2013年06月08日 (土)
こんにちは
大阪人さんから、
「糖質制限食で血糖値改善、一方クレアチニン値は?」
というコメント・質問をいただきました。
大阪人さん、コメントありがとうございます。
今回の健診でHbA1c5.2%(NGSP)とは素晴らしいです。
2013年5月の熊本で開催された、第56回日本糖尿病学会年次学術集会で設定された血糖正常化を目指す際の目標が、HbA1c6.0未満ですのでそれを軽くクリアしています。
空腹時血糖値も93mg/dlなら、まったくの正常値です。
血液による腎機能検査には、
尿素窒素(BUN):8~20mg/dl
クレアチニン:0.6~1.1mg/dl
血清シスタチンC:0.53~0.95mg/dl
などがあります。
この数値は、検査機関により差がありますが、およその基準値です。
糖質制限食実践により、尿素窒素(BUN)がやや高値となることがあります。
これは糖質制限食により相対的に高蛋白食になるためで、生理的なもので心配要りません。
細胞内の蛋白質が限度まで満たされると、体液中のアミノ酸は分解され、エネルギーとして使われたり、主に脂質あるいは、わずかながらグリコーゲンとして貯蔵されます。この大部分は、肝臓で行われます。
アミノ酸分解産物であるアンモニアが、そのままでは神経毒性を有するため、肝で尿素サイクルの代謝をうけて尿素が産生されます。
尿素のほとんどは、腎臓の糸球体で濾過されて尿中に排泄されますが、その一部は再吸収され、血中に戻されます。
一部再吸収されるので、高タンパク食(糖質制限食)により血中尿素窒素(BUN)が高値となることはありますが、これは生理的な現象で、腎機能障害ではありません。
血中クレアチニン値や血中シスタチンCの値が正常であれば問題ありません。
また、高タンパク食(糖質制限食)で、正常な腎臓に負担がかかるということもありません。
クレアチニン値は、尿素窒素よりは腎機能以外の要素の影響は受けにくいのですが、筋トレとかで筋肉量が多い人は、見かけ上やや高値となります。
この場合は、クレアチニン値が高値でも腎機能傷害ではありません。
このようなとき、血清シスタチンCを検査すれば本当の腎機能がわかります。
血清シスタチンCは、クレアチニンより鋭敏な腎機能検査の指標で、かなり初期の腎機能傷害を拾い上げることができます。
筋トレなどによりクレアチニン値が上昇でも、血清シスタチンCが正常であれば腎機能は正常と考えられます。
大阪人さんも、次回診察のときに、シスタチンCを検査してみては如何でしょう。
シスタチンCから計算するeGFRの方が、クレアチンから計算するeGFRより正確と思います。
なお日本腎臓病学会CKD診療ガイド2012 (JSN) によれば、GFRが60ml/分以上あれば、タンパク質制限必要なしです。
江部康二
【13/06/08 大阪人
糖質制限について
江部先生 はじめまして。
私は食後高血糖を起こしている事が健康診断で分かり
昨年10月に糖負荷試験にて糖尿と診断され糖質制限を始めました。
薬はグルファストとグルコバイですが、糖質制限なのでほとんど飲んでません。
HbA1cは5.7(NGSP)と基準値だったのですが今回の検診でHbA1cが5.2(NGSP)に下がってました。
また、空腹時血糖値も診断時は108だったのが前々回96・前回90・今回93になりました。
糖質制限のおかげで改善できたことをとても嬉しく思います。
ありがとうございます。
しかし、主治医に尿素窒素とクレアチニン・GFRの数値で注意を受けました。
尿素窒素は17.7→22.2→17.7→19.6→20.5
クレアチニンは0.76→0.83→0.77→0.82→0.88
GFRは90→81→88→82→76
です。
糖質制限を続けていると腎臓に負担がかかると言われました。
私は43歳の男性なのですがクレアチニンの数値が上がり
GFRの数値がどんどん下がっているので不安になりました。
尿素窒素の数値も高め続きです。
このまま、糖質制限を続けても大丈夫でしょうか。
お忙しいところ申し訳ありませんが宜しくお願い致します。
大阪人より 】
大阪人さんから、
「糖質制限食で血糖値改善、一方クレアチニン値は?」
というコメント・質問をいただきました。
大阪人さん、コメントありがとうございます。
今回の健診でHbA1c5.2%(NGSP)とは素晴らしいです。
2013年5月の熊本で開催された、第56回日本糖尿病学会年次学術集会で設定された血糖正常化を目指す際の目標が、HbA1c6.0未満ですのでそれを軽くクリアしています。
空腹時血糖値も93mg/dlなら、まったくの正常値です。
血液による腎機能検査には、
尿素窒素(BUN):8~20mg/dl
クレアチニン:0.6~1.1mg/dl
血清シスタチンC:0.53~0.95mg/dl
などがあります。
この数値は、検査機関により差がありますが、およその基準値です。
糖質制限食実践により、尿素窒素(BUN)がやや高値となることがあります。
これは糖質制限食により相対的に高蛋白食になるためで、生理的なもので心配要りません。
細胞内の蛋白質が限度まで満たされると、体液中のアミノ酸は分解され、エネルギーとして使われたり、主に脂質あるいは、わずかながらグリコーゲンとして貯蔵されます。この大部分は、肝臓で行われます。
アミノ酸分解産物であるアンモニアが、そのままでは神経毒性を有するため、肝で尿素サイクルの代謝をうけて尿素が産生されます。
尿素のほとんどは、腎臓の糸球体で濾過されて尿中に排泄されますが、その一部は再吸収され、血中に戻されます。
一部再吸収されるので、高タンパク食(糖質制限食)により血中尿素窒素(BUN)が高値となることはありますが、これは生理的な現象で、腎機能障害ではありません。
血中クレアチニン値や血中シスタチンCの値が正常であれば問題ありません。
また、高タンパク食(糖質制限食)で、正常な腎臓に負担がかかるということもありません。
クレアチニン値は、尿素窒素よりは腎機能以外の要素の影響は受けにくいのですが、筋トレとかで筋肉量が多い人は、見かけ上やや高値となります。
この場合は、クレアチニン値が高値でも腎機能傷害ではありません。
このようなとき、血清シスタチンCを検査すれば本当の腎機能がわかります。
血清シスタチンCは、クレアチニンより鋭敏な腎機能検査の指標で、かなり初期の腎機能傷害を拾い上げることができます。
筋トレなどによりクレアチニン値が上昇でも、血清シスタチンCが正常であれば腎機能は正常と考えられます。
大阪人さんも、次回診察のときに、シスタチンCを検査してみては如何でしょう。
シスタチンCから計算するeGFRの方が、クレアチンから計算するeGFRより正確と思います。
なお日本腎臓病学会CKD診療ガイド2012 (JSN) によれば、GFRが60ml/分以上あれば、タンパク質制限必要なしです。
江部康二
【13/06/08 大阪人
糖質制限について
江部先生 はじめまして。
私は食後高血糖を起こしている事が健康診断で分かり
昨年10月に糖負荷試験にて糖尿と診断され糖質制限を始めました。
薬はグルファストとグルコバイですが、糖質制限なのでほとんど飲んでません。
HbA1cは5.7(NGSP)と基準値だったのですが今回の検診でHbA1cが5.2(NGSP)に下がってました。
また、空腹時血糖値も診断時は108だったのが前々回96・前回90・今回93になりました。
糖質制限のおかげで改善できたことをとても嬉しく思います。
ありがとうございます。
しかし、主治医に尿素窒素とクレアチニン・GFRの数値で注意を受けました。
尿素窒素は17.7→22.2→17.7→19.6→20.5
クレアチニンは0.76→0.83→0.77→0.82→0.88
GFRは90→81→88→82→76
です。
糖質制限を続けていると腎臓に負担がかかると言われました。
私は43歳の男性なのですがクレアチニンの数値が上がり
GFRの数値がどんどん下がっているので不安になりました。
尿素窒素の数値も高め続きです。
このまま、糖質制限を続けても大丈夫でしょうか。
お忙しいところ申し訳ありませんが宜しくお願い致します。
大阪人より 】
江部先生、私のコメントを取り上げてくださり本当にありがとうございます。
HbA1cは5.5からいきなり5.2に下がっていたのでビックリしました。
とても嬉しくて、検査結果用紙を何度も見てしまいました。
尿素窒素は糖質制限で高値になるのは自然な事なんですね。
安心しました。
クレアチニン値は基準値内なので大丈夫と思っていたのですが
なぜかGFR値の数字が赤文字になり注意になっていました。
毎回、変動があるのでそんなもんだと思っていたので主治医に注意され???って感じだったのです。
クレアチニンの数値的には基準値内なので安心してはダメなのでしょうか?
他、血液検査や尿検査、アルブミン尿検査は異常なしです。
シスタチンCは次回検査してもらえるようお願いしてみます。
ありがとうございます。
これからも糖質制限で血糖コントロール頑張ります。
大阪人
HbA1cは5.5からいきなり5.2に下がっていたのでビックリしました。
とても嬉しくて、検査結果用紙を何度も見てしまいました。
尿素窒素は糖質制限で高値になるのは自然な事なんですね。
安心しました。
クレアチニン値は基準値内なので大丈夫と思っていたのですが
なぜかGFR値の数字が赤文字になり注意になっていました。
毎回、変動があるのでそんなもんだと思っていたので主治医に注意され???って感じだったのです。
クレアチニンの数値的には基準値内なので安心してはダメなのでしょうか?
他、血液検査や尿検査、アルブミン尿検査は異常なしです。
シスタチンCは次回検査してもらえるようお願いしてみます。
ありがとうございます。
これからも糖質制限で血糖コントロール頑張ります。
大阪人
2013/06/08(Sat) 22:02 | URL | 大阪人 | 【編集】
江部先生、私のコメントを取り上げてくださりありがとうございます。
HbA1cですが前回5.5だったのがいきなり5.2に下がったのでビックリしました。
嬉しくて検査結果を何度も見てました。
尿素窒素は糖質制限で高値になるのは自然な現象なんですね。
安心しました。
クレアチニン値は基準値内なので大丈夫だと思ってたんですが、GFRの数字が赤色で注意になってました。
なぜ、クレアチニンが基準値内の数値なのに注意なんでしょうか?毎回上下変動はしてますが。
次回、シスタチンCを検査してもらえるようお願いしてみます。
ありがとうございます。
大阪人
HbA1cですが前回5.5だったのがいきなり5.2に下がったのでビックリしました。
嬉しくて検査結果を何度も見てました。
尿素窒素は糖質制限で高値になるのは自然な現象なんですね。
安心しました。
クレアチニン値は基準値内なので大丈夫だと思ってたんですが、GFRの数字が赤色で注意になってました。
なぜ、クレアチニンが基準値内の数値なのに注意なんでしょうか?毎回上下変動はしてますが。
次回、シスタチンCを検査してもらえるようお願いしてみます。
ありがとうございます。
大阪人
2013/06/09(Sun) 00:33 | URL | 大阪人 | 【編集】
江部先生、私のコメントを取り上げてくださりありがとうございます。
HbA1cですが、前回の5.5からいきなり5.2に下がったのでビックリしました。
嬉しくて検査結果を何度も見てました。
尿素窒素は糖質制限で高値になるのは自然な事なんですね。
安心しました。
ただ、クレアチニンは基準値内なのになぜ注意になるのでしょう。
GFRの数値も赤色になり注意になっていたの。
クレアチニンは毎回上下変動がありますが、基準値内なので問題ないと思っていたのですが。
他、血液検査、尿検査、アルブミン尿検査異常なしです。
シスタチンCは次回の健診で検査してもらえるようお願いしてみます。
ありがとうございます。
大阪人
HbA1cですが、前回の5.5からいきなり5.2に下がったのでビックリしました。
嬉しくて検査結果を何度も見てました。
尿素窒素は糖質制限で高値になるのは自然な事なんですね。
安心しました。
ただ、クレアチニンは基準値内なのになぜ注意になるのでしょう。
GFRの数値も赤色になり注意になっていたの。
クレアチニンは毎回上下変動がありますが、基準値内なので問題ないと思っていたのですが。
他、血液検査、尿検査、アルブミン尿検査異常なしです。
シスタチンCは次回の健診で検査してもらえるようお願いしてみます。
ありがとうございます。
大阪人
2013/06/09(Sun) 10:48 | URL | 大阪人 | 【編集】
terumi さん
「通常、成人はミグリトールとして1回50mgを1日3回毎食直前に経口服用する。
なお、効果不十分な場合には、経過を十分に観察しながら1回量を75mgまで増量することができる。」
メーカーは、セイブル75mgまでは、経過を観察しながらOKとしています。
「通常、成人はミグリトールとして1回50mgを1日3回毎食直前に経口服用する。
なお、効果不十分な場合には、経過を十分に観察しながら1回量を75mgまで増量することができる。」
メーカーは、セイブル75mgまでは、経過を観察しながらOKとしています。
2013/06/09(Sun) 10:57 | URL | ドクター江部 | 【編集】
大阪人 さん
血清クレアチニン値を基に、計算式を使って表される「eGFR」が、チェックされたのでしょう。
クレアチニンは基準値なのに、eGFRだと軽度腎不全になってしまうことがあり、
この計算式が過剰診断ではないかという意見が多くなっています。
<24時間蓄尿+採血>して「24時間内因性クレアチニンクリアランス」をみると一番正確です。
この正確なGFRに対して、血清クレアチニン値から計算したeGFRは、腎機能低下の方向に過剰にぶれていることがほとんどです。
血清シスタチンCを検査して、シスタチンCを基にしたeGFRを測定すると、
「24時間内因性クレアチニンクリアランス」値に、より近いと思います。
血清クレアチニン値を基に、計算式を使って表される「eGFR」が、チェックされたのでしょう。
クレアチニンは基準値なのに、eGFRだと軽度腎不全になってしまうことがあり、
この計算式が過剰診断ではないかという意見が多くなっています。
<24時間蓄尿+採血>して「24時間内因性クレアチニンクリアランス」をみると一番正確です。
この正確なGFRに対して、血清クレアチニン値から計算したeGFRは、腎機能低下の方向に過剰にぶれていることがほとんどです。
血清シスタチンCを検査して、シスタチンCを基にしたeGFRを測定すると、
「24時間内因性クレアチニンクリアランス」値に、より近いと思います。
2013/06/09(Sun) 11:20 | URL | ドクター江部 | 【編集】
terumi さん
万能ではないですが、
「セイブル75mg+グルファスト(5mg)or(10mg)」という選択肢もあります。
これなら、ご飯150g(人と同じ)は無理でも
ご飯100gなら対応できることが多いです。
万能ではないですが、
「セイブル75mg+グルファスト(5mg)or(10mg)」という選択肢もあります。
これなら、ご飯150g(人と同じ)は無理でも
ご飯100gなら対応できることが多いです。
2013/06/09(Sun) 23:26 | URL | ドクター江部 | 【編集】
いつもお世話になっております。
今年の3月頃から、糖質制限食を始めました。
当初、10.7だったHbA1cは、5.9まで下がり、空腹時血糖値も現在は平均85くらいで落ち着いています。ただ、クレアチニン値が、1.24と上がって食ているのが気がかりですが、最近、筋トレを始めたので、少し休んで、ようすをみます。
カロリー制限だけの食事では一向に下がらなかった血糖値が下がったのは、先生のおかげです。
ほんとうにありがとうございます。
これからも糖質制限食で、頑張ろうと思います。
62歳,男、脳梗塞(左半身麻痺)、網膜症、
今年の3月頃から、糖質制限食を始めました。
当初、10.7だったHbA1cは、5.9まで下がり、空腹時血糖値も現在は平均85くらいで落ち着いています。ただ、クレアチニン値が、1.24と上がって食ているのが気がかりですが、最近、筋トレを始めたので、少し休んで、ようすをみます。
カロリー制限だけの食事では一向に下がらなかった血糖値が下がったのは、先生のおかげです。
ほんとうにありがとうございます。
これからも糖質制限食で、頑張ろうと思います。
62歳,男、脳梗塞(左半身麻痺)、網膜症、
ドン さん
HbA1c、空腹時血糖値の改善、良かったです。
クレアチニンは、筋肉の中のクレアチンと言うアミノ酸の一種が分解された老廃物です。
従って、運動後の検査では、血清クレアチニン値が上昇することがあります。
血清システチンCという検査なら、筋肉運動の影響を受けないので、より正確に腎機能を示します。
HbA1c、空腹時血糖値の改善、良かったです。
クレアチニンは、筋肉の中のクレアチンと言うアミノ酸の一種が分解された老廃物です。
従って、運動後の検査では、血清クレアチニン値が上昇することがあります。
血清システチンCという検査なら、筋肉運動の影響を受けないので、より正確に腎機能を示します。
2016/09/07(Wed) 07:47 | URL | ドクター江部 | 【編集】
江部先生、コメントを取り上げてくださりありがとうございます。
次回の検査で血清システチンCの値を調べてもらうことにします。
結果が出たら、また報告させて頂きます。
ありがとうございました。
次回の検査で血清システチンCの値を調べてもらうことにします。
結果が出たら、また報告させて頂きます。
ありがとうございました。
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