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インスリンの作用と糖輸送体と基礎分泌・追加分泌など。2014年3月。
こんばんは。

今回はインスリンについて考えてみます。

1)インスリンの作用にはどのようなものがあるのでしょう。
2)糖輸送体とインスリンの関係は?
3)基礎分泌インスリン・追加分泌インスリンについて。

1)インスリンの作用(☆☆☆)

 a)インスリンは、筋肉細胞に血糖を取り込ませ血糖値を下げます。
 b)そして余剰の血糖値は脂肪細胞に取り込ませて中性脂肪として蓄えさせます。
 c)インスリンは脂肪細胞における中性脂肪の分解を抑制します。
 d)インスリンは血中の中性脂肪を分解して脂肪酸にし、脂肪細胞内に取り込ませて再び中性脂肪に合成して蓄えます。
 e)また肝臓における糖新生を抑制し、グリコーゲンの合成を促進し、結果として、肝静脈へのブドウ糖放出を
  抑制し、血糖を下げます。

b)c)d)の作用によりインスリンは肥満ホルモンと呼ばれています。

2)インスリンと糖輸送体

糖質を食べて血糖値が上昇したときは、インスリンが大量に追加分泌されて、筋肉細胞内の糖輸送体(Glut4)が細胞表面に移動するので血糖を取り込めます。Glut4が筋肉細胞内にあるときは、血糖をほとんど取り込めません。

細胞が血糖を内部に取り込むためには糖輸送体が必要であり、現在まで、糖輸送体1~14までが発見されています。

糖輸送体1~14のうち、インスリンが作用するのは、糖輸送体4(GLUT4)だけです。

筋肉細胞と脂肪細胞の糖輸送体は、Glut4で常は細胞内部に沈んでいます。

Glut4はインスリンが追加分泌されたとき、及び筋肉が収縮したときに細胞表面に移行して、血中の糖を細胞内に取り込みます。

筋肉の収縮時のGlut4の細胞表面への移動は、インスリン非依存的です。


3)基礎分泌インスリン・追加分泌インスリンについて

インスリンは、人体で唯一血糖値を下げるホルモンで、膵臓のランゲルハンス島のβ細胞でつくられ分泌されます。

24時間少量持続的に出ている基礎分泌のインスリンと、糖質を摂取して食後血糖値が上昇したときに、その10~30倍の量が出る追加分泌のインスリンがあります。

追加分泌のインスリンには、即分泌される第1相と少し遅れて出る第2相があります。

正常人は、血糖値が上昇し始めたら即インスリンが追加分泌されます。

この第1相反応は、もともとプールされていたインスリンが5~10分間分泌されて、糖質摂取時の急激な食後高血糖を防いでいます。

その後、膵臓のベータ細胞は、第2相反応と呼ばれる持続するインスリン分泌を行います。

これは、食事における糖質の残りをカバーしています。

即ち、糖質を摂取している間は、第2相のインスリン分泌が持続します。

2型糖尿人は、通常、第1相反応が低下或いはなくなっていることが多いようです。従って、糖質摂取時に血糖値の急激な上昇(グルコーススパイク)が起きてしまいます。

また、第2相も低下していることが多いので、糖質を摂取する限り、一旦上昇した血糖値はなかなか下がってきません。

糖質制限食ならば、野菜分のごく少量の糖質だけなので、2型糖尿人においても、食後高血糖はほとんど生じません。追加分泌インスリンも、ごく少量ですみます。

基礎分泌インスリンは、検査機関にもよりますが、基準値はIRI:3~15μU/mlくらいです。

しかし私は、現在「基礎分泌インスリンは低くて空腹時血糖値も正常というパターン」が一番いいと考えています。

例えば、IRIが3未満で、2.5とかでも、空腹時血糖値が110mg未満の正常値ならそれでいいと思います。

逆にIRIが15で基準値で血糖値も110mg未満というパターンより好ましいのです。

狩猟・採集時代すなわち糖質制限食時代の700万年間は、空腹時インスリンの基準値は1.5~5μU/mlくらいだったのではないかと考えています。

あくまでも糖質を頻回・過剰摂取している現代の基礎分泌インスリンの基準値がIRI:3~15μU/mlということに過ぎません。

つまりインスリンは人体に絶対に必要なのですが、それ自体に発癌、老化、肥満などのリスクがあるので、インスリンが少なくてマッチングがいい人のほうが好ましいのです。

すなわちインスリン作用が確保されていて血糖コントロール良好であるならば、インスリン分泌はは少量であれば少量であるほど好ましいのです。

なお脳の糖輸送体は、Glut1であり、常に細胞表面に存在しているので、血流さえあればいつでも血糖を取り込めます。

ちなみに赤血球や網膜もGlut1を持っているので、インスリンに関係なく血糖を取り込めます。


江部康二


☆☆☆インスリンの作用

インスリンは、グリコーゲン合成・タンパク質合成・脂肪合成など、栄養素の同化を促進し、筋肉、脂肪組織、肝臓に取り込む。

インスリンが作用するのは、主として、筋肉(骨格筋、心筋)、脂肪組織、肝臓である。

1)糖質代謝
*ブドウ糖の筋肉細胞・脂肪細胞内への取り込みを促進させる。
*グリコーゲン合成を促進させる。
*グリコーゲン分解を抑制する。
*肝臓の糖新生を抑制し、ブドウ糖の血中放出を抑制する。

2)タンパク質代謝
*骨格筋に作用してタンパク質合成を促進させる。
*骨格筋に作用してタンパク質の異化を抑制する。

3)脂質代謝
*脂肪の合成を促進する。
*脂肪の分解を抑制する。


テーマ:糖尿病
ジャンル:ヘルス・ダイエット
コメント
糖尿人の初心者です
江部先生、はじめまして。

九州在住の中尾(男性・48歳)と申します。
先日たまたま尿検査した時に、尿糖(+3)が出たので
他の病院でくわしい検査をした結果、糖尿病と診断され
目の前が真っ暗になりました。
(空腹時血糖値130・HbA1c7)

藁にもすがる思いでネットでいろいろ検索したところ
先生のブログを発見し、よーしスーパー糖質制限食で血糖値を
正常値まで下げて見せるぞ!と新たな決意をした次第です。
大好きなラーメンやうどん、ハンバーガー、ポテトフライとは
しばらくお別れですが、良き糖尿人となるべく日々の食生活を
工夫して改善して行こうと思います。

本日のインスリンの記事も大変参考になりました。
インシュリンの分泌は何度かに分かれて行われるんですね。
また数値が改善したら書き込みさせていただきます。
2014/03/18(Tue) 12:00 | URL | 中尾 | 【編集
Re: 糖尿人の初心者です
中尾 さん

初期段階の糖尿病ですね。
スーパー糖質制限食でサクサクと改善しますよ。
2014/03/18(Tue) 14:41 | URL | ドクター江部 | 【編集
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