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「食事は糖質制限?、カロリー制限?」日本抗加齢医学会総会ワークショップ
こんにちは。

2014.6.7(土)大阪国際会議場で、第14回日本抗加齢医学会総会が開催されました。

私も

「食事は糖質制限?、カロリー制限?」

と題した、ワークショップに演者として参加しました。


クリニカルWS2第2会場 「食事は糖質制限?、カロリー制限?」
2014.6.7(土)15:00-16:00
CWS2-C1 座長 1 板東 浩 きたじま田岡病院/徳島大学
CWS2-C2 座長 2 中村 巧 中村整形外科リハビリクリニック整形外科
CWS2-1 演者 1 江部 康二 高雄病院
CWS2-2 演者 2 櫻井 かほる 抗加齢医学研究所ベストエイジング
CWS2-3 演者 3 石橋 幸滋 石橋クリニック
CWS2-4 演者 4 板東 浩 きたじま田岡病院/徳島大学


1)江部康二
糖質制限食の基礎理論・有効性と安全性  

2)櫻井かほる 
糖質制限食と魅力的な運動療法によるメタボ・ロコモ対策の実践

3)石橋幸滋 
プライマリ・ケアの現場で生かす糖質制限、カロリー制限 

4)板東浩 
カロリー制限の特徴と今後の活用

5)総合討論


300人収容の会場が満員となり、立ち見もでる大盛況でした。

私は、基礎理論・有効性と安全性をエビデンスに基づきお話ししました。

トピックスとして

A)
米国糖尿病学会が、2013年10月の「栄養療法に関する声明」において、糖質制限食も正式に受容したこと。
B)
胎児の胎盤のβヒドロキシ酪酸値が1730μM/L、
新生児のβヒドロキシ酪酸値が240μM/L、
と成人の基準値(76μM/L以下)よりはるかに高値(2014年1月第17回日本病態栄養学会年次学術集会で、宗田哲男先生発表)であること。

を紹介しました。

そして、 βヒドロキシ酪酸(ケトン体)は、胎児・新生児においては現行の基準値よりはるかに高値であることが生理的であり、重要なエネルギー源となっていて、インスリン作用がある限り、当然安全性も極めて高いということを強調しました。

櫻井先生は、「糖質制限食+運動療法」で、メタボ・ロコモが改善というお話をされ、高齢者が座ったままでできる運動療法を紹介されました。会場参加者も実技の練習に参加しました。

石橋先生は、本ワークショップのために2週間、糖質制限食を実践し、2kgの減量に成功されました。先生は甘党なので、このまま続けるのはつらいとのことでした。

体験を通して、糖質制限食が合う人と会わない人、カロリー制限食が合う人合わない人が現実にいるので、そこをうまく振り分けていきたいと、実践的なお話でした。

坂東先生は、日本におけるカロリー制限食の歴史的な流れと、日本糖尿病学会の糖質制限食に対するスタンスの変遷を話されました。

米国糖尿病学会が糖質制限食を受容したことも紹介され、今後数年で、日本においても糖質制限食が受容されるとの展望を述べられました。

総合討論でも質問が相次ぎ、時間切れとなりました。

仕方ないので会場の外で、糖質制限な質問に応じていたら、40分間が経過していました。

大変な熱気溢れる、糖質制限ワークショップとなりました。


江部康二


テーマ:糖質制限食
ジャンル:ヘルス・ダイエット
コメント
これまでの結果です。参考になればさいわいです
 江部先生こんにちは。3月28日にコメントを書かせていただいたものです。前回は実名でしたが今後は仮名で書かせていただきます。
現在54歳です。
昨年11月にHbA1cが14.5になり急ぎ先生の本を購入しとにかく頭に叩き込んで糖質制限を行ってきました。
定期健診でない11月に血液検査をしたのは、急激に痩せたことを久しぶりに会った母親と、血圧の薬を月に一度貰う調剤薬局の先生に指摘されたからです。
先生のご著書を参考にさせていただき、お昼の弁当の玄米以外は極力糖質の少ないものを、パンやラーメンも糖質制限のものを購入して先生のご著書に近づけるべく実践を続けております。
以下の一覧は、経緯でございます。
25年3月からの数値です。
25年3月と26年3月はいずれも会社の定期健診です。
25年にはメタボリックであり、動脈硬化指数3.0、体重82キロ、26年3月はメタボ脱出、動脈硬化指数1.8、体重71でした。現在の体重は68キロです。

      25.3  25.11  25.12  26.3  26.5
γGT    273   135  81   73   62
中性脂肪   379   280  94 138   109
血糖     220   303 121 103   99
HbA1c  7.5   14.5 9.9 5.9   6.0

先ほど5月31日の検査結果を受け取ってきました。私の主治医の先生、看護師さんも驚かれております。
先生のこのブログをご覧になっていらっしゃる方々へ少しでも参考になれば幸いです。
2014/06/08(Sun) 21:21 | URL | gansa | 【編集
歯周病と血糖値
こんにちは。
本日の国会中継を見ていると、民主党の歯科医師の方が質疑に立っていまして、歯や口腔ケアと健康について質問しているようでした。
するとその民主党の方曰く、「歯周病を治療すると血糖値コントロールもやりやすくなる」とのことでした。
しかし私は(糖質制限で)血糖値を下げると歯周病が改善する、という方が正しいのではと思うのですが・・・。

と、言いますのも私自身は糖質制限を始めて以来明らかに口内環境が改善して、歯茎も腫れと赤黒さが引いて非常に良好な状態にあるからです。歯垢も減りました。

夏井先生のサイトでも、糖質制限をしたら明らかに歯周病の治療に有益だったとの書き込みがあったような気がします。
もし歯周病治療が血糖コントロールを助けるとしても、そのままでは歯周病になりやすい環境は続くように思いますから、どのくらい意味があるのか?と思ってしまいます。先生はいかが思いますか。
2014/06/09(Mon) 13:33 | URL | mina | 【編集
Re: 歯周病と血糖値
mina さん

糖尿病ネットワークの記事
「糖尿病で歯周病が増える理由、歯周病で血糖値が上がる理由」
http://www.dm-net.co.jp/okuti/2004/02/002.php

をご参照ください。

ともあれ
スーパー糖質制限食なら、血糖値は改善しますし、
プラークが激減するので、歯周症も改善します。
2014/06/09(Mon) 16:41 | URL | ドクター江部 | 【編集
Re: これまでの結果です。参考になればさいわいです
gansa さん

拙著のご購入、ありがとうございます。

血糖値、γGTP、中性脂肪、HbA1c・・・
いずれも見事な改善ですね。
大変参考になります。

良かったです。
2014/06/09(Mon) 16:45 | URL | ドクター江部 | 【編集
断食時のケトン濃度
江部先生

抗加齢医学会ワークショップでCKD患者の糖質制限に関して質問させていただいた者です。
学会お疲れ様でした。

江部先生や坂東先生、山田先生のご講演を拝聴し、学会終了の夜から糖質制限を始めました。

さて、血中ケトン濃度の件ですが、私は定期的に7日間程度の断食を行っております。この間は水しか口にしません。

ケトン体(βヒドロキシ酪酸)の濃度は最終食事から40時間後に400μMに上昇し、88時間後に1400μM、以降7日目まで1300~1600μMで推移しました。

断食開始5日目に13キロのウォーキングをした直後は3600μMに急上昇しましたが翌日には1600μMに戻りました。

ケトアシドーシスを(必要以上に)恐れていたのですが、「インスリン作用が働いていれば大丈夫」という江部先生のお言葉に大変勇気づけられました。

ありがとうございました。
2014/06/11(Wed) 10:42 | URL | higuchi | 【編集
Re: 断食時のケトン濃度
higuchi  さん

7日間、水だけの本断食とはすごいです。
私は、甲田先生のすまし汁断食3日間くらいを10回以上、3日間の本断食を1回しました。

胎児の胎盤絨毛間液のβヒドロキシ酪酸濃度ですが、
宗田先生58検体で、1730μM/L
それから検体が増加して
100検体で、2000μM/Lです。
インスリン作用がある限りは、ケトン体は安全です。

2014/06/11(Wed) 22:57 | URL | ドクター江部 | 【編集
higuchi様のコメントを読んで、あつかましいかもと思いながら質問させていただきます。

糖質制限(1日糖質摂取量30~70g程度)を初めて3年になる40代女性です。江部先生の講演もお聞きしております。私自身は血液データに異常はないのですが、数々あった不定愁訴がなくなり、肌質、髪質がよくなり、30代よりも元気になりました。

糖質制限を始める前に3日間の本断食を数回行ったことがあります。そのときの復食は、甲田式や西式を参考に、重湯や玄米スープ、寒天黒糖ゼリーなどでした。
これらのメニューは高糖質です。現在、肉や魚、ナッツ、葉物野菜をしっかりいただいているので、「仮に、また断食したら何を復食にしたらいいのかしら。肉や魚、ナッツなどをごく少量、よくよく噛んでとったらいいのかな。油の種類なども気をつけて摂るのかな」と漠然と考えておりました。

断食をしたあとのすがすがしさや、体調改善などを覚えておりますし、また断食をしたいが復食の方針が定まらないなあ、と思っていた矢先にhiguchi様のコメントを読みました。

江部先生も断食をなさったことがあるとのこと、以前のブログでも読みました。

断食は復食が一番難しいと思っております。

よろしければ、復食をどのようなメニューになさっているのか、分量などの方針等お聞かせいただけないでしょうか。お願いします。
2014/06/12(Thu) 22:32 | URL | おおまる | 【編集
Re: タイトルなし
おおまる さん

高雄病院では、今でも時々、絶食療法(断食療法)を行っています。
最近は、糖質制限な断食を実践していて、経過も楽で、患者さんの評判がいいです。
一度記事にして、メニューを公開す。
2014/06/13(Fri) 08:42 | URL | ドクター江部 | 【編集
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