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2013年7月・糖質制限食による体重減少効果
こんにちは。

mg5 さんから、糖質制限食による体重減少効果についてコメント・質問をいただきました。


◆<摂取エネルギーと消費エネルギー>

1)単純には摂取エネルギーが消費エネルギーを上回れば太り、下回ればやせる。

2)通常のカロリー制限食(高糖質食)なら

  消費エネルギー=「基礎代謝+運動エネルギー+特異動的作用(SDA)」

3)糖質制限食なら

 a)「常に体脂肪が燃えている」→基礎代謝の増加(仮説)
 b)「肝臓の糖新生でエネルギーを消費」→基礎代謝の増加
 c「高蛋白食による特異動的作用(SDA)の亢進」
 d)「尿・呼気中ケトン体でエネルギーを消失」→これは極少ない

a)b)c)の3つが、2)に追加されるので高糖質食に比べて、消費エネルギーが増えるわけです。

1)2)3)は、a)の仮説以外は、全て生理学的事実です。

つまり、スーパー糖質制限食実践でも、3000kcal/日を摂取して、消費したカロリーが2500kcal/日なら、差し引き500kcal分は、余るので、その分は体脂肪として蓄積されます。

スーパー糖質制限食実践で、基礎代謝が増加し、SDAが亢進します。

そして脂肪は燃えて、肥満ホルモン(インスリン)の分泌は少量ですみます。

従って、糖質を摂取したときに比べると、とても体重が減少しやすいのです。

しかし、大食漢の場合は、スーパー糖質制限食でもやせません。

例えば食べた脂肪(中性脂肪)は、分解されて吸収されて、小腸上皮内で再び合成されて、血中を中性脂肪(キロミクロン)として流れています。

この中性脂肪が利用・消費されたあと余れば、リポタンパクリパーゼ(LPL)により分解されて脂肪酸になり、脂肪細胞の中に入って中性脂肪となり蓄積されます。

糖尿病学会推奨のように

男性:1400~1800kcal/日
女性:1200~1600kcal/日

といった、厳しいカロリー制限は必要ありません。

一方、国立健康・栄養研究所の「日本人の食事摂取基準」(2010年)への解説 

推定エネルギー必要量は18才以上の成人で、年齢により差がありますが、

身体活動レベルが低い人は

 男性:1850~2250キロカロリー/日  
 女性:1450~1700キロカロリー/日

身体活動レベルが普通なら

 男性:2200~2650キロカロリー/日  
 女性:1700~1950キロカロリー/日
身体活動レベルが高い場合

 男性:2500~3050キロカロリー/日
 女性:2000~2300キロカロリー/日

です。

スーパー糖質制限食実践と「日本人の食事摂取基準」の標準的な摂取エネルギーなら、適正体重になると思います。

なお糖質制限食による体重減少効果ですが、5つの利点があります。

◆<糖質制限食による体重減少効果>
①インスリン(肥満ホルモン)が基礎分泌以外ほとんど出ない。
②食事中も含めて常に体脂肪が燃えている。
③食事中も含めて常に肝臓で糖新生が行われ、それにかなりのエネルギーを消費する。
④高タンパク食より特異動的作用(SDA)が亢進する。
⑤ケトン体がエネルギーを持ったまま尿中や呼気中に排泄される。→ごく少量

高蛋白食は、摂食時の特異動的作用(SDA)が通常食に比べて増加します。

SDAによる消費エネルギーは、実質吸収エネルギーの、糖質では6%、脂質では4%、タンパク質で30%です。

特異動的作用(SDA)を、もっと簡単に説明すると、食事において
100キロカロリーの糖質を摂取した時は、6キロカロリーが、
100キロカロリーの脂質を摂取した時は、4キロカロリーが、
100キロカロリーのタンパク質を摂取した時は、30キロカロリーが
熱に変わり、消費エネルギーとしてカウントされるということです。


◆<糖質を摂取した場合>
A)血糖値が上昇してインスリン(肥満ホルモン)がたっぷり分泌される。
B)体脂肪は燃えなくなり、血糖値が中性脂肪に変わり蓄積される。
C)肝臓の糖新生はストップする。
D)高タンパク食よる亢進した特異動的作用(SDA)はなくなる。
E)ケトン体は尿中や呼気中に排泄されなくなる。

①②③④⑤とA)B)C)D)E)両者を比べてみれば、高糖質食より糖質制限食の方が、体重減少効果が高いことが一目でわかると思います。

たとえ低脂質食でカロリー制限していても、糖質を摂れば体重減少への利点がすべて消えてしまうわけです。

これは食べ物に含まれるカロリーとは無関係の生理学的な特質であり、あくまで糖質を摂るかどうかがカギとなります。



江部康二



【13/07/12 mg5
カロリー 脂質

はじめまして、mg5です。

先生の糖質制限に深い感銘を受け実践しております。

小生の場合は、やせの体型維持のために勉強させていただいており、試行錯誤しております。

糖質制限による、グルコーススパイクが起こらないため、脂肪沈着、体重減少が得られる理論は理解できました。
ブログでは摂取カロリー>消費カロリーなら、体重増加、脂肪沈着が起きるとのことです。

糖質を0に近い食材で、摂取カロリーが消費カロリーをうわまわった場合、なぜ、体重増加や脂肪沈着が起きるのでしょうか?

糖質0に近ければ、理論的に体重や脂肪は増えないはずです。

カロリー、脂質もやはり制限すべきでしょうか?

周囲でも疑問となっており、カロリー制限におけるメニューの選択が、糖質制限になるのではとの意見があります。

なにとぞ、御教授お願いいたします。】


テーマ:糖質制限食
ジャンル:ヘルス・ダイエット
コメント
スイカ大好き
凄く難しく難題です 
頑張って勉強します。
2013/07/12(Fri) 20:38 | URL | 奈良県吉野けんさん | 【編集
はじめまして。

昨年出産したのですが、高齢と遺伝からか妊娠糖尿病になってしまいました。OGTT1時間値、2時間値ともに200超えのハイリスク妊婦でしたが、食事療法だけでコントロールできたのでインシュリンは打ちませんでした。

出産後、1ヶ月検診時に再度OGTTをしたのですが、1時間後に90台に下がった血糖値が2時間後には141まで再び上昇して境界型という判定でした(こういう動きは珍しくないのでしょうか?この変な動きも不安の1つです)

内科の先生は、1年後の再検査まで普通の食生活でよいとおっしゃいましたが、心配で、自分なりに調べたところ、先生の糖質制限を知りました。不安を感じながらの食事から開放され、心から感謝しています。血糖値測定器も購入しましたが、当たり前ですが炭水化物を取らなければ血糖値が上がることもなくほっとしていました。

しかし、授乳中のうえ、炭水化物以外の栄養を上手く摂れなかったのか、体重がどんどん減ってしまい(身長150センチ、現在体重は37キロ台。以前は44キロくらいでした)、時々実験的に主食を食べて血糖値を測定しているのですが、妊娠中はご飯を150g食べても2時間後120以下だったのが、今は90gでも140を越えたり、130gで200を超えたりします。

体重が減るにつれ悪くなったように思うのですが、普通は体重を減らせば血糖値は下がるはずですが、やはり痩せすぎると筋肉も落ち基礎代謝も下がるので、血糖値が上がることもあるのでしょうか。

今はこちらを読んで、ナッツや果物、オリーブオイル、アボカドをせっせと食べて筋トレをし、筋肉をつけて体重を増やそうと努力しています。これで以前のように戻ればよいのですが…

糖質制限をしていたのに、出産後の数ヶ月で糖尿病が根本的に(=体重の大幅減に関係なく)急激に悪化するということもあるのでしょうか。
もしそうなら、頑張って体重を増やしても血糖値は元には戻らないですよね…

とても不安です。お忙しいところ恐縮ですが、先生のご意見をお伺いできれば幸いです。よろしくお願いいたします。(勿論実際に診て頂いたわけではないので推測のお話で結構です)
2013/07/13(Sat) 01:22 | URL | のの | 【編集
Re: タイトルなし
のの さん

経口ブドウ糖負荷試験は、時ににそういうこともあります。
インスリンと血糖値のマッチング・調整がやや良くないのでしょうね。

体重64kgの2型糖尿病の人で、1gの糖質が3mg血糖値をあげます。
体重32kgなら、6mg上昇となります。

44kg→37kg 痩せすぎですね。
摂取カロリー不足です。
単純に、摂取エネルギーを消費エネルギーが上回っています。
授乳中は赤ちゃんにエネルギーを供給しているので、
その分、母親はかなりのエネルギーを摂取しないと
ガリガリに痩せてしまいます。

とにかく、脂質・蛋白質はしっかり摂取して、徐々に44kgを目指しましょう。
糖質制限食をしていて、出産後の数ヶ月で糖尿病が急に悪化ということはあり得ないので、ご安心ください。

体重増加のため、緩い糖質制限(1回の食事の糖質量が30~40g)でもいいと思います。
2013/07/13(Sat) 17:49 | URL | ドクター江部 | 【編集
糖質制限食の際の留意点。
高タンパク食となることで、消化のためにエネルギーを多く消費することが理解できます。この際甲状腺ホルモンが余計?に必要となり、甲状腺機能低下の場合、高タンパク食ではエネルギーをうまく利用できない方がいる可能性があるようです。
 通常のT3・T4、TSHの検査、では異常を検出できず、基礎体温検査が有効とする図書もあります。また、甲状腺ホルモンのT3への変換に亜鉛・鉄が重要なことから、血清銅・血清亜鉛比率とフェリチィン検査が指標となると書かれていました。
 甲状腺の機能低下によりコレステロールも高めになるようで、このような状態を持っている方は、ホルモン療法が有効なようです。
機会がありましたら、この面からもご研究いただけると、糖尿病治療がさらに進展するのではないかという感想を持っっているところです。
2013/07/14(Sun) 11:15 | URL | なり | 【編集
お忙しいのに早速のお返事をありがとうございます。

>インスリンと血糖値のマッチング・調整がやや良くないのでしょうね。
これは私のインスリンの出方がやや良くないというご趣旨ですよね。悲しいですがしょうがないですよね…

>体重64kgの2型糖尿病の人で、1gの糖質が3mg血糖値をあげます。
>体重32kgなら、6mg上昇となります。
そうなんですか!1gの糖質で3mg血糖値が上がるということは知っていましたが、体重が軽すぎると倍になるとは…
恐ろしいことですが、やはり痩せすぎが原因の可能性が高いとわかり、安心できました。

今後は緩い糖質制限で体重を増やすべく頑張ります。本当にありがとうございました。
2013/07/14(Sun) 17:39 | URL | のの | 【編集
糖質制限食と食欲
前回、力を入れて長文で投稿したものが
 失敗投稿になり(コメント欄に反映されず)、
 ※もう一度文章を作る気力もなく、
   その内容は投稿しません。

枝葉で書いた沖縄記事へのコメントが
 無事、コメント投稿できていたため、

少し落ち込んでおります。



さて、
『糖質制限食による体重減少効果』に関し、
 重要なファクターが抜けていると思います。

それは、『食欲』です。


糖質制限食を実践するにあたり、
 一日三食であった方が、
  一日二食程度に、無理せず、抑えられる、
  ※人によっては、一食+間食程度


というのは、
 経験則として、実践された方々で実感される方が、
  多いのではないでしょうか?


一つのメカニズムとして、
 http://chirotic.exblog.jp/16652447/
  のような内容があるでしょう。
  ※それほどよい記載内容だとは思いませんが、
    ざっと検索して、あくまで一例として。


インスリン以外にも、糖質関係で、
 空腹を感じるようなメカニズムがあるかも知れません。
 ※おそらく、複数ルートがあるのでは?
   と予想してはいます。



糖質制限食では、空腹感との戦いは、
 ありません。
  不必要な空腹感を感じにくくなり、
   食べすぎも抑えやすくなります。


糖質過剰摂取のカロリー制限では、
 空腹感との戦いです。
  空腹感を感じながら、気を紛らわせ、
   食べすぎないように戦わないといけません。
2013/07/14(Sun) 20:21 | URL | 糖質制限食 | 【編集
Re: 糖質制限食と食欲
糖質制限食 さん

FC2ブログ、時々、謎の出来事が生じます。
私自身がコメントして、「不適切な用語のためアップできない」
とかいうメッセージを、FC2ブログから受け取ることもあります。

さて、食欲に関しては、仰る通りと思います。
有名なニューイングランド・ジャーナルの「DIRECT試験」
Iris Shai et al. :NENGLJ MED , VOL359.NO.3 :229-241,2008

1)カロリー制限ありの脂肪制限食
2)カロリー制限ありの地中海食
3)カロリー制限なしの糖質制限食

322人で2年間。
1)2)と同様の摂取カロリー減少が、3)においても認められました。
つまり、カロリー無制限だったにも関わらず、
糖質制限群では、無理なく自然に食欲が抑えられたということになりますね。
2013/07/15(Mon) 14:07 | URL | ドクター江部 | 【編集
糖質制限の体重減少効果
江部先生

コメントありがとうございました。
ともかく、摂取カロリーはおさえめをこころがけてゆきます。
消費カロリーを下回れば、昼、夜ともケーキでもよいのかと考えると不思議です。
スーパー糖質制限+カロリー制限、適宜筋力トレーニングをとりいれながら、友人たちとやってみます。
ちなみに、菓子職人さんのロールケーキ、おいしくいただいております。
また、質問させてください。
よろしくお願いいたします。

mg5 拝
2013/07/16(Tue) 23:01 | URL | mg5 | 【編集
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