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糖尿病と糖質制限食と環境汚染
こんにちは。今年も慌ただしく大晦日を迎えました。

今朝はぐんと冷え込んでて、車の温度計で2度でした。朝、妙心寺・大法院にある江部家のお墓の掃除にいったら和尚さんも大掃除の真っ最中でした。お寺も一層寒くて、手水に氷がはってました。

さて、DMママさんからコメント・質問をいただきました。

『環境汚染とアレルギー
初めまして。先生のブログをいつも楽しく拝見させていただいています。
長くなりますが、ぜひ教えて頂きたいことがあり投稿しました。
私は食後高血糖で白米や白パンをたくさん食べると200を越えます。
娘を出産する前はブドウ糖負荷試験の最高値131でした。
しかし、娘のアレルギー治療のため食事について勉強し、穀物菜食に変えてから糖尿病が悪化してしまいました。
自分では健康になったと思い込んでいましたので200を越える数値を見たときは我が目を疑いました。
娘のアトピーを治したい一心で幕内さんや梅崎和子さんの本を読み、日本人にあった食事は穀物菜食と信じていましたので、先生の著書『主食を抜けば・・・』を読んでも、血糖値は上がらなくても他に悪い影響があるのでは…と正直にわかに信じることはできませんでした。
でもブログを全て読み、穀物が主食になったのは約4000年で人類の歴史からすると1/1000に過ぎないことや米国の大規模介入試験の結果などを知り、徐々に納得することができました。
何といっても自身の糖尿病が悪化したので、このままごはん中心の食事を続けていてはいけないことは身をもって感じています。
ただ、環境汚染が進んだ今、魚介・肉卵類はダイオキシン濃度が高く、アレルギーを起こしやすいと言われているため、多食することにためらいがあります。
油脂の摂り方がアレルギー症状を左右するとも言われています(角田和彦著『アレルギーっ子の生活百科より)
糖尿病の悪化に気づいた今は断乳し、魚肉は気にせず食べていますが、2人目のことを考えるとこのまま多食していいのか悩みます。
魚肉だけでなく大豆製品も食べていますが、大豆アレルギーも多いので気になります。(実際娘は軽度の大豆アレルギーでした)
肉魚大豆を多食しても子供にアレルギーが出ない人もいるので、どのくらいの摂取ならいいのか目安を提示することは難しいと思います。
でも、食事の度に肉魚大豆中心の食生活でいいのだろうかと不安がよぎるので、ぜひこの点に関して江部先生の考えを聞かせていただきたいです。
以前のブログでは糖質制限食でアレルギー症状が悪化することは経験していないとコメントされていましたが、環境汚染による乳児のアトピーアレルギーの点についてのご意見もぜひ聞かせていただければと思います。
ちなみに今は140を越えないように糖質を摂取しています。
糖質制限開始直後は野菜中心でカロリー不足だった為か155cm、36kgまで体重が落ちてしまいました。
魚肉を食べ始めた今も38kgで、増やしたいのですが体重はそれ以上増えません。
中性脂肪49、HDL61、LDL65とコレステロールも少なめです。
余談ですが、今の食生活を始めて4ヶ月近くなりますが、ガスがたまりおならが臭くなりました。たんぱく質を多くとるようになった為でしょうか。
穀物菜食の時は快便でした。
日本人は腸が長い為、欧米の肉乳製品ではなく米野菜芋の食事が合うとも聞きます。
環境汚染も進んだ今、本来は米野菜芋を食べ、昔の日本人のように摂取した糖質を処理できるくらいの相当な労働をすればいいのかもしれませんが、現代社会では現実的ではありませんよね。
長くなりました。読んで頂きありがとうございます。
先生のご意見お待ちしています。
【2007/12/30 16:56】DMママ 』


DMママさん。
コメント・質問ありがとうございます。

私はテーラーメードダイエット(10.27ブログご参照ください)を提唱していますがまず、DMママさんと娘さんの食生活は分けて考えた方が良いと思います。

娘さんは、幕内先生や梅崎先生が仰有っているような食生活でよいと思います。私もアレルギー疾患の治療や生活習慣病の予防に高雄病院食生活十箇条を提案していますが、これはお二人と基本は一緒です。

強いて違いをあげれば、私はオリーブオイルやαリノレン酸、EPA・DHAなどの油脂は積極的に摂ることを奨めていて、動物性油脂も基本OKということぐらいでしょうか。

また私は、<ブドウ糖ミニスパイク>の観点から、「精製された穀物」こそがほとんどのアレルギー疾患・慢性疾患・生活習慣病発症の諸悪の根源と考えています。またブドウ糖や砂糖の入った清涼飲料水もミニスパイクを起こしやすく危険です。(ブドウ糖ミニスパイクに関しては、7.26ブログをご参照ください。)

従いまして、糖尿病がない娘さんは、高雄病院食生活十箇条がお奨めです。

『高雄病院食生活十箇条』 -アレルギー疾患の治療や生活習慣病予防にー

一、主食は未精製の穀物が好ましい(玄米、全粒粉のパンなど)
二、白パン・白砂糖など精製炭水化物の摂取は極力減らす
三、発酵食品(味噌、漬け物、納豆など)をきちんと食べる
四、液体でカロリーを摂らない(飲みものは水、番茶、麦茶、ほうじ茶など)
五、魚貝類はしっかり食べ、肉類は適量を摂る
六、季節の野菜や海草はしっかり食べ、旬の果物も適量摂る
七、オリーブオイルや魚油(EPA、DHA)など身体に良い油脂は積極的に摂る
八、牛乳は極力減らし、チーズやプレーンヨーグルトは適量摂る
九、できる限り化学合成添加物の入っていない安全な食品を選ぶ
十、食事は楽しく、ゆっくり、よくかんで 

油脂に関してですが、戦後ずっと「動物性の油脂がよくなくて植物性油脂がよい」と保健所などで指導していました。

しかし、日本脂質栄養学会は 2002年9月に、世界に先駆けてhttp://wwwsoc.nii.ac.jp/jsln/teigenAnn02.htm" target="_blank" title="「リノール酸摂取を削減する提言」">「リノール酸摂取を削減する提言」を採択しました( http://wwwsoc.nii.ac.jp/jsln/teigenAnn02.htm )。

以下は提言からの抜粋です。
 『本学会は 1992年以来、必須脂肪酸であるリノール酸の摂取過剰と健康の問題について討論を重ね、学会内外の有識者の意見を集約・評価してきた。その結果、日本人のリノール酸摂りすぎを是正する方向に栄養指導を改めることが急務であるとの結論に達した。』

 『リノール酸摂取量を現在の高いレベルに保つことのメリットについては、科学的根拠が見出せない。リノール酸摂りすぎの害(心臓・脳血管系疾患、欧米型癌、アレルギー性疾患、その他炎症性疾患)については、動物実験のみならず臨床的にも明らかにされてきた。また、現在市場に供給されている育児用粉ミルク中のリノール酸は総脂肪酸中の 18%以上にもなっており、母乳中の必須脂肪酸組成と著しく乖離している。』

油脂の過剰摂取が問題にされることが多いのですが、結局そのほとんどがリノール酸だったわけです。現代の日本人は必須脂肪酸として1~2g/日必要なのを20g/日摂取しています。(良いあぶらと悪いあぶらに関しては、7.16、18、19ブログをご参照ください。)

次にダイオキシンの問題ですね。
魚介・肉卵類はダイオキシン濃度が高いのですが、ダイオキシンの有害性に関してはいろんな説があります。

また母乳にも当然ダイオキシンは含まれていますが、私は飲ませてよいと思います。
WHOは、「母乳中にはダイオキシンやPCBが含まれているが、母乳栄養には乳幼児の健康と発育に関する利点を示す明確な根拠があることから、母乳栄養を奨励し推進すべきである」としています。

米国環境保護庁は、「バランスのとれた栄養のある食事の利点は、それによるダイオキシンのリスクを補って余りあるということは強調されるべきである」とコメントしています。

私自身糖尿病ですが、糖質を摂取して食後高血糖を起こせば、確実に動脈硬化のリスクとなりますので、 魚介・肉卵類に少々ダイオキシンが含まれていても積極的に食べて、糖質制限食を実践し糖尿病コントロールのほうを優先させています。

DMママさんも糖尿病のコントロールを優先されるほうがいいと思いますよ。肉・魚・卵・大豆・野菜中心の食生活になりますが、農耕開始前の人類の本来のものですので、何の問題もありません。

ただ人類60億人が 糖質制限食をすれば9割以上の人が飢え死にしかねないので、テーラーメード・ダイエットが必要となるわけです。

同じ家庭・食卓で、DMママさんはおかず中心に食べて、娘さんは「おかず+玄米」となるだけですので、混乱や面倒くささもありません。

DMママさんには、以下の十箇条がお奨めです。

糖質制限食十箇条』 -糖尿病や肥満が気になる人に-
一、魚貝・肉・豆腐・納豆・チーズなどタンパク質や脂質が主成分の食品はしっかり食べてよい。
二、糖質特に白パン・白米・麺類及び菓子・白砂糖など精製糖質の摂取は極力控える。
三、主食を摂るときは未精製の穀物が好ましい(玄米、全粒粉のパンなど)
四、飲料は牛乳・果汁は飲まず、成分未調整豆乳はOK。水、番茶、麦茶、ほうじ茶もOK。
五、糖質含有量の少ない野菜・海草・茸類は適量OK。果物は少量にとどめる。
六、オリーブオイルや魚油(EPA、DHA)は積極的に摂り、リノール酸を減らす。
七、マヨネーズ(砂糖無しのもの)やバターもOK。
八、お酒は蒸留酒(焼酎、ウィスキーなど)はOK、醸造酒(ビール、日本酒、など)は控える。
九、間食やおつまみはチーズ類やナッツ類を中心に適量摂る。菓子類、ドライフルーツは不可。
十、できる限り化学合成添加物の入っていない安全な食品を選ぶ。

糖質制限食』の3パターン
一、スーパー糖質制限食は三食とも主食なし。効果は抜群で早く、一番のお薦め。
二、スタンダード糖質制限食は朝と夕は主食抜き。
三、プチ糖質制限食は夕だけ主食抜き。嗜好的にどうしてもデンプンが大好きな人に。
*抜く必要がある主食とは米飯・めん類・パンなどの米・麦製品や芋類などの炭水化物。  

三つ目に「環境汚染による乳児のアトピーアレルギー」の問題ですが、環境汚染化学物質(環境ホルモンなど)がアレルギーを悪化させるという説もありますし、無い方がいいに決まっていますが、私はこの問題には詳しくありませんのですいません。(*- -)(*_ _)

最後になりましたが、ダイオキシンの問題もですが、あまりに完璧に厳しく「清く正しく生きる」ことを目指すととてもしんどいですので「美味しく楽しく生きる」ほうが私の好みですし、皆さんにもお奨めです。(o´~`o)

それでは皆さん、よいお年を。

江部康二
コメント
ご回答ありがとうございます!!
丁寧な説明をどうもありがとうございます。
こんなに早くご回答を頂けるなんて、感激です。年の瀬に本当にありがとうございました。
油脂についての説明、納得です。油脂全部がだめなのではなく、リノール酸の過剰摂取が問題なんですね。
イヌイットの人たちが健康なのもEPA、DHAを含んだアザラシ、オットセイの肉を食べているためですものね。
母乳については先生と同じ内容の話を本で読み、娘にアトピーが出ても続けていましたが、自身の糖尿病の悪化を知ったときが1歳3ヶ月だったので、いい機会と思い断乳しました。
糖尿人でなければ、魚肉大豆などのたんぱく質に偏らない食事を続けられたのですが、膵臓が弱ってしまった今、何を優先するかと言ったら、膵臓に負担のかからない糖質制限の食事ですよね。
その人その人に合った食事と言うのがテーラーメードダイエットなんですね。
食事はどうあるべきかではなく「美味しく楽しく生きる」方が体にもきっといいというのも納得です。
幸い私は食後高血糖の状態で糖尿病を発見することができたので、高血糖にならない程度の糖質は摂取しています。美味しく楽しくと言って、ついつい甘いものに手が行ってしまうのが今の悩みです(^_^;)

西洋医学、東洋医学、玄米菜食、糖質制限食と幅広い視野をお持ちの江部先生に質問させていただけて本当に良かったです。
これからもブログ楽しみにしています。
2008/01/01(Tue) 15:59 | URL | DMママ | 【編集
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