2014年01月16日 (木)
こんばんは。
『糖質制限してなくて、しっかりと炭水化物摂っていても痩せているうらやましい人』の続きです。
インスリンの分泌が多ければ太ります。
基礎分泌インスリンも追加分泌インスリンも一緒のことで、その分泌量が多いほど太ります。
インスリンが肥満ホルモンたる所以です。
私見で仮説ですが、インスリンは基礎代謝を減らしている可能性があります。
インスリンは同化ホルモンであり、脂肪の分解(異化)を邪魔しますので、基礎代謝が減る可能性があるのです。
常々言ってますように、糖質こそが肥満の元凶です。
それは、糖質だけが血糖値を上昇させ、インスリンを大量に分泌させるからです。
脂質は、単独ではインスリンを全く分泌させませんし、血糖値も上げません。
それでは、『炭水化物をしっかり食べても太らない人』とは、基礎代謝が高いタイプ以外にはどんなパターンがあるのでしょう。
以下はあくまでも仮説ですが、インスリンの効きが非常に良い(インスリン抵抗性が極めて低い)体質の人があるように思います。
つまり少量のインスリンでも筋肉が血糖値を取り込んでくれるので、結構な量の炭水化物を摂取しても、普通の人に比べて追加分泌インスリンが少なくてすんでいるタイプです。
また夜間の肝臓の糖新生も基礎分泌のインスリンが制御しているのですが、インスリンの効きが悪いタイプだと、夜中絶食中でもかなりの量のインスリンを分泌しないと、早朝空腹時血糖値が制御できず高値になるので、早朝空腹時の血中インスリン濃度が正常範囲でも高めとなります。
こういう人は、ぽっちゃり型で、糖尿病ではないですが、早朝空腹時インスリンが、10~15μU/mL(3~15)も出ていても、
早朝空腹時血糖値は100~109mg/dlとかです。
これに対して、インスリンの効きがいいタイプは、夜中の基礎分泌も少量で糖新生をコントロールできるので、早朝空腹時の血中インスリンは正常下限、あるいはそれ以下でも制御できている人がいます。
こういう人はたいていやせ型で、早朝空腹時インスリンが、1.5~3μU/mL(3~15)くらいなのに、早朝空腹時血糖値は60~70mg/dlだったりします。
こういうタイプなら、かなり炭水化物を食べても太らないと思います。
さて、次にインスリンは二重三重の肥満ホルモンということを説明します。
脂肪細胞の周囲の毛細血管壁にあるLPL(リポタンパクリパーゼ)が活発になると、血中の中性脂肪を遊離脂肪酸とグリセロールに分解して、遊離脂肪酸を脂肪細胞内に取り込み中性脂肪に合成して蓄え太っていきます。
インスリンは脂肪細胞の周囲の毛細血管壁にあるLPLを活性化させるので、脂肪細胞内に中性脂肪を蓄える方向に働きます。
これに対してHSL(ホルモン感受性リパーゼ)は脂肪細胞内にあって、中性脂肪を遊離脂肪酸とグリセロールに分解して血中に放出させる作用があります。
まとめると、脂肪細胞の周囲の毛細血管壁にあるLPLは内部に中性脂肪を蓄えて太らせる働きがあり、脂肪細胞内のHSLは逆に内部の中性脂肪を分解して血中に放出させ、やせさせる働きがあります。
インスリンはLPLを活性化させ、HSLを抑制するので、インスリンが分泌されると太りやすいのです。
さらにインスリンは、GLUT4を介して余剰の血糖を脂肪細胞内に取り込み、中性脂肪に合成して蓄えます。
このように二重三重の肥満ホルモンがインスリンなのです。
インスリン注射をしている糖尿病患者はしばしば太ります。
『ジョスリン糖尿病学』には
「食物摂取とは無関係の、インスリンの脂肪組織への直接的な脂肪生成効果」
と説明されています。
ハーバード大学医学部元教授、ジョージ・ケーヒルは
「脂肪を操るインスリンを、炭水化物(糖質)が操る」
と述べています。
肥満のメカニズムは、インスリンによる脂肪蓄積であり、その血中濃度と総量が関係します。
そしてインスリンを大量に分泌させるのは糖質のみです。
基礎代謝が高い人とインスリンの効きが非常にいい人を例外として、結局、糖質の頻回・過剰摂取とそれによるインスリンの頻回・過剰分泌が肥満の元凶と思います。
江部康二
『糖質制限してなくて、しっかりと炭水化物摂っていても痩せているうらやましい人』の続きです。
インスリンの分泌が多ければ太ります。
基礎分泌インスリンも追加分泌インスリンも一緒のことで、その分泌量が多いほど太ります。
インスリンが肥満ホルモンたる所以です。
私見で仮説ですが、インスリンは基礎代謝を減らしている可能性があります。
インスリンは同化ホルモンであり、脂肪の分解(異化)を邪魔しますので、基礎代謝が減る可能性があるのです。
常々言ってますように、糖質こそが肥満の元凶です。
それは、糖質だけが血糖値を上昇させ、インスリンを大量に分泌させるからです。
脂質は、単独ではインスリンを全く分泌させませんし、血糖値も上げません。
それでは、『炭水化物をしっかり食べても太らない人』とは、基礎代謝が高いタイプ以外にはどんなパターンがあるのでしょう。
以下はあくまでも仮説ですが、インスリンの効きが非常に良い(インスリン抵抗性が極めて低い)体質の人があるように思います。
つまり少量のインスリンでも筋肉が血糖値を取り込んでくれるので、結構な量の炭水化物を摂取しても、普通の人に比べて追加分泌インスリンが少なくてすんでいるタイプです。
また夜間の肝臓の糖新生も基礎分泌のインスリンが制御しているのですが、インスリンの効きが悪いタイプだと、夜中絶食中でもかなりの量のインスリンを分泌しないと、早朝空腹時血糖値が制御できず高値になるので、早朝空腹時の血中インスリン濃度が正常範囲でも高めとなります。
こういう人は、ぽっちゃり型で、糖尿病ではないですが、早朝空腹時インスリンが、10~15μU/mL(3~15)も出ていても、
早朝空腹時血糖値は100~109mg/dlとかです。
これに対して、インスリンの効きがいいタイプは、夜中の基礎分泌も少量で糖新生をコントロールできるので、早朝空腹時の血中インスリンは正常下限、あるいはそれ以下でも制御できている人がいます。
こういう人はたいていやせ型で、早朝空腹時インスリンが、1.5~3μU/mL(3~15)くらいなのに、早朝空腹時血糖値は60~70mg/dlだったりします。
こういうタイプなら、かなり炭水化物を食べても太らないと思います。
さて、次にインスリンは二重三重の肥満ホルモンということを説明します。
脂肪細胞の周囲の毛細血管壁にあるLPL(リポタンパクリパーゼ)が活発になると、血中の中性脂肪を遊離脂肪酸とグリセロールに分解して、遊離脂肪酸を脂肪細胞内に取り込み中性脂肪に合成して蓄え太っていきます。
インスリンは脂肪細胞の周囲の毛細血管壁にあるLPLを活性化させるので、脂肪細胞内に中性脂肪を蓄える方向に働きます。
これに対してHSL(ホルモン感受性リパーゼ)は脂肪細胞内にあって、中性脂肪を遊離脂肪酸とグリセロールに分解して血中に放出させる作用があります。
まとめると、脂肪細胞の周囲の毛細血管壁にあるLPLは内部に中性脂肪を蓄えて太らせる働きがあり、脂肪細胞内のHSLは逆に内部の中性脂肪を分解して血中に放出させ、やせさせる働きがあります。
インスリンはLPLを活性化させ、HSLを抑制するので、インスリンが分泌されると太りやすいのです。
さらにインスリンは、GLUT4を介して余剰の血糖を脂肪細胞内に取り込み、中性脂肪に合成して蓄えます。
このように二重三重の肥満ホルモンがインスリンなのです。
インスリン注射をしている糖尿病患者はしばしば太ります。
『ジョスリン糖尿病学』には
「食物摂取とは無関係の、インスリンの脂肪組織への直接的な脂肪生成効果」
と説明されています。
ハーバード大学医学部元教授、ジョージ・ケーヒルは
「脂肪を操るインスリンを、炭水化物(糖質)が操る」
と述べています。
肥満のメカニズムは、インスリンによる脂肪蓄積であり、その血中濃度と総量が関係します。
そしてインスリンを大量に分泌させるのは糖質のみです。
基礎代謝が高い人とインスリンの効きが非常にいい人を例外として、結局、糖質の頻回・過剰摂取とそれによるインスリンの頻回・過剰分泌が肥満の元凶と思います。
江部康二
もしかしたら今年で結成20年ですか?
一度も欠かさず続けてる第三金曜ライブは今夜ありますね?
先生 頑張ってねー!
熱唱姿 素敵!
一度も欠かさず続けてる第三金曜ライブは今夜ありますね?
先生 頑張ってねー!
熱唱姿 素敵!
2014/01/17(Fri) 10:27 | URL | 長年のファン | 【編集】
江部先生ご無沙汰しています。鹿児島の鈴木です。昨年12月に今までやっていた自由診療の漢方クリニックを、保険診療ができるようにリニューアルして鈴木内科クリニックをオープンしました。糖尿病に限らずすべての患者さんに糖質制限を勧めています。来月の宮崎には私も伺います。よろしくお願いします。
はじめまして。ダイエット方法としてスーパー糖質制限を取り入れさせて頂いている者です。
現在1年3ヶ月目で、171cm, 68kgです
三ヶ月前から体重に変動がなく、少々焦り気味です。
友人に思い当たる感じの、痩せの大食漢が居ます。
朝はジュース1L、昼はカップラーメンにおにぎり2個、夜はうどんとお菓子など、仮に制限していなくても真似できない量と品目を食べていますが、本人は至って健康です。
スーパー糖質制限を続けていても、中々体重が標準まで行かない自分からしたら、本当に羨ましい体質です。
(糖質が食べたいとはもう思わなくなりましたけど・・・)
現在1年3ヶ月目で、171cm, 68kgです
三ヶ月前から体重に変動がなく、少々焦り気味です。
友人に思い当たる感じの、痩せの大食漢が居ます。
朝はジュース1L、昼はカップラーメンにおにぎり2個、夜はうどんとお菓子など、仮に制限していなくても真似できない量と品目を食べていますが、本人は至って健康です。
スーパー糖質制限を続けていても、中々体重が標準まで行かない自分からしたら、本当に羨ましい体質です。
(糖質が食べたいとはもう思わなくなりましたけど・・・)
2014/01/17(Fri) 12:41 | URL | ARブラン | 【編集】
北里の山田先生が日本人2型糖尿病患者24名での、1日70-120g糖質制限対カロリー制限でのRCTを発表され、解説されています。
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日本人でも糖質制限食は有効−初のRCT
北里研究所病院糖尿病センター 山田 悟
http://mtpro.medical-tribune.co.jp/mtpronews/doctoreye/dr140101.html
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日本人でも糖質制限食は有効−初のRCT
北里研究所病院糖尿病センター 山田 悟
http://mtpro.medical-tribune.co.jp/mtpronews/doctoreye/dr140101.html
2014/01/17(Fri) 16:10 | URL | デニム | 【編集】
今日の日経電子版にでていました。技術の進歩は素晴らしいですね。
長年のファン さん
ありがとうございます。
勿論、今夜も第三金曜ライブあります。
ありがとうございます。
勿論、今夜も第三金曜ライブあります。
2014/01/17(Fri) 16:53 | URL | ドクター江部 | 【編集】
ARブラン さん
171cm 68kg
なら、BMIは23.26です。
もう充分標準体重なので、体調良好なら
これ以上痩せなくてもOKと思いますよ。
171cm 68kg
なら、BMIは23.26です。
もう充分標準体重なので、体調良好なら
これ以上痩せなくてもOKと思いますよ。
2014/01/17(Fri) 17:08 | URL | ドクター江部 | 【編集】
デニム さん
ありがとうございます。
MT Proの記事ですね。
私も目にしました。
その内記事にしたいと思います。
ありがとうございます。
MT Proの記事ですね。
私も目にしました。
その内記事にしたいと思います。
2014/01/17(Fri) 17:09 | URL | ドクター江部 | 【編集】
mmxさん
スマートフォン便利ですね。
私は相変わらず、ガラケーですが・・・。(*- -)(*_ _)
スマートフォン便利ですね。
私は相変わらず、ガラケーですが・・・。(*- -)(*_ _)
2014/01/17(Fri) 17:11 | URL | ドクター江部 | 【編集】
日本人ということが強調されていますが、(日本初の研究と言いたいのでしょうか?)私は人種より、時代と、住む地域の食環境の違いと思いますが。
2014/01/17(Fri) 17:20 | URL | 北九州 三島 | 【編集】
人種にこだわれば、アメリカのように、人種が混在しているところでの研究が不可能になる。
2014/01/17(Fri) 22:45 | URL | 北九州 三島 | 【編集】
江部先生
質問させて頂きます。太りにくい人はどのようなメカニズムになっているのか気になっていました。調べてるとこちらにたどり着きました。
私の仮説は太りにくいはインスリンの効きが悪い(抵抗性が高い)あるいはインスリンの量が少ないのではないかと思いました。
先生は効きがいいから少なくて済むという考えですが、僕の仮説はいかがでしょうか?
コメントいただけると幸いです。
質問させて頂きます。太りにくい人はどのようなメカニズムになっているのか気になっていました。調べてるとこちらにたどり着きました。
私の仮説は太りにくいはインスリンの効きが悪い(抵抗性が高い)あるいはインスリンの量が少ないのではないかと思いました。
先生は効きがいいから少なくて済むという考えですが、僕の仮説はいかがでしょうか?
コメントいただけると幸いです。
外山 さん
1)基礎代謝が高い人は太りにくいです。
2)インスリンが肥満ホルモンであることはほぼ医学界の共通理解です。
3)糖質制限食なら、食事中も糖新生にエネルギーを消費します。
4)糖質制限食なら、食事中も糖新生にエネルギーを消費します。
◆<糖質制限食による体重減少効果>
①インスリン(肥満ホルモン)が基礎分泌以外ほとんど出ない。
②食事中も含めて常に体脂肪が燃えている。
③食事中も含めて常に肝臓で糖新生が行われ、それにかなりのエネルギーを消費する。
④高タンパク食により、食事誘発熱産生(DIT)が亢進するので基礎代謝が高くなる。
インスリン抵抗性が高いと、血糖を下げるために多くのインスリンが必要になるので、太ります。
インスリン抵抗性が低いと、血糖を下げるために必要なインスリンの量は少なくてすみます。
1)基礎代謝が高い人は太りにくいです。
2)インスリンが肥満ホルモンであることはほぼ医学界の共通理解です。
3)糖質制限食なら、食事中も糖新生にエネルギーを消費します。
4)糖質制限食なら、食事中も糖新生にエネルギーを消費します。
◆<糖質制限食による体重減少効果>
①インスリン(肥満ホルモン)が基礎分泌以外ほとんど出ない。
②食事中も含めて常に体脂肪が燃えている。
③食事中も含めて常に肝臓で糖新生が行われ、それにかなりのエネルギーを消費する。
④高タンパク食により、食事誘発熱産生(DIT)が亢進するので基礎代謝が高くなる。
インスリン抵抗性が高いと、血糖を下げるために多くのインスリンが必要になるので、太ります。
インスリン抵抗性が低いと、血糖を下げるために必要なインスリンの量は少なくてすみます。
2017/02/03(Fri) 15:10 | URL | ドクター江部 | 【編集】
江部先生
コメントありがとうございました。勉強になりました。
インスリンの効きがいい、基礎代謝が高いとなるとかなり健康なイメージですね。
あとは小腸からの吸収が悪いとかが考えられますか?
コメントありがとうございました。勉強になりました。
インスリンの効きがいい、基礎代謝が高いとなるとかなり健康なイメージですね。
あとは小腸からの吸収が悪いとかが考えられますか?
2017/02/03(Fri) 16:29 | URL | 外山 | 【編集】
外山 さん
小腸からの吸収が本当に悪ければ、吸収障害という病気になります。
小腸からの吸収が本当に悪ければ、吸収障害という病気になります。
2017/02/03(Fri) 20:55 | URL | ドクター江部 | 【編集】
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