2014年10月14日 (火)
こんにちは。
人体のエネルギー源として
A)脂肪酸-ケトン体エネルギーシステム
B)ブドウ糖-グリコーゲンエネルギーシステム
があります。
ほとんどの細胞が、A)B)をエネルギー源として使用しています。
A)B)以外の例外のエネルギー源として、グルタミンと短鎖脂肪酸(*)があります。
C)グルタミン
D)短鎖脂肪酸
小腸はグルタミンが主たるエネルギー源です。
グルタミンが50~60%、ケトン体が15~20%、ブドウ糖は5~7%とごく少ないです。
グルタミンは血中に最も多く含まれている遊離アミノ酸です。
大腸は、短鎖脂肪酸しか、エネルギー源として使いません。
大腸は腸内細菌が、食物繊維を分解して作った短鎖脂肪酸をエネルギー源として利用しているのです。
さて、A)B)がエネルギー源となっているほとんどの細胞について整理してみます。
キーワードは、ミトコンドリアと血液脳関門(**)です。
ミトコンドリアは細胞内にあるエネルギー生産装置です。
ミトコンドリアがあると、TCAサイクルを回して、脂肪酸やケトン体をエネルギー源として利用することができるのです。
血液脳関門は、脳細胞の毛細血管にあり、脳細胞を物理的かつ化学的に守っています。
1)赤血球
ミトコンドリアを持っていないので、「ブドウ糖」しかエネルギー源として利用できません。
人体でミトコンドリアを持っていないのは、赤血球だけです。
2)脳
脳はミトコンドリアを持っているのですが、血液脳関門のため、脂肪酸は大きいので通過できません。
従って、「ブドウ糖+ケトン体」をエネルギー源として、利用します。
3)筋肉・内臓・脂肪など、ほとんどの体組織
ミトコンドリアを細胞内に有し、血液脳関門もないので、
「ブドウ糖+ケトン体+脂肪酸」をエネルギー源として 利用します。
4)肝臓
肝細胞のなかで、ケトン体が生成されますが、肝細胞自らはケトン体を利用せず、
血中に送り込んで他の 組織に供給します。
従って肝細胞は 「ブドウ糖+脂肪酸」をエネルギー源として利用します。
小腸がグルタミンを主たるエネルギー源にしているのは、消化吸収したとき、ブドウ糖や脂肪酸などは他の臓器に供給するためと思われます。
これは、最も効率のよいエネルギー源であるケトン体を、自らは使用せずに他の臓器に供給する肝臓と同じことと思います。
人体の臓器や細胞のエネルギー源、かなり整理整頓できたと思います。 (^^)
本日の記事は、高雄病院の川村力医師とのディスカッションがおおいに参考になりました。
とくに小腸とグルタミンに関して、川村医師に、謝謝です。 m(_ _)m
そして、清水健一郎先生の2冊のご著書がとても参考になりました。
清水先生、ありがとうございます。m(_ _)mV
医療関係者の方々で、とくにNSTチームに所属しておられたら、清水先生の以下の2冊のご著書は、必読と思います。
治療に活かす!
栄養療法 はじめの一歩
清水健一郎 著
羊土社 2011年2月
モヤモヤ解消! 栄養療法にもっと強くなる
〜病状に合わせて効果的に続けるためのおいしい話
清水 健一郎 著
羊土社 2014年3月
江部康二
(*)
短鎖脂肪酸
ウィキペディア
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%9F%AD%E9%8E%96%E8%84%82%E8%82%AA%E9%85%B8
短鎖脂肪酸(たんさしぼうさん、英: SCFA)は脂肪酸の一部で、炭素数6以下のものを指す。具体的には酢酸、プロピオン酸、イソ酪酸、酪酸、イソ吉草酸、吉草酸、カプロン酸、乳酸、コハク酸を指す。
反芻動物における役割
摂取した飼料が反芻胃内で微生物の発酵を受ける反芻動物においては、この発酵の際に生じる短鎖脂肪酸(主に酢酸、プロピオン酸、酪酸)が主なエネルギー源となる。 反すう胃内で生成した酪酸の多くは反すう胃粘膜でβ-ヒドロキシ酪酸に換されるため、肝門脈に現れるのはおよそ10分の1となる。このとき生成されるβ–ヒドロキシ酪酸も反すう家畜にとってはエネルギー源となる。 また、プロピオン酸の多くは肝臓で糖新生に利用され、反芻動物の糖要求の多くはプロピオン酸からの糖新生によってまかなわれる。
(**)
血液脳関門
ウィキペディア
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%A1%80%E6%B6%B2%E8%84%B3%E9%96%A2%E9%96%80
<血液脳関門>
血液脳関門(けつえきのうかんもん、英語: blood-brain barrier, BBB)とは、血液と脳(そして脊髄を含む中枢神経系)の組織液との間の物質交換を制限する機構である。これは実質的に「血液と脳脊髄液との間の物質交換を制限する機構」=血液髄液関門 (blood-CSF barrier) でもあることになる。ただし、血液脳関門は脳室周囲器官(松果体、脳下垂体、最後野など)には存在しない。これは、これらの組織が分泌するホルモンなどの物質を全身に運ぶ必要があるためである。
<構造>
血液脳関門は、毛細血管の内皮細胞の間隔が極めて狭いことによる物理的な障壁であるが、これに加え、中枢神経組織の毛細血管内皮細胞自体が有する特殊な生理的機能、すなわち、グルコースをはじめとする必須内因性物質の取り込みと異物を排出する積極的なメカニズムが関与している。脂肪酸は脳関門を通れないため、脳は通常、脳関門を通過できるグルコースをエネルギー源としている[1]。グルコースが枯渇した場合、アセチルCoAから生成されたケトン体も脳関門を通過でき[2]、脳関門通過後に再度アセチルCoAに戻されて脳細胞のミトコンドリアのTCAサイクルでエネルギーとして利用される[1]。血液脳関門の働きにより、中枢神経系の生化学的な恒常性は極めて高度に維持されている。
その一方で、アルコール、カフェイン、ニコチン、抗うつ薬は、脳内へ通過できる[3]。かつては分子量500を超える分子(多くの蛋白質など)や、脂溶性が低い荷電したイオンは脂質二重膜を透過できず、血液循環から中枢神経系の中に入ることができないとされていた(分子量閾値説)が[4]、近年の研究により、脳毛細血管内皮細胞の細胞膜に存在するタンパク質が、脳内から血管へ物質を積極的に排出していることが明らかにされている[5]。
こうした毛細血管内皮細胞の機能はリンパ球やマクロファージや神経膠細胞から放出されるサイトカインによってコントロールされ得る。このため、脳炎や髄膜炎のときは血液脳関門の機能は低下する。また、膿瘍その他の感染巣形成や腫瘍といった、よりマクロなレベルの破壊を起こす疾患の存在によっても、血液脳関門は破綻する。
人体のエネルギー源として
A)脂肪酸-ケトン体エネルギーシステム
B)ブドウ糖-グリコーゲンエネルギーシステム
があります。
ほとんどの細胞が、A)B)をエネルギー源として使用しています。
A)B)以外の例外のエネルギー源として、グルタミンと短鎖脂肪酸(*)があります。
C)グルタミン
D)短鎖脂肪酸
小腸はグルタミンが主たるエネルギー源です。
グルタミンが50~60%、ケトン体が15~20%、ブドウ糖は5~7%とごく少ないです。
グルタミンは血中に最も多く含まれている遊離アミノ酸です。
大腸は、短鎖脂肪酸しか、エネルギー源として使いません。
大腸は腸内細菌が、食物繊維を分解して作った短鎖脂肪酸をエネルギー源として利用しているのです。
さて、A)B)がエネルギー源となっているほとんどの細胞について整理してみます。
キーワードは、ミトコンドリアと血液脳関門(**)です。
ミトコンドリアは細胞内にあるエネルギー生産装置です。
ミトコンドリアがあると、TCAサイクルを回して、脂肪酸やケトン体をエネルギー源として利用することができるのです。
血液脳関門は、脳細胞の毛細血管にあり、脳細胞を物理的かつ化学的に守っています。
1)赤血球
ミトコンドリアを持っていないので、「ブドウ糖」しかエネルギー源として利用できません。
人体でミトコンドリアを持っていないのは、赤血球だけです。
2)脳
脳はミトコンドリアを持っているのですが、血液脳関門のため、脂肪酸は大きいので通過できません。
従って、「ブドウ糖+ケトン体」をエネルギー源として、利用します。
3)筋肉・内臓・脂肪など、ほとんどの体組織
ミトコンドリアを細胞内に有し、血液脳関門もないので、
「ブドウ糖+ケトン体+脂肪酸」をエネルギー源として 利用します。
4)肝臓
肝細胞のなかで、ケトン体が生成されますが、肝細胞自らはケトン体を利用せず、
血中に送り込んで他の 組織に供給します。
従って肝細胞は 「ブドウ糖+脂肪酸」をエネルギー源として利用します。
小腸がグルタミンを主たるエネルギー源にしているのは、消化吸収したとき、ブドウ糖や脂肪酸などは他の臓器に供給するためと思われます。
これは、最も効率のよいエネルギー源であるケトン体を、自らは使用せずに他の臓器に供給する肝臓と同じことと思います。
人体の臓器や細胞のエネルギー源、かなり整理整頓できたと思います。 (^^)
本日の記事は、高雄病院の川村力医師とのディスカッションがおおいに参考になりました。
とくに小腸とグルタミンに関して、川村医師に、謝謝です。 m(_ _)m
そして、清水健一郎先生の2冊のご著書がとても参考になりました。
清水先生、ありがとうございます。m(_ _)mV
医療関係者の方々で、とくにNSTチームに所属しておられたら、清水先生の以下の2冊のご著書は、必読と思います。
治療に活かす!
栄養療法 はじめの一歩
清水健一郎 著
羊土社 2011年2月
モヤモヤ解消! 栄養療法にもっと強くなる
〜病状に合わせて効果的に続けるためのおいしい話
清水 健一郎 著
羊土社 2014年3月
江部康二
(*)
短鎖脂肪酸
ウィキペディア
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%9F%AD%E9%8E%96%E8%84%82%E8%82%AA%E9%85%B8
短鎖脂肪酸(たんさしぼうさん、英: SCFA)は脂肪酸の一部で、炭素数6以下のものを指す。具体的には酢酸、プロピオン酸、イソ酪酸、酪酸、イソ吉草酸、吉草酸、カプロン酸、乳酸、コハク酸を指す。
反芻動物における役割
摂取した飼料が反芻胃内で微生物の発酵を受ける反芻動物においては、この発酵の際に生じる短鎖脂肪酸(主に酢酸、プロピオン酸、酪酸)が主なエネルギー源となる。 反すう胃内で生成した酪酸の多くは反すう胃粘膜でβ-ヒドロキシ酪酸に換されるため、肝門脈に現れるのはおよそ10分の1となる。このとき生成されるβ–ヒドロキシ酪酸も反すう家畜にとってはエネルギー源となる。 また、プロピオン酸の多くは肝臓で糖新生に利用され、反芻動物の糖要求の多くはプロピオン酸からの糖新生によってまかなわれる。
(**)
血液脳関門
ウィキペディア
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%A1%80%E6%B6%B2%E8%84%B3%E9%96%A2%E9%96%80
<血液脳関門>
血液脳関門(けつえきのうかんもん、英語: blood-brain barrier, BBB)とは、血液と脳(そして脊髄を含む中枢神経系)の組織液との間の物質交換を制限する機構である。これは実質的に「血液と脳脊髄液との間の物質交換を制限する機構」=血液髄液関門 (blood-CSF barrier) でもあることになる。ただし、血液脳関門は脳室周囲器官(松果体、脳下垂体、最後野など)には存在しない。これは、これらの組織が分泌するホルモンなどの物質を全身に運ぶ必要があるためである。
<構造>
血液脳関門は、毛細血管の内皮細胞の間隔が極めて狭いことによる物理的な障壁であるが、これに加え、中枢神経組織の毛細血管内皮細胞自体が有する特殊な生理的機能、すなわち、グルコースをはじめとする必須内因性物質の取り込みと異物を排出する積極的なメカニズムが関与している。脂肪酸は脳関門を通れないため、脳は通常、脳関門を通過できるグルコースをエネルギー源としている[1]。グルコースが枯渇した場合、アセチルCoAから生成されたケトン体も脳関門を通過でき[2]、脳関門通過後に再度アセチルCoAに戻されて脳細胞のミトコンドリアのTCAサイクルでエネルギーとして利用される[1]。血液脳関門の働きにより、中枢神経系の生化学的な恒常性は極めて高度に維持されている。
その一方で、アルコール、カフェイン、ニコチン、抗うつ薬は、脳内へ通過できる[3]。かつては分子量500を超える分子(多くの蛋白質など)や、脂溶性が低い荷電したイオンは脂質二重膜を透過できず、血液循環から中枢神経系の中に入ることができないとされていた(分子量閾値説)が[4]、近年の研究により、脳毛細血管内皮細胞の細胞膜に存在するタンパク質が、脳内から血管へ物質を積極的に排出していることが明らかにされている[5]。
こうした毛細血管内皮細胞の機能はリンパ球やマクロファージや神経膠細胞から放出されるサイトカインによってコントロールされ得る。このため、脳炎や髄膜炎のときは血液脳関門の機能は低下する。また、膿瘍その他の感染巣形成や腫瘍といった、よりマクロなレベルの破壊を起こす疾患の存在によっても、血液脳関門は破綻する。
| ホーム |