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糖質制限食英文論文、新潟労災、前川智先生。境界型が正常型に。
新刊のご案内です。



『炭水化物の食べすぎで早死にしてはいけません』
生活習慣病を予防&改善する糖質制限食31のポイント
江部康二著 東洋経済新報社
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こんにちは。

新潟労災病院消化器内科部長前川智先生から、教育入院時の摂取エネルギーが1300kcal/日と少なめになったことに関してご回答を頂きました。

前川先生、ありがとうございます。


【回答

我々は糖質120g/日を定めました。カロリーにはこだわらず、入院中も本来はもっとステーキなど豊富なおかずを提供したかったのですが、入院で定められた食事の算定額の範囲内でコスト面から、1300Kcalになりました。糖尿病食を含め、入院食は元来かなりごはんが多いと思います。米がおかずに比べると安価のため、おかず中心の食事はかなりお金がかかってしまうようです。自費診療で行うなら、もっとカロリー設定を高くしたと思います。

ただこれまで入院された約300人のほとんどが、食事の全体量に関して満足していました。確かにおかず中心の食事では、見た目もボリュームがあり、私自身も食べてみましたが、満足できる量でした。
2014/07/17(Thu) 08:03  前川 智 】


7日間の教育入院中は1300Kcalとし、退院後はカロリーや脂肪摂取は無制限で、 糖質摂取だけは120g/日以下としたのが、 低炭水化物ダイエット群(LCD群)と考えられます。

12ヶ月間の低炭水化物ダイエット(LCD)により、境界型糖尿病36名中25名(69.4%)が、OGTTで正常化したのは素晴らしい成果です。11名(30%)は境界型(IGT)のままで、糖尿病発症は0名(0%)でした。

対照群(普通食)36名中、3名(8%)が正常化で。28名(78%)は不変でIGTのままで、5名(14%)が糖尿病発症です。

糖質制限食の耐糖能改善効果と糖尿病発症予防効果が、普通食に比し、有意差をもって明確に確認されたわけで、我々糖質セイゲニストにおいて、大変喜ばしい結果です。

糖質制限食の耐糖能改善効果と糖尿病発症予防効果を示したこの研究は、私の知る限りでは世界で初めてと思います。


以前の本ブログ記事

2011年02月09日 (水)「糖質制限食で耐糖能低下?」
で、正常人において、前もって1週間、糖質制限食を実施した後、75g経口ブドウ糖負荷試験(OGTT)を行うと、耐糖能が悪化するというヒムスワースの研究(*)と耐糖能は悪化しないというウィルカーソンの研究(**)を紹介しました。

この2つの研究は、1週間という短期の糖質制限前後の75gOGTTです。

今回の、前川智先生のご研究は、12ヶ月間という長期の糖質制限食前後における75gOGTTの比較ですので、意義は大きいと思います。

また単なる個人の体験談ではなくて、境界型糖尿病72名を糖質制限群36名と対照群36名の2群にわけての研究ですので、数的にも信頼度的にも価値は高いです。


(*)
Himsworth HP. The dietetic factor determining the glucose tolerance and sensitivity to insulin of healthy men. Clin Sci 2, 67-94, 1935.

(**)
Wilkerson HLC, Hyman C, Kaufman M, McCuistion AC, Francis JO. Diagnostic evaluation of oral glucose tolerance tests in nondiabetic subjects after various levels of carbohydrate intake. N Engl J Med 262, 1047-1053, 1960.


江部康二



以下は、2014年07月01日 (火)の本ブログ記事です。

◇◇◇
糖質制限食に関する英文論文、PubMed掲載。新潟労災、前川智先生。
2014年07月01日 (火)

こんばんは。

新潟労災病院消化器内科部長前川智先生が書かれた

「耐糖能異常に対する低炭水化物食の効果に関する後ろ向き研究」

と題した英文論文がPubMedに掲載されました。

Diabetes, Metabolic syndrome, Obesity, Target and Therapy
というニュージーランドの英文雑誌です。
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4063858/  → ここで全文が閲覧可能です。

『糖質制限食が境界型糖尿病において、血糖コントロール及び2型糖尿病への進行を予防するのに有効である。』

という糖質セイゲニストにとって大変喜ばしい研究結果です。

『糖質制限症群の69.4%において、血糖値は12ヶ月で正常化し、経口ブドウ糖負荷試験(OGTT)において2時間の血漿グルコースレベルは、33mg/dl減少した。』


糖質制限食実践により、境界型糖尿病の耐糖能が改善していて、素晴らしい成果です。

前川先生は、新潟労災病院において糖質制限食をダイエットなどに導入しておられ、今回の研究は、2007年4月から2012年3月までの期間で行われました。

日本の研究者による糖質制限食の英文論文が、どんどん発表されていくといいですね。

前川智先生、貴重な研究報告をありがとうございます。


江部康二


☆☆☆
Diabetes Metab Syndr Obes. 2014; 7: 195–201.
Retrospective study on the efficacy of a low-carbohydrate diet for impaired glucose tolerance
Satoshi Maekawa,1 Tetsuya Kawahara,2 Ryosuke Nomura,1 Takayuki Murase,1 Yasuyoshi Ann,1 Masayuki Oeholm,1 and Masaru Harada3

「耐糖能異常に対する低炭水化物食の効果に関する後ろ向き研究」

要約

背景
近年では、耐糖能障害(IGT)を有する人の数は世界中で着実に増加している。糖尿病の予防は、公衆衛生、医療、経済学の観点から重要であることは明らかである。近年、低炭水化物食(LCD)は、体重​​減少及び血糖コントロール​​に有用であることが報告されたが、LCDのIGTへの効果についての情報は存在しない。私たちは、IGTに対するLCDに焦点を当てた7日間の院内教育プログラムを計画した。

方法
被験者は2007年4月から2012年3月までに登録され、12カ月間追跡したIGTの72人の患者(LCD群が36、対照群が36)であった。我々は、LCD群と対照群を後ろ向き調査により比較した。

結果
LCD群の69.4%において、血糖値は12ヶ月で正常化し、経口ブドウ糖負荷試験(OGTT)において2時間の血漿グルコースレベルは、33mg/dl減少した。また、糖尿病の発生率は、12ヶ月目に対照群よりLCD群において有意に低かった(0%対13.9%、P = 0.02)。LCD群は12ヶ月後に、HbA1c、空腹時血糖値、HOMA-R、体重、血清トリグリセリド(TG)の有意な減少を示した。一方HDLコレステロール値は有意な増加を示した。

結論
LCDは、IGTを有する患者において、血糖値を正常化し、2型糖尿病への進行を予防するのに有効である。

テーマ:糖質制限食
ジャンル:ヘルス・ダイエット
コメント
「治癒」の可能性!?
こんにちは

OGTTで正常値化という事であれば、糖尿病の進行をコントロールする域を超えて、治癒の可能性が見えたような気がするのですが・・・
腎や網膜などの合併症はさておき、少なくとも糖尿病本体は「不可逆」の閾値が変わる希望が見えます。
LCDの長期前向きコホート研究をなさっているドクター、参加した患者さん達に感謝です。
もっともっと、同様の研究が各所でなされる事を切に望んでおります。
2014/07/20(Sun) 20:45 | URL | 新糖生 | 【編集
岐阜大学/武田教授
 今だに1935年のHimsworthの論文に執着しています

 2011年2月9日のblogと読み比べてみれば、どちらが理論聡明かよくわかります

http://www.wound-treatment.jp/new-data/2014-0417/1.pdf
2014/07/20(Sun) 21:55 | URL | 精神科医師A | 【編集
Re: 「治癒」の可能性!?
新糖生 さん

境界型(IGT)の人達が、12ヶ月の糖質制限食実践で、
69.4%の人が正常型になったということは事実です。

一旦悪化した耐糖能が、糖質制限食で、膵臓のβ細胞を休養させることで、
改善して正常型に戻ったと言えますね。
2014/07/21(Mon) 10:46 | URL | ドクター江部 | 【編集
Re: 岐阜大学/武田教授
精神科医師A さん

岐阜大学の武田教授、
ウィルカーソンの論文はご覧になってないのでしょうか。
また
宗田先生の胎児のβヒドロキシ酪酸(ケトン体の一種)は1730μM/Lと、成人の基準値76以下の
20~30倍が基準であることもご存じないのでしょうか。
困ったもんです。
2014/07/21(Mon) 10:59 | URL | ドクター江部 | 【編集
江部先生!ご無沙汰しております。
漢方の効き目が見られなくなって、3ヶ月前はクレアチニンが4 でもシスタチンCが下がっていたので通院先からは、現状維持かな?というコメントをもらいました。その後、動物性タンパク質よりも植物性のほうが腎臓障害にいいという記事お見つけたので植物性しか食事ませんでしたが、一昨日の蓄尿検査でクレアチニンが5を超えたそうです。今回シスタチンはどうなっているかはわかりませんが、あす病院に行ってくるのでわかると思います。通院先から慌てて電話をもらい、近々腎障害3級の申請手続きを取るそうです。透析の心の準備もできております。家族ともよく話し合っています。自分なりにやるだけやったと思います。やるだけやったので、後悔はありません。
江部先生には、メールでも診察の際でも私の相談や質問に親身になってくださりありがとうございました。漢方薬の味はいい思い出になりました。また、高雄病院でも京都診療所でも看護師さんや受付の方々にも、親切にしていただきました。本当にありがとうございました。
最後に、最近もヘモグロビンA1cはどんぶり飯を食っても4~4.5を維持しています。(*゚▽゚*)
暑さが増すと思いますので、皆様・・・ご自愛ください。
追伸 私の不調のせいかどうかわかりませんが、高2の娘は大学の看護科を目指して、今までになく勉強をしています。娘には今回の病気の件では、病気に関しては諦めずにできる限りのことをする!高速バスで京都往復したことは父親として娘に何かを教えられたと思います。余計な話しでした。すいません。以上
2014/07/21(Mon) 14:15 | URL | たこ焼き頭 茨城の患者 7302 | 【編集
Re: タイトルなし
たこ焼き頭 さん

お久しぶりです。

漢方の煎じ薬がいったん効果があったのですが、その効果が持続せずに、残念でした。
数年以上効果が持続している人もおられるのですが、
半年~1年で再びクレアチニン値が上昇というケースもあります。
今後どのように勉強したらいのか、課題です。

2014/07/21(Mon) 14:35 | URL | ドクター江部 | 【編集
嬉しいです
いつも糖尿病の最新情報を教えてくださってありがとうございます。

糖尿病といわれ、江部先生のご本を拝読し糖質オフを心がけていましたが、ネットで見つけたヒムスワースさんの、先生とは真逆の「炭水化物をとらないと耐糖性が悪くなる」というデータと説がどこか頭でひっかかっていました。
でも今回の12カ月後の「耐糖性が良くなった」結果を知りお陰さまで迷いを吹っ切ることが出来ました。

あと、私は食後30分~60分後に愛犬と早足でお散歩すると血糖値が30~40下がることがわかりました。ご飯やパンを食べてしまったときは運動で調整してます。
散歩して図ったら、104でした。
この数値は、次にご飯を食べるまではこれ以上は上がらないと思っていて大丈夫でしょうか?
2014/07/21(Mon) 23:21 | URL | 海ぶどう | 【編集
Re: 嬉しいです
海ぶどう さん

前川智先生のご研究は、

1)糖質制限食群36名
2)対照(普通食)群36名
3)12ヶ月間という長期の実施後のデータ

1)2)3)により、信頼度の高いものです。
私もおおいに安心し、心強いです。

運動後で血糖が下がったあとは通常はそのまま大丈夫です。
運動効果には個人差があるので、時に再上昇する人もありえます。

2014/07/23(Wed) 08:09 | URL | ドクター江部 | 【編集
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