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メディチーナ(medina) 2014年8月号と糖質制限食
【medina 2014年8月号(1)

食品交換表を用いた食事療法
 福井道明

medicina 51(8)1388-1392, 2014
pp1389

米国糖尿病学会(American Diabetes Association: ADA)のガイドラインでは、体重減少には低炭水化物または低脂肪のカロリー制限食が短期的には有効であり、そのほかにもエビデンスレベルは低いが、炭水化物のモニターの必要性、食物繊維の摂取の重要性、グリセミック指数(glycemic index: GI)とグリセミック負荷(glycemic load: GL)の有効性などについて記載されている.また、低炭水化物ダイエットを行う際には、 きちんとした血液モニターを行うことも求められている[3]。

炭水化物摂取について、最近の欧米のガイドラインでは炭水化物の摂取量をカロリー比で50(あるいは45)~60%としており、ランダム化比較試験 (randomized controlled trial: RCT)を解析した近年のEBMに基づく勧告では、55~65%が提案されている[4]。

3) Bantle JP, et al: Nutrition recommendations and interventions for diabetes: A position statement of the American Diabetes Association. Diabetes Care 31 (Supp1 1): S61-78, 2008

4) Pastors JG,et al: The evidence for the effectiveness of medical nutrition therapy in diabetesmanagement. Diabetes Care 25: 608-613, 2002
http://care.diabetesjournals.org/content/25/3/608.full


【medina 2014年8月号(2)

糖質制限食をどう提える?
山田 悟

medicina 51(8)1516-1519, 2014
pp1517

米国糖尿病学会も2013年に食事療法のガイドラインを改定した。そこでは「唯一無二の食事法は存在しない」「糖尿病患者における理想的な三大栄養素比率は存在しない」とし、科学的根拠のあるさまざまな食事療法を受容可能であるとした。そのなかに糖質制限食も含まれ、以前のガイドラインで糖質制限食に付記されていた年数制限や脂質プロファイル、腎機能のモニタリングの必要性といった記述をなくしている[4]。

一方、英国糖尿病学会は2011年に食事療法ガイドラインを改定し、「糖質制限食は議論を生んできたが、メタ解析やレビューがその血糖管理や体重減量に対する有効性を示しており、一選択肢として採用しよう」と呼びかけている[5]。

また、スウェーデンでは短期の肥満症治療法として、脂質制限食よりも糖質制限食がよいとされている[6]。こうして考えると、欧米では糖質制限食は糖尿病治療法として、あるいは肥満症治療法として完全に確立されていると言えよう.

4) Evert AB, et al: Nutritlon therapy recommendations for the management of adults with diabetes. Diabetes Care 36: 3821-3842, 2013

5) Dyson PA, et al: Diabetes UK evidence-basednutrition guidelines for the prevention and management of diabetes. Dlabet Med 28: 1282-1288, 2011

6) Swedish Council on Health Technology Assessment: Dietary treatment of obesity, 2013
http://www.sbu.se/upload/Publikationer/Content1/1/Diets_among_obese_individuals.pdf


【精神科医師A

medina 2014年8月号(3)

福井氏は、ADAの2008年の見解を引用しているが、山田氏は2013年10月のADA見解を引用している。

また福井氏は2002年のreviewを引用して「近年のEBM」などと称しているが、このreviewに引用されたRCT論文の最も新しいのは1999年であった。

「近年」とは全くの捏造で、「前世紀」が正しい。

山田氏は英国(2011)、スエーデン(2013)といった「近年」のガイドラインを引用している 】



こんにちは。

14/08/26 精神科医師A さんから上記のコメントをいただきました。
ありがとうございます。

medina (メディチーナ)は、ごく一般的な内科臨床誌で、ほとんどの病院においてあります。

まず、京都府立医大 内分泌・免疫内科学部門准教授 福井 道明氏の記述「食品交換表を用いた食事療法」は、精神科医師Aさんがご指摘のように、ADAの2008年の「栄養療法に関する声明」を引用していて、ADAの2013年の「栄養療法に関する声明」は無視しています。

これはいくら何でもおかしいですし、アンフェアですね。

自分にとって都合の悪い2013年の「栄養療法に関する声明」を、わざと隠蔽したといわれても仕方ありません。

次いで、北里研究所病院・糖尿病センター長、山田 悟氏の論考「糖質制限食をどう提える?」は、ADAの2013年の「栄養療法に関する声明」を引用しています。

最新の2013年の改訂では、ADAは「糖質制限食」も地中海食やベジタリアン食などと共に正式に受容しています。

山田氏の科学的な姿勢に対して、このように重要な事実を、福井氏が無視して公表しないのは、日本の糖尿病患者さんに対して、大変失礼なことと思うのは私だけでしょうか?

福井氏の引用する、前世紀の論文は置いておいて、山田氏の引用する、近年の論文(米国、英国、スウェーデン)によれば、

「欧米では糖質制限食は糖尿病治療法として、あるいは肥満症治療法として完全に確立されている。」

ことになるのは、明白と思われます。


江部康二

テーマ:糖質制限食
ジャンル:ヘルス・ダイエット
コメント
糖質制限否定派の記事
江部先生、このような記事を発見しました。
脳畜産業振興機構という独立行政法人のものですが、様々な論文を引用して糖質制限は良くないという主張です。
http://www.alic.go.jp/joho-s/joho07_000933.html

この記事を書いた医師は製糖工業会の顧問を勤めていた経歴を持っていたり、
自身のHP?(食と健康プロジェクト)で砂糖は血糖値をあまり上げない、などとセイゲニストにとって信じがたい事を述べています。
一方で、カロリー制限は糖尿病に適さない、むしろ食べ物の種類によるのだ、という様な(比較的進んだ)考えも持っているようです。

決して肥満だから糖尿病になりやすいのでは無い、というような部分は興味深く感じましたが、それ以外は納得いきません。
脳はブドウ糖しかエネルギー源にならないという反対派お馴染みの理論も述べています。
すこし糖質制限について調べてみれば、そのくらい違うとわかりそうなものですが!

ちなみに、この独立行政法人は「ブドウ糖は脳の唯一のエネルギー」「脳はブドウ糖しか使えない」ということを今まで幾度となく記事にしています。
指摘しても「一般向けにわかりやすく説明している」といって知らん顔です。
わかりやすさのために、生化学的事実を歪曲するのか!?と驚いています。
2014/08/27(Wed) 19:00 | URL | mina | 【編集
ちょっと気になる記事
【EU発!Breaking News】「肉中心の食事は認知症の原因にも」。英科学者がサイエンス誌に発表。

http://japan.techinsight.jp/2014/02/yokote2014022515220.html

こういうの見ると、肉食生活に不安を覚えます。まあ、1986~8年、アメリカ赴任中に牛肉が安かったのでタラフク食べてたころみたいには食べられなくなってますけれど。欧米人並に食べていたら、怖いものがあるよ、ってことでしょうか?
2014/08/27(Wed) 19:30 | URL | かやねずみ | 【編集
Re: 糖質制限否定派の記事
脳はグルコースしか使えないか?
アンチ・エイジング医学 Vol.7 No.2, 69-78, 2011

高田明和 / 太田成男

http://med.m-review.co.jp/magazine/detail1/J38_7_2_69-78.html
2014/08/27(Wed) 20:56 | URL | 精神科医師A | 【編集
血圧が下がりません
江部先生、
著書にてご紹介のありました糖質制限に取り組んで早1年。お陰様で10〜12キロほど体重が減り、随分と動きやすい体になったなぁという状況です。
ところが血圧だけ、以前のまま下がりません。上が150、下が110位の状態が続いています。
体重が減るだけでは、血圧を下げるにはまだ不十分ということでしょうか。それとも暫くすれば下がってくるものと(楽観的に)考えていて良いでしょうか。
アドバイス頂き度くお願い致します。
2014/08/27(Wed) 21:01 | URL | たな | 【編集
ピーナッツバターは無糖だったらOK食品でしょうか?
以前、コメントにて質問させていただいたtimeoutです。あのあと、「主食を抜けば~」の新版を購入して読み、やっと全体像がつかめました。おかげさまで完全植物性でもなんとか糖質制限できています。わかりやすい本と毎日の情報発信を、ありがとうございます。

表題の質問なのですが、そのご本の最後の表の中で、ピーナッツバターが避けたい食品に分類されていました。これは無糖であっても、でしょうか。それとも無糖タイプならば「ほどほどならOK」に格上げでしょうか。

そしてもしもナッツペーストが「避けたい」に分類されるとすれば、「適量ならOK]なごまは練りごまになったら糖質量アップで「避けたい」に分類されるのでしょうか。

お手すきの際にご回答いただけましたら幸いです。

先生の本はとても勉強になりました。今後もいろいろ読ませていただくのが楽しみです。
2014/08/27(Wed) 21:38 | URL | timeout | 【編集
Re: 糖質制限否定派の記事
mina さん

情報をありがとうございます。

著者の高田明和先生、
国立国際医療研究センターの能登氏の論文を引用してますね。
能登氏の歪曲論文をしっかり検証せずにそのまま信用すること自体、科学的な態度ではないですね。

「最後に脳と血糖の関係について述べる。脳はブドウ糖以外をエネルギー源として使うことができない。つまり、糖質を制限すると脳へのエネルギーが足りなくなるのだ。」
こんな大間違いを、堂々と述べておられるのは、無知としかいいようがなく、お気の毒です。
2014/08/27(Wed) 22:10 | URL | ドクター江部 | 【編集
Re: ちょっと気になる記事
かやねずみ さん

情報をありがとうございます。

肉中心の食事といっても、結局、普通に糖質(パン、ご飯、イモなど)を食べいる人における研究ですね。
スーパー糖質制限食実践者には関係のない研究といえます。

この研究、「糖化」もよくないとしていますね。
糖化は高血糖により生じるので、糖質摂取が良くないこととなります。

さらに、日本の「久山町研究」では、
肉食ではなく、白米摂取が多い人に認知症が多いことが報告されています。

2014/08/27(Wed) 22:21 | URL | ドクター江部 | 【編集
Re: 血圧が下がりません
たな さん

肥満が主たる原因での高血圧は、肥満が改善すれば、治ると思います。

しかし、両親とも高血圧であるとか、遺伝的素因が大きい場合は
体重が減るだけでは、高血圧は改善しない可能性があると思います。
2014/08/27(Wed) 22:24 | URL | ドクター江部 | 【編集
Re: ピーナッツバターは無糖だったらOK食品でしょうか?
timeout さん

拙著のご購入、ありがとうございます。

1)
ピーナッツバターは、100g中に14.7gの糖質ですので、基本的には糖質制限食NG食材です。
もっとも、10gをぬるなら、1.47gですので、許容範囲ですね。

2)
いりごまは、100g中に約6gの糖質です。適量ならOKです。
炭水化物は100g中に18.5gで、食物繊維が12.6gです。
乾燥ごま、いりごま、むきごま、成分はほとんど一緒です。

3)
練りごまも、いりごまも基本成分はほとんど同じと思います。

2014/08/27(Wed) 22:42 | URL | ドクター江部 | 【編集
Re: 糖質制限否定派の記事
論文を多数取り上げて、いかにも正しいですよ的な記事ですが、江部先生同様お気の毒としか言いようが。。。

その記事の本文中にある次の文章も・・・
---------------------------------
糖尿病という病気は血糖が高くなることは事実である。しかし、低糖質食を取れば糖尿病にならないということはない。では、糖尿病になっている患者にはどうだろうか。
表2に示すように糖尿病患者を極端に低血糖にすると、低血糖の症状がない場合には別に問題はないが、低血糖の症状(意識障害、けいれんなど)がある場合には死亡率が増している。
つまり、糖尿病の患者を極端に低血糖にすると死亡率は増加してしまうし、低血糖の悪い副作用も多く出るのである(Zaoungas,S.NEJM 363,1410,2010)。
このことは糖尿病の治療にも極端な低糖質摂取がよくないことを示している。つまり、血糖値をある程度維持することは健康な人にも糖尿病患者にも必要なのだ。
---------------------------------
何を根拠に「低糖質食を取れば糖尿病にならないということはない」なのでしょうか?理解に苦しみます。
そして「糖尿病の患者を極端に低血糖にすると死亡率は増加してしまうし、低血糖の悪い副作用も多く出る」、「このことは糖尿病の治療にも極端な低糖質摂取がよくないことを示している」とな?
糖質制限では低血糖になることは無い訳で、誤認も甚だしいものですね。
2014/08/28(Thu) 13:49 | URL | 福助 | 【編集
高田明和氏への反論
表2 ブドウ糖の極端な制限と通常の血糖制限の比較

N Engl J Med 2010; 363:1410-1418

http://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa1003795#t=article

 出典根拠とした論文の内容は、SU剤で血糖コントロールを厳格にした群と、そうでない群との比較である。糖質制限とは全く無関係である
2014/08/28(Thu) 21:57 | URL | 精神科医師A | 【編集
Re: Re: 糖質制限否定派の記事
福助 さん

同感です。

高田氏の記述
「低糖質食を取れば糖尿病にならないということはない」
には何の根拠も示していないですね。

「糖質を摂取して、インスリンやSU剤などを使用して、厳格に治療すると低血糖になりやすい」
ことは、ACCORD試験というエビデンスがあります。

「糖質制限して薬物なしなら低血糖のリスクはほとんどない」
「糖質制限すれば、食後高血糖はリアルタイムに改善するけれど、糖新生があるので低血糖にはならない」
ということを、
高田氏は理解されていないようで、無知としか言いようがありません。
2014/08/29(Fri) 11:24 | URL | ドクター江部 | 【編集
Re: 高田明和氏への反論
精神科医師A さん

コメントありがとうございます。
同感です。
2014/08/29(Fri) 11:27 | URL | ドクター江部 | 【編集
老人性イボが消えました
こんにちは、江部先生。初めまして。

当方アラフィフの主婦です。
今年始めの検診で、肥満、脂肪肝を指摘され、5月から、3食ごはん抜きのスーパー糖質制限食と、時々20gほどのスイーツあり、で、3か月後の現在、10キロ痩せることができました。
しかし、肥満で無いレベルまではあと10キロ、理想体重まではあと20キロ、と遠い道のりです。

ここのところ停滞期なので、食の内容を見直すべく、40代半ば(6年ほど前)に購入した先生の『糖質制限食 秋のレシピ』を読みかえし、糖質・たんぱく質・脂質の比率を見直しているところです。
また、両親の、1人が重篤な癌、1人がアルツハイマーを患っており、自分の今後の健康も不安なのですが、『炭水化物の食べすぎで、、、』のご著書を拝読し、今さらながらですが、糖質制限の重要性をひしひしと感じております。

体重は停滞していますが、体の変化で、喜ばしいことがありました。
足の魚の目の盛り上がりが無くなり、ほとんど消滅、首の回りにプチプチあった老人性イボが、消えたかのように縮んでいました。今までのザラザラした首筋が、今はサラサラです。
元々できモノ体質で、老化と思って諦めてたんですが、これには大喜びです。

先生のブログもずっと励みにしております。
お忙しい中、いつも新しい情報をありがとうございます。
先生、お体に気を付けて、これからも希望を与えて下さいね。
長文、失礼いたしました。
2014/08/30(Sat) 13:50 | URL | .あぷりこっとん | 【編集
Re: 老人性イボが消えました
.あぷりこっとん さん

拙著のご購入、ありがとうございます。

老人性疣贅が縮んだとは素晴らしいです。
体重は、直線的ではなくて、階段状に減ると思います。
2014/08/30(Sat) 15:54 | URL | ドクター江部 | 【編集
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