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大学病院神経内科医tagashuuさんのデータ。糖質制限食で改善。
こんにちは

tagashuu@大学病院神経内科医さんから、詳しい検査データをコメント頂きました。

素晴らしい改善ですね。とても参考になります。

ありがとうございます。

<平成23年12月3日より糖質制限食実践を開始し,現在約1年4か月が経過>

180cm 134kg → 約10か月で約30kg減量して102kg前後
その後は、体重は変わらずで、BMIは32

tagashuuさんの感想

①糖質制限後,速やかに脂肪肝,高中性脂肪血症が改善していることを改めて確認.
②LDLは一定値を保ちつつ,じわじわHDLが上昇(そのスピードはかなりゆっくりとしている).
③栄養状態が改善(アルブミン4.6→5.3)
④理論通りケトン体が上昇しているが,アシドーシスには全く至っていない(ただ思ったよりケトン体の値が高くなかった→制限の度合いが甘いせい?).
⑤尿中にケトン体はもう出ていない.
⑥血中1,5AG低値,血中C-ペプチド高値があるが,おそらく糖質制限食実践中の生理的な変化であろう.
⑦いったん上がった尿酸値が,徐々に低下傾向となってきている.
⑧ジホモ-γ-リノレン酸が低い(ω6系なので低い方が好ましいかな?).
⑨おそらくは前日の運動の影響で筋肉の酵素CPKが上昇している.


①②③は予想通りですね。
HDLの上昇速度と上昇程度は個人差があるようです。
LDLはその内、基準値になると思います。


血中ケトン体が基準値より高値でもインスリン作用がある程度保たれていれば生理的で正常です。
pHも緩衝作用で正常に保たれ、アシドーシスにはなりません。
血中総ケトン体値は、私の場合、200~400~800~1200ですのでtagashuuさんより
少し高めでしょうか。
私の場合もスーパー糖質制限食が、キッチリだと1200、やや緩いと200とかになります。

⑤は予想通りです。

心筋・骨格筋などでケトン体の利用効率が良くなるのと、腎臓での再吸収も増えるのだと思います。それで尿中ケトン体は陰性となります。

なお、尿中ケトン体を試験紙法で検査した場合、アセト酢酸と反応しますが、その他のアセトン及びβヒドロキシ酪酸とは反応しません。

ケトン食レベルだと総ケトン体は、2000~4000となり、2-3年経過してしても、ずっと継続して尿中ケトン体は陽性です。さすがにこのレベルだとM、利用や再吸収にも限界があるのだと思います。

人類の農耕前の700万年間は、私やtagashuuさんレベルの血中ケトン体値と思われます。



血中1,5AG低値は糖質制限食中は生理的なもので、私も低値です。

デンプンに1,5AGが多く含まれるので、糖質制限中は生理的に減ります。

従いまして、糖質制限食実践中は、血中1,5AGを調べて低いのは当然です。

糖質を摂取している時、血中1,5AG低値なのは、尿糖が多い・・・食後高血糖を意味することになります。

インスリンは基準値なのに、Cペプチド高値が謎です。

通常、理論的にはインスリン値とCペプチド値は正比例するはずなのですが・・・。


⑦尿酸もその内、基準値となると思います。
肥満改善で尿酸改善にも良いと思います。

⑧⑨はその通りと思います。


江部康二




【13/04/15
tagashuu

糖質制限食実践から約1年4ヵ月の近況データ報告

tagashuu@大学病院神経内科医です.

平成23年12月3日より糖質制限食実践を開始し,現在約1年4か月が経過しました.春の職員健診の結果を待たずして,自分のデータを総合的に把握するために,自費でいろいろと血液検査をしてもらいました(欲張っていろいろな項目を調べたために保険利いても2万円くらいかかってしまいましたが…汗).せっかくなのでみなさんと検査結果を共有したいと思います.

背景として私は身長180㎝,糖質制限食開始前の最高体重は134kgと高度肥満者であり,それまでの人生では体重がまともにやせたことなどなく漸増の一途を辿っている状況でした.喫煙・飲酒習慣はもともとございません.

糖質制限開始前は大の炭水化物大好きっ子で白飯やカレー,ラーメンなど大好物でした.特に米に関しては7万円の炊飯器を買うほどこだわりのある人間でした.そしてお菓子やジュースもしばしば食べていました.

開始後の食生活としては,基本的に米,パン,めん類,イモ類,ジュース,お菓子類は全く食べず,主に刺身,ステーキ,野菜サラダ,豆腐,茶わん蒸し,缶詰,ベーコン,ハム,生ハム,卵料理などを食べて過ごしています.特に肉,魚,卵は積極的に摂るように心がけ,肉:魚=1:1を意識していますが,なんとなく肉の方が多くなっている印象です.ただからあげの衣はそのまま食べるなど,ストレスなく継続することを重視するために制限をゆるくしてしまっている部分も正直あります.

以前お菓子やジュースだけをやめようとした際には制御しがたい空腹感が襲いなかなかやめることができませんでした.しかし糖質制限実践後はその異常な空腹感が和らぎ,容易にお菓子,ジュースをやめることができるようになり,以後は全体的にあまりお腹がすかなくなりました.また病院でたまにだされる弁当ではごはんやイモ類,果物類を外してそれ以外のものを食べており,量的には少な目となっていますが,それでも空腹感はたいしてありません.自然に昼を食べなくても平気な感じになり,現在1日1~2食程度で過ごしています.

さて,2012年6月5日に,こちらのブログへの私の初投稿を江部先生に取り上げて頂きましたが,その時のデータと,それよりさらに前のデータと,今回調べたデータを並べて表示します.

        H23/5/22 → H23/9/30 → H24/4/24 → H25/3/26
(空腹時)血糖 156     → 83      →  84  → 96
 ※H23/5/22のデータのみ空腹時ではない.
HbA1c(JDS)  5.7%    → 5.3%     → 4.9%  → 5.1%
HDL-C     45     → 39      → 44    → 57
LDL-C     169     → 158     → 147    →149
TG       260     → 181     → 63     → 47
GOT(AST)    101     → 70     → 24     → 20
GPT(ALT)    184     → 124     → 25     → 22
γ-GTP      130     → 107     → 42     → 35
Cr        0.87    → 0.7     → 0.9     → 0.81
尿酸        7.3    → 6.5     → 8.1     → 7.5

あと体重は2011年12月3日のスタート時点で134kgで,そこから毎日体重を記録しています(Wii Fit)が,2012年10月頃まで直線状に体重が減少していき,約10か月で約30kgの体重減少に成功し102kgに至りました.顔周りの脂肪がすっきりと落ちて見た目が大分変わって周囲の人にも大分驚かれましたが,お腹周りには若干つまめるお肉がまだ残っています.

そしてその後も同様の食生活を続けていますが,どういうわけかそこから体重は横ばいで推移し続けてそのまま6か月以上が経過しているところです.これは階段状の体重減少の途中なのでしょうか,それとも私にとってちょうどいい体重ということなのでしょうか.私は過去に柔道や空手をやっていた若干体格の良い筋肉質気味の人間ではあるのですが,現在の計算上のBMIは32.19なので正直もう少しやせたいというのが本音です.


さて,今回自費で調べた全体データは以下の通りです.採血のタイミングは15時頃です(朝,昼欠食にて実施,前日にジムで30分バイク漕ぎ実施).

H25/03/26
【血液検査】
IgE-RIST 136(正常457IU/mL以下)
Na 141(正常138-146mEq/L)
K 4.3(正常3.6-4.9mEq/L)
Cl 103(正常99-109mEq/L)
Ca 10.1(正常8.7-10.3mg/dL)
P 3.5(正常2.5-4.7mg/dL)
Mg 2.1(正常1.8-2.3mg/dL)
BUN 25(正常8-22mg/dL)
Cr 0.81(正常0.60-1.10mg/dL)
eGFR 90.35mL/min/1.73m^2
尿酸 7.5(正常3.6-7.0mg/dL)
総蛋白 8.1(正常6.7-8.3g/dL)
アルブミン 5.2(正常4.0-5.0g/dL)※H22/11/30はアルブミン4.6g/dL
総ビリルビン 0.6(正常0.2-1.2mg/dL)
直接ビリルビン 0.1(正常0.1-0.4mg/dL)
TTT 3.2(正常10K-U以下)
ZTT 9.2(正常4-12K-U)
中性脂肪 47(正常30-150mg/dL)
HDL-C 57(正常31-87mg/dL)
LDL-C 149(正常61-140mg/dL)
グリコアルブミン 11.7(正常11.0-16.0%)
AST 20(正常13-33U/L)
ALT 22(正常8-42U/L)
ALP 211(正常115-359U/L)
LAP 53(正常30-70U/L)
γ-GTP 35(正常10-47U/L)
コリンエステラーゼ 309(正常204-420U/L)
LDH 163(正常119-229U/L)
アミラーゼ 50(正常37-125U/L)
P型アミラーゼ 22(正常16-52U/L)
CPK 337(正常62-287U/L)
血清鉄 53(正常54-181μg/dL)
総鉄結合能 400(正常231-385μg/dL)
鉄飽和率 13.3%
ビタミンB12 500(正常180-914pg/mL)
葉酸 6.3(正常3.1ng/mL以上)
CRP 0.05(正常 <0.20mg/dL)
TSH 2.660(正常0.27-4.2μU/mL)
free T4 1.39(正常1.0-1.8ng/dL)
コルチゾール 12.22(正常6.7-22.6μg/dL)
インスリン 6.0(正常1.9-23.0μIU/mL)
梅毒RPR(-)
TP抗体(-)
HBsAg(-)
HBsAb(+) 15.8 mIU/mL ※ワクチン接種後
HCVAb(-)
CEA <0.8(正常 <5.0ng/mL)
CA19-9 14.5(正常 <35 U/mL)
フェリチン 319(正常23.9-336.2ng/mL)
PSA 0.41(0-4ng/mL)
β2-マイクログロブリン 1.16(正常0.94-1.61mg/L)
IgG 1508(正常870-1700mg/dL)
IgA 302(正常110-410mg/dL)
IgM 92(正常32-220mg/dL)
C3c 111.0(正常86-160mg/dL)
C4 20.5(正常17-45mg/dL)
CH50 57.4(正常31.6-57.6U/mL)
リウマチ因子定量 <5.0(正常15IU/mL以下)
抗核抗体 <40倍(正常<40倍)
グルコース 96(正常70-100mg/dL)
HbA1c(NGSP) 5.5%(正常4.6-6.2%) HbA1c(JDS) 5.1%(正常4.3-5.8%)
脳性Na利尿ペプチド(BNP) 5.6(正常18.4pg/mL以下)
WBC 5300(正常3300-8800/μL)
 好中球49%(正常36-70%)
 リンパ球40%(正常22-53%)
 単球7%(正常4-12%)
 好酸球4%(正常0-8%)
 好塩基球1%(正常0-1%)
RBC 528万(正常400万‐570万/μL)
Hb 15.9(正常12.0-17.0g/dL)
Hct 47.5%(正常36.0-51.0%)
MCV 90.1(正常80.0-100.0fL)
MCH 30.0(正常27.0-34.0pg)
MCHC 33.4(正常32.0-35.0%)
RDW 14.0(正常11.0-15.0%)
血小板数 18.6万(正常12.5万-34.3万/μL)
Pct 0.166%(正常0.110-0.290%)
MPV 8.9(正常6.9-10.1fL)
PDW 17.1%(正常15.0-17.0%)
網赤血球 9‰(正常5-10‰)
赤沈 6㎜(正常1-9㎜)
PT-INR 1.00(正常0.87-1.20)
APTT 30.3(正常23.3-38.2秒)
フィブリノゲン 271(170-410mg/dL)
FDP <1(正常<5.0μg/mL)
D-dimer 0.1(正常<1.0μg/mL)
ビタミンB2 82.0(正常66.1-111.4ng/mL)
ビタミンB1 30(正常24-66ng/mL)
1,25-(OH)2ビタミンD 58.2(20.0-60.0pg/mL)

ケトン体分画 静脈血
アセト酢酸 99(正常55μmol/L以下)
3-ヒドロキシ酪酸 176(正常85μmol/L以下)
総ケトン体 275(正常130μmol/L以下)
シスタチンC 0.70(正常0.63-0.95mg/L)
1,5-アンヒドログルシトール 8.9(正常14.9-44.7μg/mL)
C-ペプチド 2.9(正常 0.8-2.5 ng/mL)


総ホモシステイン 11.5(正常3.7-13.5nmol/mL)
血中脂肪酸4分画
 ジホモ-γ-リノレン酸 20.6(正常22.6-72.5μg/mL)
 アラキドン酸(AA) 230.7(正常135.71-335.3μg/mL)
 エイコサペンタエン酸(EPA) 53.9(正常10.2-142.3μg/mL)
 ドコサヘキサエン酸(DHA) 91.2(正常54.8-240.3μg/mL)
EPA/AA比 0.23(正常0.05-0.61)

NH3(アンモニア) 49(正常12-66μg/dL)
ACTH 32.8(正常7.2-63.3pg/mL)

Cペプチドインデックス 3.02(1.2以上で正常)
HOMA-R 1.42(1.6以下でインスリン抵抗性なし)
HOMA-β 65.45(正常40-60以上でインスリン分泌能問題なし)

【尿検査】
色調:黄色
混濁(-)
比重 1.028(正常1.010-1.030)
pH 5.5(正常5.0-7.5)
蛋白定性 (-)
糖定性 normal
ケトン体 (-) 潜血 (-)
ウロビリノゲン定性 normal
ビリルビン定性 (-)
亜硝酸塩(-)
白血球反応 (-)

尿沈査
赤血球 1/2-5/HPF
白血球 1/2-5/HPF
上皮細胞 1/2-5
硝子円柱 1/2-5
細菌(-)

U. ナトリウム 94mEq/L
U. カリウム 79.1mEq/L
U. クロール 111mEq/L
U. クレアチニン 150.5mg/dL

【血液ガス分析(室内気)】
pH 7.412(正常7.34-7.45)
pCO2 39.5(正常32-45mmHg)
pO2 98.9(正常69-116mmHg)
tHb 16.1(正常11.7-16.4g/dL)
Hct 49.3%
sO2 97.5%(正常95-99%)
O2Hb 96.0%(正常94-98%)
COHb 0.5%(正常0-0.8%)
MetHb 1.0%(正常0.2-0.6%)
FHHb 2.5%(正常0.0-0.5%)
tO2c 21.8(正常15.8-22.3Vol%)
p50(act) 26.09(正常24.7-28.6mmHg)
AaDpO2 7.3
RI 7.0
HCO3- 24.7(正常20-26mmol/L)
SBC 25.0(正常22-26mmol/L)
tCO2 25.9(正常21-27mmol/L)
ABE 0.7(正常-3.3-2.3mmol/L)
SBE 0.6(正常‐3.3-2.3mmol/L)
Na+ 139(正常135-148mmol/L)
K+ 4.1(正常3.5-5.3mmol/L)
Ca++ 1.15(正常1.13-1.32mmol/L)
Ca++(7.4) 1.15mmol/L
Cl- 105(正常98-106mmol/L)
Anion Gap(K+) 12.9(正常10-20mmol/L)
Glucose 108(正常67-93mg/dL)
Lactate 0.7(正常0.5-2.0mmol/L)

私の感想といたしましては,

①糖質制限後,速やかに脂肪肝,高中性脂肪血症が改善していることを改めて確認.
②LDLは一定値を保ちつつ,じわじわHDLが上昇(そのスピードはかなりゆっくりとしている).
③栄養状態が改善(アルブミン4.6→5.3)
④理論通りケトン体が上昇しているが,アシドーシスには全く至っていない(ただ思ったよりケトン体の値が高くなかった→制限の度合いが甘いせい?).
⑤尿中にケトン体はもう出ていない.
⑥血中1,5AG低値,血中C-ペプチド高値があるが,おそらく糖質制限食実践中の生理的な変化であろう.
⑦いったん上がった尿酸値が,徐々に低下傾向となってきている.
⑧ジホモ-γ-リノレン酸が低い(ω6系なので低い方が好ましいかな?).
⑨おそらくは前日の運動の影響で筋肉の酵素CPKが上昇している.

といったところです.概ね喜ばしい結果です.

ただ改善すべきデータも多く(体重,L/H比,ケトン体など),自分はまだまだ糖質制限ビギナーだなと感じた今回の結果でした.糖質オフ料理など覚えて精進しつつ,今後も自分の検査値の推移を楽しみたいと思います.

糖質セイゲニストの皆様の何かの参考になれば幸甚です.

なお糖質制限開始前は毎年の健康診断が憂鬱で仕方がなかったので,このことは信じられないくらい大きな喜びです.改めて江部先生に感謝申し上げます.】



テーマ:糖質制限食
ジャンル:ヘルス・ダイエット
コメント
tagashuuさんのデ-タ
江部先生、こんばんわ。

tagashuuさんのデ-タと先生のコメント拝見しました。
素人でよくわかりませんが、2点気になるデ-タがあります。
一点は尿酸値7.5、もう一点は尿pH5.5です。

私も平成23年4月にス-パ-糖質制限食を開始、すぐにHA1c等の値は正常となったのですが、平成24年5月、尿酸7.6、尿pH5.0となり、血尿が出ると共に、尿から米粒ほどの大きさの尿酸の石が出ました。
泌尿器科でウラリット(クエン酸ソ-ダ)とザイロリック(尿酸をおさえる薬)を処方してもらい数か月で、尿酸値5.2、尿pH6.5となり、尿酸の結晶もなくなりました。
水分を多く取る、梅干しなども取るなど気を付けています。

先生のコメントでは、尿酸値もその内、基準値内になるとのことですが、体質によってはこの程度の尿酸値でも尿酸結石ができる可能性もあるのではないかと思います。

尿酸結石は糖質制限食を行う際、考慮しておくべきことでしょうか、あるいは極めて特別な個人的ケ-スでしょうか。

名古屋・h
2013/04/16(Tue) 23:26 | URL | 名古屋・h | 【編集
太りやすい人の特徴とは
江部先生,いつもコメントを頂き誠に有難うございます.

先生のコメントを読んでいくつか考えさせられる点がありました.

その一つはCペプチドについてです.

Cペプチドはインスリンの前駆体であるプロインスリンが酵素によって分解されるときにインスリンの片割れとしてできてくる物質ですよね.

したがってインスリンとCペプチドは基本的に1:1で生まれてくることになります.

そう考えると,確かにインスリンは正常値で,Cペプチドが高値っていうのはなんだか合わないように思います.

一方インスリン分解酵素というのがありますが,これはアルツハイマー型認知症の時にたまるアミロイドベータという異常タンパクも一緒に分解してくれるということで,糖尿病のような高インスリン血症状態ではこの酵素がインスリンの分解に必死になるため,アミロイドベータがたまって認知症になるという仮説に関わってくる酵素です.

もしかしたら,このインスリン分解酵素の活性に個人差があるのではないでしょうか.

つまりCペプチドは高いけど,インスリン分解酵素の活性が高ければインスリンはこの酵素によりさっさと分解されるために,「Cペプチドは高いけど,インスリンは低いという状況」が生まれるのではという考えが思い浮かびます.

一方でCペプチド高値となる場合にはどんなものがあるかを調べてみると,「インスリンの作用低下」「肥満」といった記載がございました.

確かに私もまだまだ立派な肥満です.このことも踏まえて考え直しますと,ある仮説が浮かび上がります.

それは「太りやすい人はインスリン分泌能が高いだけでなく,インスリン分解酵素の活性も高い」という仮説です.平たく言えば「太りやすい人はインスリンがさっと出てさっと分解される」のではないかと.

まずCペプチドが高いということは,どこかで一時的な高インスリン血症があったということになります.

一方で2型糖尿病の多くは長い時間高インスリン血症にさらされているかと思いますが,2型糖尿病の人には太る人と太れない人とがいます.

さらにすごく太っていても意外とHbA1c上では糖尿病になっていないという人もいます.

以前難治性頭痛と原因不明のふらつきで入院精査をしたある肥満女性の方に機能性低血糖症の有無を調べるために75gOGTT試験を実施したことがありました.

その結果低血糖には陥っていませんでしたが,インスリンがブドウ糖負荷後1時間で基準値の30倍まで放出されていて,ものすごい多い量だなと思ったのを覚えています.

この方は大量のインスリンが放出されるせいで太っているのだと思いますが,それでも糖尿病にならずに済んでいます.

そう考えると,太るという現象は「いざという時のエネルギーを脂肪として蓄える」という意味合いもありますが,ある意味「高血糖,高インスリン血症の害から体を守る防御反応」ともとらえられるのではないかと思うのです.

そしてその防御反応が成立するためにはインスリン分解酵素の活性が高いこと,つまり「インスリンがさっと出てすぐさまさっと分解されること」が必要不可欠ではないかと思うのです.

これはあくまで妄想ですが,今後そういうことを調べてみても面白いかもしれないと思いました.

長くなるのでもう一つの気づきについては別の機会に書かせて頂きます.
2013/04/17(Wed) 00:45 | URL | tagashuu | 【編集
Re: tagashuuさんのデ-タ
名古屋・h さん。

尿のpHの基準値は4.5~7.5ていどなので
基準値内と思います。

ガイドラインでは
「症状がない場合、尿酸9.0mg/dlから、薬物療法を考慮」
となっています。

尿酸7.6で結石というのは、個人的な体質が関与していると思われます。
2013/04/17(Wed) 11:52 | URL | ドクター江部 | 【編集
最近,何かの雑誌に,落語の三遊亭金馬師匠が30年近くも糖質制限を継続してきたという本人談が掲載されていました。一つのエビデンス・・・になり得るのではないでしょうか。
2013/04/17(Wed) 12:13 | URL | くたくた | 【編集
Re: 太りやすい人の特徴とは
tagashuu さん。

インスリン分解酵素が速やかにインスリンを分解すると、肥満もしにくいと思います。
肥満している人は、24時間分泌されている基礎分泌インスリン高値がほとんどです。
例えば、以前入院されていた、140kg級の肥満の人は
早朝空腹時基礎分泌インスリンが30μU/mL(3~15)ありました。

よくわかりませんが、tagashuu さんの「Cペプチド高値でインスリン基準値」の謎、
私も考えてみます。
2013/04/17(Wed) 13:32 | URL | ドクター江部 | 【編集
Re: タイトルなし
くたくた さん

週刊朝日ですね。
私も見ました。
2013/04/17(Wed) 13:33 | URL | ドクター江部 | 【編集
糖尿病にならずに済んでいる肥満者のインスリン値とCペプチド値
江部先生,いつもながら迅速な御返事誠に有難うございます.

『インスリン分解酵素がさっと分解する』という表現をしてしまいましたが,実際はそこまでさっとではなく,ある程度数時間をかけて分解しているのかもしれません.

そのくらいの時間がかかると仮定すれば,ひとしきりインスリンの影響を受けますので,肥満にはなりますし,それと引き換えに血糖値は200まで上がらずに済んでくれます.

そのあと速やかにインスリンを分解してくれるので,分解できない人に比べたらその後インスリンを出し続けなくて済むようになるので,糖尿病を発症するのを回避できているのかもしれません.

逆に言えば,その分解が追い付かなくなった人が常時インスリン高値となり,肥満でかつ糖尿病を発症してしまう,ということではないでしょうか.

このことを考える一つの症例をお示しします.

症例は40代女性でBMI30の肥満者です.数年来の難治性頭痛に加えて,最近出現してきた繰り返す意識消失発作の原因精査目的で私が入院主治医を受け持ちました.

この方,肥満はありますが,空腹時血糖86mg/dl, HbA1c 5.4%(NGSP)とどうやら糖尿病ではなさそうです.

この方に機能性低血糖症の可能性を疑い,75gOGTT試験を実施しました.
結果は以下の通りです.
      血糖値(mg/dL) インスリン値(μU/mL)
負荷前    75      4.2
30分後    152      123.4
60分後         161    102.4
120分後      117   33.8
180分後      90    31.0

明らかな機能性低血糖は指摘できませんでしたが,ブドウ糖負荷からわずか30分で,基礎インスリンの30倍の追加インスリンが分泌されており,まさに江部先生がおっしゃっているように救急車の発動状態でした.

そしてインスリン値の推移をみてみると,3時間経ってようやくピークの4分の1まで下がってきています.

私は75gOGTTの実施経験が実は数例しかないのでわからないのですが,このインスリンの下がり方は遅いのでしょうか,早いのでしょうか.

もしもこのスピードが比較的早いということであれば,「太りやすいけど糖尿病にならない人」は「インスリン分解酵素の活性が高い」という私の仮説を支持するのではないかと思うのですが,どうでしょうか.

それとも,やはり無理がありますでしょうかね?

そしてもうひとつ,実に興味深いことにこの方の空腹時のインスリン値とCペプチド値は以下の通りです.

空腹時インスリン値 7.5μU/mL(正常1.9-23.0μIU/mL)
空腹時Cペプチド値 2.9ng/mL(正常0.8-2.5ng/mL)

なんと私と同様にインスリンが正常で,Cペプチドが高値というパターンを呈しているのです.

これは入院直後に糖質制限について指導して実践してもらい2日日たった時点での血液データです(ですので糖質制限開始3日目のデータです).具体的には普通の入院食の主食を自主的に食べずにいてもらい,その代りチーズやナッツの持ち込み間食許可,というルーズな形で糖質制限を実践してもらっています.

実はケトン体については,

ケトン体分画 静脈血
アセト酢酸 105(正常55μmol/L以下)
3-ヒドロキシ酪酸 267(正常85μmol/L以下)
総ケトン体 372(正常130μmol/L以下)

…私,3日で追い越されてしまいました.

ともあれ,私とこの患者さん,近い体質があるのではないかと思いをめぐらせております.ただの2例なので偶然という可能性も十分にありますが.

ちなみにこの方の繰り返す意識消失発作の原因は「睡眠時無呼吸症候群」でした.CPAPにより意識消失発作は完全になくなり,頭痛もかなり改善するという経過をたどっています(※頭痛は緊張型頭痛+片頭痛の要素もあり).
2013/04/17(Wed) 17:30 | URL | tagashuu | 【編集
尿酸結石についての回答
江部先生、こんばんわ。

尿酸値と結石についての返事、ありがとうごさいました。

名古屋・h
2013/04/17(Wed) 21:07 | URL | 名古屋・h | 【編集
Re: 糖尿病にならずに済んでいる肥満者のインスリン値とCペプチド値
tagashuu さん。

きよすクリニッックの伊藤先生から、以下のアドバイスを頂きました。
Cペプチドの半減期が長いとして、高値ということは、潜在的にまだインスリン抵抗性がある可能性がありますね。

インスリンレベルとCペプチドレベルとの乖離についてですが、Cペプチドの方が半減期が長いことが原因と考えられます。

参考になるURLを挙げておきます。

http://dm.medimag.jp/column/27_2.html

http://www.yanaihara.co.jp/lee-kit/YK011_mouse_C-peptideI/YK011%20Mouse%20C-peptide%20I%20EIA%20Kit.htm

本文2行目、
「C-ペプチドの半減期はインスリンのそれよりかなり長いという特徴を持っていることから、代謝が速いインスリンの代わりにC-ペプチドを測定することはインスリン分泌量をより正確に知るための指標となるところから、臨床上広く利用されています。」
2013/04/18(Thu) 22:27 | URL | ドクター江部 | 【編集
有難うございます
江部先生,詳しい情報を有難うございます.伊藤先生も有難うございます.

なるほど,ということはインスリン値が正常で,Cペプチドが高いというのは,今はインスリン下がっているけど昔インスリンが高かったことの名残をみているような状況なのですね.

勉強になりました.これからCペプチドが下がるようにさらに精進致します.
2013/04/19(Fri) 00:24 | URL | tagashuu | 【編集
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