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糖質制限食による体重減少効果。2014年4月。
こんばんは。

糖質制限食による体重減少効果を整理整頓してみます。

今まで利点に入れていた「ケトン体の尿中排泄によるエネルギー放出」はごく微量なので省くこととし、5つの利点を4つにしました。


<スーパー糖質制限食の4つの利点>

◆<糖質制限食による体重減少効果>
①インスリン(肥満ホルモン)が基礎分泌以外ほとんど出ない。
②食事中も含めて常に体脂肪が燃えている。
③食事中も含めて常に肝臓で糖新生が行われ、それにかなりのエネルギーを消費する。
④高タンパク食により、食事誘発熱産生(DIT)が亢進する。

高蛋白食は、摂食時の食事誘発熱産生(DIT)が通常食に比べて増加します。

DITによる消費エネルギーは、実質吸収エネルギーの、糖質では6%、脂質では4%、タンパク質で30%です。

食事誘発熱産生(DIT)を、もっと簡単に説明すると、食事において
100キロカロリーの糖質だけを摂取した時は、6キロカロリーが、
100キロカロリーの脂質だけを摂取した時は、4キロカロリーが、
100キロカロリーのタンパク質だけを摂取した時は、30キロカロリーが
熱に変わり、消費エネルギーとしてカウントされるということです。


◆<糖質を摂取した場合>
A)血糖値が上昇してインスリン(肥満ホルモン)がたっぷり分泌される。
B)体脂肪は燃えなくなり、血糖値が中性脂肪に変わり蓄積される。
C)肝臓の糖新生はストップする。
D)高タンパク食よる亢進した食事誘発熱産生(DIT)はなくなる。


①②③④とA)B)C)D)両者を比べてみれば、高糖質食より糖質制限食の方が、体重減少効果が高いことが一目でわかると思います。

たとえ低脂質食でカロリー制限していても、糖質を摂れば体重減少への利点がすべて消えてしまうわけです。

これは食べ物に含まれるカロリーとは無関係の生理学的な特質であり、あくまで糖質を摂るかどうかがカギとなります。



<摂取エネルギーと消費エネルギー、基礎代謝量、身体活動量、食事誘発熱産生>

1)摂取エネルギー > 消費エネルギー   → 体重増加
  摂取エネルギー = 消費エネルギー   → 体重不変
  摂取エネルギー < 消費エネルギー   → 体重減少

2)通常のカロリー制限食(高糖質食)なら
  「消費エネルギー=基礎代謝量+身体活動量(運動や家事)+食事誘発熱産生(DIT)」

3)糖質制限食なら、高糖質食の時には無い
 「肝臓の糖新生でエネルギーを消費」→基礎代謝の増加
 「高蛋白食摂取」→食事誘発熱産生(DIT)の増加 」
 が認められる。

1)は生理学的事実です。
2)3)を比較すると糖質制限食の方が高糖質食に比し、体重が減少しやすいことは明白です。



<推定エネルギー必要量と糖質制限食>
減量を目指す時に、糖尿病学会推奨のように

男性:1400~1800kcal/日
女性:1200~1600kcal/日

といった、厳しいカロリー制限は必要ありません。

一方、国立健康・栄養研究所の「日本人の食事摂取基準」(2010年)への解説 
推定エネルギー必要量は18才以上の成人で、年齢により差がありますが、

身体活動レベルが低い人は
 男性:1850~2250キロカロリー/日  
 女性:1450~1700キロカロリー/日

身体活動レベルが普通なら
 男性:20200~2650キロカロリー/日  
 女性:1700~1950キロカロリー/日

身体活動レベルが高い場合
 男性:2500~3050キロカロリー/日
 女性:2000~2300キロカロリー/日

です。

スーパー糖質制限食実践と「日本人の食事摂取基準」の標準的な摂取エネルギーなら、適正体重になると思います。


江部康二
テーマ:糖質制限食
ジャンル:ヘルス・ダイエット
コメント
お礼に参りました
江部先生、こんばんは。
一ヶ月ほど前、中性脂肪低値でも糖質制限を行って問題ないか質問させていただいた者です。
お答えいただきましてから、ずっとスーパー糖質制限を続けております。
だいたい、朝食で5g前後、昼食で20g前後、間食で5g前後、夕食で10g前後、晩酌で3g前後(糖類ゼロ系缶チューハイです^^;)の糖質を摂取しております。

時には外食で羽目を外す日もありましたが、この生活を続けた結果、以下の変化がありました。

1.立ちくらみが減った(肉の摂取量が増えて貧血が改善?)
2.生理の出血量が減った((元々軽度ですが)子宮内膜症が改善してきているようです)
3.体重が減った(1ヶ月で3kg、体脂肪も0.7%減)
4.風邪をひきにくくなった(喉が痛い翌日は何をしても熱を出していたのが、先日は葛根湯を飲んだだけで済みました)

おかげさまで、全体的にとても体調が良くなりました。
これからも美味しく楽しく糖質制限を続けていきたいと思います。

背中を押していただき、本当にありがとうございました!
2014/04/14(Mon) 22:35 | URL | 方向音痴の運動音痴 | 【編集
先生の著書に出会ったおかげで、半年でHbA1c 5.6%、血糖値は時間によって100~130、体重は57Kgから52kg。糖質制限の効果に驚くばかりです。カロリーが高い食事をかなり食べても体重増加はありませんでしたが、先日実家へ帰った際に、仕方なく菓子類ややきそばを食べたら、一気に体重が増加でびっくり!でも普通の食事(糖質制限食)に戻したら、あっという間に元に戻りました。
糖質制限食に慣れた体に炭水化物が大量に入ると、そんなこともあるのでしょうか?
2014/04/15(Tue) 06:09 | URL | peco | 【編集
Re: お礼に参りました
方向音痴の運動音痴 さん

糖質制限食で体調良好、良かったですね。
2014/04/15(Tue) 16:07 | URL | ドクター江部 | 【編集
Re: タイトルなし
peco さん

HbA1cはコントロール良好を超えて、コントロール優秀レベルですね。

糖質制限で1~2~3日で体重が1~2kg減ることがありますが、これは水の移動です。

糖質摂取でいきなり、2kg体重が増えるのも水の移動です。

糖質をグリコーゲンとして筋肉中に蓄えるとき1gの糖質に対して3gの水が必要なのです。
2014/04/15(Tue) 16:11 | URL | ドクター江部 | 【編集
糖質制限について
こんにちは、いつも興味深く拝見しております。
今私は175cm、体重80キロの男、で今年29歳になります。
脂肪が多く、こちらの内容で減量したく考えておりますが、2週間経ってもあまり体重に変動がありません。
糖質は一日に20gとかなりストリクトに制限しておりますが、摂取するタンパク質が多いのでしょうか?
今はウエイトトレーニングをしておりますので、体重x3グラムのタンパク質を摂取し、概ね一日2000kcalのカロリーを摂取しております。
何かアドバイス頂ければと思います。
お忙しい中恐れ入りますが、何卒宜しくお願い致します。
2014/04/21(Mon) 16:49 | URL | Isaken | 【編集
Re: 糖質制限について
Isaken さん

糖質が1日に20gなら、脂肪は確実に燃えていると思います。

体重がそんなに変わらなくても、体脂肪率は減っていると思われます。

ドラッグストアで、尿中ケトン体測定紙を購入して、調べてみましょう。
尿中ケトン体陽性なら、しっかり脂肪は燃えています。
そのうち体重も減ってくると思います。
2014/04/21(Mon) 17:28 | URL | ドクター江部 | 【編集
糖質制限について
江部 様
早速のご返信ありがとうございました。
糖質制限は即効性があるように認識しておりましたので、2週間で体重の増減が無いと「失敗したのでは」と不安になっておりました。
頂いたコメントからすると暫く様子を見るようにということですね。
いずれにせよ糖質制限しても脂質、タンパク質分でオーバーカロリーになれば脂肪は落ちにくくなる、という理解で宜しいのでしょうか。
2014/04/21(Mon) 19:26 | URL | isaken | 【編集
Re: 糖質制限について
isaken さん。

「糖質制限しても脂質、タンパク質分でオーバーカロリーになれば脂肪は落ちにくくなる」

その通りです。

摂取エネルギー > 消費エネルギー   → 体重増加
摂取エネルギー = 消費エネルギー   → 体重不変
摂取エネルギー < 消費エネルギー   → 体重減少

です。

2014年04月14日 (月)の本ブログ記事
「糖質制限食による体重減少効果。2014年4月。」
をご参照いただけば幸いです。
2014/04/22(Tue) 14:47 | URL | ドクター江部 | 【編集
江部先生、ありがとうございます。
カロリーの目安など参考にしながら、糖質制限続けてみます。
糖質依存がなくなっただけでも、良かったと思っています。
ありがとうございました。
2014/05/29(Thu) 19:23 | URL | るる | 【編集
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