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低炭水化物食(糖質制限食)は体重減少と心血管リスク改善に有効
こんばんは。

「低炭水化物食(糖質制限食)は体重減少と心血管リスク改善に有効」という論文がでました。

Obesity Reviews(国際肥満研究連合の公式ジャーナル)は、インパクトファクター(*)も高く、信頼できる医学雑誌です。

そのObesity Reviewsに、2012年11月、低炭水化物食の効果を認める、RCT研究論文(**)のメタ解析(***)が掲載されました。(☆)

EBM(根拠に基づく医学)においては、RCT研究論文のメタ解析が最も信頼度が高いとされています。

以下は、その論文(☆)の要約です。

要約

Santos らは、低炭水化物食のRCT研究論文23報告をメタ解析。
体重減少と心血管リスクに対する効果を検討。
論文は、PubMed, Cochrane から選定。
1141名の肥満患者のデータをメタ解析。

その結果、体重、BMI、腹囲、収縮期血圧、拡張期血圧、中性脂肪値、空腹時血糖値、HbA1c、インスリン値、CRPの減少(改善)とHDLコレステロール値の増加が認められた。

LDLコレステロール値とクレアチニン値は変化なし。
尿酸は限られたデータであった。

LCD(ローカーボダイエット、低炭水化物食)は、体重と主要な心血管リスク要因に関して好ましい効果を示した。

しかしながら、長期間の健康に関する効果は、判らない。


本文を読むと、短い研究で12~48週間~3ヶ月間、多くの研究は6ヶ月~12ヶ月間、長いもので24ヶ月~36ヶ月でした。

長期間はともかくとして、3年間は、有効性が保証できるということとなります。

(☆)
Obes Rev. 2012 Nov;13(11):1048-66.
Systematic review and meta-analysis of clinical trials of the effects of low carbohydrate diets on cardiovascular risk factors.
Santos FL, Esteves SS, da Costa Pereira A, Yancy WS Jr, Nunes JP.



江部康二


(*)インパクトファクター(Impact Factor)とは1論文あたりの引用回数の平均値を計算したものです。自然科学・社会科学分野の学術雑誌の影響力を示すとされています。インパクトファクターが高いほど、影響力の高い論文を収録していることになります。


(**)
ランダム化比較試験(ランダムかひかくしけん、RCT:Randomized Controlled Trial)とは、評価のバイアス(偏り)を避け、客観的に治療効果を評価することを目的とした研究試験の方法である[1]。従って根拠に基づく医療において、このランダム化比較試験を複数集め解析したメタアナリシスに次ぐ、根拠の質の高い研究手法である[1]。主に医療分野で用いられる。略称はRCTである。


(***)メタ解析 
薬学用語解説より
http://www.pharm.or.jp/dictionary/wiki.cgi?%E3%83%A1%E3%82%BF%E8%A7%A3%E6%9E%90%E3%80%80

Meta-Analysis、メタアナリシス

過去に独立して行われた複数の臨床研究のデータを収集・統合し、統計的方法を用いて解析した系統的総説。採用するデータは、信頼できるものにしぼり、それぞれに重み付けを行う。一般的には、様々な試験の要約統計量を用いるが、生データを結合して解析する場合もある。叙述的な総説とは異なり、体系的、組織的、統計学的、定量的に研究結果をレビューするという特徴がある。メタアナリシスは、複数の研究で得られた効果が一致しない場合、個々の研究の標本サイズが小さく有意な効果を見いだせない場合、大きな標本サイズの研究が経済的・時間的に困難な場合、に有用であるとされている。

医学分野では対象や研究方法が多様で、各種のバイアスが入りやすく、また研究の質のばらつきが大きい。例えば、公表論文は有意な結果のみが発表されることが多い。これは研究者がポジティブな結果が得られたときにのみ発表する「報告バイアス」や、学会誌等の編集者が,統計学的に有意な結果の得られていないものはリジェクトする「出版バイアス」のためである。このため、単に報告を集めるだけでは、ポジティブ方向へバイアスがかかるという懸念が指摘されている。また、質の低い論文を他の優れた研究成果と同等に評価対象としてしまうと過大評価することになる。メタアナリシスでは、バイアスの影響を極力排除し、評価基準を統一して客観的・科学的に多数の研究結果を数量的、総括的に評価しようとしている。

こうしたメタアナリシス研究を押し進めることを目的として、1992年には、英国政府の支援のもとにオックスフォードにコクラン・センター(Cochrane Centre)が作られた。The Cochrane Libraryとは、コクラン共同計画が行っているメタアナリシスである。ランダム化比較試験の行われたデータをすべて集め、その中から信頼できるものを選び、総合評価を行っている。(2007.8.31 掲載)



テーマ:糖質制限食
ジャンル:ヘルス・ダイエット
コメント
勝間 和代著
菜の花と申します。
いつもお世話になります。
勝間和代著 「専門家はウソをつく」に「罠その3専門家が持っているパラダイムと異なる、新しいパラダイムに対する無意識の迫害とありました。そして「現代で行われている確立された治療方法にも、100年後に見たときに、中略、水銀療法の類であるものが大量に含まれている可能性がある」と述べられていました。この本のなかでは、湿潤療法、糖質制限食について述べられていました。好意的に書かれていました。追い風です。勝間さんは、ファンも多い方ですが、50歳より上の方の男性の方にはそうではないように思います。
2013/10/18(Fri) 00:31 | URL | トーマス クーン | 【編集
漢方薬について
江部先生こんにちは、度々の質問でスミマセン。婦人科でツムラの当帰芍薬散という漢方薬を処方されたのですが、糖質制限中でも飲んで大丈夫なのでしょうか!?糖質量が調べても載っていなかったもので・・
お時間のある時で結構ですので、教えて頂けると有り難いです。
2013/10/18(Fri) 11:29 | URL | うさぎ | 【編集
Re: 漢方薬について
うさぎ さん

ツムラに限らず、殆どの漢方メーカーのエキスに乳糖が含まれています。

2.5gが一包として、その内60~70%が乳糖です。
一包あたり、1.5~1.75の乳糖ですね。
当帰芍薬散を含めて、どの処方でもほぼ同じです。
糖質制限食実践中でも、1回分の漢方の内服は、1日3回でもOKです。
但し、小建中湯など処方に飴が含めれているものはNGです。
2013/10/18(Fri) 15:48 | URL | ドクター江部 | 【編集
Re: 勝間 和代著
トーマス クーン さん

勝間和代さん、、湿潤療法と糖質制限食に好意的とは、嬉しいですね。
2013/10/18(Fri) 15:50 | URL | ドクター江部 | 【編集
ありがとうございました。
お忙しい中、お返事ありがとうございました。
冷えと不妊症のため漢方薬を処方されました。
糖質制限も引き続き美味しく楽しく頑張って行きたいと思います。
これから寒くなって来ますのでお身体御自愛下さい。
2013/10/18(Fri) 16:32 | URL | うさぎ | 【編集
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