FC2ブログ
胎児・新生児のケトン体は高値。ケトン体の安全性の証明。
こんばんは。

2014年1月12日(日)

大阪国際会議場で開催された第17回日本病態栄養学会年次学術集会に参加してきました。

お目当ては、10:50~12:00に発表された糖質制限食3題です。


一般演題69 小児栄養・母子栄養②
第2日目1月12日(日)10:50~12:00  会議室801+802

O-429 妊娠糖尿病における糖質制限食事療法の導入効果の検証第2報1
永井クリニック松本桃代、他

O-430 妊娠糖尿病における糖質制限食事療法の導入効果の検証2第二報CGMによる検討を加えて
宗田マタニティクリニック河口江里、他

O-431 妊娠糖尿病における糖質制限食事療法の導入効果の検証3糖質制限食による高ケトン血症は危険か?
宗田マタニティクリニック宗田哲男


永井クリニック松本桃代管理栄養士は、昨年に続いて、妊娠糖尿病において、糖質制限食が血糖管理に有効であり、安全に実施できることを報告されました。

宗田マタニティクリニック河口江里管理栄養士は、CGM(Continuous Glucose Monitoring:持続ブドウ糖測定)システムを使用して、糖質制限食と糖質を摂取した場合の、血糖変動を比較検討されました。

その結果、糖質を摂取すれば食後高血糖と平均血糖変動幅増大を生じ、糖質制限食ならそれらが生じないことを示されました。

宗田哲男先生は、普通に糖質を食べている女性における人工流産児の絨毛のケトン体値を、58検体測定され、平均1730μmol/Lで、通常の基準値(血中総ケトン体28~120μmol/l)に比しはるかに高値であることを報告されました。

58検体全てが成人の基準値よりはるかに高値でしたので、胎児のケトン体の基準値は成人よりかなり高値であると言えます。

これは世界で初めての報告であり、極めて貴重なデータです。(^-^)v(^-^)v 

6週から18週までの胎児の絨毛間液のケトン体値がこれほど高値であることは、胎児の脳を始めとした組織の主たるエネルギー源はケトン体である可能性を示唆しており、このことはそのままケトン体の本質的安全性を証明するものです。
勿論58検体全例で、酸性血症(アシドーシス)ありませんでした。

また生後4日目の新生児312名において、血中ケトン体の平均値は240.4μmol/L
生後1ヶ月の新生児40名において、血中ケトン体の平均値は400μmol/L

と一般的な基準値よりはるかに高値であることを報告されました。

新生児のケトン体値の報告も、これだけの数がまとまったのは、おそらく世界で始めてと思います。

このデータからは、新生児においても血中ケトン体は重要なエネルギー源となっていることを示唆しており、ここでもケトン体の安全性が保証されたことになります。

ヒューマン・ニュートリション第10版(医歯薬出版)2004年、P748
脳の代謝の項目に
「・・・母乳は脂肪含有量が高くケトン体生成に必要な基質を供給することができる。
発達中の脳では血中からケトン体を取り込み利用できるという特殊な能力があり、新生児においてはケトン体は脳における重要なエネルギー源となっている。・・・」
 
との記載があります。

ヒューマン・ニュートリションは、英国で最も権威のある人間栄養学の教科書です。

新生児においては、ケトン体は脳の重要なエネルギー源ということを明記してあるのはすごいです。

一方、新生児だけではなく、胎児においてもケトン体は脳における重要なエネルギー源の可能性が高いことは、世界で初めて宗田哲男先生が示されたわけです。

今回の宗田先生の研究成果は、今後「ヒューマン・ニュートリション」にも引用されていくと思います。

宗田哲男先生、松本桃代管理栄養士、河口江里管理栄養士のお三方、糖質制限食やケトン食推進において、ターニング・ポイントとなる貴重な発表をありがとうございました。 m(_ _)m



江部康二


テーマ:糖質制限食
ジャンル:ヘルス・ダイエット
コメント
累々たる屍が、、、
 宗田哲男先生 が学会の発表の場で、
理不尽な扱いを受けておられることを知りました。

 またも医療の世界の後進性を露呈していますね。
パラダイムシフトに乗り遅れた医師達の累々たる屍が、、、
なんてことにならねば良いのですが。

 私達は宗田哲男先生 を応援しましょう。
2014/01/13(Mon) 13:49 | URL | ライフワーク光野 | 【編集
Re: 累々たる屍が、、、
ライフワーク光野 さん

第17回日本病態栄養学会における宗田先生のご発表は、反論の余地のない
世界初のデータでした。

これにより、ケトン体の有用性と安全性が証明されたといっても過言ではないと思います。
2014/01/13(Mon) 14:11 | URL | ドクター江部 | 【編集
妊娠糖尿病における糖質制限が認められてきてうれしいです!
妊娠初期に妊娠糖尿病と診断され、糖尿内科で栄養指導を毎月受けてましたが、従来通りの高糖質低カロリーのものでした。
自己判断で糖質制限し、インスリン使わずに乗り切りました。糖質制限のおかげで母乳の質も良いのか赤ちゃん肌も綺麗で元気です。
早く妊婦さんたちが糖質制限で安心して妊娠期間を過ごせる日が来ますように。
2014/01/13(Mon) 17:15 | URL | フェイ | 【編集
Re: タイトルなし
フェイ さん

妊娠糖尿病の妊婦さんが、糖質制限食を実践すると

1)血糖コントロールが簡単にできるので、インスリン注射が必要ありません。
2)体重コントロールが簡単なので、体重が増えすぎないようにする苦労が要らない。
3)赤ちゃんは、体重過多にはならないので、分娩が楽である。
4)妊婦も肥満がないので、産道の通過がし易くて、分娩が楽である。
5)現実に宗田クリニックでは糖質制限食導入後、帝王切開率が半減しています。
6)母乳も質がいいのが良く出ます。
7)食後高血糖と空腹時低血糖がないので、母子共に安全です。

従来の糖尿病食で高糖質食だと、
1)2)3)4)5)6)7)の利点が、失われるので、母子共に結構苦労することになります。
2014/01/13(Mon) 17:48 | URL | ドクター江部 | 【編集
素晴らしい!
こういうエビデンス、すばらしいです!

医者や栄養士が科学者の端くれであるなら、このプレゼンを認めるべきですし、反論するなら科学的にするべきです。

科学的な事実の積み重ねで静かに理路整然と真実を明かしていく。

見習わせていただきたいと思います。

ありがとうございます。
2014/01/13(Mon) 19:30 | URL | カルピンチョ | 【編集
Re: 素晴らしい!
カルピンチョ 先生

ありがとうございます。
先生のブログも、多いに参考になり励みになります。
ただただ感謝です。

*去年(2013年)、アボット社の簡易ケトン体測定器が登場したこと、
*日本の産婦人科開業医だからこそ、中絶胎児が多いこと、宗田先生にしかできないこと、
*大学病院や大病院では、人工中絶はほとんどないこと、
*胎児・新生児のケトン体値が高値ではないかと予想してたこと、
*ケトン体こそは、胎児・新生児の重要なエネルギー源と推定していたこと、

これらが相まって、モチベーションが高まって、
世界初の胎児のケトン体環境の研究があったと思います。

世界初ですから、宗田先生にお願いして、
英文のインパクトファクターの高い医学雑誌に投稿しようと思います。
人工流産胎児の合計数が100検体になれば、EBM的にものは言いやすいので
それを目指そうということで宗田先生と合意しました。
こうご期待ですね。
2014/01/13(Mon) 21:45 | URL | ドクター江部 | 【編集
感謝申上げます。
糖質ほぼゼロ食を始めて2年が経過した63歳男性です。
胎児と赤ちゃんの血中総ケトン体値についての先生のブログに感激・感謝しております。私のこの値は実践11ヶ月後で745、16ヶ月後で481です。考え方の方向は間違っていなかったなあと確信いたしております。
画期的な、歴史を切り開く秀逸なデータだと思います。
江部先生、宗田先生、管理栄養士の先生方に深く感謝申上げます。

それから、私のブログhttp://toshitsuzero.blog.fc2.com/に先生のブログをリンクさせていただきました。
大変ありがとうございました。
2014/01/14(Tue) 23:14 | URL | toshitsuzero | 【編集
Re: 感謝申上げます。
toshitsuzero さん

「実践11ヶ月後で745、16ヶ月後で481です。」

これなら、しっかり糖質制限ができていますね。
このまま美味しく楽しく糖質制限食をお続け下さい。
2014/01/15(Wed) 12:39 | URL | ドクター江部 | 【編集
コメントを投稿
URL:
Comment:
Pass:
秘密: 管理者にだけ表示を許可