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メトホルミン不応例への二次治療,優先すべきはインスリンかSU薬か
こんにちは。

MT Pro に

「メトホルミン不応例への二次治療,優先すべきはインスリンかSU薬か」

という記事が掲載されました。

欧米では、2型糖尿病治療の第一選択剤は、メトホルミンです。

今回のJAMAに発表された米国の研究は、メトホルミン単独治療では、血糖管理が不良であった症例に追加治療として
「メトホルミン+SU剤」か「メトホルミン+インスリン注射」のどちらかを実施して、両グループの総死亡のリスクなどを観察したものです。

研究者は「メトホルミンへのインスリン追加による強化治療が、SU薬による同治療に比べ心血管疾患や死亡までのリスクを低下させるとの仮説」に基づき検討を行ったのですが、結果は、逆になりました。

即ちインスリン追加強化治療グループの方が、SU剤追加グループより総死亡率が優位な上昇を示したのです。

米国では、

「メトホルミンへのインスリン追加による強化治療が、SU薬による同治療に比べ心血管疾患や死亡までのリスクを低下させるとの仮説」

や、膵β細胞の機能保持を期待して、インスリン治療を導入する医師が増えていたので、この傾向に冷や水を浴びせる結果となりました。

今回の研究の結果を見ると、2008年の「ACCORD」試験を思い起こします。

インスリン治療やSU剤で強化治療をして、HbA1cを厳格に6.0%を目指したグループと通常治療でHbA1c7.5%を目指したグループの比較で、強化治療群の方が有意差をもって総死亡率が上昇したのです。

5年間予定の研究が総死亡率上昇のため3.4年目で緊急中止になったのですが、中止時の平均HbA1cは厳格血糖管理群6.4%、通常血糖管理群7.5%でした。

HbA1cは良かったのに総死亡率が上昇した理由として、「低血糖の増加、体重増加、血糖変動幅増大」などが問題とされました。

結局糖質を普通に摂取しながら、厳格に薬物治療を実施すると、かえって総死亡率が上昇するという信頼度の高いエビデンスが出た訳です。

今回の研究も、同様の理由が考えられます。

つまりインスリン治療のほうが、SU剤より、「低血糖の増加、体重増加、血糖変動幅増大」を生じやすかった可能性があります。

やはり、普通に糖質を食べながら、インスリンなどで強化治療すると、総死亡率においてリスクとなるという新たなエビデンスの一つと考えられます。

SU剤も「低血糖の増加、体重増加、血糖変動幅増大」を生じて、禁止した方がいい薬なのですが、「糖質摂取量とのマッチングの悪いインスリン注射」の方が、さらに危険ということのようです。



江部康二




☆☆☆
MT Pro 記事から一部転載
http://mtpro.medical-tribune.co.jp/mtpronews/1406/1406052.html

【2014年6月16日
メトホルミン不応例への二次治療,優先すべきはインスリンかSU薬か
米の傾向スコアマッチングによる後ろ向き研究
 米Veterans Health Administration–Tennessee Valley Healthcare System Geriatric Research Education Clinical CenterのChristianne L. Roumie氏らは,メトホルミン単剤の一次治療による血糖管理不良例に対する二次治療としてメトホルミンにSU薬,インスリンのどちらを先に追加すべきかを検討。その結果をJAMA(2014; 311: 2288-2296)に報告した。退役軍人健康庁(VHA)データベースなどに基づき,2001~08年にメトホルミン単独投与を受けていた17万8,341例から,その後インスリンまたはSU薬の追加処方を受けていた患者を抽出。傾向スコアマッチングによる急性心筋梗塞(AMI),脳卒中または死亡リスクを比較した。

早急かつ柔軟な血糖管理から増えるインスリン早期導入

 米国糖尿病学会(ADA)のガイドラインでは,一次治療のメトホルミンによる単独治療で3カ月以内に良好な血糖管理(多くの場合,HbA1c7%未満が基準)が得られなかった患者への二次的な強化治療としてSU薬,インスリンの他,チアゾリジン系薬,DPP-4阻害薬,GLP-1受容体拮抗薬が同列に示されている(関連記事)。二次治療として,どの薬剤を先行して使用すべきかについては現時点で一致した見解はないとRoumie氏ら。早急かつ柔軟な血糖管理が可能としてインスリンを使用することがあるが,現時点で早期インスリン治療が膵β細胞の機能保持に有効との報告が数件あり,メトホルミンとの早期併用療法を行う医師は増えている。しかし,患者からは自己注射の難しさや体重増加,低血糖への懸念から,インスリン導入を遅らせて欲しいとしばしば要望があると日常臨床上の問題を指摘する。同氏らはメトホルミンへのインスリン追加による強化治療が,SU薬による同治療に比べ心血管疾患や死亡までのリスクを低下させるとの仮説に基づき検討を行った。

傾向スコアマッチングによるインスリン追加群2,436例,SU薬追加群1万2,180例を比較

 VHAやメディケア,メディケイドに登録され,2年以上の定期治療歴のあった18歳以上の成人のうち,2001~08年にメトホルミンの使用を開始した患者17万8,341例を抽出。このうち,引き続きインスリンまたはSU薬の追加による強化治療を受けていた患者について,インスリンまたはSU薬追加による2011年9月までのAMI,脳卒中による入院あるいは全死亡のリスクを比較した。

 対象期間にメトホルミン単独治療を受けていた17万8,341例のうち,2,948例がインスリンを,3万9,990例がSU薬による強化療法を受けていた。心血管予後や全死亡に関連する背景因子を調整した傾向スコアマッチングによるサブコホートはインスリン追加群2,436例,SU薬追加群1万2,180例。

インスリン追加群で複合心血管疾患+全死亡リスクが有意に上昇,心血管疾患+心血管死リスクは上昇せず

 強化療法開始までのメトホルミン単独使用期間の中央値は14カ月(IQR 5~30),HbA1c中央値は8.1%(同7.2~9.9%),強化療法以降の追跡期間中央値は14カ月(同6~29カ月)であった。

 追跡期間におけるAMI+脳卒中+全死亡発生件数は,SU薬追加群の634件に対しインスリン追加群では172件。SU薬追加群に対するインスリン追加群の複合心血管疾患+全死亡の調整後ハザード比(HR)は1.30(95%CI 1.07~1.58,P=0.009)と有意に上昇。一方,二次評価項目のAMI+脳卒中のHRは0.88(同0.59~1.30,P=0.52)であったが,全死亡のHRは1.44(同1.15~1.79,P=0.001)と有意な上昇を示した。

 なお,AMI+脳卒中あるいは心血管疾患死の複合イベントのHRは0.98(同0.71~1.34,P=0.87)と有意な上昇は見られなかった。

 Roumie氏らは,メトホルミンにインスリンを加えた強化療法がSU薬追加の場合に比べ,非致死性心血管疾患と全死亡のリスク上昇に関連していたと結論。インスリン使用患者における複合イベントリスクの上昇について詳しい検討が必要な他,現行GLで推奨されている経口薬による管理が可能な症例に対し,SU薬と同等にインスリンを推奨する妥当性の検討も必要と述べた。

(坂口 恵) 】




テーマ:糖尿病
ジャンル:ヘルス・ダイエット
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