2013年10月16日 (水)
こんにちは。
医師のための専門情報サイトMTproのドクターズアイ(2013年10月9日)において、北里研究所病院糖尿病センター 山田 悟 氏が
「これでもまだ残る? 糖質制限食に対する動脈硬化症の懸念」
と題して、糖質制限食の安全性に関して論陣をはっておられます。
山田悟氏は、「緩やかな糖質制限食」賛成派の医師です。
Am J Epidemiol 2013年9月5日オンライン版に上海の前向きコホート研究の結果が報告され、
「糖質摂取量が多いほど心血管疾患の発症リスクが高い」
ことがわかりました。
11万7366人を対象に、調べた研究です。
女性が6万4,854人で、平均追跡期間が9.8年。
男性が5万2,512人で、平均追跡期間が5.4年。
この間に120人の女性と189人の男性が心血管疾患を発症。
発症リスクを糖質摂取量多い群と少ない群で、4つのグループに分けて解析。
女性 心血管発症リスク
1、糖質摂取量264g/日未満 ---------- 1.00
2、糖質摂取量264g~282g/日未満-------- 1.19
3、糖質摂取量282g~299g/日未満-------- 1.76
4、糖質摂取量299g/日以上 ----------- 2.41
男性 心血管発症リスク
1、糖質摂取量296g/日未満 ------------ 1.00
2、糖質摂取量296g~319g/日未満 ---------- 1.50
3、糖質摂取量319g~339g/日未満 ---------- 2.22
4、糖質摂取量339g/日以上 ------------- 3.20
心血管疾患の発症リスクの上昇は、
男性の
3、糖質摂取量319g~339g/日未満
4、糖質摂取量339g/日以上
においては統計学的に有意であった。
また,男女を合わせると、 心血管発症リスクは糖質摂取が少ない方から1.00(基準)、1.38、2.03、2.88であり、
やはり3分位,4分位においては統計学的に有意な上昇であった。
結論として、本上海前向きコホート研究においては、糖質摂取量が多いほど、心血管発症リスクが多いことがわかりました。
糖質制限食にとって、大きな追い風です。(^^)
江部康二
以下、MTpro記事、2013年10月9日のドクターズアイから、抜粋。
医師のための専門情報サイト MTpro
ドクターズアイ・最新論文で考える日常臨床
これでもまだ残る? 糖質制限食に対する動脈硬化症の懸念
上海コホート研究から
北里研究所病院糖尿病センター 山田 悟
研究の背景:懸念の理由は観察研究でのネガティブなデータ
昨年来,糖質制限食に対する世の関心の高まりをひしひしと感じているが,糖質制限食の安全性に懸念を感じている先生もまだまだ多いかもしれない。その懸念の理由は,観察研究において,糖質摂取の少ない集団で動脈硬化症の発症率が高いといった,ネガティブなデータが存在していることにあろう(関連記事)。
しかし,このたび,そうした懸念を払拭するような研究,すなわち糖質摂取の多い集団でこそ動脈硬化症の発症率が高いという上海の前向きコホート研究の結果が報告されたのでご紹介したい(Am J Epidemiol 2013年9月5日オンライン版)。
研究のポイント1:11万7,366人を対象とした前向きコホート研究
本研究は,上海女性健康研究(以下,女性研究)と上海男性健康研究(以下,男性研究)という2つの前向きコホート研究を合わせた解析である。
女性研究は1997~2000年に,40~70歳の上海近郊の女性8万1,170人が登録を呼びかけられた前向きコホート研究であり,実際の登録は7万5,221人であった。糖尿病などの疾病を持っていた,極端な食事嗜好の偏向があったなどの理由での除外から,女性研究では6万4,854人が解析に利用された。
一方,男性研究は2002~06年に40~74歳の上海近郊の男性8万3,125人が登録を呼びかけられた前向きコホート研究であり,6万1,482人が実際に登録された。女性研究と同様の理由での除外から,男性研究では5万2,512人が解析に利用された。
平均の糖質摂取量は女性281g/日,男性316g/日で〔国立がんセンターの多目的コホート研究の10年後調査では,日本人の平均糖質摂取量は女性249g/日,男性281g/日で,栄養摂取全体の約68%(女性で68.5%,男性で67.5%)を占めていた(下記関連リンク参照)〕,ベースラインの糖質摂取量に応じて4分位に分類したところ,各群で栄養摂取量には差異はなかったが,糖質摂取量の多い群ほど,高齢で,BMIが高く,低所得で,低教育であることが示された。
研究のポイント2:糖質摂取量が多いほど心血管疾患の発症リスクが高い
平均フォローアップ期間は女性研究9.8年,男性研究5.4年であり,その間に120人の女性と189人の男性が心血管疾患を発症した。その発症リスクを糖質摂取量の4分位で分けて解析したところ,男女ともに糖質摂取量が多いほど高値で,年齢,ウエスト・ヒップ比,所得,教育レベルなどさまざまな要素で調整した後の心血管疾患の発症リスクの上昇は,男性の3分位,4分位においては統計学的に有意であった(表1,表2)。
また,男女を合わせると,糖質摂取が少ない方から1(基準),1.38,2.03,2.88であり,やはり3分位,4分位においては統計学的に有意な上昇であった(表3)。
なお,サブ解析をしたところ,年齢,BMI,ウエスト・ヒップ比で層別解析をしても,いずれの層でも同様の関係性が認められ,身体活動が少なく,教育レベルが低く,喫煙していて,高血圧症の既往がある集団で,糖質摂取量と心血管疾患発症リスクのより強固な相関が認められたという。
私の考察:RCTに続きコホート研究でもエビデンス…もはや動脈硬化症の懸念を議論する必要はない
これまで,糖質制限食については熱い議論が戦わされてきた。
当初は,ランダム化比較試験(RCT)のメタ解析において,その心血管リスクに対する有効性は短期的でしかなく(Arch Intern Med 2006; 166: 285-293),前向きコホート研究において,糖尿病発症率(Am J Clin Nutr 2011; 93: 844-850),心血管イベント発症率(BMJ 2012; 344: e4026),死亡率(Ann Intern Med 2010; 153: 289-298)が,糖質を少なく摂取している群で高かったことから,糖質制限食は勧められないとする声が大勢を占めていたと思う。
しかし,昨年,Santosらによる多数のRCTのメタ解析において,その心血管リスクに対する有効性は継続的であることが示され(Obes Rev 2012; 13: 1048-1066),さらには,前向きコホート研究においても,白米(糖質)を多く摂取していると糖尿病が発症しやすいことが示されると(BMJ 2012; 344: e1454),前述の糖質摂取の少ないグループでの負の成績を示す前向きコホート研究のデータが本当に因果関係を示しているといえるのかに重大な疑問が投げかけられるようになった。
そもそも,前向きコホート研究における相関関係は,(1)因果関係(causality),(2)バイアス(reverse causalityを含む),(3)交絡(false causalityを含む),(4)偶然―のいずれかを示すものであり,因果関係のみを示すものではない。(前向きコホート研究の)メタ解析(PLoS One 2013; 8: e55030)も(4)偶然の可能性をなくすことはできるが,(2)バイアスや(3)交絡の可能性を除外できるわけではない。だからこそ,前向きコホート研究のエビデンスレベルはRCTより低く,RCTのメタ解析が最上級レベルのエビデンスとなるのである〔ランダム化により(2)バイアスや(3)交絡を除外し,メタ解析により(4)偶然を除外するので,ほぼ(1)因果関係を示す〕。
実際,当初の前向きコホート研究でも,糖質を少なく摂取していても,植物性蛋白質・脂質を多く摂取している群では糖尿病発症率も(Am J Clin Nutr 2011; 93: 844-850),心血管イベント発症率も(N Engl J Med 2006; 355: 1991-2002),死亡率も(Ann Intern Med 2010; 153: 289-298),低いか,低くなる傾向にあり,いかにも交絡因子が存在する感があった。
すなわち,今,振り返ってみれば,いずれの論文も糖質摂取の低さが直接的な負の成績の原因であったとは極めて考えにくいのである。
一方,Santosらのデータ(Obes Rev 2012; 13: 1048-1066)はRCTのメタ解析であり,糖質制限食が原因として心血管リスクを軽減する結果につながることを示している。今回の中国人のデータから,観察研究でも糖質制限と心血管イベントの減少という良い相関関係が示されたことになる。よって,個人的には糖質制限食による動脈硬化症増加の懸念を議論することはもはや不要になったと感じている。これからは,より安全で,より有効な糖質制限のレベルについての議論,すなわち,どこまで制限するかについての議論を進めていくべきではないだろうか(Am J Clin Nutr 2006; 83: 1055-1061)。
なお,表1,表2が示す結果からは,飽和脂肪酸摂取が心血管リスクに結び付くとも到底思えない。Sydney diet heart study(BMJ 2013; 346: e8707)が示したように,これまで観察研究の結果から想定されていた飽和脂肪酸摂取と心血管疾患との関係性についても,もう一度考え直す必要があろう。
医師のための専門情報サイトMTproのドクターズアイ(2013年10月9日)において、北里研究所病院糖尿病センター 山田 悟 氏が
「これでもまだ残る? 糖質制限食に対する動脈硬化症の懸念」
と題して、糖質制限食の安全性に関して論陣をはっておられます。
山田悟氏は、「緩やかな糖質制限食」賛成派の医師です。
Am J Epidemiol 2013年9月5日オンライン版に上海の前向きコホート研究の結果が報告され、
「糖質摂取量が多いほど心血管疾患の発症リスクが高い」
ことがわかりました。
11万7366人を対象に、調べた研究です。
女性が6万4,854人で、平均追跡期間が9.8年。
男性が5万2,512人で、平均追跡期間が5.4年。
この間に120人の女性と189人の男性が心血管疾患を発症。
発症リスクを糖質摂取量多い群と少ない群で、4つのグループに分けて解析。
女性 心血管発症リスク
1、糖質摂取量264g/日未満 ---------- 1.00
2、糖質摂取量264g~282g/日未満-------- 1.19
3、糖質摂取量282g~299g/日未満-------- 1.76
4、糖質摂取量299g/日以上 ----------- 2.41
男性 心血管発症リスク
1、糖質摂取量296g/日未満 ------------ 1.00
2、糖質摂取量296g~319g/日未満 ---------- 1.50
3、糖質摂取量319g~339g/日未満 ---------- 2.22
4、糖質摂取量339g/日以上 ------------- 3.20
心血管疾患の発症リスクの上昇は、
男性の
3、糖質摂取量319g~339g/日未満
4、糖質摂取量339g/日以上
においては統計学的に有意であった。
また,男女を合わせると、 心血管発症リスクは糖質摂取が少ない方から1.00(基準)、1.38、2.03、2.88であり、
やはり3分位,4分位においては統計学的に有意な上昇であった。
結論として、本上海前向きコホート研究においては、糖質摂取量が多いほど、心血管発症リスクが多いことがわかりました。
糖質制限食にとって、大きな追い風です。(^^)
江部康二
以下、MTpro記事、2013年10月9日のドクターズアイから、抜粋。
医師のための専門情報サイト MTpro
ドクターズアイ・最新論文で考える日常臨床
これでもまだ残る? 糖質制限食に対する動脈硬化症の懸念
上海コホート研究から
北里研究所病院糖尿病センター 山田 悟
研究の背景:懸念の理由は観察研究でのネガティブなデータ
昨年来,糖質制限食に対する世の関心の高まりをひしひしと感じているが,糖質制限食の安全性に懸念を感じている先生もまだまだ多いかもしれない。その懸念の理由は,観察研究において,糖質摂取の少ない集団で動脈硬化症の発症率が高いといった,ネガティブなデータが存在していることにあろう(関連記事)。
しかし,このたび,そうした懸念を払拭するような研究,すなわち糖質摂取の多い集団でこそ動脈硬化症の発症率が高いという上海の前向きコホート研究の結果が報告されたのでご紹介したい(Am J Epidemiol 2013年9月5日オンライン版)。
研究のポイント1:11万7,366人を対象とした前向きコホート研究
本研究は,上海女性健康研究(以下,女性研究)と上海男性健康研究(以下,男性研究)という2つの前向きコホート研究を合わせた解析である。
女性研究は1997~2000年に,40~70歳の上海近郊の女性8万1,170人が登録を呼びかけられた前向きコホート研究であり,実際の登録は7万5,221人であった。糖尿病などの疾病を持っていた,極端な食事嗜好の偏向があったなどの理由での除外から,女性研究では6万4,854人が解析に利用された。
一方,男性研究は2002~06年に40~74歳の上海近郊の男性8万3,125人が登録を呼びかけられた前向きコホート研究であり,6万1,482人が実際に登録された。女性研究と同様の理由での除外から,男性研究では5万2,512人が解析に利用された。
平均の糖質摂取量は女性281g/日,男性316g/日で〔国立がんセンターの多目的コホート研究の10年後調査では,日本人の平均糖質摂取量は女性249g/日,男性281g/日で,栄養摂取全体の約68%(女性で68.5%,男性で67.5%)を占めていた(下記関連リンク参照)〕,ベースラインの糖質摂取量に応じて4分位に分類したところ,各群で栄養摂取量には差異はなかったが,糖質摂取量の多い群ほど,高齢で,BMIが高く,低所得で,低教育であることが示された。
研究のポイント2:糖質摂取量が多いほど心血管疾患の発症リスクが高い
平均フォローアップ期間は女性研究9.8年,男性研究5.4年であり,その間に120人の女性と189人の男性が心血管疾患を発症した。その発症リスクを糖質摂取量の4分位で分けて解析したところ,男女ともに糖質摂取量が多いほど高値で,年齢,ウエスト・ヒップ比,所得,教育レベルなどさまざまな要素で調整した後の心血管疾患の発症リスクの上昇は,男性の3分位,4分位においては統計学的に有意であった(表1,表2)。
また,男女を合わせると,糖質摂取が少ない方から1(基準),1.38,2.03,2.88であり,やはり3分位,4分位においては統計学的に有意な上昇であった(表3)。
なお,サブ解析をしたところ,年齢,BMI,ウエスト・ヒップ比で層別解析をしても,いずれの層でも同様の関係性が認められ,身体活動が少なく,教育レベルが低く,喫煙していて,高血圧症の既往がある集団で,糖質摂取量と心血管疾患発症リスクのより強固な相関が認められたという。
私の考察:RCTに続きコホート研究でもエビデンス…もはや動脈硬化症の懸念を議論する必要はない
これまで,糖質制限食については熱い議論が戦わされてきた。
当初は,ランダム化比較試験(RCT)のメタ解析において,その心血管リスクに対する有効性は短期的でしかなく(Arch Intern Med 2006; 166: 285-293),前向きコホート研究において,糖尿病発症率(Am J Clin Nutr 2011; 93: 844-850),心血管イベント発症率(BMJ 2012; 344: e4026),死亡率(Ann Intern Med 2010; 153: 289-298)が,糖質を少なく摂取している群で高かったことから,糖質制限食は勧められないとする声が大勢を占めていたと思う。
しかし,昨年,Santosらによる多数のRCTのメタ解析において,その心血管リスクに対する有効性は継続的であることが示され(Obes Rev 2012; 13: 1048-1066),さらには,前向きコホート研究においても,白米(糖質)を多く摂取していると糖尿病が発症しやすいことが示されると(BMJ 2012; 344: e1454),前述の糖質摂取の少ないグループでの負の成績を示す前向きコホート研究のデータが本当に因果関係を示しているといえるのかに重大な疑問が投げかけられるようになった。
そもそも,前向きコホート研究における相関関係は,(1)因果関係(causality),(2)バイアス(reverse causalityを含む),(3)交絡(false causalityを含む),(4)偶然―のいずれかを示すものであり,因果関係のみを示すものではない。(前向きコホート研究の)メタ解析(PLoS One 2013; 8: e55030)も(4)偶然の可能性をなくすことはできるが,(2)バイアスや(3)交絡の可能性を除外できるわけではない。だからこそ,前向きコホート研究のエビデンスレベルはRCTより低く,RCTのメタ解析が最上級レベルのエビデンスとなるのである〔ランダム化により(2)バイアスや(3)交絡を除外し,メタ解析により(4)偶然を除外するので,ほぼ(1)因果関係を示す〕。
実際,当初の前向きコホート研究でも,糖質を少なく摂取していても,植物性蛋白質・脂質を多く摂取している群では糖尿病発症率も(Am J Clin Nutr 2011; 93: 844-850),心血管イベント発症率も(N Engl J Med 2006; 355: 1991-2002),死亡率も(Ann Intern Med 2010; 153: 289-298),低いか,低くなる傾向にあり,いかにも交絡因子が存在する感があった。
すなわち,今,振り返ってみれば,いずれの論文も糖質摂取の低さが直接的な負の成績の原因であったとは極めて考えにくいのである。
一方,Santosらのデータ(Obes Rev 2012; 13: 1048-1066)はRCTのメタ解析であり,糖質制限食が原因として心血管リスクを軽減する結果につながることを示している。今回の中国人のデータから,観察研究でも糖質制限と心血管イベントの減少という良い相関関係が示されたことになる。よって,個人的には糖質制限食による動脈硬化症増加の懸念を議論することはもはや不要になったと感じている。これからは,より安全で,より有効な糖質制限のレベルについての議論,すなわち,どこまで制限するかについての議論を進めていくべきではないだろうか(Am J Clin Nutr 2006; 83: 1055-1061)。
なお,表1,表2が示す結果からは,飽和脂肪酸摂取が心血管リスクに結び付くとも到底思えない。Sydney diet heart study(BMJ 2013; 346: e8707)が示したように,これまで観察研究の結果から想定されていた飽和脂肪酸摂取と心血管疾患との関係性についても,もう一度考え直す必要があろう。
16日、東京の糖質制限仲間に誘われて、北九州から参加、現地集合。安芸の宮島・厳島神社の薪能鑑賞をしました。人間国宝・友枝さんの演じる「経政烏手」です。さて、宮島に渡って、会場に向かう途次、お土産屋さんの自動販売機にふと目をやると、「スタイルフリー」が。自動販売機で売っているのは初めて見るので思わずパチリ。旅をすると、フツーのビールしか置いていないのが目下の不満。需要を喚起して全国に広がるよう、早速1本購入。海中に立つ赤い鳥居を見ながら、真昼の飲酒でした。
2013/10/17(Thu) 08:49 | URL | 北九州 三島 | 【編集】
mawです。
江部先生の著書をベースにプチ制限を実施してお陰様で健康診断の数値改善ができましたものです。
朝食でグレープフルーツジュースを100CCほど飲んでいますが、下記海外データーの紹介記事を見るとジュースは中止したほうが良いということでしょうか。
この記事の信憑性は? 先生のご意見を伺えれば幸いです。
ーーーーーーーーーーーーーーー
果物ジュースはかえって裏目!?
糖尿病予防なら丸ごと果物
野菜と果物は体によいが、食べるのが面倒──なので果汁飲料を愛用する諸兄も多いだろう。
ところが、これが裏目に出るらしい。
8月、英国の医学誌「BMJ(オンライン版)」に掲載された米ハーバード公衆衛生大学院の研究グループの報告から。
同報告では1984~2008年に行われた米国在住の医療従事者を対象とする三つの試験を2型糖尿病と果物、
果汁飲料との関連にフォーカスして統合解析。
対象人数は男女合わせ、延べ18万7382人に及ぶ。
調査対象の果物はブドウ(レーズンを含む)、モモ、リンゴ、オレンジ、イチゴ、ブルーベリーなどおなじみのもの。
研究期間中に2型糖尿病を発症したのはおよそ6.5%に当たる1万2198人だった。
果物の摂取との関連では、
特にブドウ/レーズン、リンゴ、ブルーベリーを週に400グラム以上(中くらいのリンゴ1個に相当)食べていた人は、
月に200グラム以下の人と比べて、2型糖尿病の発症リスクが23%減少していた。
果物単体では、ブルーベリーが28%と最もリスクを下げ、モモやプラム、オレンジ、イチゴでは影響が示されなかった。
一方、果汁飲料を毎日240ミリリットル以上飲む人は、逆に2型糖尿病の発症リスクが21%増加していたのである。
さらに、1週間に飲んでいる果汁飲料のうち、3杯分(240ミリリットル×3)を果物に置き換えると、
2型糖尿病の発症リスクは7%改善することが示された。
昨今話題の「糖質制限食」からすると、果物は糖質が多いのでは? と思われるだろう。
しかし、メインの果糖は含有量の10%程度が糖質に変化するだけなので、血糖が急激に上昇することはない。
また、研究者によれば実を丸ごと食べることで果実の食物繊維が消化吸収を抑え、これも血糖上昇を緩やかにする効果があるようだ。
果物の効用といえば、ブドウやベリー類に含まれるアントシアニンの心疾患予防効果が有名。
今回の研究で2型糖尿病の予防も期待できると示されたわけだ。
ただし、果汁飲料は裏目に出るのでご注意を。今年の秋はひとつ、ブドウ狩りに繰り出してみようか。
(取材・構成/医学ライター・井手ゆきえ)
http://diamond.jp/articles/-/43045
江部先生の著書をベースにプチ制限を実施してお陰様で健康診断の数値改善ができましたものです。
朝食でグレープフルーツジュースを100CCほど飲んでいますが、下記海外データーの紹介記事を見るとジュースは中止したほうが良いということでしょうか。
この記事の信憑性は? 先生のご意見を伺えれば幸いです。
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果物ジュースはかえって裏目!?
糖尿病予防なら丸ごと果物
野菜と果物は体によいが、食べるのが面倒──なので果汁飲料を愛用する諸兄も多いだろう。
ところが、これが裏目に出るらしい。
8月、英国の医学誌「BMJ(オンライン版)」に掲載された米ハーバード公衆衛生大学院の研究グループの報告から。
同報告では1984~2008年に行われた米国在住の医療従事者を対象とする三つの試験を2型糖尿病と果物、
果汁飲料との関連にフォーカスして統合解析。
対象人数は男女合わせ、延べ18万7382人に及ぶ。
調査対象の果物はブドウ(レーズンを含む)、モモ、リンゴ、オレンジ、イチゴ、ブルーベリーなどおなじみのもの。
研究期間中に2型糖尿病を発症したのはおよそ6.5%に当たる1万2198人だった。
果物の摂取との関連では、
特にブドウ/レーズン、リンゴ、ブルーベリーを週に400グラム以上(中くらいのリンゴ1個に相当)食べていた人は、
月に200グラム以下の人と比べて、2型糖尿病の発症リスクが23%減少していた。
果物単体では、ブルーベリーが28%と最もリスクを下げ、モモやプラム、オレンジ、イチゴでは影響が示されなかった。
一方、果汁飲料を毎日240ミリリットル以上飲む人は、逆に2型糖尿病の発症リスクが21%増加していたのである。
さらに、1週間に飲んでいる果汁飲料のうち、3杯分(240ミリリットル×3)を果物に置き換えると、
2型糖尿病の発症リスクは7%改善することが示された。
昨今話題の「糖質制限食」からすると、果物は糖質が多いのでは? と思われるだろう。
しかし、メインの果糖は含有量の10%程度が糖質に変化するだけなので、血糖が急激に上昇することはない。
また、研究者によれば実を丸ごと食べることで果実の食物繊維が消化吸収を抑え、これも血糖上昇を緩やかにする効果があるようだ。
果物の効用といえば、ブドウやベリー類に含まれるアントシアニンの心疾患予防効果が有名。
今回の研究で2型糖尿病の予防も期待できると示されたわけだ。
ただし、果汁飲料は裏目に出るのでご注意を。今年の秋はひとつ、ブドウ狩りに繰り出してみようか。
(取材・構成/医学ライター・井手ゆきえ)
http://diamond.jp/articles/-/43045
2013/10/17(Thu) 09:15 | URL | maw | 【編集】
北九州 三島 さん
自動販売機にスタイルフリーとは、嬉しいですね。
あとJRの駅にキオスクにスタイルフリーを置いて欲しいです。
自動販売機にスタイルフリーとは、嬉しいですね。
あとJRの駅にキオスクにスタイルフリーを置いて欲しいです。
2013/10/17(Thu) 18:38 | URL | ドクター江部 | 【編集】
maw さん
拙著の御購入、ありがとうございます。
データ改善、良かったですね。
英国の医学誌「BMJ(オンライン版)」に掲載された米ハーバード公衆衛生大学院の研究グループの報告
ですから、一定の信頼度はあると思います。
ただ米国の果汁飲料は砂糖が添加してある可能性もあります。
日本のグレープフルーツジュース100ml中に、砂糖は入っていませんが
約10gの糖質が含まれていると思います。
拙著の御購入、ありがとうございます。
データ改善、良かったですね。
英国の医学誌「BMJ(オンライン版)」に掲載された米ハーバード公衆衛生大学院の研究グループの報告
ですから、一定の信頼度はあると思います。
ただ米国の果汁飲料は砂糖が添加してある可能性もあります。
日本のグレープフルーツジュース100ml中に、砂糖は入っていませんが
約10gの糖質が含まれていると思います。
2013/10/17(Thu) 18:46 | URL | ドクター江部 | 【編集】
京都から帰る時は、5分早く着いて、SUVACOでスタイルフリーとおつまみを購入してから新幹線に乗ります。駅の中にはありませんね。
2013/10/18(Fri) 07:57 | URL | 北九州 三島 | 【編集】
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