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第57回日本糖尿病学会学術総会(2014年)の総括
こんにちは。

第57回日本糖尿病学会学術総会(2014年5月22日~24日)ですが、糖質制限食的には、デューク大学のYancy氏や、北里研究所病院山田悟氏の講演もあり、大変有意義なものと思われました。

一方、3日間を通して、米国糖尿病学会2013年10月の「成人糖尿病患者の食事療法に関する声明」に関して、糖尿病学会としての見解はなしでした。

ADAの「成人糖尿病患者の食事療法に関する声明」は、以下に示すように、画期的な内容でした。

そして、それは日本糖尿病学会の唯一推奨する「エネルギー制限食」とは、全く異なるもので、痛烈な批判となっています。

日本糖尿病学会は、この声明に対して、賛成でも反対でも中立でもいいので、根拠を提示して何らかの見解を示す義務があると思います。

少なくとも1)2)3)4)に関して、自分たちの立場と違うからといって、無視したり、隠蔽したり、逃げるのではなく、日本糖尿病学会としての見解を発表するくらいの矜持を持って欲しいと思います。


江部康二


☆☆☆
米国糖尿病学会が2008年以来5年ぶりに、成人糖尿病患者の食事療法に関する声明(Position Statement on Nutrition Therapy)を改訂したと発表。(Diabetes Care 2013年10月9日オンライン版)。

1)
今回の声明では、全ての糖尿病患者に適した“one-size-fits-all(唯一無二の)”食事パターンは存在しないとの見解を表明しました。

そして、患者ごとにさまざまな食事パターン〔地中海食,ベジタリアン食,糖質制限食,低脂質食,DASH(Dietary Approaches to Stop Hypertension)食〕が受容可能であるとしています。

糖質制限食もちゃんと認められています。

そして、日本糖尿病学会推奨の「唯一無二のエネルギー制限食」に対する痛烈な批判となっています。

2)
主要栄養素の最適な混合の項目で、

「全ての糖尿病患者に最適な炭水化物(C)、蛋白質(P)、脂質(F)における理想的な比率を示唆するエビデンスはない。」

ということを、ランク(B)としています。

3)
注目の炭水化物の項目では、

【・糖尿病患者における炭水化物の理想的な摂取量については結論が得られていないため、各患者と協議した目標を設定すべきである。(C)

・炭水化物の摂取量とインスリン使用は食後のインスリン反応に最も影響を与える可能性があるため、食事療法の計画を立てる上で考慮されるべきである。(A)

・炭水化物摂取をモニタリングを、カーボカウントで行うか、あるいは経験に基づく推測で実施するかは、依然として血糖管理の改善における重要な戦略である。(A)

・健康を考慮し、炭水化物は、特に脂肪・砂糖・ナトリウムが添加された食品からよりも、野菜、果物、全粒、豆、乳製品からより多く摂取することを勧めるべきである。(A)】

と明快です。

蛋白質:脂質:炭水化物のPFCバランスに関しては、エビデンスなしです。

炭水化物に関して、理想的な摂取量については、結論が得られていないということです。

一方、炭水化物摂取量の考慮、炭水化物摂取モニタリングはランク(A)で推奨しており、「炭水化物だけが、血糖値に変わる」という知識が医学界に周知されていることが前提になっていると思われます。

4)
あと興味深いのは<蛋白質>の項目です。

『糖尿病腎症の所見のない糖尿病患者では、最適な血糖コントロール、あるいは、心血管疾患リスクの改善のための理想的な蛋白質摂取量に関しては、これを推奨するに足る十分なエビデンスは存在しない。したがって、目標は個別化されなければならない。C』

『糖尿病腎症(微量アルブミン尿、および、顕性蛋白尿)を有する糖尿病患者では、通常の摂取量以下に蛋白質摂取量を減量することは、血糖状態、心血管リスク、あるいは、糸球体ろ過率低下の経過に変化を与えないので、推奨されない。A』

糖尿病腎症のない糖尿病患者での理想的な蛋白質摂取量のエビデンスは存在しないと断定しています。

さらに踏み込んで、糖尿病腎症を有する患者においても、「蛋白質制限は推奨しない」とランクAで断定しています。

日本糖尿病学会とはえらい差です。


*エビデンスの格付けの定義
A:質の高いRCTに基づく明確なエビデンス
B:質の高いコホート研究に基づく補助的エビデンス
C:質の高くない研究に基づく補助的エビデンス
E:専門家のコンセンサスまたは臨床経験


テーマ:糖尿病
ジャンル:ヘルス・ダイエット
コメント
始めまして 昨日から糖質制限と湿潤治療の対談単行本を読ませていただいています。

糖質制限でえたもの(私の体験から)
私:61歳、男 身長163cm、体重68kg

10年ほど前から限界糖尿の疑いあり、注意のこと、と人間ドックで言われていました
3年前にA1cが7.6に上がり、治療を言われましたが、治療することなく自然食でごまかしていました。A1cは6程度に下がり(自然食の効果?)ましたが、昨年夏から、やたらと甘いものがほしくなり、甘いものを随分食べたり飲んだりしており、11月中旬、手足がつり水をほしがる体になって、これはオカシイと検査。空腹時の血糖値が460、A1cは10.8、驚く数値でした。

驚いた医者も入院先の話までしましたが、少し時間をいただき、糖質制限の方法を知って、早速実行。
1月には血糖値は140まで落ち、A1cは変化なしでした。それでも継続して、3月末には血糖値93、A1c5.6とごく普通に戻っていました。
5月末には、そのままで、何と肝機能まで、ドコモ以上なくなりました。

医者もあまり無理をしないようにとのことです。が継続しています。
私の食生活は、糖質ゼロではなく、全量玄米、野菜たっぷり程度で、肉いつものように、酒は糖質に気を付けるだけで、量は気にしていません。

糖質の取りすぎだったのかと、思いましたが、61歳になっていますので、このまま制限を継続していきます。
ありがとうございました。
2014/05/29(Thu) 13:03 | URL | 坂口 昇一 | 【編集
受験当日の糖質摂取
江部先生はじめまして。
自分は半年間厳格な糖質制限食を実践しています。普段の生活は全然問題なしでしたが、これから大学入試やいろんな試験があって、受験当日も、普段みたいな朝ご飯抜きで、糖質制限食でいいのですか?バナナやチョコレートなどの糖質高い物を試験前に摂取すると点数が上がると言うデータを見ましたが、自分の場合はやっぱりバナナなどを食べると逆効果になりますか?
ご回答いただけましたら幸いです。
2014/05/29(Thu) 17:55 | URL |  | 【編集
夏井先生と大前研一さんとの接点
 いよいよ、夏井先生と大前研一さんとの接点が出てきました。

 これからは、アグレッシブなビジネスマンに「糖質制限」は必須条件となるでしょう。



http://r34.smp.ne.jp/u/No/879014/EJnJA4H7ci0D_96342/1405300060.html

☆☆━ 治療界のイノベーター夏井医師が健康管理の真相を語る! ━☆☆
 
『 夏井睦先生の『炭水化物が人類を滅ぼす』セミナー 』
~「糖質制限」から見えてくる「常識(当たり前)」の罠!~

◇ 日程:6月13日(金)19:00~21:00 ◇ 参加料:4,000円(税別)
2014/05/30(Fri) 10:38 | URL | ライフワーク光野 | 【編集
Re: タイトルなし
坂口 昇一 さん

「医療の巨大転換を加速する」糖質制限食と湿潤療法のインパクト
 2013年(東洋経済新報社) 夏井睦先生との対談本


ご購入、ありがとうございます。
今の食事で劇的改善ですので、このまま美味しく楽しく続けられたらよいと思います。
2014/05/30(Fri) 20:00 | URL | ドクター江部 | 【編集
Re: 受験当日の糖質摂取
受験生さん

スーパー糖質制限食で、受験の時も問題ないです。

糖質を食べると眠たくなります。

普段通りのスーパー糖質制限食でOKです。
2014/05/30(Fri) 20:05 | URL | ドクター江部 | 【編集
Re: 夏井先生と大前研一さんとの接点
ライフワーク光野 さん

情報をありがとうございます。
夏井先生、八面六臂のご活躍ですね。
2014/05/30(Fri) 20:08 | URL | ドクター江部 | 【編集
日本糖尿病学会年次学術集会理事長声明
http://dm-rg.net/news/2014/05/014610.html

日本糖尿病学会アクションプラン「DREAMS」で糖尿病解決先進国を目指す
2014年5月28日
 第57回日本糖尿病学会年次学術集会が、5月22日~24日に大阪国際会議場などで開催された。日本糖尿病学会理事長の門脇孝氏は、2010年に提唱した「DREAMS」の直近の2年間の活動を理事長声明で発表し、「糖尿病臨床と研究のさらなる発展」を実現し、「糖尿病解決先進国を目指す」と呼びかけた。

 「第2次対糖尿病戦略5ヵ年計画」にもとづく日本糖尿病学会のアクションプランである「DREAMS」では、具体的な目標が掲げられている。次の6項目の頭文字をとり「DREAMS」と命名された。
(1)糖尿病の早期診断・早期治療体制の構築(Diagnosis and Care)
(2)研究の推進と人材の育成(Research to Cure)
(3)エビデンスの構築と普及(Evidence for Optimum Care)
(4)国際連携(Alliance for Diabetes)
(5)糖尿病予防(Mentoring Program for Prevention)
(6)糖尿病の抑制(Stop the DM)
 このうち早期診断・早期治療体制の構築(D)としては、HbA1c値と血糖値による1回の検査で診断を可能にした診断基準の改訂、HbA1c測定値の国際標準化(NGSP値への統一)、合併症予防のための多くの糖尿病患者における血糖管理目標値をHbA1c7%未満とし、Patient-centered approachを強調した血糖コントロール目標の改訂(6%未満、7%未満、8%未満の3段階)、熊本宣言2013(「Keep your A1c below 7%」)による啓発活動などを行った。

 研究事業(R)と人材の育成としては、アンケート調査による日本人糖尿病の死因に関する研究、糖尿病治療に関連した重症低血糖の調査研究、膵・膵島移植に関する調査研究などを計画していり。また、日本癌学会と共同で「糖尿病と癌に関する委員会」(委員長:春日雅人氏)を立ち上げ、「アンケート調査による日本人糖尿病の死因に関する研究委員会」(委員長:中村二郎氏)では2000~2010年に3万6243例の患者が登録され、近くその集計結果が発表される。

 「東日本大震災から見た災害時の糖尿病医療体制構築のための調査研究」(委員長:佐藤謙氏)からは今年3月、『糖尿病医療者のための災害時糖尿病診療マニュアル』が刊行された。「食事療法に関する委員会」(委員長:宇都宮一典氏)からは食事療法に関する日本糖尿病学会の提言を行い、適正な食事療法の普及を促した。

 一方で、この5年間で米国の循環器専門誌への論文投稿が半減しており、日本の研究力の低下を危惧する声が上がっている。これを受けて、米国糖尿病学会の「Diabetes」および「Diabetes Care」について、日本からの論文投稿数の推移を調査した。その結果、投稿論文数はむしろ増加傾向にあり、直接的には研究力の低下が危惧される事態にはないことが確認された。だが基礎研究は増加している一方で、臨床研究の論文は増えていないので、若手研究奨励賞(YIA)の臨床研究については応募年齢の上限を41歳未満に引き上げるなどの対策を行うことにした。

 さらに、DPP-4阻害薬やSGLT-2阻害薬が多数発売されているのを受け、疫学研究や臨床研究に関する倫理指針の遵守がますます求められるようになった。これを受けて、会員の研究活動に係る倫理行動規範の具体的指針としてのQ&Aを、学会のウェブサイトで公開する予定だという。

 これ以外にも、医薬品医療機器総合機構(PMDA)との連携を重視し、例えばSGLT-2阻害薬では65歳以上の患者では全例調査を行いエビデンスを集積し安全性を確認するなどの対策を行う。さらに、女性研究者・専門医の育成(糖尿病専門医の26%が女性会員が占める)や、内科のサブスペシャリティーとしての糖尿病専門医の臨床研修体制の強化を推進する。昨年11月に京都で開催された第9回国際糖尿病連合西太平洋地区会議(会長:清野裕氏)などの国際連携活動を通じて、日本を含むアジア地域の糖尿病の特性を明らかにし、効果的な治療法・予防法の確立を目指す。

 これらの活動によって、ここ数年の糖尿病の血糖コントロールは改善傾向にあり、糖尿病予備群数がはじめて減少に転じ、糖尿病腎症が原因の透析導入患者の増加傾向がこの数年で抑えられているなど成果があらわれているが、合併症予防の観点からはまだ十分ではなく課題が残されているとした。

 そのため、今後は「Breaking up with Diabetes(糖尿病のない世界を目指す)」を目標とすべきとした。糖尿病患者の健康寿命やQOLを改善し人生を謳歌できるようにする糖尿病臨床と研究の開発や社会基盤の整備に加えて、根本的な糖尿病の予防・治療法まで視野に入れる。患者の体質や遺伝的背景にもとづく個別化医療に加え、膵臓・膵島移植やIPS細胞による再生医療なども推進していく必要があるとしている。

***********************

門脇 氏は、どこに向かってアクションを起こすのでしょう?

「糖質が血糖値を上げること」「糖質制限食が有効であること」の認識なしに、「極端な糖質制限は危険。炭水化物の摂取40%以下はあぶない・・」などといい続けるようでは、未来へのアクションにはなりえません。

 能登洋 氏も、ずさんなレポートを撤回すべきでしょう。

2014/06/07(Sat) 18:02 | URL | わんわんこと長谷川清久 | 【編集
Re: 日本糖尿病学会年次学術集会理事長声明
長谷川さん

情報をありがとうございます。
2014/06/07(Sat) 18:46 | URL | ドクター江部 | 【編集
糖質制限食に対する偏見
初めてコメントさせて頂きます

自分は4月中旬に 糖尿病性ケトアシドーシス発症(1200mg/dl)で救急搬送→劇症型Ⅰ型糖尿病 5月に退院しました いきなりの糖尿病 自己注射 血糖測定 食べ物制限等かなり受け入れるのが辛いですが 生きていてよかったと 受け入れざるを得ないと思っております

退院後 糖尿人は自分でコントロールしかないと思いネットで調べ先生の所にたどり着きました  書籍の方も購入させて頂き勉強させて頂きました パーフェクトガイドはすごく勉強になりました

で、糖質制限食』を開始した所
  退院時の量 ノボラピッド 朝12 昼7 夜10
  トレシーバ7
  開始後の量 ノボラピッド 朝4 昼4 夜5  
  トレシーバ7
と インスリン量も激減しました


退院一か月後の診察に行き 担当医に糖質制限食の事を話すと 担当医には全く受け入れてもらえませんでした  知りませんでした  担当医の上の指導医の方は知っていたと思われます
 腎臓に悪い
 まやかしに騙されるな 
 総エネルギー量の55~60%を炭水化物、15~20%をたん白質として、脂質は25%以下(従来の糖尿病食) 
 さらにインスリンを増やすよう言われました

病人は医療を選択する権利があると思います  自分が生きるために探し見つけた医療を 頭ごなしに否定されてしまっては 自分はこの先ここに通院し続けて良いものなのか不安になっております  

まだまだ糖尿人として日の浅い自分ですが 糖質制限食の医療機関での受け入れられ方はそんなものなのでしょうか  

転院を希望した方が良いのか 担当医ともっと話し合うべきか お時間あれば先生のご意見を頂きたくコメント致しました 失礼をお許しください
  
2014/06/07(Sat) 20:18 | URL | MIYA | 【編集
Re: 糖質制限食に対する偏見
MIYA さん

拙著のご購入、ありがとうございます。

糖質制限食』を開始した所
  退院時の量 ノボラピッド 朝12 昼7 夜10
  トレシーバ7
  開始後の量 ノボラピッド 朝4 昼4 夜5  
  トレシーバ7
と インスリン量も激減しました


これは素晴らしいです。
インスリンは人体に絶対に必要ですが、少ない量ですむほど身体には優しいです。

今の担当医は勉強不足のようですので、バトルをしてもしかたありません。
転院を考慮されるのが賢明かと思います。

日本糖質制限医療推進協会の提携医療機関を参考にしていただけば幸いです。
http://toushitsuseigen.or.jp/medical.html

居住地域はどこでしょう?
2014/06/08(Sun) 12:33 | URL | ドクター江部 | 【編集
糖質制限食に対する偏見②
江部先生

早速のご回答感謝致します
自分一人で悩んでおり 先生からご助言が受けられ 嬉しく思います
当方 千葉の成田空港近く在住です
まだまだ家族の為頑張らねばなりません 糖質制限.com利用させて頂いております 非常に助かっております

先生に頂いたURLと あと http://lowcarb.merrily.biz/medical
参考にしました

千葉には 東邦大病院 宗田マタニティクリニックと2か所ありました 

自分もバトルはしたくありません 
救急車で搬送され 意識混沌のケトアシドーシスから救って頂いたのは事実であり担当医に感謝しております
できましたら穏便にかつ担当医にも角が立たないように転院できる方法ありましたら ご教授下さい

たびたびの御無礼申し訳ありません
また自分の体の為であれば 京都まで行きます 新幹線で4時間で行けます

今後とも御教授の程宜しくお願い致します
2014/06/08(Sun) 14:15 | URL | MIYA | 【編集
Re: 糖質制限食に対する偏見②
MIYA さん

転院に関しては

例えば、
「交通の便がいい」「知り合いのナース、栄養士がいる、親戚の職員がいる・・・」
「婦人科と糖尿病をまとめて診療してほしい」・・・
などの理由で、
転院先に
診療情報提供書を書いて貰えばいいと思います。

転院・診療情報提供書に関してはよくあることなので、
全く問題ないと思います。

東邦大病院 宗田マタニティクリニックに関しては
まずは電話で受け入れ可能か否かを確認してみましょう。
2014/06/08(Sun) 18:36 | URL | ドクター江部 | 【編集
東邦大学佐倉病院
 成田だったら、東邦大佐倉病院が通いやすいですね。日本で先駆けて低炭水化物食を導入した病院です

https://www.jstage.jst.go.jp/article/tonyobyo1958/41/10/41_10_885/_pdf
2014/06/08(Sun) 19:30 | URL | 精神科医師A | 【編集
Re: 東邦大学佐倉病院
精神科医師A さん

情報をありがとうございます。
2014/06/09(Mon) 16:19 | URL | ドクター江部 | 【編集
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