2014年09月12日 (金)
こんにちは。
「急速な血糖値・HbA1cの改善により、網膜症の一時的な悪化や眼底出血を起こすことがある」
という従来からの定説があります。
確かに、インスリン注射やSU剤などにより急速に血糖値が改善した場合、改善速度が速いほど、網膜症の悪化率が高かったという論文報告があります。
実際に日常臨床上、糖尿人を診察しておられる医師においては経験があることと思われます。
とは言え、一時的な悪化はあっても、長期的には血糖コントロールが良い方が網膜症にも良いということも報告されています。
それでは 糖質制限食によって、血糖値が急速に改善した場合はどうなのでしょう?
網膜症の悪化や眼底出血の心配はないのでしょうか?
実は当初、私達も糖質制限食でインスリン注射以上に速やかに血糖コントロールが良くなるので、このことを懸念していました。
幸い、1999年、高雄病院で糖質制限食開始以来の経験で、糖質制限食による改善では基本的に網膜症の悪化はありませんでしたので、今は全く心配はしていません。
しかし、
1)インスリン注射やSU剤による急速なHbA1c改善:網膜症悪化や眼底出血あり。
何故、網膜症の悪化や眼底出血があるのか、現時点では原因不明。
2)糖質制限によるより急速なHbA1c改善:網膜症の悪化なし
こちらも、何故、網膜症が悪化しないのか現時点では理由は不明。
同じようにHbA1cが改善するのに、なぜこうも違うのか、疑問が残ります。
平均血糖値(HbA1c)が同じように良くなるにもかかわらず、インスリンやSU剤の投与による場合と糖質制限食による場合で、このように明暗がわかれるのには、必ず理由があるはずです。
それで、以下、あくまでも仮説ですが考察してみました。
以前は、長年にわたって血糖コントロールの評価基準として、空腹時血糖値とHbA1cが使用されてきました。
しかし、近年の信頼度の高い研究により、空腹時血糖値とHbA1cがコントロール良好でも、糖尿病合併症は防げないことがわかってきたのです。
それどころか、糖質を普通に摂取しながら、インスリン注射やSU剤で厳格に治療すると、総死亡率が上昇するという信頼度の高いエビデンスが報告されました。(*)
すなわち、食後高血糖と平均血糖変動幅の増大が、最大の酸化ストレスリスクであり、糖尿病合併症の元凶ということがわかってきたのです。
空腹時血糖値とHbA1cだけによる評価では、食後高血糖と平均血糖変動幅の増大は全く知ることができないのです。
人体は、酸化反応と抗酸化反応のバランスがとれていると、正常に機能します。
酸化反応が抗酸化反応を上まわった状態を酸化ストレスといいます。
酸化ストレスが、糖尿病合併症・動脈硬化・老化・癌・アルツハイマー・パーキンソン等、様々な疾病の元凶とされています。
このことは、世界中の医学界において、認められています。
糖質を普通に摂取しながら、インスリンやSU剤で厳格に治療してHbA1cを急速に下げると、低血糖も生じやすくなるし、平均血糖変動幅の増大も必発となります。
つまり、
1)の場合は、見かけ上はHbA1cは急速に改善したように見えても、その実態は、「低血糖」と「平均血糖変動幅増大」という最大の酸化ストレスリスクをともなう『質の悪いHbA1c』だったのです。
従って、網膜症悪化や眼底出血を生じた可能性が高いのです。
一方、2)糖質制限食でHbA1cが改善した場合には、薬も使用していないので、「低血糖」も「平均血糖変動幅増大」もない『質のいいHbA1c』なのです。
そのため急速なHbA1c改善にもかかわらず、網膜症の悪化がないと考えられます。
これらにより、糖質制限食の場合、急速な血糖値改善にもかかわらず、網膜症の悪化が生じにくいと考えられます。
既にインスリン注射やSU剤を内服していて、ある時に糖質制限食を開始して、血糖値・HbA1cが急速に改善していく場合も、
インスリン注射やSU剤の量は基本的に減量されていくし、代謝全般も改善されていくので、糖尿病網膜症は起こりにくいと思います。
糖質を摂取して、インスリンやSU剤の効能だけに依存して血糖値を下げた場合と、糖質制限食で薬物に頼らずに自然に血糖値が改善した場合との差、すなわち「低血糖、食後高血糖、平均血糖変動幅増大」の酸化ストレスリスクが、両者で全く異なることがお解りいただけたでしょうか。
なお、過去の高血糖のため、すでに糖尿病網膜症が存在している時は、糖質制限食で血糖コントロール良好を維持していれば糖尿病網膜症の進行は、徐々に止まると思います。
そして時間をかけて、ある程度改善する可能性はあります。
しかし、糖質制限食で血糖コントロール良好となっても、既存の糖尿病網膜症が、メキメキ治るわけではありませんので、念のため。
それから、一定の糖尿病罹病期間があって、血糖コントロールが悪かったけれど、その時点では網膜症はないと言われていた人が、糖質制限食を開始して血糖コントロール良好となり、数ヶ月後眼底検査をしたら軽症単純網膜症が発見された、というようなことがまれにあります。
これは糖質制限食開始時点で既に潜在的な網膜症はあったのが、時間的経過で顕在化したもので、高血糖の記憶(**)によるものと思われます。
すなわち糖質制限食で網膜症になったのではなく、過去の高血糖の借金が顕在化したものと思われます。
以上、仮説の段階ではありますが、それなりに説得力のある説明と自負しています。
(*)2011/07/18 の本ブログ記事
「ACCORD試験の死亡リスクと低血糖とSMBGサブ解析2011」
をご参照ください。
(**)2010-11-14のブログ
「高血糖の記憶とAGE」をご参照ください。
江部康二
「急速な血糖値・HbA1cの改善により、網膜症の一時的な悪化や眼底出血を起こすことがある」
という従来からの定説があります。
確かに、インスリン注射やSU剤などにより急速に血糖値が改善した場合、改善速度が速いほど、網膜症の悪化率が高かったという論文報告があります。
実際に日常臨床上、糖尿人を診察しておられる医師においては経験があることと思われます。
とは言え、一時的な悪化はあっても、長期的には血糖コントロールが良い方が網膜症にも良いということも報告されています。
それでは 糖質制限食によって、血糖値が急速に改善した場合はどうなのでしょう?
網膜症の悪化や眼底出血の心配はないのでしょうか?
実は当初、私達も糖質制限食でインスリン注射以上に速やかに血糖コントロールが良くなるので、このことを懸念していました。
幸い、1999年、高雄病院で糖質制限食開始以来の経験で、糖質制限食による改善では基本的に網膜症の悪化はありませんでしたので、今は全く心配はしていません。
しかし、
1)インスリン注射やSU剤による急速なHbA1c改善:網膜症悪化や眼底出血あり。
何故、網膜症の悪化や眼底出血があるのか、現時点では原因不明。
2)糖質制限によるより急速なHbA1c改善:網膜症の悪化なし
こちらも、何故、網膜症が悪化しないのか現時点では理由は不明。
同じようにHbA1cが改善するのに、なぜこうも違うのか、疑問が残ります。
平均血糖値(HbA1c)が同じように良くなるにもかかわらず、インスリンやSU剤の投与による場合と糖質制限食による場合で、このように明暗がわかれるのには、必ず理由があるはずです。
それで、以下、あくまでも仮説ですが考察してみました。
以前は、長年にわたって血糖コントロールの評価基準として、空腹時血糖値とHbA1cが使用されてきました。
しかし、近年の信頼度の高い研究により、空腹時血糖値とHbA1cがコントロール良好でも、糖尿病合併症は防げないことがわかってきたのです。
それどころか、糖質を普通に摂取しながら、インスリン注射やSU剤で厳格に治療すると、総死亡率が上昇するという信頼度の高いエビデンスが報告されました。(*)
すなわち、食後高血糖と平均血糖変動幅の増大が、最大の酸化ストレスリスクであり、糖尿病合併症の元凶ということがわかってきたのです。
空腹時血糖値とHbA1cだけによる評価では、食後高血糖と平均血糖変動幅の増大は全く知ることができないのです。
人体は、酸化反応と抗酸化反応のバランスがとれていると、正常に機能します。
酸化反応が抗酸化反応を上まわった状態を酸化ストレスといいます。
酸化ストレスが、糖尿病合併症・動脈硬化・老化・癌・アルツハイマー・パーキンソン等、様々な疾病の元凶とされています。
このことは、世界中の医学界において、認められています。
糖質を普通に摂取しながら、インスリンやSU剤で厳格に治療してHbA1cを急速に下げると、低血糖も生じやすくなるし、平均血糖変動幅の増大も必発となります。
つまり、
1)の場合は、見かけ上はHbA1cは急速に改善したように見えても、その実態は、「低血糖」と「平均血糖変動幅増大」という最大の酸化ストレスリスクをともなう『質の悪いHbA1c』だったのです。
従って、網膜症悪化や眼底出血を生じた可能性が高いのです。
一方、2)糖質制限食でHbA1cが改善した場合には、薬も使用していないので、「低血糖」も「平均血糖変動幅増大」もない『質のいいHbA1c』なのです。
そのため急速なHbA1c改善にもかかわらず、網膜症の悪化がないと考えられます。
これらにより、糖質制限食の場合、急速な血糖値改善にもかかわらず、網膜症の悪化が生じにくいと考えられます。
既にインスリン注射やSU剤を内服していて、ある時に糖質制限食を開始して、血糖値・HbA1cが急速に改善していく場合も、
インスリン注射やSU剤の量は基本的に減量されていくし、代謝全般も改善されていくので、糖尿病網膜症は起こりにくいと思います。
糖質を摂取して、インスリンやSU剤の効能だけに依存して血糖値を下げた場合と、糖質制限食で薬物に頼らずに自然に血糖値が改善した場合との差、すなわち「低血糖、食後高血糖、平均血糖変動幅増大」の酸化ストレスリスクが、両者で全く異なることがお解りいただけたでしょうか。
なお、過去の高血糖のため、すでに糖尿病網膜症が存在している時は、糖質制限食で血糖コントロール良好を維持していれば糖尿病網膜症の進行は、徐々に止まると思います。
そして時間をかけて、ある程度改善する可能性はあります。
しかし、糖質制限食で血糖コントロール良好となっても、既存の糖尿病網膜症が、メキメキ治るわけではありませんので、念のため。
それから、一定の糖尿病罹病期間があって、血糖コントロールが悪かったけれど、その時点では網膜症はないと言われていた人が、糖質制限食を開始して血糖コントロール良好となり、数ヶ月後眼底検査をしたら軽症単純網膜症が発見された、というようなことがまれにあります。
これは糖質制限食開始時点で既に潜在的な網膜症はあったのが、時間的経過で顕在化したもので、高血糖の記憶(**)によるものと思われます。
すなわち糖質制限食で網膜症になったのではなく、過去の高血糖の借金が顕在化したものと思われます。
以上、仮説の段階ではありますが、それなりに説得力のある説明と自負しています。
(*)2011/07/18 の本ブログ記事
「ACCORD試験の死亡リスクと低血糖とSMBGサブ解析2011」
をご参照ください。
(**)2010-11-14のブログ
「高血糖の記憶とAGE」をご参照ください。
江部康二
NPO法人 西東京臨床糖尿病研究会 第56回例会
原点に戻ろう!~食事療法・運動療法~
http://www.dm-net.co.jp/event/2014/022307.php
山田悟先生の講演もあります
原点に戻ろう!~食事療法・運動療法~
http://www.dm-net.co.jp/event/2014/022307.php
山田悟先生の講演もあります
2014/09/12(Fri) 22:07 | URL | 精神科医師A | 【編集】
精神科医師A さん
情報をありがとうございます。
山田悟先生、頑張っておられますね。
情報をありがとうございます。
山田悟先生、頑張っておられますね。
2014/09/13(Sat) 08:40 | URL | ドクター江部 | 【編集】
1998.8.26~2011.6.20までインスリンを打ちながら(最大71単位も)、糖尿病専門医師の指示で、合併症を避けられると信じ込んで、毎月のHbA1C(JDS)管理をやってきて、その平均値6.4を達成していました 3ヶ月に1回眼底検査を受けていましたが、その眼科医はインスリンで白内障が進む 網膜症も進むという意見を持っていました(約60歳台の眼科医) 1998.8~2014.9までの単純網膜症の進行はなしです 白内障は2009手術しました 視力はL0.9 R0.4(Rは黄斑上膜)で、江部先生に2011.5糖尿病治療を始めて以来、すでに腎症がCr2.0レベルだったので、スーパー糖質制限食はムリで、糖質管理食1日130g(1食ごはん100g)を続けています
2014/09/13(Sat) 09:40 | URL | 柚木信也 | 【編集】
先生いつも情報を有難うございます。
先日ものもらいで、少し痛みとボケがあった為、眼科を受診したのですが、その時先生が、私が糖尿病なのを知っていますので、眼底検査もしようと言いました。
私はA1cはここ数年5前後ですと言いましたが、最近の研究の結果、過去に高血糖だった人は後から目に来る事があると言っていました。
多分「高血糖の記憶とAGE」の事かなと思いました。
今回の先生の記事を読むと、糖質制限により血糖値の高低差があまりなければ大丈夫なのかな?と思いますが、それでも「高血糖の記憶とAGE」で将来目、腎臓など合併症は防げないのでしょうか?
先日ものもらいで、少し痛みとボケがあった為、眼科を受診したのですが、その時先生が、私が糖尿病なのを知っていますので、眼底検査もしようと言いました。
私はA1cはここ数年5前後ですと言いましたが、最近の研究の結果、過去に高血糖だった人は後から目に来る事があると言っていました。
多分「高血糖の記憶とAGE」の事かなと思いました。
今回の先生の記事を読むと、糖質制限により血糖値の高低差があまりなければ大丈夫なのかな?と思いますが、それでも「高血糖の記憶とAGE」で将来目、腎臓など合併症は防げないのでしょうか?
2014/09/13(Sat) 11:16 | URL | けい | 【編集】
はじめまして。
今日は少し意見をお聞かせください。よろしくお願いします。
今の子供は甘い物ばかり食べて、血糖値があがり、インスリン分泌量が増えて、それを長年続けているとすい臓がそれに慣れてしまい血糖値が上がらなくてもインスリンの分泌をしてしまい、低血糖症になってしまうっていうのを読みました。
糖尿病でない健康な体ではその逆はありえますか?例えば、私には10歳の娘がいますが朝と夜の炭水化物をぬき、昼は普通の白い食パンを食べて、市販の糖質の多いおやつは1日ひとつ、果物は1日3つまで、後のおやつは私が作る物を食べてます。その娘がこれから10年、20歳まで低糖食を続けたとします。ですが、大人になって、高炭水化物、いわゆる今の普通の食事に戻った時、すい臓の働きが正常に働くかどうかです。今は私が食べる物を調節できるからいいのですが、大人になったときは本人の選択だと思ってますので。
江部先生は忙しいと思いますが、時間のあるときに返信をお願いします。
ありがとうございました。
今日は少し意見をお聞かせください。よろしくお願いします。
今の子供は甘い物ばかり食べて、血糖値があがり、インスリン分泌量が増えて、それを長年続けているとすい臓がそれに慣れてしまい血糖値が上がらなくてもインスリンの分泌をしてしまい、低血糖症になってしまうっていうのを読みました。
糖尿病でない健康な体ではその逆はありえますか?例えば、私には10歳の娘がいますが朝と夜の炭水化物をぬき、昼は普通の白い食パンを食べて、市販の糖質の多いおやつは1日ひとつ、果物は1日3つまで、後のおやつは私が作る物を食べてます。その娘がこれから10年、20歳まで低糖食を続けたとします。ですが、大人になって、高炭水化物、いわゆる今の普通の食事に戻った時、すい臓の働きが正常に働くかどうかです。今は私が食べる物を調節できるからいいのですが、大人になったときは本人の選択だと思ってますので。
江部先生は忙しいと思いますが、時間のあるときに返信をお願いします。
ありがとうございました。
江部先生、先ほどの岩谷です。
もう一つ質問させてください。
身長191cm、体重123kg、外国人
一日の糖膣量30g以下、たんぱく質100g
では、糖質量、たんぱく質量共、少なすぎですか?午後になると体がすごく疲れるようです。
よろしくお願いします。
もう一つ質問させてください。
身長191cm、体重123kg、外国人
一日の糖膣量30g以下、たんぱく質100g
では、糖質量、たんぱく質量共、少なすぎですか?午後になると体がすごく疲れるようです。
よろしくお願いします。
初めまして。私は糖尿病歴19年の66歳の男性です。江部先生の徒然草日記の愛読者となって8ヶ月になります。そして、糖質制限食を始めて、約半年になります。お陰様で、先月HbA1Cが、6.0、今朝、念願の5.9まで下がりました。
さて、網膜症のブログを読ませていただき、少し、糖質制限食の見習いを初めてまだ時間が経っていませんが、昨日、網膜剥離直前と言われ手術しましたので
コメントをさせていただきたいと思います。
というのも、昨日、眼底検査と視野検査を2年前からの掛かり付けの眼科で診てもらったとき、眼底の血管は悪化していない、視野は左眼が少し悪化している、また、昨年発症した左眼の緑内障の進行はないが、両眼に少し白内障が出てきた。そして、糖尿病発症時に左眼に網膜剥離があって手術したことがあるが、18年ぶりに右眼に網膜剥離になる予兆があるとして、即、レザーで手術してもらいました。勿論、糖尿病歴を担当医にはお伝えしておりました。
発症依頼、国内、国外と転勤族だったので、かかった病院は6-7、担当医はこれ以外に友人の内科医を含めて10人ぐらいになります。
多少、本を読んだり、断食、玄米食など、あれこれと手を出し、運動もマラソンを走ったりして闘病して来ましたが、如何せん、酒が大好きで、効率の悪い試行錯誤の連続で今日に至っています。
糖質制限も最近、何を食べたかの日記を書く他に、20g/食の制限を意識しています。
また、薬事療法では、HbA1Cが、最高8.1に上がった2007年にメデットを750mg/日に初めて勸められ、2009年にカザフスタンでオースリア製の同種を1000mg/日に増やし、2013年に現在の担当医が、ネシーナ25mg/日、ビオグリタゾン30mg/日、メトグルコ500mg/日の3種類を処方してくれています。
その結果かどうか分かりませんが、昨年10月以降HbA1Cは6.5以下を維持しており、漸く、5.9までに下がりましたので、ピオグリタゾンを飲まなくてよいか相談したいと思っているところです。勿論、薬無しが本望です。
是非、先生の、ご意見をお聞かせください。
さて、網膜症のブログを読ませていただき、少し、糖質制限食の見習いを初めてまだ時間が経っていませんが、昨日、網膜剥離直前と言われ手術しましたので
コメントをさせていただきたいと思います。
というのも、昨日、眼底検査と視野検査を2年前からの掛かり付けの眼科で診てもらったとき、眼底の血管は悪化していない、視野は左眼が少し悪化している、また、昨年発症した左眼の緑内障の進行はないが、両眼に少し白内障が出てきた。そして、糖尿病発症時に左眼に網膜剥離があって手術したことがあるが、18年ぶりに右眼に網膜剥離になる予兆があるとして、即、レザーで手術してもらいました。勿論、糖尿病歴を担当医にはお伝えしておりました。
発症依頼、国内、国外と転勤族だったので、かかった病院は6-7、担当医はこれ以外に友人の内科医を含めて10人ぐらいになります。
多少、本を読んだり、断食、玄米食など、あれこれと手を出し、運動もマラソンを走ったりして闘病して来ましたが、如何せん、酒が大好きで、効率の悪い試行錯誤の連続で今日に至っています。
糖質制限も最近、何を食べたかの日記を書く他に、20g/食の制限を意識しています。
また、薬事療法では、HbA1Cが、最高8.1に上がった2007年にメデットを750mg/日に初めて勸められ、2009年にカザフスタンでオースリア製の同種を1000mg/日に増やし、2013年に現在の担当医が、ネシーナ25mg/日、ビオグリタゾン30mg/日、メトグルコ500mg/日の3種類を処方してくれています。
その結果かどうか分かりませんが、昨年10月以降HbA1Cは6.5以下を維持しており、漸く、5.9までに下がりましたので、ピオグリタゾンを飲まなくてよいか相談したいと思っているところです。勿論、薬無しが本望です。
是非、先生の、ご意見をお聞かせください。
けい さん
「高血糖の記憶とAGE」ですが、
数年間、HbA1c5%くらいを維持しておられて、
現在糖尿病網膜症がないなら、全く心配ないです。
「高血糖の記憶」とは、過去の高血糖レベルとその曝露期間が生体に記憶され、
その後の血管合併症の進展を左右するという考え方です。
より単純には、高血糖期間中に生じた血管の動脈硬化は、一旦生じたら元には戻らないということです。
動脈硬化の程度が重症か軽症かで差がありますね。
ともあれ、HbA1cコントロール良好となって、1年くらい経過して、網膜症も腎症もなければ
もう、高血糖の記憶も心配ないと思います。
「高血糖の記憶とAGE」ですが、
数年間、HbA1c5%くらいを維持しておられて、
現在糖尿病網膜症がないなら、全く心配ないです。
「高血糖の記憶」とは、過去の高血糖レベルとその曝露期間が生体に記憶され、
その後の血管合併症の進展を左右するという考え方です。
より単純には、高血糖期間中に生じた血管の動脈硬化は、一旦生じたら元には戻らないということです。
動脈硬化の程度が重症か軽症かで差がありますね。
ともあれ、HbA1cコントロール良好となって、1年くらい経過して、網膜症も腎症もなければ
もう、高血糖の記憶も心配ないと思います。
2014/09/13(Sat) 18:36 | URL | ドクター江部 | 【編集】
岩谷 さん
今の子供は甘い物ばかり食べて、血糖値があがり、インスリン分泌量が増えて、それを長年続けているとすい臓がそれに慣れてしまい血糖値が上がらなくてもインスリンの分泌をしてしまい、低血糖症になってしまうっていうのを読みました。
このようなことはないと思います。
糖質を食べて、血糖が上昇したとき、インスリンの過剰分泌を生じるタイプが、機能性低血糖症になります。
従って機能性低血糖症は、糖質を摂取しなければ生じません。
糖質制限食は、農耕前の人類700万年間の食事、人類本来の食事、すなわち人類の健康食です。
膵臓にも優しい食事です。
糖質の頻回過剰摂取とインスリンの大量頻回分泌を、30.40年.50年続けて
膵臓のβ細胞がが疲弊すると、インスリン作用が不足して糖尿病を発症します。
今の子供は甘い物ばかり食べて、血糖値があがり、インスリン分泌量が増えて、それを長年続けているとすい臓がそれに慣れてしまい血糖値が上がらなくてもインスリンの分泌をしてしまい、低血糖症になってしまうっていうのを読みました。
このようなことはないと思います。
糖質を食べて、血糖が上昇したとき、インスリンの過剰分泌を生じるタイプが、機能性低血糖症になります。
従って機能性低血糖症は、糖質を摂取しなければ生じません。
糖質制限食は、農耕前の人類700万年間の食事、人類本来の食事、すなわち人類の健康食です。
膵臓にも優しい食事です。
糖質の頻回過剰摂取とインスリンの大量頻回分泌を、30.40年.50年続けて
膵臓のβ細胞がが疲弊すると、インスリン作用が不足して糖尿病を発症します。
2014/09/13(Sat) 18:50 | URL | ドクター江部 | 【編集】
岩谷 さん
糖質30g/日は問題ないです。
蛋白質はもう少し食べたほうがよいと思います。
ビタミンC補充のため、葉野菜やブロッコリーやピーマンやゴーヤなども摂りましょう。
デスクワーク中心の人でも、2400kcal/日は摂取したほうがいいと思います。
脂質と蛋白質は充分量摂取しましょう。
身体が疲れるのは摂取エネルギー不足の可能性があります。
糖質30g/日は問題ないです。
蛋白質はもう少し食べたほうがよいと思います。
ビタミンC補充のため、葉野菜やブロッコリーやピーマンやゴーヤなども摂りましょう。
デスクワーク中心の人でも、2400kcal/日は摂取したほうがいいと思います。
脂質と蛋白質は充分量摂取しましょう。
身体が疲れるのは摂取エネルギー不足の可能性があります。
2014/09/13(Sat) 18:57 | URL | ドクター江部 | 【編集】
三苫英太郎 さん
HbA1c5.9%、良かったです。
ネシーナ25mg/日、ビオグリタゾン30mg/日、メトグルコ500mg/日の3種類
なら、
まず、ビオグリタゾンを中止するのがよいと思います。
HbA1c5.9%、良かったです。
ネシーナ25mg/日、ビオグリタゾン30mg/日、メトグルコ500mg/日の3種類
なら、
まず、ビオグリタゾンを中止するのがよいと思います。
2014/09/13(Sat) 19:00 | URL | ドクター江部 | 【編集】
江部先生、早速のお返事ありがとうございました。
私は、低糖質ダイエットについてまだ始めたばかりでまだまだ勉強中ですので、娘のダイエットについて不安がありましましたが、これで安心しました。これからもっともっと勉強していきたいと思います。本当にありがとうございました。またよろしくお願いします。
私は、低糖質ダイエットについてまだ始めたばかりでまだまだ勉強中ですので、娘のダイエットについて不安がありましましたが、これで安心しました。これからもっともっと勉強していきたいと思います。本当にありがとうございました。またよろしくお願いします。
江部先生、糖質量とたんぱく質量についてのご返答ありがとうございました。もう少したんぱく質量と脂質量を増やしてみたいと思います。
本当にありがとうございました。
本当にありがとうございました。
先生、いつもありがとうございます。
じつは、まさに
「それから、一定の糖尿病罹病期間があって、血糖コントロールが悪かったけれど、その時点では網膜症はないと言われていた人が、糖質制限食を開始して血糖コントロール良好となり、数ヶ月後眼底検査をしたら軽症単純網膜症が発見された、というようなことがまれにあります。
これは糖質制限食開始時点で既に潜在的な網膜症はあったのが、時間的経過で顕在化したもので、高血糖の記憶(**)によるものと思われます。」
この通りとしか思えない出来事が自分の身にふりかかってきてしまいました。
DKAで入院した時の眼底検査で「異常なしです」と言われていたのですが、半年ぶりにさきほど検査したら「単純性網膜症、ただしまだレーザー治療をするほどではない」と言われました。
このごろ血糖コントロールはとてもいいですし、ランタスの注射量も8→2単位にまで減ってきているので、どんどん悪化していくことは無いと思いますが、「高血糖の記憶」の恐ろしさを改めて痛感いたしました。
じつは、まさに
「それから、一定の糖尿病罹病期間があって、血糖コントロールが悪かったけれど、その時点では網膜症はないと言われていた人が、糖質制限食を開始して血糖コントロール良好となり、数ヶ月後眼底検査をしたら軽症単純網膜症が発見された、というようなことがまれにあります。
これは糖質制限食開始時点で既に潜在的な網膜症はあったのが、時間的経過で顕在化したもので、高血糖の記憶(**)によるものと思われます。」
この通りとしか思えない出来事が自分の身にふりかかってきてしまいました。
DKAで入院した時の眼底検査で「異常なしです」と言われていたのですが、半年ぶりにさきほど検査したら「単純性網膜症、ただしまだレーザー治療をするほどではない」と言われました。
このごろ血糖コントロールはとてもいいですし、ランタスの注射量も8→2単位にまで減ってきているので、どんどん悪化していくことは無いと思いますが、「高血糖の記憶」の恐ろしさを改めて痛感いたしました。
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