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京大病院・疾患栄養治療部・幣 憲一郎氏の著述への批判
こんばんは。

精神科医師A さんから、京大病院・疾患栄養治療部・幣 憲一郎氏の著述に関して、多くの情報をコメント頂きました。

精神科医師Aさん、ありがとうございます。

精神科医師Aさん、ご指摘の如く

日本人の食事摂取基準(2010年版)に、

『炭水化物の栄養学的な主な役割は、脳、神経組織、赤血球、腎尿細管、精巣、酸素不足の骨格筋等 通常はぶどう糖しかエネルギー源として利用できない組織にぶどう糖を供給することである』


との記載があるなら、飢餓のときとか通常でないときは、例えばケトン体など他のエネルギー源を利用することを暗に示唆しています。

まあ、厚生労働省の食事摂取基準(2010年版)担当医師は

「赤血球はブドウ糖しか利用できないが、脳はケトン体を利用できる。」

ことはご存知なのでしょう。

一方、幣 憲一郎氏は、

『糖質は最も速やかに利用されるエネルギー源として最も重要とされる成分であり、脳、神経、赤血球、腎尿細管、精巣などは、グルコースのみをエネルギー源としているため・・・・』

と断定しておられるのは、明らかな間違いです。

脳も神経も腎尿細管も精巣もミトコンドリアを持っているので、ケトン体・脂肪酸をエネルギー源として利用できます。なお脳は血液脳関門のために、脂肪酸は利用できません。

また幣 憲一郎氏は、
『ADAの栄養勧告2008年によると、「1日130g以下の低炭水化物食は推奨できない。」とエビデンスレベルで注意喚起されており、食事管理を行う上では必要量の炭水化物を摂取することが必須の条件となっている。』

と述べておられますが、

『ADAは2008年以後、低炭水化物食と低脂肪食に関し、いずれも体重減少目的で1年間の有効性を認めている。炭水化物の推奨量130gとは、糖新生を含めない場合の必要量で、これより食事中の炭水化物が低くても脳への栄養供給は保たれる、と記載しだした。』

という、精神科医師Aさんのご指摘が正しく、幣 憲一郎氏は、完全に誤解しておられます。

幣 憲一郎氏、是非正確な知識を勉強して欲しいと思います。

糖尿病治療のための!糖質制限食パーフェクトガイド 2013年 (東洋経済新報社)
など読んでいただけば、嬉しい限りなのですが・・・。(^^) 


江部康二



【13/09/08 精神科医師A

京大病院・疾患栄養治療部(6)
【6】内分泌・糖尿病・代謝内科 35(4):367-373, 2012
『栄養サポートチーム』 幣 憲一郎

P370-371
 
現在、日本における摂取基準としては、厚生労働省が策定した「日本人の食事摂取基準[2010年版]」[1]があるが、あくまでも健常者を対象としているため、疾患特異性をどのように反映させるかは明確な基準がないのが現状であり、各種疾患ごとに作成されている「診療ガイドライン」に準拠すべきとされている。

P372
<糖質必要量の求め方>

糖質は最も速やかに利用されるエネルギー源として最も重要とされる成分であり、脳、神経、赤血球、腎尿細管、精巣などは、グルコースのみをエネルギー源としているため、1日100g以上の炭水化物(糖質)の摂取量を確保することが望ましいとされている。特に糖尿病患者であっても、糖尿病患者の場合American Diabetes Association (ADA)のNutrition Recommendations and Intervention for Diabete-2008[4]によると、「1日130g以下の低炭水化物食は推奨できない。」とエビデンスレベルで注意喚起されており、食事管理を行う上では必要量の炭水化物を摂取することが必須の条件となっている。

文献
1) 厚生労働省。日本人の食事摂取基準(2010年版)。日本人の食事摂取基準策定検討会報告書。2010。

4) American Diabetes Association; Nutrition recommendations and interventions for diabetes: a position statement of the American Diabetes Association. Diabetes Care 2008; 31: S61.



【批判】
日本人の食事摂取基準(2010年版)は、2009年5月29日に公表された。109頁にはこのような記載がある。

『炭水化物の栄養学的な主な役割は、脳、神経組織、赤血球、腎尿細管、精巣、酸素不足の骨格筋等 通常はぶどう糖しかエネルギー源として利用できない組織にぶどう糖を供給することである』

言いかえれば、飢餓時にはこれと異なるわけだ

また、炭水化物の摂取量が1日100g未満となっても、糖新生が行われると明記されている。

2008年以後ADAは、「炭水化物の推奨量130gとは、糖新生を含めない場合の必要量」だと記載しだした。現実にはこれ以下でも糖新生が行われうるわけである。極端な低炭水化物はビタミン・ミネラル等が不足するため推奨していない】



テーマ:糖尿病
ジャンル:ヘルス・ダイエット
コメント
はじめてのカーボカウント
京大病院・疾患栄養治療部・幣 憲一郎氏も執筆者に入ってます。一度読んだことがあります。炭水化物で血糖は上昇することは記述してあるのですが糖質制限食への理解はされていないのでしょうか?この方の考えは私の頭ではよく理解できませんです。
2013/09/10(Tue) 08:35 | URL | ちえ | 【編集
日本栄養・食糧学会誌
Vol.66(2013) No.2
https://www.jstage.jst.go.jp/browse/jsnfs/66/2/_contents/-char/ja/

総説
 人工甘味料と糖代謝―2000年以降の臨床研究から―

報文
 カテゴリカル主成分分析を用いた,糖尿病患者における血糖値に影響する食品および料理の認識に関する検討

…いずれも価値ある内容です
2013/09/10(Tue) 12:30 | URL | 精神科医師A | 【編集
Re: 日本栄養・食糧学会誌
精神科医師A さん

海外文献も網羅して調べてくれてますね。
貴重な総説でしかも日本語ですから嬉しいです。
ありがとうございます。
2013/09/10(Tue) 14:06 | URL | ドクター江部 | 【編集
久山研究の論文
中村学園大学短期大学部研究紀要39, 255-262, 2007-3-15

久山町住民の栄養素等摂取量,食品群別摂取量の40年間の変化:久山町における栄養疫学研究

http://ci.nii.ac.jp/naid/110006405565

P258、表3に注目してください
2013/09/11(Wed) 13:28 | URL | 精神科医師A | 【編集
Re: 久山研究の論文
精神科医師A さん

情報をありがとうございます。

久山町栄養素摂取比率の変遷と糖尿病罹患率

            平成6年(1994)   平成16年(2004)
タンパク質摂取比率   16.3           14.9%
脂質摂取比率      26.2           24.5%
炭水化物摂取比率    54.2           57.2%

            
            1988年         2002年
久山町男性糖尿病     15.0          23.6%
久山町男性耐糖能異常   42.2          59.9%


久山町でも、全国と同様に、脂質が減って糖質が増えて、糖尿病が増加しています。
2013/09/11(Wed) 14:13 | URL | ドクター江部 | 【編集
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