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米国デューク大學と糖質制限食、MTpro記事。
こんばんは。

2013年12月19日(木)、医師のための専門情報サイト MTpro(エムティープロ)で、
「糖尿病に対する糖質制限食治療」という記事が、掲載されました。
http://mtpro.medical-tribune.co.jp/mtnews/2013/M46510151/

米国で糖質制限食に関する臨床研究を牽引するデューク大学の医師に、山田悟医師がインタビューしたものです。

MTproさん、山田悟先生、good job です。
ありがとうございます。m(_ _)m

デューク大學のWestman准教授は同大学生活習慣医学クリニック所長ならびに米国肥満学医学会(ASBP)会長を兼務しており、
Yancy Jr. 准教授は今回のADA声明改訂委員の1人でもあります。

米国肥満医学界の会長が糖質制限食を推進していることがまず素晴らしいです。

そして、ADA(栄養療法)声明改訂委員に糖質制限食推進派の医師が選ばれているのも、時代の流れを感じさせるできごとです。

少なくとも米国では、糖質制限食は、肥満改善においても糖尿病治療においても正当な評価を得て、認められていることは間違いないです。

このような米国糖尿病学会の流れに対して、日本糖尿病学会は、2013年11月に改訂発行した

<糖尿病食事療法のための食品交換表 第7版> (編著:日本糖尿病学会)

においても、相変わらず、カロリー制限・高糖質食を唯一無二の食事療法として推奨しています。

2013年10月の米国糖尿病学会の声明では、全ての糖尿病患者に適した“one-size-fits-all(唯一無二の)”食事パターンは存在しないとの見解を表明しました。

日本糖尿病学会、世界の趨勢に対してガラパゴス化していますが、そろそろ現実を直視して欲しいものです。

デューク大學では、炭水化物を20g/日未満に制限する「糖質制限-ケトジェニック食」(ケトン食)を用いています。

これは、高雄病院のスーパー糖質制限食より、さらに厳しい制限です。

この食事に関して、Westman医師は、内因性インスリン分泌が保たれているか、あるいはインスリンを投与していれば、糖尿病性ケトアシドーシスを来すことはまずないと安全性を述べています。

そして、糖質制限で血中ケトン値が上昇したといっても、それは糖尿病性ケトアシドーシスとは全く異なるもので、いたずらに恐れる必要はないと指摘しており、高雄病院と全く同一の見解です。

Westman医師は

「Bodenらの研究で、通常食とケトン 食期間における空腹感のvisual analogue scale(VAS)値は、エネルギー摂取量に差があるにもかかわらず同等でした。糖質制限を行うと空腹感が低下し、食事量が減るため,摂取カロリーも低下するのです。」

と述べています。

このことは、DIRECT研究(NENGLJ MED JULY17,2008、VOL359.NO.3 229-241)でも確認されており、糖質制限食は満腹感・満足感が得られやすいので、自然に無理なく摂取エネルギーが減少するということとなり、大きな利点といえます。

なおデューク大學では、糖質制限食を導入して5年余りということですが、この点においては、導入14年間経過の高雄病院のほうが先輩ですね。



江部康二



☆☆☆
http://mtpro.medical-tribune.co.jp/mtnews/2013/M46510151/

医師のための専門情報サイト MTpro(エムティープロ)記事

米デューク大学研究者インタビュー〈前編〉
[2013年12月19日(VOL.46 NO.51) p.15]
糖尿病に対する糖質制限食治療

よみがえるインスリン以前の標準食事療法
山田 悟氏 Eric C. Westman氏 William S. Yancy Jr.氏

 2013年10月,米国糖尿病学会(ADA)は成人糖尿病患者の食事療法に関する声明を2008年以来5年ぶりに改訂し,適切な三大栄養素比率は確立されていないことを明言するとともに「糖質130g/日が平均的な最小必要量」の文言を削除した。2型糖尿病に対する食事療法として,今や糖質制限食は重要なポジションを固めつつあるようだ。そこで,糖質制限食に関する臨床研究を牽引するデューク大学(米ノースカロライナ州ダーラム)一般内科のEric C. Westman准教授と同大学のWilliam S. Yancy Jr.准教授の両氏に,これまでの豊富な研究ならびに臨床経験からの知見と,同大学で実践している糖質制限食の実際について聞いた。Westman准教授は同大学生活習慣医学クリニック所長ならびに米国肥満学医学会(ASBP)会長を兼務しており,Yancy Jr. 准教授は今回のADA声明改訂委員の1人でもある。聞き手は,糖尿病に対する食事療法に造詣が深く,2013年11月に食・楽・健康協会理事長にも就任した北里研究所病院(東京都)糖尿病センターの山田悟センター長にお願いした。

炭水化物20g/日未満をクリニックで実践

山田 ADAの声明でも改訂された通り,糖質の理想的な摂取量については明確にされていません。Westman先生のクリニックでは患者さんにどのように指導しているのですか。

Westman 臨床では,炭水化物を20g/日未満に制限する「糖質制限-ケトジェニック食」(ケトン食)を用いています。20gは野菜を普通に食べていればほぼ達してしまう量です。

山田 非常に厳格ですね。

Westman そう思われますか。しかし,ケトン食は,インスリンの開発以前は糖尿病に対する治療法として確立されたものでした。当時の標準的な医学教科書である「オスラーの内科学」には,重症糖尿病に対する糖質摂取は10g/日とするよう記載されています(写真)。


Yancy Jr. 糖尿病の疾患概念の産みの親であり,ジョスリン糖尿病センターの創設者でもあるElliott P. Joslin氏が執筆しています。

Westman インスリンの発見は1921年ですが,それ以降,薬物治療の存在が急速に大きくなり,糖質制限治療は忘れられていました。ニュートンは,「私が遠くを見ることができたのは,巨人の肩(先人たちの業績)に乗っていたから」と語っています。私たちの研究も,膨大な過去の医師たちの研究をベースに積み上げてきたものなのです。

糖質でなくケトン体を主要なエネルギー源に

山田 日本では糖質制限によるケトン体の増加を懸念する声が強いのですが,いかがお考えですか。

Westman ご承知の通り,三大栄養素の中で炭水化物,つまり糖質だけが血糖値を直接上昇させる栄養素であり,糖質を制限して血糖値の上昇を抑えることは糖尿病治療において理にかなっています。そもそも,現在ほど糖質をヒトが食べるようになったのは,太古からの人類の歴史からすればまだ非常に最近のことです。一方,体内燃料としてのケトン体は健康的で,良いものであり,グルコースよりも毒性が低い。私たちが厳格な糖質制限食を実践しているのは,糖質中心の食生活から狩猟漁猟時代のより自然な食生活に近づけることで,体内の主要エネルギー源を現在の「糖質と脂肪酸」から以前の「脂肪酸とケトン体」へと戻し,インスリンの作用でため込まれた余分な脂肪を燃焼する経路を活性化することを意図しています。クリニックでは,20g/日未満に炭水化物を制限すると尿中ケトン値は上昇するとまず患者全員に説明していますし,「脂肪を燃焼するために脂肪を取りましょう」と話してもいます。まれに,ケトン体は炭水化物50g/日程度でも上昇する例もあります。ですから,ケトン食の定義は20〜50g/日としてよいかもしれません。ケトン食の実践では体重や血糖値の劇的な改善を経験することもよく認められるため,定期的な血液検査と医師による診察を受けることが重要です。

Yancy Jr. 肥満の2型糖尿病を対象としたBodenらの研究では,ケトン食の開始から3日で尿中ケトン値が急激に上昇しますが,その後徐々に下降してくることが示されています※。これらは体内でケトン体がエネルギーとしてよりうまく消費されるようになった結果ではないかと推察しています。

山田 ケトン食を実践している日本人のデータでは,尿中ケトン値が出ていなく,血中ケトン値が上昇している例があります。

Westman 私にも同様の経験があります。内因性インスリン分泌が保たれているか,あるいはインスリンを投与していれば,糖尿病性ケトアシドーシスを来すことはまずありません。糖質制限で血中ケトン値が上昇したといっても,それは糖尿病性ケトアシドーシスとは全く異なるものです。いたずらに恐れる必要はありません。

Yancy Jr. 私たちの研究のサブ解析で,血中および尿中ケトン値と動脈血のpH値を測定したものがありますが,pH値に変化はなく,重炭酸値がわずかに減少していました。これは,明らかに血中ケトン体の中和が適切に行われていたと考えてよいと思います。

Westman ですから,今後の研究としては尿中よりも血中ケトン値に注目しています。糖質制限を導入して5年余りたちましたが,患者を診れば診るほど,糖質制限で懸念されていた問題は現実には非常にまれであることが分かってきました。

糖質制限でエネルギー摂取量は自然に低下

Yancy Jr. Bodenらの研究は,いわゆるad libitumダイエットを実践したものです。まず,1週間の通常食期間の後に,ケトン食を2週間行いました。ケトン食期間中,制限したのは炭水化物の摂取量だけで,脂肪も蛋白質も自由にしてよいとだけ指導しています。すると,ケトン食期間中のエネルギー摂取量は通常食期間に比べ自然に低下したのです。

山田 なぜ,糖質制限を行うとエネルギー摂取が低下するのでしょうか。

Westman Bodenらの研究で,通常食とケトン 食期間における空腹感のvisual analogue scale(VAS)値はエネルギー摂取量に差があるにもかかわらず同等でした。糖質制限を行うと空腹感が低下し,食事量が減るため,摂取カロリーも低下するのです。

山田 では低糖質−高蛋白食と低糖質−高脂肪食であればどちらを推奨しますか。

Westman 高脂肪食です。厳密には,低糖質,高脂肪,そして適度な蛋白質量の食事を推奨します。

Yancy Jr. 食事の蛋白質については肉食が尿酸値を上昇させると考えている人が多いと思いますね。

Westman 確かに。それは食事療法が混在しているときに生じる誤解です。炭水化物をきちんと制限している限り,肉食に問題はありません。尿酸は腎臓を通じて排出されるため,糖質制限を開始して最初の週に尿中ケトン値が上昇し,尿酸値が上がることは考えられます。しかし,これは糖質制限で尿酸値が増えたわけではなく,ケトン値が再び低下してくれば消失します。一種の代謝変容の過程なのです。

※ Boden G, et al. Ann Intern Med 2005; 142: 403-411.


デューク大学生活習慣医学クリニックの患者教育から
全血液中の糖質はティースプーン1杯


 
Westman准教授のクリニックの壁には,ティースプーン1杯の砂糖の写真が飾られており,その横には以下の文言が書かれている。

正常な全血液中の血糖量はスプーン1杯未満)
健康な空腹時血糖値の上限は100mg/dL
ヒトの全血量はおよそ5L
ティースプーン1杯で砂糖5g
さあ,計算しましょう…

100mg/dL=1,000mg/L
→5Lの血中に5,000mgの砂糖
=ティースプーン1杯の砂糖
 同准教授は,たとえ20g/日に糖質を制限しても,なお体内血液中の4倍量に相当することを,常日ごろから患者に教えているという。

「これは自分の血糖値と体内の全血量を知っていれば簡単に計算できますが,意外と認識されていない人体の科学です。通常のコカコーラ1本には,ティースプーン7杯分の砂糖が含まれています。毎日コカコーラを2L飲んでインスリンを使用している患者がこれを知り,糖質を制限したところ,インスリンを打つ必要がなくなったという経験がありました。思慮深い患者にとってはこうした知識が最高の教育になる可能性があります」

同准教授は毎月患者が自由参加できるサポート会を開催し,糖質制限による食事療法の継続に尽力している。



テーマ:糖質制限食
ジャンル:ヘルス・ダイエット
コメント
ライブ
いつもご著書を拝読しております。色々教えていただいております。ありがとうございます。

たまたま今夜、旅行で京都に来ました。
今日は第三金曜日!…と思い、ライブハウス「憧夢」に問い合わせの電話をしてみましたが、「この電話は現在使われておりません」とアナウンスが。104で調べてもらっても、住所に該当なしでした。
これは先生のライブが聞けるかも!♪と喜んだのですが、残念でした…
2013/12/20(Fri) 18:25 | URL | やなぎさわ | 【編集
ライブ
いつもご著書とブログで色々ご教示頂きありがとうございます。

たまたま京都にきて、今夜が第三金曜日と気付き、ライブに伺いたいと思ったのですが…
「憧夢」に問い合わせの電話をしてみましたが、「この電話は現在使われておりません」とアナウンスが。104で調べてもらっても住所に該当なしでした。

残念…
2013/12/20(Fri) 18:42 | URL | サヴァ | 【編集
すみません
コメントがすぐ反映されなかったのでやり方が悪いのかと思い、何回も入れてしまいました。削除して下さいませ。
ライブはまたいつかの機会を楽しみにしております
2013/12/21(Sat) 13:38 | URL | やなぎさわまたはサヴァ | 【編集
Re: ライブ
やなぎさわ さん

拙著のご購入ありがとうございます。
2013年12月20日(金)第三金曜ライブ、40名以上のお客さんで、盛況でした。
ブログに書いた電話番号が、古い時代のもので間違っていました。
申し訳ありません。

正しくは、ライブハウス憧夢、電話番号:075-862-1101
です。
これにこりずに、機会がありましたら、また第三金曜ライブよろしくお願い申し上げます。
2013/12/21(Sat) 14:52 | URL | ドクター江部 | 【編集
糖質でなくケトン体を主要なエネルギー源に

 山 田 悟 
日本では糖質制限によるケトン体の増加を懸念する声が強いのですが,いかがお考えですか。

Westman
 ご承知の通り,三大栄養素の中で炭水化物,つまり糖質だけが血糖値を直接上昇させる栄養素であり,糖質を制限して血糖値の上昇を抑えることは糖尿病治療において理にかなっています。そもそも,現在ほど糖質をヒトが食べるようになったのは,太古からの人類の歴史からすればまだ非常に最近のことです。一方,体内燃料としてのケトン体は健康的で,良いものであり,グルコースよりも毒性が低い。私たちが厳格な糖質制限食を実践しているのは,糖質中心の食生活から狩猟漁猟時代のより自然な食生活に近づけることで,体内の主要エネルギー源を現在の「糖質と脂肪酸」から以前の「脂肪酸とケトン体」へと戻し,インスリンの作用でため込まれた余分な脂肪を燃焼する経路を活性化することを意図しています。

Westman 
 内因性インスリン分泌が保たれているか,あるいはインスリンを投与していれば,糖尿病性ケトアシドーシスを来すことはまずありません。糖質制限で血中ケトン値が上昇したといっても,それは糖尿病性ケトアシドーシスとは全く異なるものです。いたずらに恐れる必要はありません。

     ****************************

Westman医師は、明快に答えておられますね。

日本の糖尿病学会の幹部のDrたちは、この答えを無視するのでしょうか??


2013/12/22(Sun) 09:50 | URL | わんわんこと長谷川 | 【編集
なかなか良い数値になりません。
 アメリカと日本における糖尿病学会の科学的な取り組みに対する時間差の大きさに驚かされました。欧州の動きはどうなのかも興味が有るところです。
 さて、私はダイエット目的で糖質制限をもう3年以上続けていますが、体重はあまり変わりません。しかし、主食という考えをやめたので、結果的におかず?の塩分も減らすことができて、健康的な食生活に納得して続けております。私は、先生のおっしゃられる節約遺伝子タイプのからだで、代謝が低いのでしょう。
 しかし、何故か今年の4月にわざわざ朝起きて病院まで20分くらい歩いていって測定した空腹時血糖値が114もあり驚きましたが、HcA1Cは5.5/5.9でまあ安心しました。
 血圧が少し高めなので、より一層の糖質制限をしようとし、朝はオリーブオイル多めの玉子焼き、昼は無糖100%カカオチョコレートとアーモンドという食生活をしており、穀類はほとんど摂取しておりません。ケトン食に近いものだと考えています。
 しかし、先週行った血液検査では空腹時血糖値は94として正常でしたが、HbA1cは国際基準で6.0に上がってしまいました。糖質制限を続けているので、HbA1cは低下してゆくことを期待しているのですが、これが下がらないのはどうしてでしょうか?無糖チョコレートとアーモンドの中に、糖質が多くふくまれているものかなあ?とちょっと不思議に思えてなりません。
 ちなみに、玉子焼きの影響かLDL:199, HDL:61でしたが、VLDLが16 しか無いので、これは気にはなりません。
 何か、お気づきの点か気をつけるべきことがあればご連絡をお願いいたします。
2013/12/23(Mon) 22:28 | URL | K豚体 | 【編集
Re: なかなか良い数値になりません。
K豚体 さん

無糖チョコレートには、カカオ豆由来の糖質が結構含まれています。
カカオマス自体の糖質が100g中およそ27.2gあります。

アーモンドの糖質は、100g中に10gくらいです。

2013/12/24(Tue) 15:03 | URL | ドクター江部 | 【編集
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