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果糖と血糖値と中性脂肪。ドカベンさんに合掌。
【14/09/27 ジャイアントキリング

無題
ためしてガッテンで、「果糖」は、血糖値を挙げないそうです。
はっきり言ってました!!

ドカベンがお亡くなりになりました。
糖尿病の合併症で人工透析をしているのはしていましたが。
52歳。
糖尿病の恐ろしさを改めて感じました。
合掌。】



ジャイアントキリングさん。
コメントありがとうございます。

ドカベンさん、残念でした。

私自身も、父親は糖尿病が原因で77才で足を切断して、80才で心筋梗塞、肺炎で永眠しました。
2001年12月のことでした。

私が、糖質制限食に取り組む以前の段階で、糖尿病合併症のオンパレードで、逝ったわけで、とても残念なことでした。

さて、果糖ですが、仰る通り、血糖値は、少ししかあげません。

しかし、ブドウ糖よりも中性脂肪に変わりやすいので、大変肥満しやすいです。

果糖は実に面白い性質をもっていますので、少し詳しく検討してみましょう。

まず、果糖は、ブドウ糖とは代謝経路が全く異なっています。

そして、果糖のGI(血糖上昇指数)は20くらいと低いです。
低いけれど、GIが20あるということは、
それくらいは血糖を上げるということです。


果糖の代謝経路は特殊で、10%がブドウ糖に変換され吸収されますが、残りの90%は、果糖のまま吸収され、肝臓でそのまま直接代謝されます。

ですから、果糖は血糖値をほとんど上昇させず、インスリンの分泌もほとんど促しません。

つまり、果糖のGI値が低いのは、果糖が「ブドウ糖として」利用されるのはごく一部であるからであり、
果糖の吸収速度が遅いからGI値が低いというわけではありません。

消化吸収されて肝門脈に流れ込んだ果糖は肝臓で、ブドウ糖より速く解糖作用をうけます。

これは、ブドウ糖が解糖系に入って代謝されていく時には、ホスホフルクトキナーゼという酵素が必要なのですが、
果糖はこの段階をバイパスして、速やかに解糖系に入って代謝されるからです。

肝臓に取り込まれたブドウ糖、果糖は解糖系、TCAサイクルを経てATP産生に消費され、余分なものは、グリコーゲン、中性脂肪に変換されます。

肝臓のグリコーゲン蓄積には限りがあるので、ブドウ糖より速やかに代謝された果糖の代謝産物により、脂肪酸合成が促進され、中性脂肪の合成が亢進し、高中性脂肪血症となります。

血糖値の上昇をみるGI値では「ブドウ糖>砂糖>果糖」ですが、中性脂肪値の上昇速度は、「果糖>砂糖>ブドウ糖」となります。

ですから、果糖は、ブドウ糖に比べれば血糖値は少ししか上昇させませんが、
中性脂肪合成を促進させ、太りやすい性質をもっています。

果物の糖質の主成分は果糖ですので、血糖値はパンや米など穀物より上昇させにくいですが、
中性脂肪に変わるという意味では多く摂ればやはり太ると思います。
また果物には、果糖以外にブドウ糖やショ糖も含まれているのでその分はしっかり血糖を上げます。

農耕以前の人類は、来るべき冬の食糧難に備えて、実りの秋に果物を摂取して、
効率よく中性脂肪を蓄えていたと、考えられます。

果物には、果糖、ブドウ糖、ショ糖などが含まれています。

従って果物を摂取すれば

1)「果糖→中性脂肪」
2)「ブドウ糖→インスリン→中性脂肪」

1)2)の二つのルートで、中性脂肪を蓄えることができて、700万年にわたり、飢餓に対するセーフティーネットとして役だってきたと考えられます。


**
今回のブログは「ハーパー・生化学」
原書27版、上代淑人監訳、丸善株式会社、2007年
などを参考にしました。


江部康二
テーマ:糖質制限食
ジャンル:ヘルス・ダイエット
コメント
肥るはインスリンの分泌が影響と思ってましたが、
果糖などインスリンが出ないけど、肥ると。。。

肥る要因って他にもあるんでしょうか?
カロリー過多で肥ると言っても、カロリー過多によって、どのようなメカニズムで肥るのかなど、わからないことだらけです。

単純に肉1kg食べたから、1kg肥ったとかならわかりやすいのですが。。。
2014/09/27(Sat) 23:32 | URL |  | 【編集
アルツハイマーは3型糖尿病?
 以前、ブログで「コウノメソッド」が取り上げられました。

患者(いやむしろ患者の家族)に寄り添う河野先生の姿勢はすばらしいですね。
・ 糖質制限
・ 湿潤療法
・ コウノメソッド
江部先生、夏井先生に通ずるものを感じます。

 その河野先生が「アルツハイマーは3型糖尿病?」と紹介されてました。
http://www.boston.com/dailydose/2012/10/01/alzheimer-disease-akin-type-diabetes/ONtkkk9J3n69NQBQkX3Z3K/story.html
江部先生のご意見はいかがでしょうか。
2014/09/28(Sun) 02:16 | URL | ライフワーク光野 | 【編集
Re: タイトルなし
体重減少と食事に関しては

2014年05月10日 (土)の本ブログ記事
「糖質制限食と体重。2014年5月。」

をご参照ください。

果糖だけは、例外と考えていただいたほうがいいです。
2014/09/28(Sun) 08:12 | URL | ドクター江部 | 【編集
Re: アルツハイマーは3型糖尿病?
ライフワーク光野 さん

「アルツハイマー病」の脳では、インスリン作用が不足で、
脳細胞がブドウ糖を上手く使えないという説があります。

その意味では、「アルツハイマー病は3型糖尿病」と、とらえる視点があってもよいと思います。

そのような場合でも、脳はケトン体ならエネルギー源として利用できるというのが注目ですね。




2014/09/28(Sun) 08:32 | URL | ドクター江部 | 【編集
果物
こんばんは。
果糖は血糖値をほとんど上げないと仰いますが、江部先生が何らかの果物を100gお召し上がりになった後の血糖値が知りたいです。
ぶしつけで申し訳ありません。
2014/09/29(Mon) 19:44 | URL | annno | 【編集
Re: 果物
annno さん

果糖のGI(血糖上昇指数)は20ですから、それくらいは血糖を上昇させるということです。

また、果物には、「果糖+ブドウ糖+ショ糖」などが含まれていますので
血糖をしっかり上昇させます。
2014/09/29(Mon) 22:33 | URL | ドクター江部 | 【編集
果糖
お返事有り難う御座います。
やはり血糖値は糖質どうりに上昇するのですね。
ほどほどにしておきますね。
2014/09/30(Tue) 19:17 | URL | annno | 【編集
こんにちは 漫画で読んで糖質制限を始めた者です。一か月目で体重が5kg減り、病院での検査でも血糖値と中性脂肪が激減していました!糖分を取っていないので血糖値減少は解かるけど、毎日ステーキを食べウィスキーを飲み、夜食にチーズとアーモンドを食べていたのになぜ中性脂肪が減るんでしょう? すっごく嬉しいです♡これからも続けます!
2014/11/04(Tue) 21:19 | URL | はむいち | 【編集
はじめまして
江部先生、はじめまして。8月末の血液検査で空腹時血糖値128、HbA1c7,6の結果が出て、どうしようか?とネットで調べましたところ、先生のブログと本を知り、早速購入して、スーパー糖質制限食をはじめました。10月末の検査では、空腹時血糖値83、HbA1c6,6になりました。
先生のブログに投稿していらっしゃる方は、短期間に目覚しい成績をあげていらっしゃる方が多いように思いますが、私もこのまま続けていけば、まだ下がっていく可能性は、ありますでしょうか?
スーパー糖質制限で、気をつける点などもありましたら、アドバイスをいただけないでしょうか?
お忙しいところ、申し訳ありませんが、よろしくお願いいたします。
2014/11/05(Wed) 11:33 | URL | あやにゃん | 【編集
Re: はじめまして
あやにゃん さん

拙著のご購入、ありがとうございます。
血糖値、HbA1cの改善良かったですね。

スーパー糖質制限食なら、あと1ヶ月で、6%以下となると思います。

調味料の糖質とか、できあいの惣菜の糖質とか、
うっかりしがちなので、注意しましょう。
2014/11/05(Wed) 13:10 | URL | ドクター江部 | 【編集
ご回答、有難うございます。
調味料は、糖質制限ドットコムで購入し、外食のときは食品別等質量ハンドブックを参考にしています。
最近では、糖質制限に少しずつ慣れて来て、スイーツも欲しくなくなって来ました。
目標値、6未満を目標に、このまま続けて行こうと思っています。
有難うございました^^。
2014/11/05(Wed) 13:40 | URL | あやにゃん | 【編集
スタミナ切れとBMI、そして質のいいBMI?
江部先生

初めて質問させていただきます。
6月に2型糖尿人で、3泊4日の短期集中コースでお世話になりました栃木の縄文ナースです。

身長161cm
体重47,6kg
BMI18.3

上記で退院し、きめ細かな栄養指導を受けて、
退院後、油脂類の多用とおやつを摂るなど心がけ、
お陰さまで体重が2kg増えました。

しかし、それでも以前と比べ、
3食食べていても、カロリー的に少な目の時には、
すぐにエネルギー不足を感じ、余力がないことを痛感し困っています。

なんちゃってセイゲニストをしていた頃(BMI21前後)は、
12時間以上食事が摂れないような時でも、エネルギー不足を感じることなく動けていました。

安直な方法かもしれませんが、
「農耕以前の人類は食糧難に備えて...」にあるように、
血糖値の許容範囲の中で、果物を多用して中性脂肪として蓄えておくというのも、ひとつでしょうか?

現在の体脂肪率23,4%
内臓脂肪レベル3(標準9,5以下)
47歳のおばさんには、まだまだ健康的に蓄えられる数値と思うのですが.....

それとも、BMIとはそもそも身長と体重で計算されるものなので、
質のいいBMIとそうでないものとあるのでしょうか?

農耕以前のご先祖様よりは、はるかに栄養豊富で脂肪の備蓄も十分と思われるのですが、
このスタミナのなさは、糖質無制限時代を謳歌してきたツケでもあるのかなぁ...とも考えてしまいました。

よろしくお願いいたします。
2015/07/16(Thu) 19:18 | URL | 栃木の縄文ナース | 【編集
Re: スタミナ切れとBMI、そして質のいいBMI?
栃木の縄文ナース さん

2kg、体重が増えて良かったです。

現在の体脂肪率23,4%
内臓脂肪レベル3(標準9,5以下)


これはプロの女性ダンサーのレベルです。
もう少し太った方がいいですね。

スタミナがないならば、まだまだ摂取エネルギー不足と思います。
おそらく女性としては基礎代謝が高いので太りにくいのでしょう。

摂取エネルギーさえ確保していれが、通常糖質制限食でスタミナがつきます。
運動量に応じて
厚生労働省のいう「推定エネルギー必要量」を確保しましょう。

「それとも、BMIとはそもそも身長と体重で計算されるものなので、
質のいいBMIとそうでないものとあるのでしょうか? 」

BMIはかなりアバウトな指標です。
BMIが20でも、内臓脂肪は多い人もいますので、その場合はよくないですね。
2015/07/16(Thu) 19:33 | URL | ドクター江部 | 【編集
果糖について
はじめまして、
この間テレビで果物だけ食べて6年間生活しているという中野瑞樹さんという方の事を放送していました。
血液検査してもらっても痩せすぎという以外に、まったく問題なく健康状態は良好とのこです。
本当に果物以外、水も摂ってないとのこと。
果糖は太らないと言えるのではないかと思うのですが、どうなんでしょうか。果物でもタンパク質の多めのものをなるべく積極的に摂っているとのことでした。
2015/08/26(Wed) 07:16 | URL | 長谷川 | 【編集
Re: 果糖について
長谷川 さん

必須脂肪酸、必須アミノ酸は足りているのかと少し心配ですが、

ビタミン、微量元素、ミネラル、食物繊維はOKそうですね。

果糖は、摂取後、ブドウ糖よりも中性脂肪に変わりやすいことは生理学的事実です。

果物には、蔗糖やブドウ糖も含まれています。

<消費エネルギー>と<摂取エネルギー>が一緒なら、体重は不変です。
<消費エネルギー>のほうが多ければ痩せます。
<摂取エネルギー>のほうが多ければ太ります。
2015/08/26(Wed) 13:45 | URL | ドクター江部 | 【編集
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