2013年09月08日 (日)
おはようございます。
たがしゅうこと大学病院神経内科医の田頭秀悟先生が、2013年9月1日からブログを開始されました。
田頭先生は、本ブログにも時々コメントをいただく糖質制限推進派の医師で、自身30kgの減量に成功されています。
興味深い記事を書いておられますので、本ブログ読者の皆さん、是非一度「たがしゅうブログ」覗いてみて下さいね。
たがしゅうブログ
http://tagashuu.blog.fc2.com/
2013年9月7日のたがしゅうブログで、調度ケトン体のことを記事にしておられたので、以下転載します。
江部康二
たがしゅうブログ 2013.9.7記事より
【ケトン食 やめたらどうなる?
糖質制限の延長戦上にケトン食という食事療法があります.
糖質を制限することによって産生されるケトン体という物質にさまざまな神経保護効果があり,これが難治性てんかんをはじめ,さまざまな疾患の治療に応用されてきています.
ケトン食は糖質を制限するだけでなく,蛋白質の摂取もある程度制限されます.平たく言えば,「脂ばっかり」の食事になります.
メニューも糖質制限食に比べると大分限られてくるので,厳密に行うのはなかなかの知識と料理の腕が要求されます.
そんな継続性の難しさから,一般的にはケトン食の継続期間目標は2年程度と言われています.
この夏,ケトン食を実際に行っている病院の見学に行って勉強して参りました.
そこでは,2年が限度と言われるケトン食を4年以上続けられている小児患者さんもおられました.
親御さんに「継続するのが辛くないですか?」と伺うと,それまでに何度も発作に見舞われていた辛い日々の事を思うと,これくらいの事は苦にはならないとのことでした.お子さんの笑顔も印象的でした.
確かにこれは実際に患者の立場に立たないとわからない感覚だなと感じました.
そんなケトン食,もしもやめたらどうなるのか,ということについても一つの情報を頂きました.
継続性の難しいケトン食ですが,一般的には臨床効果が得られたら,より継続しやすい修正アトキンス食(江部先生のスーパー糖質制限食に近い食事療法ですね)へ徐々に移行していくというのがやり方のようです.
ケトン食のメッカ,Johns Hopkins大学で1993年-2004年にケトン食開始し,6か月以上発作消失後にケトン食を中止した66人(11%)がその後どうなったかを調べた研究を教えて頂きました(Martinez, Kossoff. Baltimore. Epilepsia. 2007)
・ケトン食は数か月かけて徐々に中止.
・ケトン食継続期間:0.5-8年
・発作再発13人(20%):中止後0-5年で.
・ケトン食再開した7人中2人が発作消失
・ケトン食再開せず,薬物療法開始した5人とケトン食再開で発作消失しなかった5人の合計10人のうち7人は薬物療法により発作消失
これをみると「80%の人はケトン食をやめた後も発作のない状態を維持している」ということがわかりますし,再発してしまった人もケトン食の再開で発作消失,もしくは薬物を少し足すことで発作コントロールできているという状況だということがわかります.
「ケトン食によって一度大きく増加したケトン体はその後多少制限を緩めても多くの場合ケトン体高値が維持されるのではないか」,という考えが私の頭をめぐります.ただそこにはそれまでのケトン食の継続期間や,個人の体質さが複雑に絡み合ってくるとは思います.
非常に面白い話だと思いませんか.
たがしゅう】
たがしゅうこと大学病院神経内科医の田頭秀悟先生が、2013年9月1日からブログを開始されました。
田頭先生は、本ブログにも時々コメントをいただく糖質制限推進派の医師で、自身30kgの減量に成功されています。
興味深い記事を書いておられますので、本ブログ読者の皆さん、是非一度「たがしゅうブログ」覗いてみて下さいね。
たがしゅうブログ
http://tagashuu.blog.fc2.com/
2013年9月7日のたがしゅうブログで、調度ケトン体のことを記事にしておられたので、以下転載します。
江部康二
たがしゅうブログ 2013.9.7記事より
【ケトン食 やめたらどうなる?
糖質制限の延長戦上にケトン食という食事療法があります.
糖質を制限することによって産生されるケトン体という物質にさまざまな神経保護効果があり,これが難治性てんかんをはじめ,さまざまな疾患の治療に応用されてきています.
ケトン食は糖質を制限するだけでなく,蛋白質の摂取もある程度制限されます.平たく言えば,「脂ばっかり」の食事になります.
メニューも糖質制限食に比べると大分限られてくるので,厳密に行うのはなかなかの知識と料理の腕が要求されます.
そんな継続性の難しさから,一般的にはケトン食の継続期間目標は2年程度と言われています.
この夏,ケトン食を実際に行っている病院の見学に行って勉強して参りました.
そこでは,2年が限度と言われるケトン食を4年以上続けられている小児患者さんもおられました.
親御さんに「継続するのが辛くないですか?」と伺うと,それまでに何度も発作に見舞われていた辛い日々の事を思うと,これくらいの事は苦にはならないとのことでした.お子さんの笑顔も印象的でした.
確かにこれは実際に患者の立場に立たないとわからない感覚だなと感じました.
そんなケトン食,もしもやめたらどうなるのか,ということについても一つの情報を頂きました.
継続性の難しいケトン食ですが,一般的には臨床効果が得られたら,より継続しやすい修正アトキンス食(江部先生のスーパー糖質制限食に近い食事療法ですね)へ徐々に移行していくというのがやり方のようです.
ケトン食のメッカ,Johns Hopkins大学で1993年-2004年にケトン食開始し,6か月以上発作消失後にケトン食を中止した66人(11%)がその後どうなったかを調べた研究を教えて頂きました(Martinez, Kossoff. Baltimore. Epilepsia. 2007)
・ケトン食は数か月かけて徐々に中止.
・ケトン食継続期間:0.5-8年
・発作再発13人(20%):中止後0-5年で.
・ケトン食再開した7人中2人が発作消失
・ケトン食再開せず,薬物療法開始した5人とケトン食再開で発作消失しなかった5人の合計10人のうち7人は薬物療法により発作消失
これをみると「80%の人はケトン食をやめた後も発作のない状態を維持している」ということがわかりますし,再発してしまった人もケトン食の再開で発作消失,もしくは薬物を少し足すことで発作コントロールできているという状況だということがわかります.
「ケトン食によって一度大きく増加したケトン体はその後多少制限を緩めても多くの場合ケトン体高値が維持されるのではないか」,という考えが私の頭をめぐります.ただそこにはそれまでのケトン食の継続期間や,個人の体質さが複雑に絡み合ってくるとは思います.
非常に面白い話だと思いませんか.
たがしゅう】
江部先生
ブログを取り上げて頂き誠に有難うございます。
それにしてもブログを書くという行為だけでも意外と新たな発見や気づきがあるものですね。
普段スルーするようなちょっと印象的な出来事も、「あっ、これはブログに書いてみなさんと共有してみようかな」と思ったりするものです。
ちゃんと続けられるかどうかわかりませんが、先生を見習って、私もできる限りの事をしていきたいと思います。
今後ともどうか宜しくお願い申し上げます。
ブログを取り上げて頂き誠に有難うございます。
それにしてもブログを書くという行為だけでも意外と新たな発見や気づきがあるものですね。
普段スルーするようなちょっと印象的な出来事も、「あっ、これはブログに書いてみなさんと共有してみようかな」と思ったりするものです。
ちゃんと続けられるかどうかわかりませんが、先生を見習って、私もできる限りの事をしていきたいと思います。
今後ともどうか宜しくお願い申し上げます。
2013/09/08(Sun) 12:27 | URL | たがしゅう | 【編集】
たがしゅう 先生
仰る通りと思います。
私もブログを継続することで、確かに一定の時間はとられますが、
それ以上に得るものが多かったこの6年間でした。
こちらこそよろしくお願い申しあげます。
仰る通りと思います。
私もブログを継続することで、確かに一定の時間はとられますが、
それ以上に得るものが多かったこの6年間でした。
こちらこそよろしくお願い申しあげます。
2013/09/08(Sun) 18:10 | URL | ドクター江部 | 【編集】
また一つ、パラダイム・シフトにむけて、動きが出来ましたね。たがしゅうさんが、5月に上京して、「楽しく広げる!糖質オフ・ネットワーク東京」で勉強会をしたり、たがしゅうさんが、北九州のみなさんと交流することによって、糖質オフのネットが広がりつつあることを感じています。5月に、たがしゅうさんと行った飲食店で出会った方に、9/6に、3か月半ぶりに会いました。あれからずっと、炭水化物を避けてダイエットに成功し、体調も良いとのことで、たがしゅうさんによろしくお伝えくださいとのことでした。
たがしゅうさんの誠実な人柄が、説得力になっているようです。
話は変りますが、きのう、久しぶりに東武百貨店池袋店の書店に行きましたが、糖質制限関係の本が、かなり増えていました。
中でも、白澤卓二教授が翻訳した、『小麦は食べるな!』Dr.ウイリアム・デイビス 著が興味深かったです。「高血圧・肥満・糖尿病・心臓・内臓・脳疾患・関節痛・喘息・・・は、すべて小麦が原因だった!」
全米・カナダで、130万部以上売れているそうです。
時間があるときに、一読して、ぜひ感想をお聞かせください。
http://www.nihonbungeisha.co.jp/books/pages/ISBN978-4-537-26033-5.html
たがしゅうさんの誠実な人柄が、説得力になっているようです。
話は変りますが、きのう、久しぶりに東武百貨店池袋店の書店に行きましたが、糖質制限関係の本が、かなり増えていました。
中でも、白澤卓二教授が翻訳した、『小麦は食べるな!』Dr.ウイリアム・デイビス 著が興味深かったです。「高血圧・肥満・糖尿病・心臓・内臓・脳疾患・関節痛・喘息・・・は、すべて小麦が原因だった!」
全米・カナダで、130万部以上売れているそうです。
時間があるときに、一読して、ぜひ感想をお聞かせください。
http://www.nihonbungeisha.co.jp/books/pages/ISBN978-4-537-26033-5.html
2013/09/09(Mon) 03:07 | URL | わんわんこと・板橋 長谷川 | 【編集】
| ホーム |