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糖尿病と糖質と運動
おはようございます。
今日は若者2型糖尿人さんから、質問・コメント頂きましたのでお答え致します。他のブログ読者の皆さんにも興味のある内容だと思います。

「江部先生 はじめまして。極最近先生のブログの存在を知り、血糖値を安定させる事が出来る様になって 喜んで毎日を過ごしております若者2型糖尿人です。

勝手乍 3つ程 質問させて貰っても宜しいでしょうか?

私は発症初期 インシュリン抵抗性が完治していない状況の為、ブドウ糖スパイクが起こりやすい状況にあると思っています。(発症後の経過時間はあまり関係ないのかも知れませんが)
そこで糖質を限りなく多く取らない食事療法がベストだとは思いますが、その実践が難しい環境の場合、つまりどうしても糖質が多く含まれる食事を取る事が避けられない場合、食後の運動で血糖値を下げていく必要性があると思い、それを実践し、現在正常値を保ってますが、

① 今後長期に亘り 「多糖質食事+食後運動」 で血糖値をコントロールし続けて良いものなのでしょうか?

心配事は、食後の運動の時間帯を極力1~1.5時間後以内に開始する様 心掛けてますが、食べた内容によっては血糖値の変動の仕方が時間帯によって変わってきますし、運動をし 結果的に数値は下がって来るとは云え、少なからず一定の時間200 overとなっている可能性が考えられます。
瞬間的に血糖値が高いのもやはり問題なのでしょうか?

② どうしても食後の運動が出来ないケースも週に2,3回程度あろうかと思います。

中長期的に見た場合 好ましくないのは分かりますが、合併症を起こさない為にはどの程度であれば問題ないものなのでしょうか? 
今後HbA1C数値変動がうまくいくレベルであれば十分なのでしょうか?(評価に時間がかかりますが.....)

参考までに、食前 85 → 食後 (推定カーボ量 75g)+ 運動 (30min.walking) で 125~135 の血糖値変動という食生活が多いです。
*今はカーボ量を 60g/食 以内 に極力抑える様 努力はしてますが、中々難しい食環境にいます。

③ 一旦糖尿人になってしまった場合、大小ブドウ糖スパイクは起こり続けるものと考えるべきなのでしょうか?
 (健康人のスパイクレベルに近づける可能性はないものなのでしょうか?)

他の方のブログで、完治を目指しておられる方がいらっしゃって、出来れば私も頑張ってみたいものですが、医学的にやはり完治は現実的ではないのでしょうか?

遅くなりましたが、自己紹介を。私は今年8月末に食後2時間血糖値452,HbA1C 11.2%で即緊急入院し、2週間でHbA1C 10.2% 血糖値は食前100以下, 食後(+運動)140以下となり退院しました。10月頭にはHbA1C 9.2% で現在に至り その後海外勤務で年末に検査予定です。
BMI=20.3でγGTP他数値は正常値ですが、真っ白けっけの脂肪肝でした(笑) [これがインシュリンに悪戯をしている可能性大ですが....]
先月まではカロリー制限ばかりを言われて中々食前血糖値をコントロール出来ず境界の範囲をうろついてましたが、先生のブログに出会い、カーボ量を制限しながら今 食前100以下 食後(+運動) 120~135 でコントロールしております。因みに薬は一切飲んでません。先生が赤ワインとナッツでenjoyされていると知り、私もここ1週間満喫した生活を送れる様になりました。本当素晴らしいです。感謝の意味も含めて日本に帰ったら即本を買って、栄養士の人に勧めてみようと思ってます。 
食後2時間の重要性を私の担当医へ相談した事があり、その時は恐らく発症初期であるためか 取り敢えず起床時のみ測定する様に指示を受けてますが、個人的に江部先生の意見に可也同意しており、都度測定したいのですが、残念乍 持っているチップ数が足らなくなるのであまり測定出来ません。

年齢30代という事もあり、是非先生の意見を頂戴して、これからの長い糖尿生活を少しでも健康人に近い形で過ごせたら と思っておりますので、是非共宜しくお願い致します。
若者2型糖尿人 | 2007.11.11(日) 23:51 | URL | 」

若者2型糖尿人さん。コメント・質問ありがとうございます。

また 「カロリー制限→糖質制限」で、早朝空腹時血糖値が100mg以下とコントロール良好になったとのこと、おめでとうございます。

幸い経口血糖降下薬など内服しておられませんので、安全に糖質制限食が実践できます。

「① 今後長期に亘り 「多糖質食事+食後運動」 で血糖値をコントロールし続けて良いものなのでしょうか?
心配事は、食後の運動の時間帯を極力1~1.5時間後以内に開始する様 心掛けてますが、食べた内容によっては血糖値の変動の仕方が時間帯によって変わってきますし、運動をし 結果的に数値は下がって来るとは云え、少なからず一定の時間200 overとなっている可能性が考えられます。
瞬間的に血糖値が高いのもやはり問題なのでしょうか?」

<多糖質食事+食後運動>で血糖値をコントロールをし続けてもOKです。
モデルとしてピマインディアンがいます。米国の居住区でくらしているピマインディアンは<高糖質食+運動不足>で人口の5割が糖尿病です。

一方、メキシコのピマインディアンは<高糖質食+運動たっぷり>で糖尿病はほとんどいません。(9.27、28のブログ参照してくださいね)

それから食後血糖値180mg/dl未満が目標です。この数値なら、血管の合併症がほとんど生じないとされています。(**Kumamoto Study 熊本大学 )

180mg/dlを超える高血糖が持続するほど血管には良くないでしょう。

「② どうしても食後の運動が出来ないケースも週に2,3回程度あろうかと思います。
中長期的に見た場合 好ましくないのは分かりますが、合併症を起こさない為にはどの程度であれば問題ないものなのでしょうか?」

Kumamoto Studyによれば、<HbA1c6.5%未満、空腹時血糖値110mg未満、食後血糖値180mg/dl未満>ならば合併症の進展が阻止できるそうです。

「③ 一旦糖尿人になってしまった場合、大小ブドウ糖スパイクは起こり続けるものと考えるべきなのでしょうか?(健康人のスパイクレベルに近づける可能性はないものなのでしょうか?)
他の方のブログで、完治を目指しておられる方がいらっしゃって、出来れば私も頑張ってみたいものですが、医学的にやはり完治は現実的ではないのでしょうか?」


糖尿病と診断された時点で、膵臓のβ細胞の1~2割が回復不能のダメージを受けていることが多いです。さらに2~3割の細胞も弱っている可能性があります。

外部からインスリン注射を打つ、或いは 糖質制限食の実践により、膵臓のβ細胞が休養できて回復することはあります。(11.9ブログ参照してください)

従って、健康人のレベルに少し近づくことは可能ですが、完全回復はありません。

私も 糖質制限食を続ける限りは血糖データは正常人ですが、糖質を摂取すれば、例えGIの低い玄米でも200mgを超えます。

例外として、インスリン分泌能力は保たれていて、インスリン抵抗性が主(例えば肥満のため)の糖尿人は、肥満が改善することで正常人に戻ることはあり得ます。

**Kumamoto Study
Shichiri M, Kishikawa H, Ohkubo Y, Wake N: Long-term results of the Kumamoto Study on optimal diabetes control in type 2 diabetic patients. Diabetes Care 23 Suppl 2:B21-29, 2000

江部康二
テーマ:糖尿病
ジャンル:ヘルス・ダイエット
コメント
今日の朝刊で、(昨日ニュースでも取り上げていました。)
「堺の病院職員、糖尿病の全盲患者を公園に放置」という記事がありました。
この事件に対して意見を言う気はありませんが、この病院は私の家の近くです。
親戚のおじさんも以前入院していました。
何よりも気になったのが、「糖尿病の全盲患者」です。
これは、糖尿病性網膜症でしょうね。
私も含めて糖尿人の皆様、気をつけましょう。
糖質制限食なら大丈夫ですが、普通食の時には食後2時間の血糖値180以下目標ですよね。
時々200オーバーしている私、反省・・・・・
明日は高雄病院の診察日。
数値が気になります。
2007/11/14(Wed) 13:26 | URL | xiangdao | 【編集
江部先生、早々の御回答に深謝申し上げます。

これで心置きなく食事+運動でやっていけると確信持てました。有難う御座いました。悪天候の際、散歩が出来ず食後血糖値が気になったりしておりますが、それもご愛嬌のうちと思い長期間での数値変動を見ていきたいと思います。私の場合、数年前標準体重より6kg overの肥満になった事があり、そのちょっと前から脂肪肝になっておりました。ここ1年で体重は現在の状況が続き、標準より4kg程下回っているにも関わらず、運動不足も加えて脂肪肝だけが残った状態みたいです。実は入院当初検査でインスリン分泌能力を検査したところ、人の1.5倍の分泌能力があるらしく、インスリン抵抗性が主の糖尿人と言われました。
(主治医は私が痩せていたため、当初の数値を見て1型と思っていたみたいですが...)
とすると、私の場合は食生活の見直し+運動で脂肪肝などが改善すればより健康人に近づく事も可能という事になるのでしょうか? 今のところ脂肪肝くらいしか問題点がありませんので。
2007/11/14(Wed) 21:26 | URL | 若者2型糖尿人 | 【編集
若者2型糖尿人さん。

インスリン抵抗性が主の糖尿病であれば、
脂肪肝や内臓脂肪肥満が改善されれば、
正常人に復帰できる可能性もありますね。
2007/11/14(Wed) 22:56 | URL | 江部康二 | 【編集
江部先生。

頑張ってみますが、一度診断された以上「糖尿病」というレッテルは消えないんですよね? もし完全復帰が可能であるとしたらば、具体的にどの様な結果が得られれば「正常人」へ復帰出来るのでしょうか?
2007/11/16(Fri) 00:10 | URL | 若者2型糖尿人 | 【編集
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