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がんが増えている。 がんとスーパー糖質制限食-仮説。
2013年10月17日(木)毎日新聞の記事で、

ドクター中川の「がんの時代を暮らす」(80)

というコラムを読みました。

中川恵一先生は東京大学付属病院放射線科准教授、緩和ケア診療部長で、放射線科専門医です。

以下はコラムの要約です。

「2008年のデータでは、日本人男性の58%、女性の43%が障害で何らかのがんにかかる。

男性の方が、多い理由は喫煙率や飲酒率の差が原因。

一生のうちにがんと診断される確率を表す『累積がん罹患リスク』は、

2002年が男性51%、女性39%、
2005年で男性が54%、女性が41%

と上昇の一途をたどっている。

がん急増の原因は、急速に進行する高齢化である。

日本の高齢化のスピードは世界の歴史で類を見ないほど速い。

日本の人口は、2012年10月1日現在で、1億2752万人でその内65才以上の高齢者は、過去最高の3079万人。

総人口に占める割合(高齢化率)も24.1%と世界最高。

高齢化のスピードがあまりにも速かった結果、がん患者の増加も史上例を見ないペースであった。

この急ピッチで増えるがんについて、個人の知識や心構え、行政、教育の対応などが追いついていないのが、今の日本の姿と言える。」


中川准教授の述べておられることは、一々もっともと思います。

大ざっぱには、日本人の2人に1人が、がんになります。

急ピッチで増えているがんは、高齢化がベースにあるとはいえ、いわゆる生活習慣病型のがんです。

2007年の厚生労働省の統計で、
がんによる死亡数 総数33万6,468人(全死因に対し30.4%)
[男性 20万2,743人](全死因に対し34.2%)
[女性 13万3,725人](全死因に対し25.9%)
→ “日本人の3人に1人ががんで死亡”

2010年現在、増え続けているのが、肺がん、大腸がん、乳がんです。

食道がんも、男性では増え続けています。胃がんは1985年ごろから減り続けています。肝がんは1990年ごろから減り始めています。

子宮がんは、1975年から1995年までいったん減少したあと、再び増加に転じています。

胃がんと肝がんは、感染症型のがんです。

胃がんは、Hピロリ菌の感染、肝がんは、B型ウィルスとC型ウィルスの感染が主たる原因です。

ベースにある、これらの感染症が減少してきたことに伴い、胃がんと肝がんは減少してきたと考えられます。

一方増加しているがんは、「肺がんとタバコ」の関係は密接として、大腸がん、乳がん、食道がんなどは、生活習慣病型のがんです。すなわち、食生活などライフスタイルが密接に関わるがんです。

世界がん研究基金の2007年の報告において、肥満が、食道・膵臓・大腸・乳房・子宮体部・腎臓の6つの各癌で「リスクを確実に上げる」とされていて、胆のう癌もおそらく上げるとされています。

これらのがんは、まさに生活習慣病型のがんです。

生活習慣病型のがんに関しては、

1)高インスリン血症がない(高インスリン血症は発がんリスクでエビデンスあり)
2)食後高血糖がない(食後高血糖も発がんリスクでエビデンスあり)
3)肥満がない(肥満も発がんリスクでありエビデンスあり)
4)HDLコレステロールが増加する(HDLコレステロールにはがん予防効果あり)

あくまでも仮説ですが、1)2)3)4)の利点により、生活習慣病型のがんは、スーパー糖質制限食で予防できる可能性があります。

一方、感染症型のがんに関しては、スーパー糖質制限食でも予防は困難と考えられます。


江部康二



テーマ:糖質制限食
ジャンル:ヘルス・ダイエット
コメント
お菓子とがん
たいへん納得できる話です。私の身内でがん患者がおりました。その者は、ご飯の代わりにお菓子で済ませるような大の甘いもの好きでした。
それががんの原因の一つではなかったかと思われてなりません。
甘いものが好きでもがんにならない人、甘いものが嫌いなのにがんを患う人がいるとは思います。しかし入院の病院でいろいろな方と話をすればするほど、甘いものが無関係とは思えませんでした。そういう統計はないのでしょうか。そういう統計を取ってみたらいいと思いました。
2013/11/25(Mon) 19:25 | URL | 近藤 | 【編集
医師の指導
毎日拝見しております。

糖質と癌の関係については、かねてより関心が有りました。
私自身がDMですが、糖質制限で健常者よりも健康に過ごしております。
知人が未分化癌に罹患し、生存率5%と医師に告げられましたが、医師の指導は「体力を付けるために、炭水化物を沢山食べて体力を付けて下さい。」だそうですが、違和感を感じます。
体力を付けるならば、たんぱく質を優先すべきだと考えます。
癌細胞の好物は、糖質なのではないのでしょうか?
実際、知人は急に甘い物が大好きになり、一日中アメを舐めていますので、見ているこちらが恐怖を感じます。
2013/11/25(Mon) 21:04 | URL | daniel | 【編集
常々お世話になり誠にありがとうございます。
私は医療関係者ではございません。
しか;れども「糖質制限食」は必然的に基礎代謝が向上し防寒体質となりますが、これは基本的なガン予防効果であると思います~~~(*^_^*)
2013/11/26(Tue) 07:53 | URL | 佐々木四朗 | 【編集
続行中です
糖質オフを始めて1年経ちました。
体重は初めの3ヶ月で8kg減で以後同じ体重をキープしています。
周囲の人から、もう止めれば良いのに、と言われても糖質オフを続けています。
体重や血液データと関係なく体が楽だから続けているのです。体が喜んでいるなら疾患予防にもなる、という科学的ではない信念で続けています。できれば癌予防になるというエビデンスが出ることを期待しています。

ところで、最近犬の糖尿病が増えているという話を聞きました。ドッグフードの成分を見てみると、やはり穀物がはいっています。本来肉食動物にも穀物を与えていれば寿命も縮むでしょう。
2013/11/26(Tue) 10:13 | URL | 消火器内科医 | 【編集
LDLコレステロールが高くて
お久しぶりにメールを出させていただきます。
62歳女性です。お世話になります。
2年前に予備軍と言われ、早速スーパー糖質制限を実施し、おかげさまですぐ元に戻りました。
空腹時血糖110が現在97。HBA1Cは5,5から5,9に上がってしまいましたが。
、健康のためにスーパーを心がけていましたが、最近になって時々プチにしております。
気になるのがLDLコレステロールが依然高い、
と言うことです。今月の健診では176まであがっていました。昨年は158でした。HDLは今年は
74と昨年の84より低く、少々がっかりしています。
体重が2年前より減り、太るために積極的にタンパク質をとり、運動もかなりやっています。
現在、41キロ150㎝です。
コレステロールを下げる薬は使いたくないのですが。
やはりプチにした分、LDLコレステロールがあがったのでしょうか?年齢的なものでしょうか?
2013/11/26(Tue) 11:26 | URL | みどり | 【編集
Re: お菓子とがん
近藤 さん

以前から、砂糖の害は言われてますね。
私は砂糖に限らず糖質全般の頻回・過剰摂取が、
がんも含めて、生活習慣病の元凶の可能性が高いと思っています。

2013/11/26(Tue) 12:02 | URL | ドクター江部 | 【編集
Re: 医師の指導
daniel さん。

癌細胞は、ブドウ糖しかエネルギー源にできません。
正常細胞は、ブドウ糖以外に、脂肪酸とケトン体をエネルギー源にできます。

スーパー糖質制限食やケトン食で、癌細胞を一定の兵糧攻めにできる可能性がありますね。
2013/11/26(Tue) 12:04 | URL | ドクター江部 | 【編集
Re: タイトルなし
佐々木四朗 さん

基礎代謝の向上、全身の血流と代謝の改善・・・
糖質制限食で自然治癒力が高まる可能性があります。
2013/11/26(Tue) 12:06 | URL | ドクター江部 | 【編集
Re: 続行中です
消火器内科医 さん

ドッグフードも、安価なものは、全て糖質が主成分です。
犬に、肥満・糖尿病やアトピーが増えているもの、さもありなんです。
2013/11/26(Tue) 12:07 | URL | ドクター江部 | 【編集
Re: LDLコレステロールが高くて
みどり さん


60才を超えたら、コレステロールは高いほど長生きですので、
174mg/dlくらいなら、何の問題もないと思いますよ。

カテゴリーのコレステロールの項を、ご参照いただけば幸いです。
2013/11/26(Tue) 12:11 | URL | ドクター江部 | 【編集
糖質制限食と癌
ここのブログを見ている人は
癌になりにくいのではないでしょうか?
癌になったという話が全く出てきませんが、
果たしていかがなものでしょうか?
2013/11/26(Tue) 12:26 | URL | ちえ | 【編集
Re: 糖質制限食と癌
ちえ さん。

本ブログが始まったのが、2007年2月ですので、6年経過ですね。

「スーパー糖質制限食を続けいている人にガンが少ないのか否か?」

20年経過をみれば、一定ものが言えるかもしれませんね。

原初の1個のガン細胞が、5mm径から10mm径の大きさに育つのに、10年~20年かかります。
ガン細胞の発生予防効果は、スーパー糖質制限食で一定期待できるとして、
すでに発生していた場合は、成長を止めることができるのか否か?

これから、じっくり検討がいるでしょう。


2013/11/27(Wed) 12:57 | URL | ドクター江部 | 【編集
Re: 手術後の食事
acco さん

糖尿人が、手術などで入院したときの食事ですが、

手術後は流動食から始まり、粥食・・・ここら辺は仕方ないですね。
通常食になれば、おかずだけ食べて、主食は食べずに、足らない分は、院内のコンビニで
糖質制限なおかずを購入して食べるといいと思います。

点滴は、可能ならブドウ糖の入っていない、生理的食塩水、ラクテック注などにしたらよいと思います。
2013/11/28(Thu) 16:48 | URL | ドクター江部 | 【編集
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