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自分が糖尿病と知った時
おはようございます。
天気予報どおり、昨夜から冷えてきて、今朝はこの秋初めてパッチをはいて、京都駅前診療所にこれから出かけます。吐く息が白いです。

さて今日は、恵理さんからの、面白い質問です。

「いつも楽しく学ばせて頂いています。
糖尿病学会でさえ糖質について何も述べられないなんて、やはり自分の身体は自分で守るべく、学んでいかなければならないんですね。

ひとつ質問です。江部先生はご自身が糖尿病であることを知ったとき、どうお感じになられましたか?
先日、電車内で中年の男性が糖尿病の診断を受けたことを悲壮な感じでお連れの方に話されてるのを見て、人は糖尿病という診断を受けたときにどのようなことを感じられるのか知りたくなりました。
興味本位での質問ではないのですが、差し支えなければお願いします。
恵理 | 2007.11.15(木) 09:57 | URL | 」


はい、恵理さん、私も検査データを見た時、まず愕然としました。きっと青ざめていたでしょう。血の気がひく感じがありましたね。

食事制限、内服薬、インスリン注射、合併症・・・、頭の中を走馬燈のように(いや古めかしい表現ですみません)いろんな思いが駆けめぐりました。

なんせ医師ですから、なまじ知識が少しはあるので、瞬間的ダメージは一般の人より深かったかもしれません。

そして次に何かの間違いだろうと思いました。或いは間違いと思いたかったのですね(*_*)

2002年6月某日のことです。

高雄病院でふと調べたHbA1cが6.3%もありました。
あれっ!と思って、お昼の給食に玄米180gを摂取後2時間血糖値を計ったら、何と258mg/dlもあったのです。(この時血の気がひいたんです。)

それで翌日、もう一回玄米を150g摂取して、もう一度測定したら、やはり228mg/dlありました。ガックリきました。
 
病院でのお昼の給食は、十数年来、玄米魚菜食、家でも脂っこいものは極力避けて、お魚や野菜中心でご飯、季節の旬の果物、いわゆる従来のヘルシー食でした。

そして、土曜日、日曜日はテニスクラブで昼からダブルスを、数試合で、世間一般のおじさんに比べれば、食事も運動もかなり健康的なライススタイルだと自負していたので、「なぜだ?!」と疑問は沸々と湧いてきましたね。

しかし、ここにいたって、診断基準を確実に満たしましたので、すぐに無駄な抵抗はやめて「江部康二=糖尿病」という事実をしっかり受け止めました。

私は、元来、気持ちの切り替えは早いほうなので、「親父もお袋も糖尿病やし、しゃーないな。」と諦めの境地に達しました( ´・ω・)∧∧

それから、過去のデータを見直してみました。

1993.1.20 FBS:80mg/l HbA1c:5.6%

1994.9.5 FBS:94mg/l

1994.11.14 FBS:107mg/l 
 
1996.10.9 FBS:103mg/l HbA1c:5.6%

1997.2.6 FBS:106mg/l 

1998.3.5 FBS:115mg/l

冷静に見れば、1998年から空腹時血糖値が、すでに予備軍(境界領域:IFG)レベルでした。

また、2004年のHbA1cが4.9% と減少・改善しているので、1993年時点(HbA1c:5.6%)で既に食後高血糖であった可能性が高いのです。

まあ、食後高血糖が数年間続いて(追加分泌インスリンの遷延・低下)、とうとうインスリン基礎分泌も不足してきて、空腹時血糖値の上昇という、日本糖尿人の典型的パターンを辿っていたのですね。

いやはや、油断でした。

1993年時点で、食後血糖値をチェックしていれば私の糖尿病人生は全く違ったものになってたでしょうね。医師としてはあきらかに見逃しで、はっきり言って藪医者ですね(=_=)

糖尿人発覚の、2002年6月から、スタンダード糖質制限食を開始、2003年6月からは、スーパー糖質制限食を開始して現在にいたります。

1999年に兄・江部洋一郎が高雄病院に初めて糖質制限食を導入し、2001年9月から、私も糖尿病患者さんに 糖質制限食治療を開始しました。

自分が糖尿人と発覚してからは、糖尿病の食事療法研究のモチベーションは(患者さんには申し訳ないのですが)非常に高まりました。

やはり薬やインスリン注射はできれば使いたくなかったものですから・・・。

それから、自分が糖尿人(患者)でもあるので、他の医師に対しては物は言いやすくなりました。

さらに、自分で食物の人体実験ができるのも、食事療法研究においてとても重宝でした。

「糖質制限ドットコム」で販売している 糖質制限食OK食品は、全て私の人体実験済みです。これからも美味しい食品開発していきますので「糖質制限ドットコム」よろしくお願いしますね。

江部康二

**
糖質制限ドットコム糖質制限食普及センター)
(株)京都高雄倶楽部  
TEL:075-873-2170  FAX:075-873-2270
http://www.toushitsuseigen.com/

テーマ:糖尿病
ジャンル:ヘルス・ダイエット
コメント
詳細なご回答ありがとうございます。
やはりかなりの衝撃があるのですね。私も糖尿病の方の食事療法に関わっていますがコントロール不良の状態が続くと、ついつい合併症など脅しをかけて「このままではいけない!」と意識改革を願っていたのですが、きっと逆効果ですね。彼女にとっては死の宣告のように聞こえ、耳をふさいでしまいたくなり、現実として受け止めたくないと感じさせていたかも知れません(>_<。)
江部先生が糖尿人になられたのは必然かも知れないですね。選ばれし人なんだと思います('-'*)
2007/11/19(Mon) 08:09 | URL | 恵理 | 【編集
糖尿病宣告を受けたときの気持ちですか~。
他の人がどういう気持ちだったのか気になります。
やはり江部先生といえどもショックは大きかったのですね。。。

わたしの場合、会社の検診で何度も医者に行けと言われていたにも関わらず忙しいだのなんだのといって理由をつけて現実逃避していたので糖尿病宣告は現状確認とちゃんとした治療を開始する理由付けみたいなものでした (-_-;)
だからショックもそんなに大きくなかったんですよね。

でも江部先生もおっしゃっている通り、気持ちを切り替えてうまく付き合っていく方法を前向きに見つけるのがコツかなーと思います。
そうでないとほんと悲惨な人生になっちゃいますからねー。
人生をどう捉えるかは自分次第ですが江部先生はその辺もうまくなさってるなといつも感心しています。
2007/11/19(Mon) 08:56 | URL | ミント | 【編集
糖尿病と宣告されたときは、親が糖尿人ですし、自らの食生活を省みたら悲しいけれど仕方ないかなと思いました。同時に、これからはすべてガマンとDrからの責めの人生が続くのかという、逃げようにも逃げることが出来ない境遇に陥ったと感じました。
しかし江部先生の糖質制限という考え方に出会い実践することで、本当に気持が楽になりました。
最初は糖質制限は糖尿病を悪化させるのではと疑っていましたが、先生自らが実践されていることを知り、自分もスーパー制限食を行なうようになりました。
先日の区民健康診断でも随時血糖が126、コレステロールもOK,特にHDLが60になるなど目覚しい改善がありました。
時には羽目をはずしてしまうこともありますが、毎日SU剤を使うよりか、たまのグルコーススパイクの方が安全かな?とも思っています。
糖質制限食を行なうことで、病気というくびきから開放された気持で、本当に感謝しています。
それから糖尿人の先輩である山の親爺にも先生の本を贈りました。

2007/11/19(Mon) 11:14 | URL | 街のクマ | 【編集
新食品 バラントース?
江部先生こんばんは。
先生のおかげで、一応正常人の私です。

先日、こういうものがあると紹介してもらいました。
日本では未発売のようです。
どのくらい糖質制限ができるものか知りたいです。
江部先生は、ご存知でしたか?

http://www.balantose.jp/eat/20070615.html
2007/11/20(Tue) 02:31 | URL | 黒尼 | 【編集
黒尼さん。
バラントースのページ見てみました。
全粒穀物を奨めてますね。
従って、玄米魚菜食に近い考え方です。
低インスリンダイエットにも近いです。
醗酵を酵母と乳酸菌の2段階で繰り広げることによって
小麦の糖質を減らすとのことですが、
基本的に糖質は勿論含まれていますので
血糖値は上昇させると思います。
糖尿人ではない正常人で生活習慣病予防にはいいかもしれませんね。
2007/11/20(Tue) 07:48 | URL | 江部康二 | 【編集
ありがとうございます。
江部先生、レスありがとうございます。

やはり糖質制限食とまではいかないですか。
難しいですね。
でも日本でももっと、全粒穀物やローカーボ食品が
普通に店頭で買えるようになるといいですよね。
2007/11/21(Wed) 23:07 | URL | 黒尼 | 【編集
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