2013年12月16日 (月)
こんばんは。
SGLT2阻害薬が2014年1月に認可されそうです。
健康さん 、精神科医師Aさんなどから情報をいただきました。
ありがとうございます。
SGLT2阻害薬に関しては、以前精神科医師Aさんから、京大の稲垣先生が日経メディカルに解説しておられた記事をコメントいただきました。
よくまとまっているので、一部転載します。(☆)
SGLT2阻害薬は、ブドウ糖を尿から排泄させるという全く新しい機序の薬品なので、発想はとても面白いと思います。
しかし、スーパー糖質制限食なら食後高血糖は生じないので、そもそも必要ない薬です。
それから、尿の中に大量のブドウ糖が排泄されるので、尿路感染とか女性では性器感染症も生じやすくなると思います。
また、ブドウ糖排泄にともない、浸透圧利尿で尿量が増加して脱水になる可能性もあるので、高齢者には注意が必要です。
SGLT2阻害薬内服で、
血中総ケトン体が平均0.3mmol/L(300μmol/L)増加です。
血中総ケトン体の基準値が、「26~122μM/L」ですので結構な上昇ですね。
血液中のブドウ糖を60g(240キロカロリー)尿中に排泄するので、その分脂肪をエネルギー源とするため、肝臓でのケトン体生成が高まるものと思われます。
スーパー糖質制限食では、食後高血糖が正常血糖になり、肝臓の糖新生があるので低血糖にはなりません。
糖質摂取時に比べたら、糖質制限時は、脂肪を主たるエネルギー源にするので、肝臓でケトン体を生成します。
結果的には、糖質制限食でもSGLT2阻害薬内服でも、血中ケトン体が上昇しますが、インスリン作用があるていど以上あるなら、生理的なもので心配はいりません。
稲垣先生、SGLT2阻害薬内服時のケトン体上昇は許容しておられるので、スーパー糖質制限食実践時のケトン体上昇も、危険ではないと認識しておられるのでしょうかね。
江部康二
(☆)
日経メディカル2012年8月号特別編集版「糖尿病診療の最新動向」から一部転載
https://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/report/t181/201208/526387.html
糖を尿中に排泄させる、新機序のSGLT2阻害薬
2012/8/29 満武里奈=日経メディカル別冊
糖尿病治療において、次に登場する新規治療薬として注目されている薬剤の1つがSGLT2阻害薬だ。尿中に糖を積極的に排泄することで、血糖値を減少させる。現在、日本でも複数の開発が進められているSGLT2阻害薬の特徴を紹介する。
京都大学大学院医学研究科糖尿病・栄養内科学教授の稲垣暢也氏
「糖尿病という疾患名は、尿中に糖が出ることに由来しているが、ナトリウム・グルコース共輸送体(sodiumglucosetransporter:SGLT)2阻害薬は“尿中に糖が出ることが悪い”という常識を逆転させて開発された薬剤だ」と、京都大学糖尿病・栄養内科学教授の稲垣暢也氏は説明する。
SGLT2阻害薬は、血液中の過剰な糖を尿中に積極的に排泄させることで血糖値を減少させるという、新しい作用機序を持つ経口薬だ。スルホニル尿素(SU)薬などとは異なり、インスリン分泌に作用しないのも特徴の1つに挙げられる。
原尿中の糖の9割はSGLT2で再吸収
正常な人においては、血糖値が160~180mg/dL以下では尿中に糖が排泄されることはない。血液中から糸球体を通して原尿中にこし出された糖は、すべて尿細管内で再吸収され、血液中に戻されるためだ。
この時に重要な役割を果たしているのが腎臓に特異的に発現するSGLT2で、原尿中の糖の90%はSGLT2を通して再吸収される(図1)。残りの10%の糖については、同じく尿細管で発現するSGLT1を通して再吸収される。
図1●腎臓におけるグルコースのろ過と再吸収
しかし、血糖値が高くなると、尿細管における糖の吸収容量を超えるため、糖は100%再吸収されず、一部の糖はそのまま尿中に排泄されてしまう。
一方、血糖値が高い状態が維持された糖尿病患者では、SGLT2が高発現していることが知られ、糖の再吸収が亢進する。そのため、糖尿病状態では糖再吸収の閾値が240mg/dLくらいまで高まり、高血糖値状態が維持されることが報告されている。そこで、この高発現しているSGLT2を阻害すれば、亢進した糖の再吸収を抑制できるのではないかと考えたのが薬剤開発のきっかけとなった。
もう1つ、SGLT2が治療ターゲットとして適していた理由として、近位尿細管のS1セグメントに局在しており、腎臓特異的に発現している点が挙げられる。
一方のSGLT1は、近位尿細管S2、S3セグメントのほか、腸管にも発現しているため、SGLT1を阻害すると消化管での糖の吸収も抑制されてしまい、下痢などの消化管症状が強く出てしまう。また、SGLT1を介して流入するナトリウムがインクレチンの分泌を刺激していることもあり、「現在のところ、SGLT1は治療ターゲットとしては適していないと認識されている」と、稲垣氏は説明する。
投与対象として軽症の肥満例が向く
SGLT2阻害薬は、現在少なくとも8種類の薬剤について開発が進められており、その多くは国内でフェーズ3試験が進行中だ(表1)。単剤投与のほか、従来の糖尿病治療薬との併用療法についても検討が進められている(表2)。
表1●開発中の主なSGLT2阻害薬(稲垣氏による)
(*クリックすると拡大表示されます)
表2●結果が公表されている主なSGLT2阻害薬の臨床試験(稲垣氏による)
(*クリックすると拡大表示されます)
このうち、dapagliflozinには今年に入り欧州で承認勧告が出され、canagliflozinは欧米で承認申請中の段階だ。
臨床試験登録時の患者背景、投与期間、実施地域にばらつきはあるが、「現段階では、安全性・有効性の大まかな傾向は同じと理解して問題ないだろう」(稲垣氏)。
有効性に関するデータを見ると、SGLT2阻害薬を12~26週間にわたり単独投与すると、HbA1c値はベースラインから最大1.2%程度まで低下していた(図2a)。また、空腹時血糖値は30~40mg/dL、食後2時間血糖値はおよそ60mg/dL下がっている。
図2●主なSGLT2阻害薬の単独投与におけるHbA1c値と体重の変化量(稲垣氏による)
(*クリックすると拡大表示されます)
注目されているのは、従来の経口の糖尿病治療薬では得られなかった体重減少が認められる点で(図2b)、一部の薬剤では脂肪量や内臓脂肪量が低下したという報告もある。
では、近い将来SGLT2阻害薬が臨床現場に登場した際、どのような患者に投与することが想定されるのだろうか。稲垣氏は「血糖値を下げるだけでなく、体重減少効果もあるため、比較的軽症の肥満を伴うような患者に向いているのではないか」と語る。
尿路感染症やケトン体に留意
これまでの試験データでは、SGLT2阻害薬の主な副作用は尿路感染症で、発現率は5%前後だ。SGLT2阻害薬によって尿中の糖濃度が高くなり、菌が繁殖しやすい状態になっているためだ。
特に女性では、主にカンジダに起因する性器感染症が見られたが、いずれも投与を中断せずに治療可能な範囲だった。
一般に、糖尿病治療薬で懸念されるのは重篤な低血糖だが、単独投与した際の発現率は対照群との間に有意差は見られなかった。
また、SGLT2阻害薬の投与中に、血中の総ケトン体が平均0.3mmol/L増加したことが報告されており、ケトアシドーシスとの違いを見極めて治療する必要がある。これは、SGLT2阻害薬が1日当たりおよそ400kcalのエネルギーに相当する糖を尿中に捨てていることに起因する現象だ。
低炭水化物ダイエットと似たような状態になるため、脂肪をエネルギー源とする際に、アセチルCoAを経て、最終産物のケトン体が増加する。稲垣氏は「SGLT2阻害薬投与によってケトン体が増加するのは当然の現象だが、インスリン分泌不全患者にSGLT2阻害薬を投与してしまうと、簡単にケトアシドーシスを引き起こすことが想定されるので慎重な観察が必要」と指摘する。
そのほかの注意点として、「SGLT2阻害薬はインスリン分泌やインスリン抵抗性など、糖尿病の根本的な病態を改善する薬剤ではないので、病態によっては既存薬を併用することが必要になる」と、稲垣氏は語る。
一方、多尿について懸念する向きもある。SGLT2阻害薬を服薬すると糖が排泄されるため、浸透圧利尿作用によって尿量が増加し、脱水が起こる可能性が指摘されている。もっとも、服薬開始1~2日に尿量が一時的に増加したという報告はあるが、投与期間中継続して尿量が増加したというデータはない。
「臨床試験では赤血球の濃度を示すヘマトクリット値、ヘモグロビン値が上昇していることから、軽度の脱水が起きている可能性はあり得る」と稲垣氏は指摘する。腎機能が低下している患者、とくに高齢者では、脱水症状を示しやすいため、細心の注意が必要になりそうだ。
稲垣氏は、「これまでにない作用機序の薬剤なので、従来の治療薬とうまく組み合わせて用いると治療効果が高まるのではないか」と、SGLT2阻害薬に期待感を示している。
SGLT2阻害薬が2014年1月に認可されそうです。
健康さん 、精神科医師Aさんなどから情報をいただきました。
ありがとうございます。
SGLT2阻害薬に関しては、以前精神科医師Aさんから、京大の稲垣先生が日経メディカルに解説しておられた記事をコメントいただきました。
よくまとまっているので、一部転載します。(☆)
SGLT2阻害薬は、ブドウ糖を尿から排泄させるという全く新しい機序の薬品なので、発想はとても面白いと思います。
しかし、スーパー糖質制限食なら食後高血糖は生じないので、そもそも必要ない薬です。
それから、尿の中に大量のブドウ糖が排泄されるので、尿路感染とか女性では性器感染症も生じやすくなると思います。
また、ブドウ糖排泄にともない、浸透圧利尿で尿量が増加して脱水になる可能性もあるので、高齢者には注意が必要です。
SGLT2阻害薬内服で、
血中総ケトン体が平均0.3mmol/L(300μmol/L)増加です。
血中総ケトン体の基準値が、「26~122μM/L」ですので結構な上昇ですね。
血液中のブドウ糖を60g(240キロカロリー)尿中に排泄するので、その分脂肪をエネルギー源とするため、肝臓でのケトン体生成が高まるものと思われます。
スーパー糖質制限食では、食後高血糖が正常血糖になり、肝臓の糖新生があるので低血糖にはなりません。
糖質摂取時に比べたら、糖質制限時は、脂肪を主たるエネルギー源にするので、肝臓でケトン体を生成します。
結果的には、糖質制限食でもSGLT2阻害薬内服でも、血中ケトン体が上昇しますが、インスリン作用があるていど以上あるなら、生理的なもので心配はいりません。
稲垣先生、SGLT2阻害薬内服時のケトン体上昇は許容しておられるので、スーパー糖質制限食実践時のケトン体上昇も、危険ではないと認識しておられるのでしょうかね。
江部康二
(☆)
日経メディカル2012年8月号特別編集版「糖尿病診療の最新動向」から一部転載
https://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/report/t181/201208/526387.html
糖を尿中に排泄させる、新機序のSGLT2阻害薬
2012/8/29 満武里奈=日経メディカル別冊
糖尿病治療において、次に登場する新規治療薬として注目されている薬剤の1つがSGLT2阻害薬だ。尿中に糖を積極的に排泄することで、血糖値を減少させる。現在、日本でも複数の開発が進められているSGLT2阻害薬の特徴を紹介する。
京都大学大学院医学研究科糖尿病・栄養内科学教授の稲垣暢也氏
「糖尿病という疾患名は、尿中に糖が出ることに由来しているが、ナトリウム・グルコース共輸送体(sodiumglucosetransporter:SGLT)2阻害薬は“尿中に糖が出ることが悪い”という常識を逆転させて開発された薬剤だ」と、京都大学糖尿病・栄養内科学教授の稲垣暢也氏は説明する。
SGLT2阻害薬は、血液中の過剰な糖を尿中に積極的に排泄させることで血糖値を減少させるという、新しい作用機序を持つ経口薬だ。スルホニル尿素(SU)薬などとは異なり、インスリン分泌に作用しないのも特徴の1つに挙げられる。
原尿中の糖の9割はSGLT2で再吸収
正常な人においては、血糖値が160~180mg/dL以下では尿中に糖が排泄されることはない。血液中から糸球体を通して原尿中にこし出された糖は、すべて尿細管内で再吸収され、血液中に戻されるためだ。
この時に重要な役割を果たしているのが腎臓に特異的に発現するSGLT2で、原尿中の糖の90%はSGLT2を通して再吸収される(図1)。残りの10%の糖については、同じく尿細管で発現するSGLT1を通して再吸収される。
図1●腎臓におけるグルコースのろ過と再吸収
しかし、血糖値が高くなると、尿細管における糖の吸収容量を超えるため、糖は100%再吸収されず、一部の糖はそのまま尿中に排泄されてしまう。
一方、血糖値が高い状態が維持された糖尿病患者では、SGLT2が高発現していることが知られ、糖の再吸収が亢進する。そのため、糖尿病状態では糖再吸収の閾値が240mg/dLくらいまで高まり、高血糖値状態が維持されることが報告されている。そこで、この高発現しているSGLT2を阻害すれば、亢進した糖の再吸収を抑制できるのではないかと考えたのが薬剤開発のきっかけとなった。
もう1つ、SGLT2が治療ターゲットとして適していた理由として、近位尿細管のS1セグメントに局在しており、腎臓特異的に発現している点が挙げられる。
一方のSGLT1は、近位尿細管S2、S3セグメントのほか、腸管にも発現しているため、SGLT1を阻害すると消化管での糖の吸収も抑制されてしまい、下痢などの消化管症状が強く出てしまう。また、SGLT1を介して流入するナトリウムがインクレチンの分泌を刺激していることもあり、「現在のところ、SGLT1は治療ターゲットとしては適していないと認識されている」と、稲垣氏は説明する。
投与対象として軽症の肥満例が向く
SGLT2阻害薬は、現在少なくとも8種類の薬剤について開発が進められており、その多くは国内でフェーズ3試験が進行中だ(表1)。単剤投与のほか、従来の糖尿病治療薬との併用療法についても検討が進められている(表2)。
表1●開発中の主なSGLT2阻害薬(稲垣氏による)
(*クリックすると拡大表示されます)
表2●結果が公表されている主なSGLT2阻害薬の臨床試験(稲垣氏による)
(*クリックすると拡大表示されます)
このうち、dapagliflozinには今年に入り欧州で承認勧告が出され、canagliflozinは欧米で承認申請中の段階だ。
臨床試験登録時の患者背景、投与期間、実施地域にばらつきはあるが、「現段階では、安全性・有効性の大まかな傾向は同じと理解して問題ないだろう」(稲垣氏)。
有効性に関するデータを見ると、SGLT2阻害薬を12~26週間にわたり単独投与すると、HbA1c値はベースラインから最大1.2%程度まで低下していた(図2a)。また、空腹時血糖値は30~40mg/dL、食後2時間血糖値はおよそ60mg/dL下がっている。
図2●主なSGLT2阻害薬の単独投与におけるHbA1c値と体重の変化量(稲垣氏による)
(*クリックすると拡大表示されます)
注目されているのは、従来の経口の糖尿病治療薬では得られなかった体重減少が認められる点で(図2b)、一部の薬剤では脂肪量や内臓脂肪量が低下したという報告もある。
では、近い将来SGLT2阻害薬が臨床現場に登場した際、どのような患者に投与することが想定されるのだろうか。稲垣氏は「血糖値を下げるだけでなく、体重減少効果もあるため、比較的軽症の肥満を伴うような患者に向いているのではないか」と語る。
尿路感染症やケトン体に留意
これまでの試験データでは、SGLT2阻害薬の主な副作用は尿路感染症で、発現率は5%前後だ。SGLT2阻害薬によって尿中の糖濃度が高くなり、菌が繁殖しやすい状態になっているためだ。
特に女性では、主にカンジダに起因する性器感染症が見られたが、いずれも投与を中断せずに治療可能な範囲だった。
一般に、糖尿病治療薬で懸念されるのは重篤な低血糖だが、単独投与した際の発現率は対照群との間に有意差は見られなかった。
また、SGLT2阻害薬の投与中に、血中の総ケトン体が平均0.3mmol/L増加したことが報告されており、ケトアシドーシスとの違いを見極めて治療する必要がある。これは、SGLT2阻害薬が1日当たりおよそ400kcalのエネルギーに相当する糖を尿中に捨てていることに起因する現象だ。
低炭水化物ダイエットと似たような状態になるため、脂肪をエネルギー源とする際に、アセチルCoAを経て、最終産物のケトン体が増加する。稲垣氏は「SGLT2阻害薬投与によってケトン体が増加するのは当然の現象だが、インスリン分泌不全患者にSGLT2阻害薬を投与してしまうと、簡単にケトアシドーシスを引き起こすことが想定されるので慎重な観察が必要」と指摘する。
そのほかの注意点として、「SGLT2阻害薬はインスリン分泌やインスリン抵抗性など、糖尿病の根本的な病態を改善する薬剤ではないので、病態によっては既存薬を併用することが必要になる」と、稲垣氏は語る。
一方、多尿について懸念する向きもある。SGLT2阻害薬を服薬すると糖が排泄されるため、浸透圧利尿作用によって尿量が増加し、脱水が起こる可能性が指摘されている。もっとも、服薬開始1~2日に尿量が一時的に増加したという報告はあるが、投与期間中継続して尿量が増加したというデータはない。
「臨床試験では赤血球の濃度を示すヘマトクリット値、ヘモグロビン値が上昇していることから、軽度の脱水が起きている可能性はあり得る」と稲垣氏は指摘する。腎機能が低下している患者、とくに高齢者では、脱水症状を示しやすいため、細心の注意が必要になりそうだ。
稲垣氏は、「これまでにない作用機序の薬剤なので、従来の治療薬とうまく組み合わせて用いると治療効果が高まるのではないか」と、SGLT2阻害薬に期待感を示している。
江部先生、はじめまして。いつもブログ拝見しております。
SGLT2阻害薬、ニュースで見てちょっと面白いな、と思いまして、注目しておりました。
ご解説いただき、ありがとうございます。
自分は糖質制限バッチリ実践しているのですが、
80代の父親(2型糖尿病)は、なかなか糖質制限できません。
もう、長年のクセだと思うのですが、(少しボケもありますが)
ほっておくと平気でゴハンとかバクバク食べちゃうのです。
とはいえ、もういい加減トシですし、食糧難の時代の人ですので、
「銀シャリはダメ」などと言って、糖質制限を無理強いするのも
かわいそう・・・と思い、仕方なく血糖降下剤などを続けさせていますが、
やはり体への負担が心配でした。
しかし、この薬ならもしかしたら、従来の糖尿病薬より、
身体に負担がかかりにくいのかと思いました。
そういう「(心理的にもう)糖質制限できないお年寄り」とかには
もしかしたら役に立つのかもしれない、と思いましたが、
もしよろしければ、江部先生のご意見を伺えれば幸いです。
ありがとうございます。
SGLT2阻害薬、ニュースで見てちょっと面白いな、と思いまして、注目しておりました。
ご解説いただき、ありがとうございます。
自分は糖質制限バッチリ実践しているのですが、
80代の父親(2型糖尿病)は、なかなか糖質制限できません。
もう、長年のクセだと思うのですが、(少しボケもありますが)
ほっておくと平気でゴハンとかバクバク食べちゃうのです。
とはいえ、もういい加減トシですし、食糧難の時代の人ですので、
「銀シャリはダメ」などと言って、糖質制限を無理強いするのも
かわいそう・・・と思い、仕方なく血糖降下剤などを続けさせていますが、
やはり体への負担が心配でした。
しかし、この薬ならもしかしたら、従来の糖尿病薬より、
身体に負担がかかりにくいのかと思いました。
そういう「(心理的にもう)糖質制限できないお年寄り」とかには
もしかしたら役に立つのかもしれない、と思いましたが、
もしよろしければ、江部先生のご意見を伺えれば幸いです。
ありがとうございます。
2013/12/16(Mon) 19:39 | URL | ToshitsuToru | 【編集】
2013年11月23日(京都)
事前に印刷物として配布された抄録と、口演の筆記内容を報告します
<シンポジウム:たんぱく制限と透析予防>
宇津 貴
滋賀医科大学糖尿病・腎臓・神経内科 准教授
(抄録)
慢性腎臓病(CKD)が進行すると、過剰なたんぱく摂取が尿中たんぱく排泄を増加させ腎機能低下を速めることが示唆されている。糖尿病患者に対する食事療法は、腎症の進展抑制に有効であり、食塩制限、飽和脂肪酸・コレステロール制限、および腎症ステージに応じたたんぱく制限が推奨されている。たんぱく制限は、非糖尿病CKD患者では腎機能低下があるCKDステージG3以降から推奨されているが、糖尿病性腎症患者では腎機能が保たれている時期から行う。わが国においては、顕性腎症(糖尿病性腎症ステージ3)以降でたんぱく制限が推奨され、たんぱく摂取量は第3期では0.8‐1.0g/kg標準体重、第4期から透析療法に至るまでは0.8g/kg標準体重以下と設定されている。しかし、薬剤とは異なり、食事療法の長期的な効果を科学的に評価することは困難であり、食塩制限に関するエビデンスすら一定していない。たんぱく制限による腎機能低下抑制効果が示されているのは1型糖尿病患者に対してのみであるが、2型糖尿病腎症に関してもたんぱく尿減少効果が示されている。また、たんぱく制限によって、りん摂取量・カリウム摂取量が制限さえることも糖尿病患者の透析予防に効果的である。
(口演筆記)
1) 窒素バランスからは蛋白質の平均必要量は0.66g/kg・実体重/day
人間の97.5%が不足せぬ量は0.83 g/kg・実体重/day
2) 蛋白過剰だと、腎血行動態の変化(GFRの一過性上昇)
健常者への蛋白質負荷 2.4g/kg/day 7日間 (AJCN 2009)でGFR、BUN、尿酸の上昇あり
ajcn.nutrition.org/content/90/6/1509.full
3) 蛋白質が増えるとリンも増える。毎日の動物蛋白質の摂取が増えると腎機能低下のriskとなる酸性食品で、血中HCO3上昇。Vegetarian diet で、腎機能低下は防げる
4) Nezu (2013)、2型DMに蛋白制限でGFR上昇
www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3664345/
5) Dukler (2013): 蛋白摂取量が多いと腎riskは軽減(ONTARGET試験)
archinte.jamanetwork.com/article.aspx?articleid=1754361&resultClick=1
質問者『今年10月のADA見解では、顕性腎症での蛋白制限は意味ないとあるが?』
宇津Dr『蛋白制限をして、透析に至るまでの期間が短くなったという明確なevidenceはない。GFRが改善したという論文はある』
(批判)
1) CKD診療ガイド2012、P74 糖尿病性腎症にはこう記載されている
www.jsn.or.jp/guideline/pdf/CKD_evidence2013/all.pdf
『CKD ステージG3 以降では,腎機能低下に応じて,軽症では0.8~1.0 g/kg/ 日,重症では0.6~0.8 g/kg/日の摂取たんぱく質制限を行い…』
2) 「エビデンスに基づくCKD 診療ガイドライン2013」、P98糖尿病性腎症の記載は下記のとおり
www.jsn.or.jp/guideline/pdf/CKD_evidence2013/all.pdf
『CKD ステージG3:0.8~1.0 g/kg 標準体重,G4:0.6~0.8 g/kg 標準体重のたんぱく質制限を基本として,C1 レベルで推奨』
□
…CKD診療ガイドと、全くくいちがう内容の抄録であった
事前に印刷物として配布された抄録と、口演の筆記内容を報告します
<シンポジウム:たんぱく制限と透析予防>
宇津 貴
滋賀医科大学糖尿病・腎臓・神経内科 准教授
(抄録)
慢性腎臓病(CKD)が進行すると、過剰なたんぱく摂取が尿中たんぱく排泄を増加させ腎機能低下を速めることが示唆されている。糖尿病患者に対する食事療法は、腎症の進展抑制に有効であり、食塩制限、飽和脂肪酸・コレステロール制限、および腎症ステージに応じたたんぱく制限が推奨されている。たんぱく制限は、非糖尿病CKD患者では腎機能低下があるCKDステージG3以降から推奨されているが、糖尿病性腎症患者では腎機能が保たれている時期から行う。わが国においては、顕性腎症(糖尿病性腎症ステージ3)以降でたんぱく制限が推奨され、たんぱく摂取量は第3期では0.8‐1.0g/kg標準体重、第4期から透析療法に至るまでは0.8g/kg標準体重以下と設定されている。しかし、薬剤とは異なり、食事療法の長期的な効果を科学的に評価することは困難であり、食塩制限に関するエビデンスすら一定していない。たんぱく制限による腎機能低下抑制効果が示されているのは1型糖尿病患者に対してのみであるが、2型糖尿病腎症に関してもたんぱく尿減少効果が示されている。また、たんぱく制限によって、りん摂取量・カリウム摂取量が制限さえることも糖尿病患者の透析予防に効果的である。
(口演筆記)
1) 窒素バランスからは蛋白質の平均必要量は0.66g/kg・実体重/day
人間の97.5%が不足せぬ量は0.83 g/kg・実体重/day
2) 蛋白過剰だと、腎血行動態の変化(GFRの一過性上昇)
健常者への蛋白質負荷 2.4g/kg/day 7日間 (AJCN 2009)でGFR、BUN、尿酸の上昇あり
ajcn.nutrition.org/content/90/6/1509.full
3) 蛋白質が増えるとリンも増える。毎日の動物蛋白質の摂取が増えると腎機能低下のriskとなる酸性食品で、血中HCO3上昇。Vegetarian diet で、腎機能低下は防げる
4) Nezu (2013)、2型DMに蛋白制限でGFR上昇
www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3664345/
5) Dukler (2013): 蛋白摂取量が多いと腎riskは軽減(ONTARGET試験)
archinte.jamanetwork.com/article.aspx?articleid=1754361&resultClick=1
質問者『今年10月のADA見解では、顕性腎症での蛋白制限は意味ないとあるが?』
宇津Dr『蛋白制限をして、透析に至るまでの期間が短くなったという明確なevidenceはない。GFRが改善したという論文はある』
(批判)
1) CKD診療ガイド2012、P74 糖尿病性腎症にはこう記載されている
www.jsn.or.jp/guideline/pdf/CKD_evidence2013/all.pdf
『CKD ステージG3 以降では,腎機能低下に応じて,軽症では0.8~1.0 g/kg/ 日,重症では0.6~0.8 g/kg/日の摂取たんぱく質制限を行い…』
2) 「エビデンスに基づくCKD 診療ガイドライン2013」、P98糖尿病性腎症の記載は下記のとおり
www.jsn.or.jp/guideline/pdf/CKD_evidence2013/all.pdf
『CKD ステージG3:0.8~1.0 g/kg 標準体重,G4:0.6~0.8 g/kg 標準体重のたんぱく質制限を基本として,C1 レベルで推奨』
□
…CKD診療ガイドと、全くくいちがう内容の抄録であった
2013/12/16(Mon) 20:35 | URL | 精神科医師A | 【編集】
<シンポジウム:糖質制限の代謝に及ぼす影響>
福井 道明(京都府立医科大学大学院医学研究科 内分泌・代謝内科学)
(抄録)
日本糖尿病学会が推奨する食品交換表にもとづくカロリー制限とは、糖尿病治療の原則である個人のライフスタイルを尊重しながら、適正なエネルギー量で、栄養バランスがよく、糖尿病合併症の発症または進展の抑制をはかれる食事である。糖尿病治療ガイド、糖尿病療養指導ガィドブック、科学的根拠に基づく糖尿病診療ガイドラインなどいずれもバランスのとれた食事として、炭水化物の比率は50‐60%としている。糖質制限の利点としては、体重減少効果があることと、食後高血糖(血糖変動)や中性脂肪を低下させることである。ただし、糖質制限をすると、食物繊維、ビタミン、ミネラルの不足を招くおそれがあり、必然的にたんぱく質、脂質が増える。糖質制限はがん・心血管イベントの発症、総死亡を増加させるとも報告されている。本シンポジウムでは糖質制限の様々な代謝に及ぼす影響を示し、糖質制限の功罪に関するメカニズムを提示する予定である。
(口演筆記)…食品交換表編集委員である
1) Ann Intern Med. 2003;138(6):460-467
annals.org/article.aspx?articleid=716162
動物性蛋白質の摂取量が多いと、腎機能障害を来たし得る
2) Ann Intern Med. 2005;142(6):403-411
annals.org/article.aspx?articleid=718265
低糖質食では満足度が落ちる
3) Am J Clin Nutr 2009 90: 519-526
ajcn.nutrition.org/content/90/3/519.full
低糖質ではエネルギー消費増加
4) 日本臨床栄養学会誌31: 44-50, 2010
低糖質食によって内臓脂肪が減少し,糖脂質代謝が改善した.低糖質食による内臓脂肪減少の機序の一つとしてGH分泌の上昇が関与したことが示唆された
5) 低糖質食では筋肉異化が多くなるゆえ、蛋白質を1.05g/kg以上摂取せねばならぬ
蛋白質摂取量が多いと、尿酸が作られやすい。動物性たんぱく質が多いと骨折につながるかも。酸性食品(肉類)摂取増加のマイナス面を指摘
[結論] 低炭水化物食は、炭水化物エネ比40%程度ならよい。糖尿病腎症1期の方に限定すべきである。今日も糖質制限食の発表があったが、このような理由で奨励はできない
質問者『今年3月の学会提言では、蛋白質摂取はCKD診療ガイドに従うとある。同ガイドではGFRが60%以上なら蛋白質摂取は制限しないとある。食品交換表はCKD診療ガイドに従っていない』
福井Dr『CKD診療ガイドは糖尿病だけを対象にしていない。糖尿病患者では、GFRが悪くなくても腎臓が悪化しているときがある』(CKD診療ガイドでは糖尿病性腎症の項目が独立しているはず)
福井 道明(京都府立医科大学大学院医学研究科 内分泌・代謝内科学)
(抄録)
日本糖尿病学会が推奨する食品交換表にもとづくカロリー制限とは、糖尿病治療の原則である個人のライフスタイルを尊重しながら、適正なエネルギー量で、栄養バランスがよく、糖尿病合併症の発症または進展の抑制をはかれる食事である。糖尿病治療ガイド、糖尿病療養指導ガィドブック、科学的根拠に基づく糖尿病診療ガイドラインなどいずれもバランスのとれた食事として、炭水化物の比率は50‐60%としている。糖質制限の利点としては、体重減少効果があることと、食後高血糖(血糖変動)や中性脂肪を低下させることである。ただし、糖質制限をすると、食物繊維、ビタミン、ミネラルの不足を招くおそれがあり、必然的にたんぱく質、脂質が増える。糖質制限はがん・心血管イベントの発症、総死亡を増加させるとも報告されている。本シンポジウムでは糖質制限の様々な代謝に及ぼす影響を示し、糖質制限の功罪に関するメカニズムを提示する予定である。
(口演筆記)…食品交換表編集委員である
1) Ann Intern Med. 2003;138(6):460-467
annals.org/article.aspx?articleid=716162
動物性蛋白質の摂取量が多いと、腎機能障害を来たし得る
2) Ann Intern Med. 2005;142(6):403-411
annals.org/article.aspx?articleid=718265
低糖質食では満足度が落ちる
3) Am J Clin Nutr 2009 90: 519-526
ajcn.nutrition.org/content/90/3/519.full
低糖質ではエネルギー消費増加
4) 日本臨床栄養学会誌31: 44-50, 2010
低糖質食によって内臓脂肪が減少し,糖脂質代謝が改善した.低糖質食による内臓脂肪減少の機序の一つとしてGH分泌の上昇が関与したことが示唆された
5) 低糖質食では筋肉異化が多くなるゆえ、蛋白質を1.05g/kg以上摂取せねばならぬ
蛋白質摂取量が多いと、尿酸が作られやすい。動物性たんぱく質が多いと骨折につながるかも。酸性食品(肉類)摂取増加のマイナス面を指摘
[結論] 低炭水化物食は、炭水化物エネ比40%程度ならよい。糖尿病腎症1期の方に限定すべきである。今日も糖質制限食の発表があったが、このような理由で奨励はできない
質問者『今年3月の学会提言では、蛋白質摂取はCKD診療ガイドに従うとある。同ガイドではGFRが60%以上なら蛋白質摂取は制限しないとある。食品交換表はCKD診療ガイドに従っていない』
福井Dr『CKD診療ガイドは糖尿病だけを対象にしていない。糖尿病患者では、GFRが悪くなくても腎臓が悪化しているときがある』(CKD診療ガイドでは糖尿病性腎症の項目が独立しているはず)
2013/12/16(Mon) 20:38 | URL | 精神科医師A | 【編集】
O-367 糖尿病患者への短期的炭水化物制限の試み
水本内科クリニック
○水本博章
http://www10.ocn.ne.jp/~mizukuri/
(抄録)
糖尿病患者10名に最低2ケ月の炭水化物制限を試み(体重、血糖、脂質、アルブミン尿への影響と食事療法の満足度を調査した。制限は昼食のみ主食3単位以下の摂取、副菜は炭水化物の多い物は避け、タンパク質、脂質、葉野菜は好きなだけ摂取した。制限の有無は尿ケトン陽性、又は血中ケトン体増加で判定した。満足度は「継続したいかどうか」を基準とした。
[結果]
1) 体重は全例減少したが特に肥満例は顕著であった
2) HbA1cは2月後で10.0%から6.5%となったが血糖の改善は炭水化物制限開始と共に始まるので薬剤投与時には低血糖回避を考慮しなければならない
3) 中性脂肪は全例著しく低下し、LDLは減少、HDLは増加傾向であつた
4) アルブミン尿出現例はなかつた
5) 満足度は全員が「開始当初空腹感があったがすぐに慣れた。腹囲も明らかに縮小して体調がよいので継続したい」
(口演筆記)
TG 182→94、LDL 140→127、HDL 43→47
体重 73.9→68.8、随時血糖も改善した
当初アルブミン尿患者は3名いたが、2名で消失した
網膜:前増殖症2名は、いずれも悪化せず
諸検査データが改善すると、皆は糖質制限食の継続に前向きになっていった
Insulin注射中は2名、経口薬内服中は1名であった。Insulin注射症例は血糖を自己測定して数値をメールで送ってもらい、注射量の変更をメールで指示した
O-368 外来糖尿病患者における糖質制限ダイエットの現状
医療法人みどり会中村病院栄養管理部1
社会福祉法人松樹会いこいの里診療所2、
医療法人みどり会中村病院糖尿病内科3
○岩崎亜紀1・2、倉角康代1、市原美矢子1、樋口朋宏1、桑村尚充3、
高橋輝3、武村次郎3
糖質制限ダイエットが報道等で取り上げられ、一般にも知れ渡っている現状がある。これに対して、日本糖尿病学会では極端な糖質制限に対しては慎重な立場を表明するなど議論を呼んでいる状況にある。医療法人みどり会中村病院糖尿病内科では、糖質制限ダイエットについての周知や指導は全く行っていないが、外来通院中の一部の患者が既に実践していると思われた。
このため、当院糖尿病内科外来通院中の糖尿病患者を対象に、食事療法に関するアンケートを実施し、その中で糖質制限ダイエットの認知度や実践している患者の割合、年齢、性別、自己申告による糖質制限ダイエットの効果と満足度などを調査した。一部の患者に糖質制限ダイエットが浸透している状況を踏まえ、日本糖尿病学会がコメントしているように極端な糖質制限に対する懸念を周知・指導することが今後必要になると思われた。
(口演筆記)
回答内容は、糖質重視24%、カロリー重視45%であった。
糖質制限、または低炭水化物食を知っていると回答した者は男34%、女38%であった。年齢別にみると60歳未満では67%が知っていた。特に若い女性に周知度が高かった
知っていると回答した者の中で39%が現に実行していた。つまり、患者全体の13%がすでに実行していた。
実行者の84%が「満足している」と回答し、不満足と回答した者はいなかった。実行者は約4.8kgの体重減少が得られており、血糖低下もみられた
水本内科クリニック
○水本博章
http://www10.ocn.ne.jp/~mizukuri/
(抄録)
糖尿病患者10名に最低2ケ月の炭水化物制限を試み(体重、血糖、脂質、アルブミン尿への影響と食事療法の満足度を調査した。制限は昼食のみ主食3単位以下の摂取、副菜は炭水化物の多い物は避け、タンパク質、脂質、葉野菜は好きなだけ摂取した。制限の有無は尿ケトン陽性、又は血中ケトン体増加で判定した。満足度は「継続したいかどうか」を基準とした。
[結果]
1) 体重は全例減少したが特に肥満例は顕著であった
2) HbA1cは2月後で10.0%から6.5%となったが血糖の改善は炭水化物制限開始と共に始まるので薬剤投与時には低血糖回避を考慮しなければならない
3) 中性脂肪は全例著しく低下し、LDLは減少、HDLは増加傾向であつた
4) アルブミン尿出現例はなかつた
5) 満足度は全員が「開始当初空腹感があったがすぐに慣れた。腹囲も明らかに縮小して体調がよいので継続したい」
(口演筆記)
TG 182→94、LDL 140→127、HDL 43→47
体重 73.9→68.8、随時血糖も改善した
当初アルブミン尿患者は3名いたが、2名で消失した
網膜:前増殖症2名は、いずれも悪化せず
諸検査データが改善すると、皆は糖質制限食の継続に前向きになっていった
Insulin注射中は2名、経口薬内服中は1名であった。Insulin注射症例は血糖を自己測定して数値をメールで送ってもらい、注射量の変更をメールで指示した
O-368 外来糖尿病患者における糖質制限ダイエットの現状
医療法人みどり会中村病院栄養管理部1
社会福祉法人松樹会いこいの里診療所2、
医療法人みどり会中村病院糖尿病内科3
○岩崎亜紀1・2、倉角康代1、市原美矢子1、樋口朋宏1、桑村尚充3、
高橋輝3、武村次郎3
糖質制限ダイエットが報道等で取り上げられ、一般にも知れ渡っている現状がある。これに対して、日本糖尿病学会では極端な糖質制限に対しては慎重な立場を表明するなど議論を呼んでいる状況にある。医療法人みどり会中村病院糖尿病内科では、糖質制限ダイエットについての周知や指導は全く行っていないが、外来通院中の一部の患者が既に実践していると思われた。
このため、当院糖尿病内科外来通院中の糖尿病患者を対象に、食事療法に関するアンケートを実施し、その中で糖質制限ダイエットの認知度や実践している患者の割合、年齢、性別、自己申告による糖質制限ダイエットの効果と満足度などを調査した。一部の患者に糖質制限ダイエットが浸透している状況を踏まえ、日本糖尿病学会がコメントしているように極端な糖質制限に対する懸念を周知・指導することが今後必要になると思われた。
(口演筆記)
回答内容は、糖質重視24%、カロリー重視45%であった。
糖質制限、または低炭水化物食を知っていると回答した者は男34%、女38%であった。年齢別にみると60歳未満では67%が知っていた。特に若い女性に周知度が高かった
知っていると回答した者の中で39%が現に実行していた。つまり、患者全体の13%がすでに実行していた。
実行者の84%が「満足している」と回答し、不満足と回答した者はいなかった。実行者は約4.8kgの体重減少が得られており、血糖低下もみられた
2013/12/16(Mon) 20:42 | URL | 精神科医師A | 【編集】
以下の2件は抄録のみです
O-369 当院の2型糖尿病患者における炭水化物エネルギー比率別の栄養素摂取状況
京都府立医科大学大学院医学研究科内分泌・代謝内科学1、
京都府立大学生命環境学部食保健学科2
○岩瀬広哉1、福井道明1、小林ゆき子2、和田小依里2、桑波田雅士2、
木戸康博2、浅野麻衣1、山崎真裕1、長谷川剛二1、中村直登1
【目的】2型糖尿病の食事療法では適正なエネルギー摂取量と栄養素のバランスが重要であるが,炭水化物エネルギー比率(以下%C)の違いによる栄養素摂取比率の調査は少なく評価することを目的とする。
【方法】当院外来通院中の2型糖尿病患者149名(男性77名、女性72名)を対象に、自記式食事歴法質問票(DHQ)を用いた栄養素摂取量調査を実施し、%C別に1日エネルギー摂取比率と栄養素摂取量をANOVAで評価した。
【結果】%Cが60%以上群(n=50)、50%以上60%未満群(n=78)、50%未満群(n=21)の順に1日エネルギー摂取量(1747kca1/日、1816kca1/日、2017kca1/日)、動物性蛋白質摂取比率(3.5%,5.4%,7.8%)、脂質摂取比率が多く、植物性蛋白質摂取比率(7.0%,6.8%,6.2%)には有意差がなかった。
【結語】2型糖尿病患者において、%Cの低下に伴い、動物性蛋白質比率が増え植物性蛋白質摂取比率は変わらない可能性が示唆された。
O-165極端な精質制限により自己陶酔に陥るもチーム医療により食事バランスを是正できた1例
財団法人日本バプテスト連盟医療団日本バプテスト病院栄養科1、
財団法人日本バプテスト連盟医療団日本バプテスト病院看護部2、
財団法人日本バプテスト連盟医療団日本バプテスト病院糖尿病内科3
○金子緑1、森本美由紀1、田中麻由子2、米田紘子3
(抄録)
68歳男性。体重が10kg/6ヶ月減少し当院受診し、随時血糖値243mg/dl、HBAlc10.5%の2型糖尿病と診断された。栄養指導を行い1ヶ月は食事療法で血糖も改善したが、その後糖質制限ダイエット情報を取得し1日60gの糖質制限を始めた。血糖値、体重は急激に低下を認め自己陶酔にはまり医師や栄養士の指導に対して受け入れ悪く抜け出せない状態となったが、自己のデータを詳細に記録しており、受診ごとに血液データや身体所見を糖尿病医療チームと分析検討し、納得することにより極端な糖質制限の危険性を理解し徐々に糖質量改善してHbA1cも良好に維持している。
糖質制限食の流行で体重減少、血糖改善を認めた際従来の栄養指導の受け入れ困難例をしばしば経験する。自己データの記録を残し医療チームと検討を行う事により糖質制限の功罪を理解し納得することにより改善された一例を経験したので報告する。
O-369 当院の2型糖尿病患者における炭水化物エネルギー比率別の栄養素摂取状況
京都府立医科大学大学院医学研究科内分泌・代謝内科学1、
京都府立大学生命環境学部食保健学科2
○岩瀬広哉1、福井道明1、小林ゆき子2、和田小依里2、桑波田雅士2、
木戸康博2、浅野麻衣1、山崎真裕1、長谷川剛二1、中村直登1
【目的】2型糖尿病の食事療法では適正なエネルギー摂取量と栄養素のバランスが重要であるが,炭水化物エネルギー比率(以下%C)の違いによる栄養素摂取比率の調査は少なく評価することを目的とする。
【方法】当院外来通院中の2型糖尿病患者149名(男性77名、女性72名)を対象に、自記式食事歴法質問票(DHQ)を用いた栄養素摂取量調査を実施し、%C別に1日エネルギー摂取比率と栄養素摂取量をANOVAで評価した。
【結果】%Cが60%以上群(n=50)、50%以上60%未満群(n=78)、50%未満群(n=21)の順に1日エネルギー摂取量(1747kca1/日、1816kca1/日、2017kca1/日)、動物性蛋白質摂取比率(3.5%,5.4%,7.8%)、脂質摂取比率が多く、植物性蛋白質摂取比率(7.0%,6.8%,6.2%)には有意差がなかった。
【結語】2型糖尿病患者において、%Cの低下に伴い、動物性蛋白質比率が増え植物性蛋白質摂取比率は変わらない可能性が示唆された。
O-165極端な精質制限により自己陶酔に陥るもチーム医療により食事バランスを是正できた1例
財団法人日本バプテスト連盟医療団日本バプテスト病院栄養科1、
財団法人日本バプテスト連盟医療団日本バプテスト病院看護部2、
財団法人日本バプテスト連盟医療団日本バプテスト病院糖尿病内科3
○金子緑1、森本美由紀1、田中麻由子2、米田紘子3
(抄録)
68歳男性。体重が10kg/6ヶ月減少し当院受診し、随時血糖値243mg/dl、HBAlc10.5%の2型糖尿病と診断された。栄養指導を行い1ヶ月は食事療法で血糖も改善したが、その後糖質制限ダイエット情報を取得し1日60gの糖質制限を始めた。血糖値、体重は急激に低下を認め自己陶酔にはまり医師や栄養士の指導に対して受け入れ悪く抜け出せない状態となったが、自己のデータを詳細に記録しており、受診ごとに血液データや身体所見を糖尿病医療チームと分析検討し、納得することにより極端な糖質制限の危険性を理解し徐々に糖質量改善してHbA1cも良好に維持している。
糖質制限食の流行で体重減少、血糖改善を認めた際従来の栄養指導の受け入れ困難例をしばしば経験する。自己データの記録を残し医療チームと検討を行う事により糖質制限の功罪を理解し納得することにより改善された一例を経験したので報告する。
2013/12/16(Mon) 20:47 | URL | 精神科医師A | 【編集】
ドリーム さん
了解です。
退院良かったです。
了解です。
退院良かったです。
2013/12/17(Tue) 11:17 | URL | ドクター江部 | 【編集】
ToshitsuToru さん
80代のお父上なら、尿路感染と脱水に注意して、
糖質を摂取して、SGLT2阻害薬内服もありと思います。
80代のお父上なら、尿路感染と脱水に注意して、
糖質を摂取して、SGLT2阻害薬内服もありと思います。
2013/12/17(Tue) 12:06 | URL | ドクター江部 | 【編集】
> 80代のお父上なら、尿路感染と脱水に注意して、
> 糖質を摂取して、SGLT2阻害薬内服もありと思います。
「尿路感染」と「脱水」に注意!ですね。
来年発売開始したら、父と主治医に相談してみます。
あとは、薬価がどうか・・・高そうかもですね(^^;)
ありがとうございます!!
> 糖質を摂取して、SGLT2阻害薬内服もありと思います。
「尿路感染」と「脱水」に注意!ですね。
来年発売開始したら、父と主治医に相談してみます。
あとは、薬価がどうか・・・高そうかもですね(^^;)
ありがとうございます!!
2013/12/17(Tue) 13:28 | URL | ToshitsuToru | 【編集】
精神科医師A さん。
情報をありがとうございます。
宇津先生、「エビデンスに基づくCKD 診療ガイドライン2013」を読んでおられないのでしょうね。
「エビデンスに基づくCKD 診療ガイドライン2013」には、糖尿病腎症も含めて
CKD ステージG2までは、たんぱく質制限なしです。
すなわち糖尿病腎症第3期Aまでは、たんぱく質制限なしです。
CKD ステージG3 以降、初めてたんぱく質制限開始です。
すなわち糖尿病腎症第3期Bから、蛋白質制限開始です。
日本糖尿病学会は、2013年4月の提言で、CKDガイドに従うと明言しているので
宇津先生、誤解しておられますね。
情報をありがとうございます。
宇津先生、「エビデンスに基づくCKD 診療ガイドライン2013」を読んでおられないのでしょうね。
「エビデンスに基づくCKD 診療ガイドライン2013」には、糖尿病腎症も含めて
CKD ステージG2までは、たんぱく質制限なしです。
すなわち糖尿病腎症第3期Aまでは、たんぱく質制限なしです。
CKD ステージG3 以降、初めてたんぱく質制限開始です。
すなわち糖尿病腎症第3期Bから、蛋白質制限開始です。
日本糖尿病学会は、2013年4月の提言で、CKDガイドに従うと明言しているので
宇津先生、誤解しておられますね。
2013/12/17(Tue) 14:35 | URL | ドクター江部 | 【編集】
精神科医師A さん
情報をありがとうございます。
質問者の仰有るとおりですね。
福井医師は、日本糖尿病学会の提言を、ご存じないのでしょうか。
情報をありがとうございます。
質問者の仰有るとおりですね。
福井医師は、日本糖尿病学会の提言を、ご存じないのでしょうか。
2013/12/17(Tue) 17:18 | URL | ドクター江部 | 【編集】
精神科医師A さん
情報をありがとうございます。
財団法人日本バプテスト連盟医療団日本バプテスト病院栄養科さん、
空腹時血糖値とHbA1cだけでなく
「血糖値の日内変動」
あるいは
「CGM(Continuous Glucose Monitoring:持続ブドウ糖測定)システム」
を検査されていたら、
従来の糖尿病食(カロリー制限・高糖質食)では、必ず
食後高血糖と平均血糖変動幅増大を招くことは
一目瞭然だったと思うのですが、この患者さんがお気の毒です。
高糖質食による「食後高血糖」と「平均血糖変動幅増大」こそが、糖尿病合併症の元凶なのです。
情報をありがとうございます。
財団法人日本バプテスト連盟医療団日本バプテスト病院栄養科さん、
空腹時血糖値とHbA1cだけでなく
「血糖値の日内変動」
あるいは
「CGM(Continuous Glucose Monitoring:持続ブドウ糖測定)システム」
を検査されていたら、
従来の糖尿病食(カロリー制限・高糖質食)では、必ず
食後高血糖と平均血糖変動幅増大を招くことは
一目瞭然だったと思うのですが、この患者さんがお気の毒です。
高糖質食による「食後高血糖」と「平均血糖変動幅増大」こそが、糖尿病合併症の元凶なのです。
2013/12/17(Tue) 17:58 | URL | ドクター江部 | 【編集】
日々、糖質制限食を実施してる、江部先生の本は全てよんでおります。、、58歳の男性です。、A1c5.2から5.8です。
ただ、ひと月に数回、食事のお呼ばれ、会食などがあり、野菜、肉ばかり選んでるわけにもいかず、
最後の、ご飯、いがいは食べるのですが、
その後の血糖値が、250近くまで、上がることもあるのです。
こんな時だけ、薬を飲むのは、いけないでしょうか?
また、どんな種類のものが、よりベターでしょうか?
どうぞ、教えて、下さい。
ただ、ひと月に数回、食事のお呼ばれ、会食などがあり、野菜、肉ばかり選んでるわけにもいかず、
最後の、ご飯、いがいは食べるのですが、
その後の血糖値が、250近くまで、上がることもあるのです。
こんな時だけ、薬を飲むのは、いけないでしょうか?
また、どんな種類のものが、よりベターでしょうか?
どうぞ、教えて、下さい。
アルビノーニ さん。
糖質摂取直前(30秒前)に内服する薬があります。
第一選択剤は、αGI剤です。
でんぷんの分解・吸収をゆっくりさせるという作用なので、膵臓への負担がありません。
グルコバイ、ベイスン、セイブルなどです。
αGI剤が、腹滿などで使えないときは、即効型インスリン分泌促進剤が良いです。
2~3時間だけ、膵臓のβ細胞を刺激してインスリン分泌を促進します。
やはり食直前に内服します。
グルファスト、スターシス、シュアポストなどです。
SU剤に比べると作用時間が短いので、β細胞への負担が少ないのです。
食後高血糖が、一剤だけでコントロールできないときは、
「αGI剤+即効型インスリン分泌促進剤」というパターンもあります。
糖質摂取直前(30秒前)に内服する薬があります。
第一選択剤は、αGI剤です。
でんぷんの分解・吸収をゆっくりさせるという作用なので、膵臓への負担がありません。
グルコバイ、ベイスン、セイブルなどです。
αGI剤が、腹滿などで使えないときは、即効型インスリン分泌促進剤が良いです。
2~3時間だけ、膵臓のβ細胞を刺激してインスリン分泌を促進します。
やはり食直前に内服します。
グルファスト、スターシス、シュアポストなどです。
SU剤に比べると作用時間が短いので、β細胞への負担が少ないのです。
食後高血糖が、一剤だけでコントロールできないときは、
「αGI剤+即効型インスリン分泌促進剤」というパターンもあります。
2013/12/22(Sun) 17:22 | URL | ドクター江部 | 【編集】
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