FC2ブログ
糖質制限食と生理的ケトン体上昇、1型糖尿病とケトン体
こんにちは。

1型さんから、1型糖尿病とケトン体について、コメント質問を頂きました。

1型 さん、インスリンを打っておられる1型糖尿病でも、血糖コントロール良好なら、インスリン作用はきっちり働いている証拠です。

インスリン作用が働いていて、血糖コントロール良好なら、1型、2型を問わず、血中ケトン体が従来の基準値より高値で尿中ケトン体が陽性でも、これは生理的なものです。

この場合まったく問題はなくて、正常ですので心配ないです。

このまま、糖質制限食で、少量のインスリン単位で、血糖コントロールしていきましょう。

日本では、「生理的ケトン体上昇」と「病理的ケトン体上昇(糖尿病ケトアシドーシス)」の区別がついている医師が少ないのは、とても残念なことです。

『糖質制限によって即効性のインスリン量が
1食15~20→0~2程度に減り、身体的にはもちろん経済的にも嬉しい限りです。』


これは素晴らしいです。

インスリンは人体に絶対に必要なものですが、インスリン注射にせよ内因性インスリンにせよ少量で済むほど、人体にとっては大変都合がいいのです。

さて、ケトン体に関して、かなり悪いイメージが一般的な医学界ではまかり通ってます。

ケトン体について、まず知っておいて頂きたいのは

「正常で生理的な状態で産生が高まるケトン体上昇」

があるということです。

これは「インスリン作用が欠落して、糖尿病が大悪化した状態で産生が高まる病理的ケトン体上昇」とは、体内の状況が全く異なり、生体への危険性は全くありません。

「生理的な状態のケトン体上昇」



「病理的状態のケトン体上昇」→糖尿病ケトアシドーシス(インスリン作用欠落)

をしっかり区別する必要があります。

アセトン、アセト酢酸、β-ヒドロキシ酪酸のことをまとめてケトン体といいます。

ケトン体は脂肪の分解により肝臓で作られ、血液中に出されます。

β-ヒドロキシ酪酸はケトン基がないので正確にはケトン体ではないのですが、慣例上はケトン体と呼ばれています。

ケトン体は心筋、骨格筋、腎臓などさまざまな臓器で日常的にエネルギー源として利用されており、脂肪の合成にも再利用されます。

実際、基礎代謝の大部分を占める骨格筋や心筋は、空腹時や睡眠時にはエネルギー源の大部分が脂肪酸-ケトン体です。

つまり私達はごく日常的に「脂肪酸-ケトン体」エネルギーシステムを利用して生きているのです。

それで「正常で生理的な状態で産生が高まるケトン体」は、断食・スーパー糖質制限食・小児難治性てんかんの治療食「ケトン食」を実践したときなどに、「脂肪酸-ケトン体」エネルギーシステムが活発化して起こる現象です。

この時は血糖値は基本的に正常で、インスリン作用は保たれています。

断食というと特殊に思えますが、人類の700万年の長い歴史の中では食料不足の方が普通ですので、「脂肪酸-ケトン体」エネルギーシステムは、ごく日常的に活発化したり普通に戻ったりしながら稼働してきたと考えられます。

ケトン体の基準値は26-122μM/Lですが、これはあくまでも、現代人が日常的に三食以上糖質を摂取している条件下の基準値です。

断食中や 糖質制限食の初期の段階だと、ケトン体は1000-4000μM/L程度上昇するのが普通です。

例えば、スーパー糖質制限食を実践中の江部康二のケトン体は300-1200μM/Lくらいです。

要するに「脂肪酸-ケトン体」システムが活発化すれば、単純に血中のケトン体値は高値となりますが、血糖値が正常でインスリン作用が保たれていれば、全く何の問題もありませんし、これは正常な生理的な現象なのです。

この時尿中ケトン体が陽性でも、勿論なんの問題もありません。


なお

「病理的状態のケトン体」→糖尿病ケトアシドーシス(インスリン作用欠落)

の方は、1型糖尿病で、急にインスリンを中止・減量したときや、2型のペットボトル症候群など、特殊な状況以外では、生じません。

つまり、糖尿病ケトシドーシスは、一番最初にインスリン作用の欠落があるわけで、それ以外では絶対に生じないのです。


江部康二


【14/03/05 1型

ケトン体

はじめまして

糖尿病歴20年の1型糖尿病患者です。

1ヶ月ほど前にこちらのブログを見つけてすぐに江部先生の書籍を買いあさり、糖質制限食を実践していたところ、先日の定期検査でケトン体が+2となり、主治医より炭水化物の摂取を強く勧められました。

糖質制限食により血糖値が安定し、ヘモグロビンも低下していただけにこのまま中止してしまっていいものか悩んでいます。

もしこのような悩みについてすでに解説済みであればアドレスを教えて頂けないでしょうか。
(探しても見つからず書籍にも1型に関する記述は見当たりませんでした)

お忙しいとは存じますがよろしくお願いいたします。】


14/03/05 ドクター江部
Re: ケトン体
1型 さん

インスリンを打っておられる1型糖尿病で、血糖コントロール良好なら、インスリン作用はきっちり働いている証拠です。

インスリン作用が働いていて、血糖コントロール良好なら、1型、2型を問わず、血中ケトン体が基準値より高値で、尿中
ケトン体が陽性でも生理的なものです。

この場合まったく問題はなくて、正常ですので心配ないです。

このまま、糖質制限食で、少量のインスリン単位で、血糖コントロールしていきましょう。

日本では、「生理的ケトン体上昇」と「病理的ケトン体上昇(糖尿病ケトアシドーシス)」の区別がついている医師が少ないのは、とても残念なことです。



【14/03/05 1型
Re: ケトン体
わざわざご回答ありがとうございます。

ようやく関連記事を見つけ、先ほどから熟読しておりました。

インスリン作用が欠乏していなければ、ケトン体が上昇しても糖尿病ケトアシドーシスにはならないということなのですね。
余談ですが糖質制限によって即効性のインスリン量が1食15~20→0~2程度に減り、身体的にはもちろん経済的にも嬉しい限りです。】


テーマ:糖質制限食
ジャンル:ヘルス・ダイエット
コメント
ケトン体
小児科のおかだです。
1型糖尿病に対するカーボカウントの有用性を発表された小児内分泌専門医に「そこまでわかっているなら糖質制限を併用すれば、インスリンの量が減らせるのではないか」と質問したところ、言下に否定されました。健常な子どもたちと同じ食事をすることが治療目標だといわれました。
私は、食後高血糖を抑制し、インスリンの追加分泌を少なくすることが合併症予防に重要だと言ったのですが、聞いてもらえませんでした。残念ですが、なかなか専門医は自分の殻から出れませんね。
ところで、江部先生はとうにご承知だとは思いますが、こんなサイトに出会いました。生化学の立場からの糖質制限のすすめです。
http://harmonica-doctor.way-nifty.com/blog/2010/01/--2-56c3.html
この中で述べられているSU剤が遊離脂肪酸からのケトン体合成を阻害するって本当なのでしょうか。
新生児や断食をしている人は血糖値が30代でも脳に障害が起こらないのに、SU剤を内服している人は血糖値が60-70で意識障害が起こるのは謎でした。
SU剤がケトン合成を阻害していることが、その理由の一つかもしれません。
江部先生の仰るようにSU剤は発売禁止にすべき薬だと改めて思いました。


2014/03/06(Thu) 14:22 | URL | おかだ | 【編集
Re: ケトン体
おかだ 先生

小児科の内分泌専門医でも、守旧派とは、残念です。

インスリンを大量に注射することの弊害が、小児科で担当する年齢では顕在化しないので
そんなのんきなことを言っているのでしょう。

糖質を普通の子供と同量食べて、大量のインスリンを打つこと自体が、
酸化ストレスのリスクなのですが・・・。

ハーモニカドクターのサイトは知っています。
しかし、「SU剤が遊離脂肪酸からのケトン体合成を阻害する」
というのは知りませんでした。
勉強してみます。
2014/03/06(Thu) 16:08 | URL | ドクター江部 | 【編集
京大病院病院食
はじめまして。

基準値に迫り来る血糖値を押し止めようと、三年ほど前に糖質制限を始め、現在は極めて良好な状態を保っています。

さて、最近、江部先生の母校の大学病院に膀胱腫瘍の手術のために入院した際、ダメ元で糖質制限中であることを伝えて、病院食についての配慮をお願いしてみました。

私 主食は食べないんです。
京 ては何か代わりのものが出せないか考えましょう。
私 例えば?
京 カロリーメイトとか。
私 それなら結構です。お豆腐とかならありがたいですが。

と、こんなやり取りの結果、毎食小さな豆腐が1パック追加で出されました。しかし、ご飯は220gだか250gだかのまま。もったいないのでご飯なしにして欲しいとお願いしたところ、それは規則上できないとのことでした。

お豆腐はありがたくいただきましたが、毎食無駄になっていくご飯を見るのは複雑な思いでした。

入院中の糖質制限を謂わば黙認してくれたことには感謝していますが、病院食のオプションとして糖質制限食が取り入れられるまでの道のりの長さを思いました。

病院食のおかずは薄味でとてもおいしかったです。ご飯の代わりは、持参のくるみや、院内ローソンのブランパンが役に立ちました。ローソンでバターも置いていてくれれば完璧だったのですが。

これからも折に触れて、様々なリクエストやお願いはしていきたいと思います。一歩でも半歩でも前へ進めるように。
2014/03/06(Thu) 18:24 | URL | BT | 【編集
Re: 京大病院病院食
 京大病院の管理栄養士のTopは、日本人の食事摂取基準すら理解できていない。

 2013/9/8の『医療の巨大転換を加速する』blogでの私の書き込み、それと2013/9/9~9/10の江部Drのblogをご覧ください
2014/03/07(Fri) 11:17 | URL | 精神科医師A | 【編集
カロリー制限派の論文
 京大病院のカロリー制限派も負けてはいませんよ

http://www.clinicalnutritionjournal.com/article/S0261-5614(12)00265-8/fulltext

A new equation to estimate basal energy expenditure of patients with diabetes
糖尿病患者の基礎エネルギー消費量を推定する新たな方程式

Clinical Nutrition
Volume 32, Issue 5 , Pages 777-782, October 2013
2014/03/07(Fri) 12:16 | URL | 精神科医師A | 【編集
憩室炎で入院中です
はじめまして。
昨年末から夫婦で糖質制限を始めた者です。
それまではマクロビオティックを実践していました。
夫(52歳)が初期の緑内障の上ウエストがメタボなので、昨年1月から私がマクロビ弁当を作って持たせるようにしたところ、半年後の健康診断の数値がよくなりました。
ただ、ウエストは減らないのでどうしたものかと思っていた時に糖質制限を知り、試してみたら「正月痩せ」したので全面的に切り替えました。
夫は外食もするのでプチとスーパーの間での実践なので、ウエスト周りが急減するような現象は起きていませんが、マクロビと違って肉が食べられ、ワインが飲める割りには太らないので気に入っているようです。
私(47歳)はスタンダード時々スーパーという感じで続けていましたが、昨日、腹痛で病院に行くと「上行結腸憩室炎」とわかり、即入院となってしまいました。
今病床でこのコメントを打っています。
そこで気になることがあります。
糖質制限ダイエットに切り替えてしばらくして、私も御多分に洩れず便秘になりました。
最近は解消されてきましたが、便通が悪いと憩室炎には良くないようなので、ちょっと気になりました。
ただ、マクロビを始める前は割と便秘気味だったので、その時既に憩室ができていたのかもしれませんが。
また憩室炎は欧米人に多くて、食事の欧米化に伴って日本人にも増えているという記述がありましたが、私の場合、たかだか3か月程度の「欧米化?」でこのような「成果」が出るものなのかとも思うので、当然複合的な原因があると考えるべきなのでしょうね。
ただ「欧米人に多い」「日本人も食事の欧米化に伴い増えている」「便秘が良くない」という見解をそのまま信じると、厳しい糖質制限をすることで憩室炎患者が増えることもあり得るのかと。それを防ぐためにも、糖質ゼロより食物繊維の摂取も期待できる糖質制限の方がいいのかもしれないと思います。

また、憩室炎の治療は絶食なので入院時から点滴を受けていますが、点滴液は500ml中25gのブドウ糖が入っているブドウ糖加アセテートリンゲル液です。
これが血中に入るとどのようなリスクが考えられるでしょうか。
ちなみに私は今まで大病を患ったことはありません。BMIは19台で入院直前は食欲がなかったので18台になっていました。
また先ほど主治医が説明してくれたところ、私は血管が細いので、脂質ベースの点滴を使うのは難しいと言われました。実際点滴を通すのに3回失敗されました。
首の方から打つということもできるが、気胸の心配があるとも言われました。
また、糖質を食事で摂取するのと点滴で摂取するのでは代謝が少し違うと言われ、そうですかと引き下がりました。

そのやりとりの後、今日の読売新聞社会面に次の記事を見つけました。
「砂糖は1日25gまで 世界保健機関は5日、砂糖の摂取量について、これまでの上限目標をさらに半分にする新指針案を発表した。WHOは砂糖が肥満や虫歯の原因となり、慢性疾患にもつながるとして〜新指針案ではこれを5%以下にすることを求めた。これにより成人では、1日に摂取できる砂糖の量がこれまでの「50グラムまで」から「25グラムまで」に減る」。
つまりWHOが健康人に対して「砂糖は1日25gまで」と言っているのに、医療現場において病人が1日倍以上のブドウ糖を摂取させられている(点滴は1日2〜3パック消費するので)というのは、食事摂取と点滴摂取では糖代謝が違うと言われても「さては私を糖尿人にする気か」と勘繰りたくもなります。
今回は「私の血管が細い」「糖尿病でもないし、痩せている」というこで引き下がりましたが、このまま絶食・点滴治療しても病状が好転しない場合、最悪手術ということになります。
その一因が点滴による過剰なブドウ糖摂取である、というようなことはありえないでしょうか。
とりあえず最悪の事態が起こらないよう祈るばかりですが、実際糖質制限をしていない糖尿人の身の上に起こっていることを考えると他人事とは思えず、長文になってしまいましたが、ここに投稿させていただきました。
2014/03/07(Fri) 19:18 | URL | miau | 【編集
Re: 憩室炎で入院中です
miau さん

便秘と憩室は関係しているようですね。
ただ、糖質制限食が普及する前から日本でも憩室が増えているので、直接の関係はないと思います。
スーパー糖質制限食でも、葉野菜や海藻や茸はOKですので、食物繊維も充分摂取することとなります。

なお糖尿病でない人が、5%ブドウ糖液を短期間点滴しても、まず問題ないと思います。
2014/03/08(Sat) 08:21 | URL | ドクター江部 | 【編集
低血糖回避策はないものか
はじめまして

バーンスタイン博士の著作も読み、糖質制限食の効用は身に染みて実感している、1型暦30年(女)です。

最近、女性専用の筋力トレーニング教室に行き始めたせいもあり、低血糖に苛まれています。
家人がグルカゴンで処置してくれますが、自分で対処できない悔しさに悶々と。

ランタス朝 12単位、ラピッドは食事量に合わせて。運動量と注射量が合わない結果とはわかっていますが。

今朝8時は103だったので通常のランタスを止め、自分の体の変化を観察することにしました。
既に、昨日のランタス分は薬効切れと判断し。

朝食はほとんど食べませんので、レモン水のみ。午前11時は低血糖気味の兆候有りの88。
桃(大)を食しました。

質問は、糖質制限食を実践するにあたり、インスリン注射の持続型ランタスをすべきか、はたまた速攻型ラピッドのみでの対処とすべきかです。
通常は併用が望ましいとされ、しかしポンプ使用の場合の薬剤は速攻型のみだと知り、迷っています。

視界に低血糖の兆候が現れるくらいの軽度の場合(50-90)は通常人でも起こり得るし、対処も簡単なのでよいのですが、意識障害(反応が鈍い、計算が出来ない等々)は自分でも糖分摂取の意思がなくなってしまうので、厳格に低血糖を回避したいのです。

これから一人暮らしを始めようという身でもあり、何が自分にとって最良策なのか、試行錯誤です。

五十路なので食欲も落ち着き、暴飲暴食はありませんし、糖質(ごはんやパン、麺類)制限も気にはなりません。

低血糖さえなければ、糖尿病で注射も苦じゃ有りません。

バーンスタイン博士によれば、厳格な糖質制限食では、インスリンを速攻型だけという事例もあるとか。

基本の持続型ランタスのみで対処するか、ラピッドのみがよいか、人それぞれとはわかっていますが、なにかアドバイスがいただけたら幸いです。
運動量との関係で、ラピッドのみの場合、一日の注射量=インスリン量がゼロという事もありそうで、その場合、ケトアシドーシスが起こるのじゃないかと危惧しています。

主旨がまとまりませんが、よろしくお願い致します。
2014/08/07(Thu) 12:02 | URL | まっつん | 【編集
Re: 低血糖回避策はないものか
まっつん さん

ランタスをトレシーバにすると24時間カバーするので、早朝空腹時血糖値が安定しやすいので
主治医とご相談ください。

基礎分泌インスリンの代わりが、長時間持続型のインスリン(ランタスやトレシーバ)です。
追加分泌の代わりが、超速効型インスリン(ノボラピッドやヒューマログミリオペン)です。

基礎分泌インスリンは絶対に必要ですので、4回注射/日がよいと思います。

トレシーバで早朝空腹時血糖値を、低血糖注意で、90~125mg/dlくらいに保ち、
あとは、食事の糖質量に応じて少量のノボラピを食前注射ですね。
2014/08/07(Thu) 18:36 | URL | ドクター江部 | 【編集
早速のお返事ありがとうございました
こんばんは

先生の回答、やはり基礎分泌分のインスリン(持続型)は必須なのですね。
わかりました。

あとは、注射量の加減次第という事だと、再確認しました。

明日から実行いたします。

ありがとうございました。
2014/08/07(Thu) 21:45 | URL | まっつん | 【編集
コメントを投稿
URL:
Comment:
Pass:
秘密: 管理者にだけ表示を許可