人工甘味料は、予想に反して代謝を障害し疾患リスクを増加させる?
おはようございます。

2013年8月29日の本ブログ記事で

『人工甘味料が直接、人の膵臓のβ細胞に作用して、大量のインスリン追加分泌を出させる』

というのは、全く事実無根の誤解ということを述べました。

今回

Yamamoto_ma さんから、人工甘味料に関する最新の総説論文(☆)の情報をいただきましたので検討してみます。
Yamamoto_ma さん、ありがとうございました。


「ノンカロリー人工甘味料は、予想に反して代謝を障害し疾患リスクを増加させる」

という、Trends in Endocrinology & Metabolism(TEM)に掲載された論文です。

TEMの2012年のインパクトファクターは8.901ですのでなかなかの医学雑誌です。

この英文論文を

http://syodokukai.exblog.jp/19325507 一人抄読会

というブログで、糖尿病・代謝内分泌科のドクターが要約と解説をしておられます。

詳しい内容は、

http://syodokukai.exblog.jp/19325507 一人抄読会 

を見て頂けば幸いです。


まず、人工甘味料のみでは、インスリンやインクレチン分泌が促進されることはないことが記載されています。

人工甘味料を直接胃や腸に注入しても、通常の食後に起こるホルモン(インスリンやGLP-1のようなインクレチン)分泌の急性変化は起きないことが知られているとのことです。

しかし、人工甘味料飲料が、体重減少に役立ったり、2型糖尿病・メタボリックシンドローム・心血管イベントを防止したりするといった証拠はほとんど得られていないし、人工甘味料飲料を定期的に摂取している人は、そうでない人よりそれらの疾患のリスクが上昇するとのことです。

そのリスクの増加は、従来の砂糖による飲料と同程度だそうです。

結論です。

1)人工甘味料は、血糖値を上昇させないし、インスリンも追加分泌させない。

2)しかし人工甘味料飲料を定期的に摂取すると、肥満・2型糖尿病・メタボリックシンドローム・心血管イベントリスクを高める恐れがある。

3)飲料以外に含まれる人工甘味料が、どのような影響を及ぼすかは、はっきりしていない。

少なくとも人工甘味料清涼飲料水を、毎日飲んだりするのは、辞めた方がいいようですね。


【<論文総説内容>

1. ノンカロリー清涼飲料水=ASB(artificially sweetened beverage)と

   従来の砂糖による清涼飲料水=SSB(sugar-sweetened beverage)

2. ノンカロリー人工甘味料を用いた清涼飲料水(ASB)による悪影響

(1) ASBの飲用についての観察研究

(2) ASBの効果を見る介入研究

(3) ASB飲用と肥満についての因果関係は正しいのか?


3. ASB飲用に対する生理的反応

(1) 人工甘味料摂取は、ショ糖摂取とは異なる脳の反応を引き起こす

(2) 人工甘味料のみではインスリンやインクレチン分泌が促進されることはない

(3) ノンカロリー人工甘味料を摂取すると、摂食後のインスリンやインクレチンの放出が増強されなくなる


4. ASB飲用による生理的反応の障害: ASBは学習によって獲得した反応(learned responses)を減弱させる


結語

① ヒトやマウス・ラットモデルにおいて、ASBが体重減少に役立ったり、2型糖尿病・メタボリックシンドローム・心血管イベントを防止したりするといった証拠はほとんど得られていない。一方、ASBを定期的に摂取しているヒトでは、そうでないヒトよりそれらのリスクが増加すること(しかもそのリスク増加は、SSB摂取の場合と同程度)が示唆されている。

② このような、今までの常識に反する結果は、ASBが「SSBの摂取後に引き起こされるべき、学習によって獲得された反応を減弱させる」という効果(ASB摂取ではSSB摂取の際に得られるはずのエネルギーが得られないので、それを代償するために起こると考えられる)を持つことによる考えられている。

③ノンカロリー人工甘味料は多くの食物にも含まれるようになってきた。そのような食物がASBのように体重や代謝に対して悪影響を与えるのか どうかは、まだはっきりしていない。しかし、食物の甘味は、ノンカロリーかどうかによらず摂取に注意が必要であることは間違いなさそうである。】



(☆)

Artificial sweeteners produce the counterintuitive effect of inducing metabolic derangements.

Susan E. Swithers

Trends in Endocrinology & Metabolism, Volume 24, Issue 9, 431-441, 11 July 2013



江部康二

テーマ:糖質制限食
ジャンル:ヘルス・ダイエット
コメント
我ら糖尿人、元気なのには・・・・
20代から会社の健康診断で尿糖がおりています。現在59歳男性会社員です。現在、自宅近くの診療所に10年以上糖尿病で通院しています。内服はセイブル50mgを2年以上食前にかかさず飲んでいます。現在、Hba1cは年初まで6点代でしたが、今年に入り7.4と上昇してきました。食事はカロリーを抑えようと意識していました。8月29日に先生の本を拝読し、たいへん驚きました。早速合併症が怖くて、29日の朝一番から炭水化物と糖分を食べていません。30日にはじめて自己血糖測定器を購入し、30日の昼食後測定しました。血糖値が136と正常範囲なのです。にわかに信じられません。これから毎食2時間後に測定します。同時に食べたものも詳細に記入していきます。先生のお許しをいただければ、今後を報告したいと思います。今まで食後の血糖値を想定すれば良いのはわかっていましたが、何か恐ろしくて(不安)その気になれませんでした。先生の本の中でインシュリンを売っていた遺伝性の糖尿病の方が改善したという記事をみて、自分もこの機会にチャレンジしなければ、○○梗塞や壊死で足切断、透析になってしまう。この恐怖から離脱できるよう、自分のために頑張りたいと思います。その決意の表明としてコメントを書きました。
長々すみません。
2013/09/01(Sun) 11:57 | URL | 山下 芳樹 | 【編集
Re: ゆうべはどうもありがとうございました。
神戸の二宮 さん

糖質制限協パーティーへのご参加、ありがとうございました。
楽しんでいただけて幸いです。
糖質制限食で体質改善も良かったですね。
2013/09/01(Sun) 18:19 | URL | ドクター江部 | 【編集
Re: 我ら糖尿人、元気なのには・・・・
山下 芳樹 さん

拙著の御購入、ありがとうございます。
自己血糖測定器を購入はとても良いと思います。

「血糖血を上げるのは糖質だけで、タンパク質と脂質は上げない」ということを
しっかり確認してくださいね。

日本糖尿病学会の目標(2013年6月1日から)は、
HbA1c7.0%未満、空腹時血糖値130mg/dl未満、食後2時間血糖血180mg/dl未満ですが、

糖質セイゲニストとしては
HbA1c6.2未満、空腹時血糖値110mg/dl未満、食後2時間血糖血140mg/dl未満を
目指しましょう。

また経過をご報告ください。
2013/09/01(Sun) 18:34 | URL | ドクター江部 | 【編集
朝の血糖値が高いので
始めまして北川と申します、江部先生の本を購入してから糖質制限の実践をしています、始まりはこの6月に軽い熱中症になったのがきっかけです、病院に行き血液検査をして点滴をうちながら・・・先生が私の350まで上がった血糖値を見て治療しないと・・その日は帰り妻と健康会議!たまたま見つけた先生の本を見て即座に実践しました自己血糖測定器も購入して毎日計測しています、今一番気になるのは毎朝の空腹時の血糖値が高いのです、前日の食後2時間ごの血糖は食事によっては高い日も有りますが110~150くらいですが翌朝空腹時で125~148前後なんです、朝高いのには何か理由がありますか?一応8月27日の朝病院にて検査した結果です、空腹時血糖値138、hba1c jds6.0 hba1c ngsp6.4宜しくお願いします。
2013/09/02(Mon) 12:02 | URL | キタガワ | 【編集
Re: 朝の血糖値が高いので
キタガワ さん

拙著のご購入ありがとうございます。
自己血糖測定器もとても役に立ちます。
「糖質だけが血糖値を上昇させて、タンパク質・脂質は上げない」
ことをご確認ください。

空腹時血糖値が138mg・・・暁現象と思われます。
このままスーパー糖質制限食を続けられたら、130mg/dl未満という糖尿病学会の目標は
クリアできると思います。
HbA1c:6.4%はコントロール良好です。

暁現象に関しては、
2011年12月23日 (金)の本ブログ記事
「糖質制限食でHbA1c改善、暁現象への対応は?」
をご参照頂けば幸いです。
2013/09/02(Mon) 17:03 | URL | ドクター江部 | 【編集
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