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メディカル朝日9月号[巻頭言]に反論。炭水化物摂取減で予備群減少。
こんにちは。

2014年9月8日(月)の記事に続いて、メディカル朝日の9月号の感想です。

今回は、東京慈恵医科大学糖尿病・代謝・内分泌内科教授・宇都宮一典先生の[巻頭言]に対する反論です。

メディカル朝日の9月号では、先月号の『前篇』に続いて『糖尿病治療 up to date(後編)』として、『最新の糖尿病食事療法』を特集しています.

特集各記事は以下の通りです。

[巻頭言] 糖尿病の食事療法の現状と課題 (P14-15)
[1] 糖尿病における食事療法の在り方-炭水化物栄養の考え方 (P16-18)
[2] 食事療法における脂質摂取の在り方-日本人の食事摂取基準(2015年版)に向けて
  (P19-21)
[3] 糖尿病腎症の病期分類改訂と食事指導の在り方 (P20-25)
[4] 医師が把握すべき食品交換表第7版への改訂ポイント(P26-28)


[巻頭言]と[1] は、東京慈恵医科大学糖尿病・代謝・内分泌内科教授の宇都宮一典先生です。

巻頭言で、宇都宮先生は、1960年代の高度経済成長期から、
70%を超えていた炭水化物摂取比率は60%まで減少していると記述しておられ、
それを根拠に、糖尿病の増加は、炭水化物の過多ではなく、
脂質栄養の変化にその原因があるとしておられますが、これは事実誤認です。


スライド1


スライド2


図で、明らかなように、厚生労働省調査・国民栄養の現状によれば、
1955年からいったん減少し始めた炭水化物摂取比率は、
1997年をボトムに、今度は2008年まで、ずっと増加し続けています。
1955年からいったん増加し始めた脂肪摂取比率は、
1997年をピークに、今度は2008年まで減少し続けています。
(図をクリックすると少し大きくなります)

そしてこの間、糖尿病は増加し続けていたのです。

つまり、1997年~2008年までの11年間、炭水化物摂取比率は増え続け、脂肪摂取比率は減り続けて、糖尿病は増加し続けているのです。

2008年→2010年 
97年以来13年ぶりに炭水化物比率が減少 60.4%→59.4%
97年以来13年ぶりに脂質比率が上昇    24.9%→25.9% 

と、13年ぶりに大きな変化が訪れました。

13年ぶりの逆転現象です。

その結果 、2012年の糖尿病有病率は、2007年に比し、約60万人増加で、増加率が急減しています。

1990年:560万人
1997年:690万人(130万人増加)
2002年:740万人(50万人増加)
2007年:890万人(5年間で150万人増加、増加率は20%
2012年:950万人(5年間で60万人増加、増加率は6.7%

これで見ると、2002年→2007年の増加率が、半端じゃないですね。

2007年→2012年の増加は、60万人で
2002年→2007年の増加、150万人に比し、激減です。

さらに、糖尿病予備軍は、約1100万人で、2007年から約220万人減少で、国民健康・栄養調査が始まって以来の快挙です。

冷静に考えて、糖尿病増加の勢いが弱まり、予備軍は初めて減少です。

何故このような好ましい変化が生じたのでしょう。

実は上述の如く、

ずっと増え続けいた炭水化物摂取比率が、2008年から2010年にかけて、60.4%から59.4%に減っていて、
ずっと減少し続けていた脂質摂取比率が、2008年から2010年にかけて、24.9%から25.9%に増えているのです。
13年ぶりの逆転現象です。

そして、これを受けて、20007年から2012年にかけて糖尿病の増加が急減して、糖尿病予備群に至っては220万人も減少しているのです。

保健所や一般の医師・栄養士の食事指導は、旧態依然たる日本糖尿病学会推奨で唯一無二のカロリー制限食で、数十年来不変ですので、今更この影響はないと思います。

2000年~2012年まで日本の人口は1億2000万ちょっとで大きな変化はありません。

そして、この間、高齢化はどんどん進んでいるので、普通に考えると高齢者に多い病気である糖尿病は、より増加し易い状況だったと言えます。それが歯止めがかかり、予備軍は初の減少です。

こうなると、あくまでも仮説ですが、炭水化物摂取比率が減って脂質摂取比率が増えて、糖尿病予備軍が減少したのは、
糖質制限食普及の影響の可能性が、最も考えられます。 (^^) 

というか、他の要因は、ほとんど考えにくいのです。 (∵)?

拙著「主食を抜けば糖尿病は良くなる!」(東洋経済新報社)を上梓したのが、2005年です。

そして、糖質制限食がどんどん知名度をあげ、日本全国に普及してきているのは周知の事実です。

この仮説が正しいなら、糖質制限食は医療費削減において多大な功績を成したことになり、嬉しい限りですね。ヾ(^▽^)



江部康二

テーマ:糖質制限食
ジャンル:ヘルス・ダイエット
コメント
よしこと申します。

先生、二点ほど教えてください。

私は、高脂血症、BMI28。
スーパー糖質制限をはじめ、1週間が経ちました

お陰様で、食後の眠気がなくなり、
3キロ減りました。

① MEC食は、高脂血症にはよくないでしょうか?

高脂血症の場合、
たまご・チーズでしたら、
1日の摂取量は、どのくらいが適量でしょうか?

②子供(10歳)には、
MEC食は、どうでしょうか?

3食とも、主食を摂取(菓子類なし)
MEC食にしますと、感覚的ではありますが、よくないのかな~と思うのですが、いかがでしょうか?

まだまだ勉強不足でございまして
申し訳ありませんが、
どうぞ宜しくお願い致します。
2014/09/09(Tue) 21:05 | URL |  | 【編集
はじめましてどると申します。

今年の3月に、会社の検診で軽度肝機能障害を指摘されました。AST42 ALT58でした。中性脂肪、γGPTは基準値の真ん中くらいです。
肝炎ウイルス検査はどちらも陰性。
エコー等の検査はしておりません。3年で10キロ太ったため、元々肥満がさらに肥満でBMIが30になっていました。

そのため、ダイエットと肝機能改善目的でカロリー制限をしていたのですが、体重は減っても、体脂肪率が減らず、何気なく本屋でみつけたおちゃずけさんの本から、先生のブログにたどり着きました。

毎日少しずつ読ませいただき、9月1日から糖質制限をはじめました。すると、2週間以上停滞していた体重が2キロ減り、体脂肪率は2%減っていて、効果にびっくりしています。

ただ、先生のブログを読み、気づいたのですが、クレアチニンの高値は適応外とかかれていました。私は昨年この値が0.83で、ネットでのeGFRが60.5でした。蛋白尿や血尿はマイナスです。
この腎機能で糖質制限は大丈夫でしょうか?
腎臓の精密検査を受けたわけではないので、腎障害かどうかはわかりませんが…(検診結果は経過観察でした)

京都在住なので、メタボ予備軍と検診結果に書かれておりますので、高雄病院に通院し、指導を受けることはできますか?

2014/09/10(Wed) 02:51 | URL | どる | 【編集
Re: タイトルなし
よしこ さん

「MEC食」は、沖縄の渡辺信幸先生が提唱しておられます。

私ではなく、渡辺先生に質問されるのがよいと思います。
2014/09/10(Wed) 08:09 | URL | ドクター江部 | 【編集
Re: タイトルなし
どる さん

糖質制限食で体重減少、良かったですね。

eGFRが60.5

eGFRが60以上ある場合は、タンパク制限の必要無しですので、糖質制限食問題ないです。
高雄病院、江部診療所、通院OKです。
2014/09/10(Wed) 08:14 | URL | ドクター江部 | 【編集
宇都宮一典氏について
食事摂取基準(2015)策定検討会のワーキンググループ構成員

http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10901000-Kenkoukyoku-Soumuka/0000042627.pdf

日本病態栄養学会の評議員

http://www.eiyou.gr.jp/about/director_04.html
2014/09/10(Wed) 09:46 | URL | 精神科医師 | 【編集
よしこです。
先生、大変失礼しました。

家族の食事も気にするようになり
頭がごちゃごちゃしてきました。

食物の栄養素を調べたりですとか・・・
一度によい食事を作りたい。それだけですが・・
とにもかくにも、勉強します。

また良い報告ができれば幸いです。
有難うございました。
よしこ
2014/09/10(Wed) 10:45 | URL |  | 【編集
Re: タイトルなし
よしこ さん

2014年08月29日 (金)の本ブログ記事
「各糖質制限食のスタンス」
http://koujiebe.blog95.fc2.com/blog-entry-3087.html

をご参照ください。
2014/09/10(Wed) 13:00 | URL | ドクター江部 | 【編集
Re: 宇都宮一典氏について
精神科医師 さん

情報をありがとうございます。

宇都宮一典氏、キーパーソンであることは間違いないですね。
2014/09/10(Wed) 13:01 | URL | ドクター江部 | 【編集
よしこさん、まずは糖質制限十箇条と基本レシピを
よしこさん、

糖質制限8年歴の、さとし、と申します。

> 私は、高脂血症、BMI28。
> スーパー糖質制限をはじめ、1週間が経ちました
> 家族の食事も気にするようになり
> 食物の栄養素を調べたりですとか・・・
> 一度によい食事を作りたい。

なるほどー。さすが主婦ですね。家族思いの点、たいへん結構と存じます。糖質制限も「家族ぐるみ」でやれば、お子さんへの正しい食育、ご主人の老化防止にも、役立ちますしね、鬼に金棒です。(^^♪

> とにもかくにも、勉強します。

これも素晴らしい。そういう学習欲のある人は、糖質制限に、向いているんですよ。

さっそくですが、「MEC食」の拡張的な上位互換として「糖質制限十箇条」を、まずは原則としてください。

そして、当十箇条に則った「基本レシピ集」を見る。これで完璧です。

これら「十箇条」と「レシピ」は、次の本が、最もまとまってると思います。

http://www.amazon.co.jp/gp/reader/4757216858

同書が、よしこさんのお勉強の出発点になれば、いいですね。応援します。
2014/09/11(Thu) 09:56 | URL | さとし | 【編集
Re: 宇都宮一典氏について
江部先生 こんにちは。

昨日本屋さんで見つけた「糖尿病 あなたに合った治療」(NHKムック)で、件の氏が相変わらずな持論を展開されてました。
以下がその一文です。

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『炭水化物制限食とは』

【炭水化物制限食は、昔、厳しい食事療法として行われていた】

近年、「炭水化物制限食(糖質制限食、低炭水化物食)」が話題になっています。
炭水化物を一切摂らない、あるいは摂取量を極端に少なくし、体重を減らして血糖値を下げるというものです。
実は、炭水化物制限食はかなり古くから行われている方法で、子どもでの発症が多かった「1型糖尿病」が主な対象となっていました。
甘い食べ物は一切食べられず、つらい思いをした子どもは少なくないといわれています。
1920年代初頭、インスリン注射が行われるようになると、炭水化物制限食をしなくてよくなりましたが、近年、健康な人のダイエット法としても、再び注目を浴びるようになったのです。

【体重が減少する点には、いくつかの疑問点がある】

今世紀になって発表された研究では、炭水化物制限食を行うことで、体重の減少が認められましたが、1年ほど経つと、元に戻ってしまうことが分かっています。※1
炭水化物を含む食品を制限し、脂質やたんぱく質が多い食品ばかり食べる生活が長く続けられず、多くの人がやめてしまうからです。
体重の減少効果についても、炭水化物を制限した効果というより、それによって総エネルギーが減るためで、何を食べても体重が減少するわけではないと考えられています。
また、炭水化物の代わりにたんぱく質を過剰に取ることで、糖尿病腎症を合併した人の腎機能がさらに低下したり、「狭心症」や「心筋梗塞」などを起こしやすくなることが分かっています。
脂質の摂取量を増やせば、動脈硬化が起きやすく、「脳梗塞」や心筋梗塞で命を落とす危険性も現れてきます。※2
こうしたリスクを考慮すると、バランスの良い食事で治療を続けることが有効と考えられます。

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反論のための反論であり、根拠の薄いデマレベルです。
何をどうすれば氏のような理解・解釈ができるのかと、呆れるばかりです。

体重を落として血糖値を下げる方法だとか、総エネルギーが減るから体重が減るだとか、脂質の摂取量を増やせば動脈硬化が起きやすいだとか。。。

なぜそこまでして糖質制限に反対するのか、唯一血糖値を上げるもの・太りやすいもの・動脈硬化の元の元を食べさせ続けようとするのか、
氏が危険だと言ってること以上に危険なことが起こるハイリスクな現在の投薬治療・食事療法を続けようとするのか、
ほんと理解に苦しみます。
2014/09/11(Thu) 11:49 | URL | 福助 | 【編集
Re: Re: 宇都宮一典氏について
福助さん

情報をありがとうございます。

宇都宮氏、根拠もなく、自分の思い込みを書いておられ、お粗末の一言ですね。
2014/09/12(Fri) 08:46 | URL | ドクター江部 | 【編集
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