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<糖質制限食に関するご注意・お知らせ・お願いなど> 2014年10月

【糖質制限食を実践される時のご注意】

本にも書いてありますが、 糖質制限食によりリアルタイムに血糖値が改善します。

このため既に、経口血糖降下剤(オイグルコン、アマリールなど)の内服やインスリン注射をしておられる糖尿人は、低血糖の心配がありますので必ず主治医と相談して頂きたいと思います。

一方、薬を使用してない糖尿人やメタボ人は、低血糖の心配はほとんどないので、自力で 糖質制限食を実践して糖尿病やメタボ改善を目指していただけば幸いです。

内服薬やインスリン注射なしの糖尿人が糖質制限食を実践すると、食後高血糖は改善しますが、低血糖にはなりません。

血糖値が正常範囲であるていど下がると、肝臓でアミノ酸・乳酸・グリセロール(脂肪の分解物)などから、ブドウ糖をつくるからです。

これを糖新生といいます。

血液検査で、活動性の膵炎がある場合、肝硬変の場合、そして長鎖脂肪酸代謝異常症は、糖質制限食は適応となりませんのでご注意ください。

糖質制限食は相対的に高脂肪食になるので、活動性膵炎には適応とならないのです。

肝硬変では、糖新生能力が低下しているため適応となりません。

長鎖脂肪酸代謝異常症では、脂肪酸が上手く利用できないので、適応となりません。

腎機能に関して、日本腎臓病学会編「CKD診療ガイド2012」において、eGFR60ml/分以上あれば顕性たんぱく尿の段階でも、たんぱく質制限の必要なしと明示され、日本糖尿病学会も2013年3月の提言で、それに従うとしました。

従いまして、糖尿病腎症第3期でも、eGFR60ml/分以上なら、糖質制限食OKです。

また、米国糖尿病学会(ADA)は

Position Statement on Nutrition Therapy(栄養療法に関する声明)
Diabetes Care 2013年10月9日オンライン版

において、糖尿病腎症患者に対する蛋白質制限の意義を明確に否定しました。

根拠はランク(A)ですので、信頼度の高いRCT研究論文に基づく見解です。

今後は、糖尿病腎症第3期以降で、eGFRが60ml/分未満の場合も、患者さんとよく相談して、
糖質制限食を実践するか否か、個別に対応することとなります。


なお、機能性低血糖症の場合、炭水化物依存症レベルが重症のとき、糖新生能力が低下していることがあり、
まれに低血糖症を生じますので注意が必要です。

また、どのような食事療法でも合う合わないがあります。

糖質制限食もその一つですので、合わないとご自分で判断されたら中止していただけば幸いです。



【糖質制限食とは】


米国糖尿病協会(ADA)の患者教育用のテキストブックLife With Diabetesによれば、食べ物が消化・吸収されたあと、糖質は100%血糖に変わりますが、タンパク質・脂質は血糖に変わりません。

また糖質は、摂取直後から急峻に血糖値を高く速く上昇させ、2時間以内にほとんどすべてが吸収されます。

これらは含有エネルギーとは無関係な三大栄養素の生理学的特質です。 

1997年版のLife With Diabetes(ADA刊行)では、

「タンパク質は約半分が血糖に変わり、脂質は10%未満が血糖に変わる」

という記載がありましたが、2004年版以降は変更されています。

このように糖質、脂質、タンパク質のうち糖質だけが血糖値を上昇させます。

従って、糖質を摂取した時にはインスリンが大量に追加分泌されます。

脂質を摂取しても、インスリンの追加分泌はありません。

タンパク質はごく少量のインスリンを追加分泌させます。

現在糖尿病において、食後の急激な高血糖(グルコーススパイク)が大きな問題として注目されています。

食後高血糖が、心筋梗塞や脳梗塞などの合併症を起こす危険因子として確立されたからです。

また一日における、食前・食後・空腹時など血糖値の変動幅(平均血糖変動幅)が大きいほど、酸化ストレスが増強し動脈硬化のリスクとなることがわかってきました。

そして、食後高血糖と平均血糖変動幅増大を起こすのは、三大栄養素のなかで糖質だけなのです。

1gの糖質が、体重64kgの2型糖尿病の人の血糖値を約3mg上昇させます。

炊いた白ご飯茶碗1杯150g(252kcal)には、55.3gの糖質が含まれており、血糖値を166mg上昇させます。

一方、牛サーロインステーキを200g(約1000キロカロリー)食べても、糖質含有量は1gもないので、食後血糖は3mg未満の上昇しかないのです。 

なお、1gの糖質が体重64kgの1型糖尿病の人の血糖値を5mg上昇させます。

糖質制限食の基本的な考え方は、上述のような生理学的事実をベースに、できるだけ糖質の摂取を低く抑えて、食後高血糖を防ぐというものです。

簡単に言えば、主食を抜いておかずばかり食べるというイメージになります。

抜く必要がある主食とは米飯・めん類・パンなどの米・麦製品や芋類など糖質が主成分のものです。

3食主食抜きのスーパー糖質制限食(糖質12%、タンパク質32%、脂質56%)なら、薬に頼ることなく速やかにリアルタイムで良好な血糖コントロールが可能です。

一方、上述の白ご飯とステーキの例でも明らかなように、カロリー計算に基づいて血糖値をコントロールすることは理論的に不可能です。

従って、現行の日本糖尿病学会推薦の糖尿病食(糖質60%、タンパク質20%、脂質20%)を実践する限りは、一日の摂取カロリーを1200キロカロリーと低く抑えたとしても、食後高血糖が必ず生じるのです。

糖尿病の改善には、カロリー制限より糖質制限ということがおわかりいただけたと思います。

なお糖質制限食は、カロリー無制限ということではありません。

日本糖尿病学会「食品交換表」の

男性1400~1800kcal
女性1200~1600kcal

ほど厳しいカロリー制限は必要ありませんが、

国立健康・栄養研究所の
「日本人の食事摂取基準」(2010年、厚生労働省)
への解説に示す推定エネルギー必要量の範囲、

すなわち18才以上の成人で身体活動レベルが普通なら

男性:2200~2650キロカロリー 
女性:1700~1950キロカロリー

身体活動レベルが低い人は

男性:1850~2250キロカロリー  
女性:1450~1700キロカロリー

くらいが目安です。

なお、米国糖尿病学会は、2013年10月発表の『栄養療法に関する声明』において全ての糖尿病患者に適した唯一無二の治療食は存在しないと明記しました。

これはそのまま、日本糖尿病学会への痛烈な批判となっています。

そして、地中海食、ベジタリアン食、DASH食、低脂質食などと共に
「糖質制限食」
も正式に受容しました。




<江部康二著 参考図書>

理論
「主食を抜けば糖尿病は良くなる!糖質制限食のすすめ」2005年
「主食を抜けば糖尿病は良くなる!実践編」2008年
「我ら糖尿人、元気なのには理由がある。」2009年 宮本輝先生との対談本
「やせる食べ方」2010年
「うちの母は糖尿人」2010年 監修:江部康二 著:伊藤きのと
(東洋経済新報社)
「糖尿病がどんどんよくなる糖質制限食」2010年(ナツメ社)
腹いっぱい食べて楽々痩せる『満腹ダイエット』 (ソフトバンク新書) 2011年
「主食をやめると健康になる」(ダイヤモンド社)2011年
「血糖コントロールの新常識! 糖質制限 完全ガイド」 (別冊宝島)2012年
「食品別糖質量ハンドブック」2012年(洋泉社)、
「糖質オフ!健康法」(PHP文庫)2012年
「主食を抜けば糖尿病はよくなる!糖質制限食のすすめ」(文春文庫)2012年
「主食を抜けば糖尿病は良くなる!実践編」(文春文庫)2012年
「女性のための糖質制限ダイエットハンドブック」2013年(洋泉社)
「糖尿病治療のための!糖質制限食パーフェクトガイド」2013年(東洋経済新報社)
「医療の巨大転換を加速する」糖質制限食と湿潤療法のインパクト
 2013年(東洋経済新報社) 夏井睦先生との対談本
「主食を抜けば糖尿病は良くなる!糖質制限食のすすめ 新版」2014年(東洋経済新報社)
「主食を抜けば糖尿病は良くなる!2 実践編 新版」2014年(東洋経済新報社)
「炭水化物の食べ過ぎで早死にしてはいけません」2014年(東洋経済新報社)

レシピ
「糖尿病が良くなるごちそうレシピ」2006年(東洋経済新報社)
「糖質オフ」ごちそうごはん2009年(アスペクト)
dancyuプレジデントムック 「満腹ダイエット 」 2009年(プレジデント社)
「血糖値を上げない!健康おつまみ109」2010年(東洋経済新報社)
「やせる食べ方レシピ集」 2010年(東洋経済新報社)
「糖質オフダイエット 」2011年(レタスクラブ、角川マーケティング)
「誰もがストレスなくやせられる!糖質制限ダイエット」 2011年(講談社)
「主食を抜けば糖尿病はよくなる」レシピ集2011年(東洋経済新報社)
高雄病院の「糖質制限」給食2012年(講談社)
糖尿病がどんどんよくなる「糖質制限食」おすすめレシピ集2012年(ナツメ社)
糖質制限の「主食もどき」レシピ2013年(東洋経済新報社)
高雄病院Dr江部が食べている「糖質制限」ダイエット2013年(講談社)
糖質オフのダイエット弁当2013年(家の光協会)
高雄病院「糖質制限給食」朝 昼 夕 14日間完全プログラム
糖尿病・肥満改善が自宅でできる! 2013年(講談社)
2週間チャレンジ! 糖質制限の太らない生活 2014年(洋泉社mook)

DVD「糖質制限食を語る」http://www.yaserutabekata.com/shop/dvd.php 2011年



【本ブログのコメント・質問・記事に関するお願い】


ブログ読者の皆さんには、いつもコメントいただき、ありがとうございます。

糖質制限食に関する質問についてですが、実際に高雄病院や江部診療所に来院されて診察した患者さんに対しては、医師としての責任・債務がありますので、個別に説明もしっかりさせて頂いていますし、フォローもしております。

一方、ブログ読者の皆さんの質問に関しては、糖質制限食に詳しい医師として、ボランティアで回答させていただいています。

診察もしておりませんしフォローもできませんので、責任もとれません。

私の回答は、あくまでも一般論としての参考意見とお考え頂けば幸いです。

また、ブログ記事や本に関しても同様に、糖質制限食に関する一般論としての参考意見とお考え下さい。

従いまして、読者の皆さんが私の参考意見を読まれて、どのように利用されるかは、自己責任でよろしくお願い申し上げます。m(_ _)m

そして読者の皆さんからもご意見いただきましたが、普通のお医者さんに相談可能な個人的な内容の質問は、ご自分の主治医にご相談頂けば助かります。

またネットで簡単に検索可能なことは、ご自分でお調べください。


質問が増えてきましたので、糖質制限食と関わりがないと判断した質問にはお答えできない場合もありますので、ご了承ください。m(_ _)m

普通のお医者さんでは解答不能の、糖質制限食に関わる質問は、何でもどんどんしていただけば嬉しいです。 (^_^)

掲載OKの質問に関して、読者の皆さんに共有していただきたい情報の場合は、ブログ本文記事にて、できるだけ順番にお答えしたいと思います。

質問によってはコメント欄でお早めにお答えする場合もありますのでご了承ください。

一方、質問がかなり増えてきていますので、なかなか即、お答えすることが困難となってきています。

糖質制限食に関わりのある全ての質問に、本文かコメントでお答えするようできるだけ努力はしていますが、できないときはご容赦願います。m(_ _)m

それから、「管理人のみ閲覧できる」「匿名希望」などの質問に関しては、コメント欄にお答えするか、一般的な話題に置き換えてブログに記載するようにしていますので、よろしくお願い申し上げます。



江部康二
テーマ:糖質制限食
ジャンル:ヘルス・ダイエット
コメント
こんばんは
今日、横浜でお話を聞かせていただきました。
ありがとうございました。

私は46歳の女性です。
LDLが高く脂質異常症と診断され、四年前から薬(リピトール)を飲んでLDLは70~80です。
ですが体が痛くて主治医の先生に相談しても筋肉が溶ける?
数値が出ていないから、大丈夫。
と言われ・・・
でも痛いから薬を止めてみたい、糖質制限をして体質改善をしたい!とお願いしたけれど、「今の日本の医学は予防医学なの、だからあなたの様にLDLが高い人は一生飲んで生活しないとね、国が定めたことなの!」と言われました。
でも、痛みに耐えて暮らしたくないので、9月から勝手に薬を止めて、江部先生と夏井先生の本を読み、自分で糖質制限を始めています。
体調はとってもいいです。
このまま薬を飲まない生活で過ごしたいのですが、やはり不安もあります。
横浜で糖質制限を認めてくださるお医者様が知りたいのですが・・・
宜しくお願いします。
2014/10/18(Sat) 23:59 | URL | 川端 | 【編集
こんにちは
宮崎から高雄病院に入院させて頂き、1ヶ月間先生にお世話になり、16日に退院したNの娘です。
この度は母が大変お世話になりました。先生にご報告させて頂きたいことがあり、取り急ぎコメント欄に書かせてもらいました。

一昨日、こちらで今迄母を診て下さっていた医師の所に江部先生の紹介状を持って行って参りました。
糖質制限によってインシュリンの単位が減ったことや、そちらでいろいろな検査をして頂いて問題がなかったことに対して「良かったね」と言って下さり、インシュリンも次回からトレシーバを処方してもらえるようです。
諸手を挙げて糖質制限に賛成という感じではありませんでしたが^^;糖質制限を続けることを受容して下さり、これからも穏やかに経過を見守って下さるご様子だったので、母共々ほっとひと安心したところです。
ご多忙にもかかわらず、丁寧な紹介状を書いて頂きありがとうございました。

まだ退院して数日ですが、母は糖質制限を頑張っております。
母が無理なく続けていけるように、私も(最近、自分へのご褒美と称して甘いものを食べる回数が多くなりがちですが^^;)母と楽しんで糖質制限を続けていけるようにしようと、思いを新たにしております。

今後ともどうぞよろしくお願い致します。
2014/10/19(Sun) 08:13 | URL | 縞々猫 | 【編集
News
デタラメ治療の結果 糖尿病で年間3000人以上が失明、足切断

www.news-postseven.com/archives/20141019_280810.html
2014/10/19(Sun) 14:44 | URL | 精神科医師A | 【編集
Re: タイトルなし
縞々猫 さん

それは良かったですね。
主治医の先生が、ニュートラルな姿勢で私も安心しました。
宮崎県での確かな一歩と思います。
2014/10/19(Sun) 18:07 | URL | ドクター江部 | 【編集
Re: News
精神科医師A さん

情報を
ありがとうございます。

江部康二へのインタビューが記事になって
雑誌 SAPIO2014年11月号 に掲載されたものですね。
2014/10/19(Sun) 18:26 | URL | ドクター江部 | 【編集
カロリー制限と糖質制限の比較:私の場合
最初のコメントの方に関連してコメント致します。
データ等全部をコメントに入れると長くなりますので、
リンクを貼るご無礼お許しください。
決して自ブログの宣伝ではございません。
私自身、20代の頃から、
油断するとすぐコレステロールが上がる、
という歴史を繰り返してきました。
親も高コレステロール血症で薬を飲んでおり、
そういう物だと思っておりました。
自分は薬を飲まなくて済むようにと、
カロリー制限でコレステロールをコントロールしようとしていた頃は、
かなり厳しく制限しないとLDLコレステロールが下がりませんでした。
ところが、今回糖質制限を行って、
こんなにたらふく卵やらお肉やら油物やら食べていたら、
コレステロールはあがっているに違い無いと思っていました。
意に反して、リンクに提示のデータの通りで上がっておりませんでした。
そして、カロリー制限の頃より、とても楽です。
糖質(によって分泌されるインシュリン)が諸悪の根源と、
納得致しました。
2014/10/19(Sun) 21:22 | URL | ミリエ | 【編集
Re: カロリー制限と糖質制限の比較:私の場合
ミリエ さん

良かったですね。

スーパー糖質制限食なら、半年~1~2~3年とか継続していると
コレステロールも含めて、全ての検査データが基準値になってきます。

スーパー糖質制限食は人類本来の食事、人類の健康食なので
全身の血流代謝が改善してそうなるのだと思います。
2014/10/20(Mon) 18:54 | URL | ドクター江部 | 【編集
糖質制限の効果がない人はどんな人
始めまして
スーパー糖質制限を開始して、やく7か月経過します。
ご飯、パン、麺類は一切食べず
肉、魚、野菜、豆腐類と
かなりがんばっているつもりですが、
A1cや空腹時血糖値は、悪化はしないものの
たいして変わりません。
Aicは開始から今まで、6.3前後
空腹時血糖値は、130~160
昼にサバ缶だけ食べて
夕方6時の血糖値がこの値です。
当初は、A1cが5.5ぐらい
血糖値が80ぐらいになると思っていました。
なぜでしょうか?
補足 渋い赤ワインは飲んでいます。
薬は、低血糖になると飲むのをやめたり
今日は、ちと糖質がやばいと思えば飲んだりとしています。
2014/10/21(Tue) 20:26 | URL | shina | 【編集
危険行為でしょうか?
江部先生はじめまして。
不躾な質問失礼致します。
糖尿病治療開始して、間もなく1年の食べる事が大好きな糖尿人(43歳/男性)
です。

私のここ3ヶ月の食事パターンですが、平日(月〜金)は概ねスーパー糖質制限を実践しておりますが、週末(土日)は外食等で炭水化物を気の済むまで食べてしまいます。
逆に言うと、週末の食事を楽しみに平日の糖質制限を頑張れているといった感じです。

月一の血液検査は良くも悪くもならず、HbA1c6.0の横ばいです。

本題です。
週末限定とはいえ、暴飲暴食は直ちに止めないと、将来取り返しのつかない事になる様な行為でしょうか?

それとも、月一の検査結果に悪化が見られなければ、問題無し程度と考えて良いものでしょうか?

アドバイス頂けましたら幸いです。
2014/10/22(Wed) 23:22 | URL | gorilla | 【編集
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