2014年04月24日 (木)
こんにちは。
OKさんとヘルミさんから、スーパー糖質制限食とビタミンC必要量などについて、コメント・質問をいただきました。
日本脂質栄養学会の浜崎先生が
「超低炭水化物食だとビタミン C が尿細管で再吸収されるため、ビタミン C の必要量が極端に減る」
とされている根拠は
Cunningham JJ. Altered vitamin C transport in diabetes mellitus. Med Hypotheses
26:263-265, 1988.
という論文です。
取り寄せて読んでみようと思います。
「医学仮説」という雑誌に掲載された『糖尿病における変化するビタミンC輸送』という論文です。
手元にある要約では、
「・・・試験管内ではブドウ糖濃度が膜輸送機構に影響を与える。これによれば糖尿病においてはビタミンCの状態が障害される。・・・」
結局、本文を読まないとよくわかりませんので、本文が届いてから、本格的に検討しようと思います。
しかし、この論文、あくまでも試験管内のできごとに基づく仮説です。
高血糖だとビタミンCが尿中に排泄されて、体内のビタミンCが不足する可能性を指摘していますが、確定したものではないと思います。
そして、イヌイットは生肉と生魚が主食の伝統的食生活の頃は、まさにスーパー糖質制限食を実践していたわけですが、ビタミンC不足で壊血病やその予備軍が問題でした。こちらは仮説ではなくて、歴史的事実です。
従いまして、私はスーパー糖質制限食実践中においても、普通に葉野菜やブロッコリを摂取してビタミンCを補充しておいた方が無難と考えています。
スーパー糖質制限食で、ビタミンC必要量が減る可能性があるかどうかは、論文の本文を読んで考えてみます。
江部康二
【14/04/23 OK
最低ビタミンC必要量
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jln/19/1/19_1_59/_pdf
日本脂質栄養学会の浜崎先生や沖縄の渡辺先生は「超低炭水化物食だとビタミン C が尿細管で再吸収されるため、ビタミン C の必要量が極端に減る」を引用されていますが、スーパー糖質制限食の糖質量ではビタミンCの必要量は減らないのでしょうか?
もし減るのであれば、プチ・スタンダード・スーパーにおける最低ビタミンC必要量を定量的にご教示頂けると幸いです。】
【14/04/23 ドクター江部
Re: 最低ビタミンC必要量
OK さん
ビタミンCと糖質制限食のことは記事にしようと思いますが、 とりあえず普通に葉野菜やブロッコリを摂取してビタミンCを補充しておいた方が無難です。
イヌイットは伝統的食生活のころ、ビタミンC不足で壊血病やその予備軍が問題でしたので・・・。】
【14/04/24 OK
Re: 最低ビタミンC必要量
イヌイットの件がありビタミンCゼロにしてはいけないことは承知していますが、次回記事にして頂けるのであれば、「スーパー糖質制限によってビタミンCの必要量は減るのか変わらないのか?」についての考察もぜひお願い致します。
『食後血糖の上昇がなければ、糖が尿細管にあまり排出されず、類似構造のビタミン C の再吸収が亢進するためである。』という説明は非常にもっともらしく聞こえます。
Cunningham JJ. Altered vitamin C transport in diabetes mellitus. Med Hypotheses
26:263-265, 1988.】
【14/04/24 ヘルミ
ビタミンCの件
江部先生おはようございます。
「糖が尿細管にあまり排出されず、類似構造のビタミン C の再吸収が亢進するためである」とすると、強制的に尿糖として糖を排泄させるSGLT2阻害薬は壊血病の原因になりますか?
そこについてもご考察いただけるとありがたいです。】
OKさんとヘルミさんから、スーパー糖質制限食とビタミンC必要量などについて、コメント・質問をいただきました。
日本脂質栄養学会の浜崎先生が
「超低炭水化物食だとビタミン C が尿細管で再吸収されるため、ビタミン C の必要量が極端に減る」
とされている根拠は
Cunningham JJ. Altered vitamin C transport in diabetes mellitus. Med Hypotheses
26:263-265, 1988.
という論文です。
取り寄せて読んでみようと思います。
「医学仮説」という雑誌に掲載された『糖尿病における変化するビタミンC輸送』という論文です。
手元にある要約では、
「・・・試験管内ではブドウ糖濃度が膜輸送機構に影響を与える。これによれば糖尿病においてはビタミンCの状態が障害される。・・・」
結局、本文を読まないとよくわかりませんので、本文が届いてから、本格的に検討しようと思います。
しかし、この論文、あくまでも試験管内のできごとに基づく仮説です。
高血糖だとビタミンCが尿中に排泄されて、体内のビタミンCが不足する可能性を指摘していますが、確定したものではないと思います。
そして、イヌイットは生肉と生魚が主食の伝統的食生活の頃は、まさにスーパー糖質制限食を実践していたわけですが、ビタミンC不足で壊血病やその予備軍が問題でした。こちらは仮説ではなくて、歴史的事実です。
従いまして、私はスーパー糖質制限食実践中においても、普通に葉野菜やブロッコリを摂取してビタミンCを補充しておいた方が無難と考えています。
スーパー糖質制限食で、ビタミンC必要量が減る可能性があるかどうかは、論文の本文を読んで考えてみます。
江部康二
【14/04/23 OK
最低ビタミンC必要量
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jln/19/1/19_1_59/_pdf
日本脂質栄養学会の浜崎先生や沖縄の渡辺先生は「超低炭水化物食だとビタミン C が尿細管で再吸収されるため、ビタミン C の必要量が極端に減る」を引用されていますが、スーパー糖質制限食の糖質量ではビタミンCの必要量は減らないのでしょうか?
もし減るのであれば、プチ・スタンダード・スーパーにおける最低ビタミンC必要量を定量的にご教示頂けると幸いです。】
【14/04/23 ドクター江部
Re: 最低ビタミンC必要量
OK さん
ビタミンCと糖質制限食のことは記事にしようと思いますが、 とりあえず普通に葉野菜やブロッコリを摂取してビタミンCを補充しておいた方が無難です。
イヌイットは伝統的食生活のころ、ビタミンC不足で壊血病やその予備軍が問題でしたので・・・。】
【14/04/24 OK
Re: 最低ビタミンC必要量
イヌイットの件がありビタミンCゼロにしてはいけないことは承知していますが、次回記事にして頂けるのであれば、「スーパー糖質制限によってビタミンCの必要量は減るのか変わらないのか?」についての考察もぜひお願い致します。
『食後血糖の上昇がなければ、糖が尿細管にあまり排出されず、類似構造のビタミン C の再吸収が亢進するためである。』という説明は非常にもっともらしく聞こえます。
Cunningham JJ. Altered vitamin C transport in diabetes mellitus. Med Hypotheses
26:263-265, 1988.】
【14/04/24 ヘルミ
ビタミンCの件
江部先生おはようございます。
「糖が尿細管にあまり排出されず、類似構造のビタミン C の再吸収が亢進するためである」とすると、強制的に尿糖として糖を排泄させるSGLT2阻害薬は壊血病の原因になりますか?
そこについてもご考察いただけるとありがたいです。】
「超低炭水化物食だと、ビタミンCの必要量が極端に減る」と「イヌイットは伝統的食生活でビタミンC不足」のどちらも根拠となる論文はたった1つだけのようなので、素人目線ではどちらも同じぐらい信用できません。
前者は、試験管内のできごとに基づく仮説でしかなく、後者はイヌイットと同じく血中ビタミンC濃度が低いマサイ族に壊血病が見られない件を全く説明できません。
個人的に一番納得できないのは、野草からビタミンCを充分に得られているはずの草食動物の内、モルモット以外は全てビタミンCを体内合成できることです。肉食動物もビタミンCを体内合成できます。
果糖は血糖値を上げずに中性脂肪となるので、人類史700万年より更に昔の数百~数千年年間は、野草ではなく高ビタミンC&高果糖の果実を主食とし、果糖からの糖新製によってグルコースを得たり、蓄えた中性脂肪からケトン体を得ていたことも考えられるのではないでしょうか?
論文に対する考察に期待しています。
前者は、試験管内のできごとに基づく仮説でしかなく、後者はイヌイットと同じく血中ビタミンC濃度が低いマサイ族に壊血病が見られない件を全く説明できません。
個人的に一番納得できないのは、野草からビタミンCを充分に得られているはずの草食動物の内、モルモット以外は全てビタミンCを体内合成できることです。肉食動物もビタミンCを体内合成できます。
果糖は血糖値を上げずに中性脂肪となるので、人類史700万年より更に昔の数百~数千年年間は、野草ではなく高ビタミンC&高果糖の果実を主食とし、果糖からの糖新製によってグルコースを得たり、蓄えた中性脂肪からケトン体を得ていたことも考えられるのではないでしょうか?
論文に対する考察に期待しています。
2014/04/24(Thu) 21:30 | URL | OK | 【編集】
ご参考 オリーブオイル摂取時の満腹感は血糖値の上昇(高値維持)によるものか
オリーブオイルに含まれるヘキサナールとE2ヘキサナールが、血中のグルコースの体細胞への吸収を抑えると言う記事を見つけました。興味深いです。
http://medical.yahoo.co.jp/diet/column/2326/
オリーブオイルに含まれるヘキサナールとE2ヘキサナールが、血中のグルコースの体細胞への吸収を抑えると言う記事を見つけました。興味深いです。
http://medical.yahoo.co.jp/diet/column/2326/
2014/04/25(Fri) 13:21 | URL | 470 | 【編集】
OK さん
「超低炭水化物食だと、ビタミンCの必要量が極端に減る」・・・こちらはあくまでも仮説です。
「ビタミンC不足で、イヌイットに新生児高チロシン血症と壊血病リスク」・・・こちらは調査事実です。
事実ですので議論の余地はありません。
「血中ビタミンC濃度が低いマサイ族に壊血病が見られない」・・・こちらも調査事実です。
事実ですので議論の余地はありません。
この違いが
マサイ族とイヌイットという民族差なのか、自然環境の差なのか、或いは他に理由があるのか・・・
現時点でよくわかりません。
「超低炭水化物食だと、ビタミンCの必要量が極端に減る」・・・こちらはあくまでも仮説です。
「ビタミンC不足で、イヌイットに新生児高チロシン血症と壊血病リスク」・・・こちらは調査事実です。
事実ですので議論の余地はありません。
「血中ビタミンC濃度が低いマサイ族に壊血病が見られない」・・・こちらも調査事実です。
事実ですので議論の余地はありません。
この違いが
マサイ族とイヌイットという民族差なのか、自然環境の差なのか、或いは他に理由があるのか・・・
現時点でよくわかりません。
2014/04/25(Fri) 18:33 | URL | ドクター江部 | 【編集】
470 さん
情報をありがとうございます。
情報をありがとうございます。
2014/04/25(Fri) 18:55 | URL | ドクター江部 | 【編集】
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