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果糖飲料大量摂取は内臓脂肪と脂質を増加させる
おはようございます。

糖質制限食さんから

「過体重・肥満のヒトにおいて、ブドウではなく果糖を甘味料とした飲料が内蔵脂肪と脂質を増加させ、インスリン感受性を低下させる」

という題の論文(*)について、コメントをいただきました。

論文をネットで検索して、要約をざっと読んでみました。

エネルギー必要量の25%を、
ブドウ糖(グルコース)か果糖(フルクトース)を甘味料とした飲料から摂取させて、
10週間経過をみて比較したRCT研究論文です。

グルコースグループが男7人、女8人
フルクトースグループが男9人、女8人

「J Clin Invest.」は インパクトファクター結構高いです。

体重増加は両グループで不変。
内臓脂肪量は、果糖のグループで有意に増加。
空腹時中性脂肪は、ブドウ糖グループのみで約10%増加。
肝臓の新たな脂肪合成と食後の中性脂肪濃度AUCは果糖グループで有意に増加。
空腹時apoB、 LDL、小粒子LDL、酸化LDL、レムナント・・・は果糖グループのみで有意に増加。

それに加えて、果糖グループでは、空腹時血糖値、空腹時インスリン値が増加し、インスリン感受性が低下したがグルコースグループではそれが無かった。

これらのデータにより、過体重・肥満の成人において、食物中の果糖は明確に肝臓の脂肪合成を増加させ、脂質異常症を生じ、インスリン感受性を低下させ、内臓脂肪を増加させる。


エネルギー必要量の25%を、果糖やブドウ糖の飲料から摂取すること事態が、日本人の感覚ではとんでもないのですが、米国では普通なのでしょうね。

日本でもペットボトルを持ち歩いてがぶ飲みしている青少年だと、米国レベルになるかもしれません。

ともあれ、普通に果物を適量食べると、その中に果糖も含まれていますが、そのていどは問題ないと思います。

『液体の果糖を清涼飲料水から大量に摂取』という、食習慣が極めて良くないということだと思います。


江部康二



(*)
糖質制限食さんにコメントいただいた論文の要約が
以下です。

http://www.jci.org/articles/view/37385
J Clin Invest. 2009;119(5):1322–1334. doi:10.1172/JCI37385.

Consuming fructose-sweetened, not glucose-sweetened, beverages increases visceral adiposity and lipids and decreases insulin sensitivity in overweight/obese humans

Kimber L. et all


Studies in animals have documented that, compared with glucose, dietary fructose induces dyslipidemia and insulin resistance. To assess the relative effects of these dietary sugars during sustained consumption in humans, overweight and obese subjects consumed glucose- or fructose-sweetened beverages providing 25% of energy requirements for 10 weeks. Although both groups exhibited similar weight gain during the intervention, visceral adipose volume was significantly increased only in subjects consuming fructose. Fasting plasma triglyceride concentrations increased by approximately 10% during 10 weeks of glucose consumption but not after fructose consumption. In contrast, hepatic de novo lipogenesis (DNL) and the 23-hour postprandial triglyceride AUC were increased specifically during fructose consumption. Similarly, markers of altered lipid metabolism and lipoprotein remodeling, including fasting apoB, LDL, small dense LDL, oxidized LDL, and postprandial concentrations of remnant-like particle–triglyceride and –cholesterol significantly increased during fructose but not glucose consumption. In addition, fasting plasma glucose and insulin levels increased and insulin sensitivity decreased in subjects consuming fructose but not in those consuming glucose. These data suggest that dietary fructose specifically increases DNL, promotes dyslipidemia, decreases insulin sensitivity, and increases visceral adiposity in overweight/obese adults.
テーマ:糖質制限食
ジャンル:ヘルス・ダイエット
コメント
糖質制限 と 異性化糖(ぶどう糖果糖液糖・果糖ぶどう糖液糖など)
 果糖が多く含有される異性化糖は、
  江部先生のおっしゃるように、
 (人工的な)甘い飲み物、アイス等に多く採用されています。

 通常、糖質制限をしていれば、
  それ程多く摂取する事はないのですが、
 味のバランスを整えるために、
  調味料のように広く利用されているため、
 意図せず出会うことがあります。

 ・市販の納豆のタレ
  ⇒ 納豆は我々の強い味方ですが、
     市販のタレには、微量ではあるものの、
     ほぼ確実に含まれています。

     一度、原材料表示をご確認下さい。

     私は、タレを使わず、醤油も塩分が多いので、
     納豆だけで食べます(笑)。

 ・市販の惣菜
  ⇒ ものによりますが、
     含まれているものも見かけます。

 ・レトルト食品・缶詰
  ⇒ ものによりますが、
     含まれているものも見かけます。


 ご参考に。


 ※ちなみに、アイスの「ガリガリ君 梨味」は、
   1本の炭水化物量18.1g で、カロリーも69kcal、
    これ1本だけなら糖質制限ぎりぎりですが、

  原材料表示の1番目は、「ぶどう糖果糖液糖」
   2番目は、「砂糖」
    3番目にようやく、「梨果汁」
     でした。

  つまり、エネルギー面でいえば、
   ほぼ、「ぶどう糖果糖液糖」と「砂糖」の塊です。
2013/05/25(Sat) 15:13 | URL | 糖質制限食 | 【編集
この論文から読み取れる事
 江部先生

 解説頂きどうもありがとうございました。

 ざっくりと、以下の様な理解で宜しいのでしょうか?

  ブドウ糖による過剰なエネルギーは、とりあえず血中の中性脂肪として蓄えられが、

  果糖による過剰なエネルギーは、すみやかに内臓脂肪として蓄えられるため、

  同じ、過剰なエネルギーとしてみた場合に、
   果糖による方が、肥満に、より早く繋がりやすい。


  ※この論文に書いてあるかどうかは不明ですが(おそらく、書いてはいない)、
    下記の危険性も挙げられておりましたので、
     真偽は不明なものの、一応、ご紹介だけ。
     (※以下の内容は、私自身未検証で、真偽不明です。)


 ・フルクトースの代謝負担は100%肝臓にかかる。グルコースを肝臓が分解するのは20%。

 ・全身の細胞のミトコンドリアはグルコースを利用する。グルコース摂取の大半は即座に「燃焼」されエネルギー変換される。
  一方、フルクトースは、FFA(遊離脂肪酸)、VLDL(有害な形態のコレステロール)、トリグリセリドに転換され、脂肪として貯蔵される。

 ・フルクトース代謝の過程で生成された脂肪酸は、肝臓や骨格筋組織の中に脂肪滴として蓄積し、インスリン耐性とNAFLD(非アルコール性の脂肪肝)の原因となる。
  インスリン耐性は、メタボリック・シンドロームや2型糖尿病へと発展する。

 ・グルコースを100キロカロリー摂取すれば、脂肪蓄積は1キロカロリー未満。
  フルクトースを100キロカロリー摂取すれば、33キロカロリーは脂肪として蓄積される。

 ・肝臓によるフルクトース代謝は、さまざまな廃棄物・毒物(例えば、尿酸)を生み出す。

 ・グルコースは、空腹ホルモンであるグレリンを抑圧し、食欲を抑えるレプチンを刺激する。
  フルクトースには、グレリンを抑える効果はなく、脳とレプチンの通信を妨害し、食べ過ぎをもたらす効果がある。 
2013/05/25(Sat) 15:39 | URL | 糖質制限食 | 【編集
Re: この論文から読み取れる事
糖質制限食 さん

そうですね。
この論文では
果糖のほうがブドウ糖より太りやすいとなっていると思います。

列挙された危険性は、私もよくわかりません。
2013/05/25(Sat) 16:57 | URL | ドクター江部 | 【編集
甘味料とインスリンについての気になる記事
先生こんにちは。どこにコメントすべきか迷いましたが、甘味料の最新記事にします。質問するにあたり、過去の甘味料記事を2009年分までざっとチェックしましたが、未出のようですので質問させていただきます。
http://robust-health.jp/article/preventive01/000034.php
この記事をご覧になって下さい。
「引用開始」
ボストン大学のバーバラ・コーキー博士のグループは、動物実験で、アスパルテーム、サッカリン、スクラロースなどの人工甘味料を摂取した後、インスリン分泌が上昇することを報告しました。カロリーはなくとも、体は、カロリーのあるものと同様の反応をするということです。

 血糖上昇がないのにインスリンが分泌されると、一時的に低血糖となります。低血糖は生命の危機ですから、体はすぐ食欲を増進させます。人工甘味料を摂取するほど、空腹感は増します。

 さらに人工甘味料を摂取し続けると、騙されまいとする体の機構が働いてインスリンの分泌が徐々に悪くなり、しまいには本物の糖を摂取してもインスリンが分泌されなくなる可能性があります。これは糖尿病と同じ状態です。
「引用終了」
著者はハーバードの肩書を持つエリートだと思いますが、要はエビデンスレベルだと思います。ただ一般人には論文のエビデンスレベルを計るのは困難であり、論文化された事実の確認も困難です。
ただ、人工甘味料とインスリン分泌の生化学的反応については、これまで考えたこともなかったので、この記事は考えるきっかけ材料とはなりました。先生はどのように思われますでしょうか。
2013/08/17(Sat) 19:42 | URL | 松尾 | 【編集
Re: 甘味料とインスリンについての気になる記事
松尾 さん

Hyperinsulinemia: Cause or Consequence?
Barbara E. Corkey Diabetes 61:4–13, 2012



ボストン大学のバーバラ・コーキー博士の原著の、
題は「高インスリン血症:原因或いは結果?」です。

高インスリン血症とインスリン抵抗性とその要因を考察している論文です。
人工甘味料投与は、インスリン基礎分泌を上昇させましたが、
サッカリンにおいては、ブドウ糖負荷時のインスリン分泌を抑制しています。

鉄も濃度依存性に、基礎分泌インスリンとブドウ糖負荷時インスリン分泌を上昇させています。
遊離脂肪酸やグリセロールもインスリン基礎分泌を上昇させています。

これらを総合して論じている学術論文なのに、人工甘味料の部分だけを
誤解を伴う表現で取り上げているので、
「甘味料とインスリンについての気になる記事」は信頼度が低く、全く参考になりません。


ボストン大学のバーバラ・コーキー博士の原著の、
題は「高インスリン血症:原因或いは結果?」
という論文は、興味深い論文ですので、じっくり読んでみます。
2013/08/18(Sun) 09:34 | URL | ドクター江部 | 【編集
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