2014年09月24日 (水)
【14/09/24 yuguchi
低血糖のこと
私ではなく、母が糖尿病で 最近癌を発症してしまい、 糖質制限のことを調べております。
インスリンによって糖新生が抑制されるというような解説を別のことろで見たのですが。
持続型のインスリンによって、 血糖値が下げられている状態で 糖新生が阻害されていた状態が長く場合、 糖質を制限すると 低血糖にならないのか心配なのですが。
私の理解が間違っているかもしれませんが 糖制限する場合は インスリンの量を、それにあわせて 抑える必要があるのでしょうか?】
こんにちは。
yuguchi さんから、インスリンと糖新生の抑制について、コメント・質問をいただきました。
インスリンの作用には、以下(☆)のものがあり、糖新生の抑制もその一つです。
さて持続型インスリンを打っているということは、基礎分泌インスリンが不足しているということです。
インスリンには、24時間継続して少量出続けている基礎分泌と、糖質を摂取して血糖値が上昇したときに出る追加分泌の2種類があります。
これで解るのは、食物を摂取していないときでも、人体の代謝には、少量のインスリンが必須ということですね。
このインスリンの基礎分泌がなくなったら、人体の代謝全体が崩壊していきます。
つまり、基礎分泌のインスリンなしでは、筋肉など体の主要な組織で、まともにエネルギー代謝が行えません。
(まあ、脳細胞とか赤血球とか特殊な細胞は、インスリンに非依存的にブドウ糖を利用していますが・・・)
例えば「運動をしたらインスリン非依存的に血糖値がさがる」といっても、インスリン基礎分泌が確保されているのが前提のお話です。
もし、基礎インスリンが不足している状態で運動すれば、血糖値はかえって上昇します。
また、肝臓で行っている糖新生も、基礎インスリンが分泌されていなければ制御不能となり、空腹時血糖値が300mgとか400mgとか以上にもなります。
ということで、持続型インスリンを注射して、基礎分泌インスリンを確保し、肝臓が糖新生し過ぎて高血糖にならないように制御しているわけです。
持続型インスリン注射で早朝空腹時血糖値を、90~125mg/dlくらいにして、高血糖にならないようにコントロールするわけです。
従いまして、早朝空腹時血糖値のコントロール良好を保つ量の持続型インスリンを注射して、スーパー糖質制限食をしても低血糖にはならないのでご安心ください。
(☆)
インスリンの作用
インスリンは、グリコーゲン合成・タンパク質合成・脂肪合成など、栄養素の同化を促進し、筋肉、脂肪組織、肝臓に取り込む。
インスリンが作用するのは、主として、筋肉(骨格筋、心筋)、脂肪組織、肝臓である。
1)糖質代謝
*ブドウ糖の筋肉細胞・脂肪細胞内への取り込みを促進させる。
*グリコーゲン合成を促進させる。
*グリコーゲン分解を抑制する。
*肝臓の糖新生を抑制し、ブドウ糖の血中放出を抑制する。
2)タンパク質代謝
*骨格筋に作用してタンパク質合成を促進させる。
*骨格筋に作用してタンパク質の異化を抑制する。
3)脂質代謝
*脂肪の合成を促進する。
*脂肪の分解を抑制する。
江部康二
低血糖のこと
私ではなく、母が糖尿病で 最近癌を発症してしまい、 糖質制限のことを調べております。
インスリンによって糖新生が抑制されるというような解説を別のことろで見たのですが。
持続型のインスリンによって、 血糖値が下げられている状態で 糖新生が阻害されていた状態が長く場合、 糖質を制限すると 低血糖にならないのか心配なのですが。
私の理解が間違っているかもしれませんが 糖制限する場合は インスリンの量を、それにあわせて 抑える必要があるのでしょうか?】
こんにちは。
yuguchi さんから、インスリンと糖新生の抑制について、コメント・質問をいただきました。
インスリンの作用には、以下(☆)のものがあり、糖新生の抑制もその一つです。
さて持続型インスリンを打っているということは、基礎分泌インスリンが不足しているということです。
インスリンには、24時間継続して少量出続けている基礎分泌と、糖質を摂取して血糖値が上昇したときに出る追加分泌の2種類があります。
これで解るのは、食物を摂取していないときでも、人体の代謝には、少量のインスリンが必須ということですね。
このインスリンの基礎分泌がなくなったら、人体の代謝全体が崩壊していきます。
つまり、基礎分泌のインスリンなしでは、筋肉など体の主要な組織で、まともにエネルギー代謝が行えません。
(まあ、脳細胞とか赤血球とか特殊な細胞は、インスリンに非依存的にブドウ糖を利用していますが・・・)
例えば「運動をしたらインスリン非依存的に血糖値がさがる」といっても、インスリン基礎分泌が確保されているのが前提のお話です。
もし、基礎インスリンが不足している状態で運動すれば、血糖値はかえって上昇します。
また、肝臓で行っている糖新生も、基礎インスリンが分泌されていなければ制御不能となり、空腹時血糖値が300mgとか400mgとか以上にもなります。
ということで、持続型インスリンを注射して、基礎分泌インスリンを確保し、肝臓が糖新生し過ぎて高血糖にならないように制御しているわけです。
持続型インスリン注射で早朝空腹時血糖値を、90~125mg/dlくらいにして、高血糖にならないようにコントロールするわけです。
従いまして、早朝空腹時血糖値のコントロール良好を保つ量の持続型インスリンを注射して、スーパー糖質制限食をしても低血糖にはならないのでご安心ください。
(☆)
インスリンの作用
インスリンは、グリコーゲン合成・タンパク質合成・脂肪合成など、栄養素の同化を促進し、筋肉、脂肪組織、肝臓に取り込む。
インスリンが作用するのは、主として、筋肉(骨格筋、心筋)、脂肪組織、肝臓である。
1)糖質代謝
*ブドウ糖の筋肉細胞・脂肪細胞内への取り込みを促進させる。
*グリコーゲン合成を促進させる。
*グリコーゲン分解を抑制する。
*肝臓の糖新生を抑制し、ブドウ糖の血中放出を抑制する。
2)タンパク質代謝
*骨格筋に作用してタンパク質合成を促進させる。
*骨格筋に作用してタンパク質の異化を抑制する。
3)脂質代謝
*脂肪の合成を促進する。
*脂肪の分解を抑制する。
江部康二
江部先生
ブログの内容と無関係ですみません。
表題につきまして、欧州糖尿病学会2014にて以下の発表がありました。
------------------------------------------------------------------
http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/flash/easd2014/201409/538486.html
低炭水化物食で炭水化物を脂質に置き換える場合、脂肪酸の種類によって全死因死亡率や心血管疾患(CVD)死亡リスクが異なることが示された。オランダUniversity Medical Center UtrechtのMarjo Campmans氏が、第50回欧州糖尿病学会(EASD2014、9月16~19日、ウィーン開催)で発表した。
炭水化物を脂質に置き換える低炭水化物食では、やがて血中脂質を悪化させ、死亡リスクを増加させる高脂肪食につながる恐れがある。また、2型糖尿病患者がどの種類の脂質を炭水化物の置き換え食品とすべきかは、いまだに議論があるところだ。そこでCampmans氏らは、炭水化物を(1)総脂質、(2)飽和脂肪酸(SFAs)、(3)一価不飽和脂肪酸(MUFAs)、(4)多価不飽和脂肪酸(PUFAs)と置換した場合について、全死因死亡、CVD死亡リスク、5年間の体重変化との関連を検討した。
対象は、欧州の癌と栄養に関する前向きコホート研究(European Prospective Investigation into Cancer and Nutrition:EPIC)に含まれる2型糖尿病患者6192人とした。平均9.2年間のフォローアップ期間中に、791例が死亡し、そのうちCVDによって死亡したのは268例だった。
解析の結果、炭水化物10gを総脂質またはSFAsへ置き換えると、全死因死亡リスクが増加していた。一方、MUFAsに置き換えるとリスクは低下した。CVD死亡リスクは、炭水化物をSFAsまたはPUFAsに置換した場合に増加した。炭水化物を総脂質またはMUFAsに置換した場合、5年間で体重が減少していた。MUFAsは有意な減少だった。
これらの結果からCampmans氏は、「糖尿病患者において、炭水化物を総脂質やSFAs、PUFAsに置換すると、CVD死亡リスクあるいは全死因死亡リスクが上昇した。一方、MUFAsへの置換は全死因死亡リスクの低減と関連した」と結論し、「低炭水化物食のガイドラインは、炭水化物を脂質に置き換えることを推奨するのではなく、脂肪酸の種類に焦点を当てるべき」と提言した。
------------------------------------------------------------------
摂取した糖質量が不明であり、本文中では糖質10gを置き換えたとありますが、まさか高々10gの置き換えということは…
前向きコホートとのことですが、信頼性の高さがいまいち掴めないため何とも言えないのですが、飽和脂肪酸がNGとなれば、ステーキや焼き鳥、乳製品などを避けて魚介類に置き換えないといけなくなりますね。。。
まだまだBMI高値で肉好きな私には、厳しい結果となりました。。。
ブログの内容と無関係ですみません。
表題につきまして、欧州糖尿病学会2014にて以下の発表がありました。
------------------------------------------------------------------
http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/flash/easd2014/201409/538486.html
低炭水化物食で炭水化物を脂質に置き換える場合、脂肪酸の種類によって全死因死亡率や心血管疾患(CVD)死亡リスクが異なることが示された。オランダUniversity Medical Center UtrechtのMarjo Campmans氏が、第50回欧州糖尿病学会(EASD2014、9月16~19日、ウィーン開催)で発表した。
炭水化物を脂質に置き換える低炭水化物食では、やがて血中脂質を悪化させ、死亡リスクを増加させる高脂肪食につながる恐れがある。また、2型糖尿病患者がどの種類の脂質を炭水化物の置き換え食品とすべきかは、いまだに議論があるところだ。そこでCampmans氏らは、炭水化物を(1)総脂質、(2)飽和脂肪酸(SFAs)、(3)一価不飽和脂肪酸(MUFAs)、(4)多価不飽和脂肪酸(PUFAs)と置換した場合について、全死因死亡、CVD死亡リスク、5年間の体重変化との関連を検討した。
対象は、欧州の癌と栄養に関する前向きコホート研究(European Prospective Investigation into Cancer and Nutrition:EPIC)に含まれる2型糖尿病患者6192人とした。平均9.2年間のフォローアップ期間中に、791例が死亡し、そのうちCVDによって死亡したのは268例だった。
解析の結果、炭水化物10gを総脂質またはSFAsへ置き換えると、全死因死亡リスクが増加していた。一方、MUFAsに置き換えるとリスクは低下した。CVD死亡リスクは、炭水化物をSFAsまたはPUFAsに置換した場合に増加した。炭水化物を総脂質またはMUFAsに置換した場合、5年間で体重が減少していた。MUFAsは有意な減少だった。
これらの結果からCampmans氏は、「糖尿病患者において、炭水化物を総脂質やSFAs、PUFAsに置換すると、CVD死亡リスクあるいは全死因死亡リスクが上昇した。一方、MUFAsへの置換は全死因死亡リスクの低減と関連した」と結論し、「低炭水化物食のガイドラインは、炭水化物を脂質に置き換えることを推奨するのではなく、脂肪酸の種類に焦点を当てるべき」と提言した。
------------------------------------------------------------------
摂取した糖質量が不明であり、本文中では糖質10gを置き換えたとありますが、まさか高々10gの置き換えということは…
前向きコホートとのことですが、信頼性の高さがいまいち掴めないため何とも言えないのですが、飽和脂肪酸がNGとなれば、ステーキや焼き鳥、乳製品などを避けて魚介類に置き換えないといけなくなりますね。。。
まだまだBMI高値で肉好きな私には、厳しい結果となりました。。。
2014/09/24(Wed) 14:58 | URL | 福助 | 【編集】
| ホーム |