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2型糖尿病の高タンパク質食、腎機能に影響及ぼさず。
こんばんは。

精神科医師Aさんから、興味深い情報をコメント頂きました。
ありがとうございます。

第22回世界糖尿病会議(2013年12月2日~6日)で、

「2型糖尿病の高タンパク質食、腎機能に影響及ぼさず。」

という研究報告が発表されたそうです。(*)

本研究の対象は、BMIが27以上で、尿中微量アルブミン陽性と腎機能障害の両方、あるいはいずれか一方のある2型糖尿病患者、45名。

総エネルギー約1,430kcalの

高タンパク質食(タンパク質30%、脂質30%、炭水化物40%;以下HPD)
標準食(タンパク質20%、脂質30%、炭水化物50%;以下SPD)

の2群に無作為に割り付けて、追跡観察期間は1年間。

結果は、腎障害のある患者に、高蛋白食(摂取比率30%)を摂取させて、標準蛋白食(摂取比率20%)のグループと比較しましたが、腎機能において有害な影響なしということでした。

今回の世界糖尿病会議における発表は、糖尿病腎症の患者でも、高蛋白食をに安全に実施できることを示唆しています。


2013年10月に、5年ぶりに発表された米国糖尿病学会の、「栄養療法に関する声明(Position Statement on Nutrition Therapy)」で、『糖尿病腎症を有する患者においても蛋白質制限は推奨しない』ということをランクAで断定していたのは記憶に新しいところです。

スーパー糖質制限食には追い風ですね。

1)腎機能悪化に関して、世界糖尿病会議の発表で、高蛋白食の安全性が一定ていど担保されました。
2)腎機能改善に関して、米国糖尿病学会の声明では、低蛋白食の意義が否定されました。


1)2)を考慮すると、スーパー糖質制限食には、かなりの追い風ですね。


江部康二


(*)
第22回 世界糖尿病会議(IDF2013)【開催期間:2013年12月2日~6日】
2型糖尿病の高タンパク質食、腎機能に影響及ぼさず
2013年12月4日 
http://www.m3.com/overseasAcademy/report/article/10254/?refererType=academyTopCategories

2型糖尿病の高タンパク質食、腎機能に影響及ぼさず 高タンパク質の食事療法が2型糖尿病患者やアルブミン尿を呈する患者の腎機能や糖・脂質代謝に及ぼす影響は十分明らかになっていない。そこで南オーストラリア大学のEva Pedersen氏らは、アルブミン尿and/or腎機能障害を呈する2型糖尿病患者において、炭水化物に対してタンパク質の比が高い食事による減量が腎機能、血糖、および脂質代謝に及ぼす影響について検討し報告した。

Pedersen氏は、アルブミン尿and/or腎機能障害を呈する2型糖尿病患者において、高タンパク質食は標準食と同様に、体重が減少し、腎機能および血糖値に有害な影響を及ぼさず、脂質代謝にも影響が少なかったことより、アルブミン尿and/or腎機能障害を呈する2型糖尿病患者における高タンパク質食による食事療法は、安全に実施できる可能性があると解説した。

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本研究の対象となったのは、BMIが27kg/m²以上で、高アルブミン尿を呈する18-75歳の2型糖尿病患者。推算糸球体濾過量(eGFR)が40mL/min/1.73m²超で、24時間畜尿によるアルブミン排泄率が30-600mg/24時間もしくはアルブミン・クレアチニン比が3.0-60.0mg/mmolを高アルブミン尿と定義した。

対象は、総エネルギー6,000kJ(約1,430kcal)の高タンパク質食(タンパク質30%、脂質30%、炭水化物40%;以下HPD)と標準食(タンパク質20%、脂質30%、炭水化物50%;以下SPD)の2群に無作為に割り付けられた。追跡観察期間は1年間。

試験を完遂した45人の患者背景を見ると、年齢60.8歳、男性35人、女性10人、BMI 36.0kg/m²、HbA1c 7.3%だった。

ベースラインからの体重減少は、HPD群9.7kg、SPD群6.6kgで両群に有意な差は見られなかった。同様に、アイソトープにより測定したGFRとアルブミン排泄率のベースラインからの変化量も両群で有意な差はなかった。

持続血糖測定器で測定した血糖値は、両群で同様に改善が認められた。

LDLコレステロールはHPD群で有意に高かったが(p=0.049)、総コレステロール、HDLコレステロール、中性脂肪に有意な差は見られなかった。

収縮期血圧は、SPD群よりもHPD群の方が有意に低く(p=0.036)、拡張期血圧は有意には至らなかったものの、低い傾向を示した(p=0.054)。

これらの結果より、Pedersen氏は「アルブミン尿and/or腎機能障害を呈する2型糖尿病患者において、高タンパク質食は標準食と同様に、体重が減少し、腎機能および血糖値有害な影響を及ぼさず、脂質代謝にも影響は少なかった」と解説し、「アルブミン尿and/or腎機能障害を呈する2型糖尿病患者における高タンパク質食による食事療法は、安全に実施できる可能性がある」と指摘した。



テーマ:糖尿病
ジャンル:ヘルス・ダイエット
コメント
片腎の糖質制限
いつも拝読しております。
妊娠初期に妊娠糖尿病と診断され、薬を使いたくない一心で江部先生のブログにたどり着き、糖質制限によって無事に健康な赤ちゃんを出産しました。ありがとうございます。
スーパーが身についたので今もほぼスーパーです。母乳の出も良く、赤ちゃんも理想的な成長曲線で大きくなっています。

質問なのですが、うちの母は癌により片方の腎臓を摘出しており、また、胆嚢も摘出しているのですが、糖質制限は可能でしょうか。
片腎の為高タンパク食は負担かと思い、無理なのかと諦めていたのですが、この記事を読むと片腎でも大丈夫なのかな、と思い質問させて頂きました。
癌の再発を防ぐためにも糖質制限が可能なら母もしたいそうです。
ちなみに、退院時に食事制限について何も言われておらず、また投薬も無いです。
2013/12/05(Thu) 20:19 | URL | フェイ | 【編集
双子の姉妹の偏頭痛が改善
Diet transiently improves migraine in two twin sisters: possible role of ketogenesis?

Funct Neurol. 2013 Dec 3:1-4. [Epub ahead of print]

http://www.functionalneurology.com/common/php/portiere.php?ID=7088aa3074b66261a7279ea05616820c
2013/12/05(Thu) 22:03 | URL | 精神科医師A | 【編集
Re: 片腎の糖質制限
フェイ さん

妊娠糖尿病で、スーパー糖質制限食で無事出産、おめでとうございます。

「片方の腎臓を摘出、また、胆嚢も摘出」

12月5日の本ブログ記事
『腎障害のある患者に、高蛋白食(摂取比率30%)を摂取させても腎機能に悪影響なし』
ですので、母上の場合も、スーパー糖質制限食OKと思います。
2013/12/06(Fri) 08:18 | URL | ドクター江部 | 【編集
Re: 双子の姉妹の偏頭痛が改善
精神科医師A さん


http://www.functionalneurology.com/common/php/portiere.php?ID=7088aa3074b66261a7279ea05616820c

で、検索しても、上手くでてきません。

よろしくお願いします。
2013/12/06(Fri) 08:24 | URL | ドクター江部 | 【編集
双子の姉妹の偏頭痛が改善
2013/12/06(Fri) 09:00 | URL | 精神科医師A | 【編集
糖尿病性の腎障害での低蛋白食の意義が否定とありますが、他の例えばIGAなどから腎不全になった場合も同じなのでしょうか?
2013/12/06(Fri) 10:54 | URL | 神成と申します | 【編集
Re: タイトルなし
神成 さん

米国糖尿病学会の声明は、糖尿病腎症に関するものです。

IgA腎症からの腎不全に関しては、言及していません。
2013/12/06(Fri) 15:43 | URL | ドクター江部 | 【編集
Re: 双子の姉妹の偏頭痛が改善
精神科医師A さん

ありがとうございます。
PDFファイル、ゲットできました。
2013/12/06(Fri) 15:51 | URL | ドクター江部 | 【編集
ありがとうございます
片腎でもスーパー糖質制限が可能とのお返事を頂き、母も大変喜びました。
早速昨夜からスーパーにしたようです。
江部先生に出会えて本当に良かったです。ありがとうございました。
2013/12/07(Sat) 15:04 | URL | フェイ | 【編集
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