま、スーパー制限食開始。10月の検査で、(糖質制限3ヶ月)空腹時血糖値126、HbA1c7.5まで、劇的に改善。医者も驚いていました。
12月に再度検査の予定ですので、結果をまたご報告させていただきます。
本当に、命を助けていただいてありがとうございました。あのままだったらどうなっていたかと思うとぞっとしてします。
ちなみに昼食は、外食ですので、ローソンのブランパンには、毎日お世話になっております。糖尿人にとっては、とても助かっています。
2014/11/12(Wed) 13:36 | URL | そのやん | 【編集
Re: Re:糖質制限は体に良いのか
福助 さん

そうですね。

岩田健太郎先生、
筋肉量が増えたというのは素晴らしいことと私も思いました。

良心的医師のニュートラルな立場の意見としてとらえて
今回の記事にしてみました。

まあ、能登論文は、能登氏自身が日経メディカルオンラインで述べているように、
「科学的根拠に基づく糖尿病診療ガイドライン2013」のエビデンス水準の3に相当です。

レベル1+
レベル1
レベル2
レベル3
レベル4

つまり本来エビデンスとして引用に値する論文は、レベル2までですので、
レベル3の能登論文は、エビデンスとして引用するには、水準に達していないということですね。
2014/11/12(Wed) 13:45 | URL | ドクター江部 | 【編集
Re: ブランパンは、糖尿人の味方
そのやん

拙著のご購入ありがとうございます。

3ヶ月で医者も驚く劇的改善、素晴らしいです。
2014/11/12(Wed) 20:59 | URL | ドクター江部 | 【編集
江部先生こんにちは
4年ほど前にアメリカでの糖尿食事情についてコメントした者です。
以来、糖質を抑えながらHbA1cは5.2-5.8キープできております。

この数年の間に米国では糖質制限が更に身近な存在になりました。
DiabeteがなくともLow-carboが有効なダイエット法として一般人に定着してきたことで外食がとても楽になりました。
たいていの料理は一般人と変わらず、パンやポテト類の代わりに満腹感はレタス、
カロリーはナッツで満たすようなメニューです。

都市部の医師も肥満でない患者には糖質を抑える食事を積極的に勧めるようになりました。
肥満型患者には先ずカロリー制限で減量を急ぎ、のちに糖質を抑えるよう指導されます。
私のクリニックでは共通して総カロリー、糖質量、ナトリウム量をカウントしながら下記4ポイントを留意するよう指導されます。
1、パン、パスタ、米、ポテト類は控えめにして、肉野菜などの後に食べるように

2、主食を減らすと塩分が多くなりがちなのでドレシング、スープ、ソースの類を控えめに

3、人工甘味料の安全性が定かでないのでSuger free飲料や菓子類もストレスにならない程度に控える

4、酒はビールと甘いカクテル以外はOK

私を含む無投薬で血糖コントロールできている患者は
血糖値測定器と同じ要領でHbA1cを計るA1C nowという使い捨て測定器で
自宅で毎月A1cを計りながら、診察はカウンセリングと食事指導のみで
病院通いもストレスでなくなりました。

医師曰く、糖質制限はどの薬よりも糖尿に効果的で、副作用もなく医療費削減になると、
江部先生が何年もおっしゃっている話がこちらでは一般的になりました。
日本では投薬に頼る治療がまだまだ主流だと聞きますが、
いずれ糖質過多の有害性に目を向けられるようになると願います。
2014/11/15(Sat) 22:16 | URL | 米国在住 | 【編集
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