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日本腎臓病学会編CKD診療ガイド2012。タンパク質制限は?
おはようございます。

精神科医師Aさんから、

「日本腎臓病学会編 CKD診療ガイド 2012」



「日本糖尿病学会編 糖尿病治療ガイド 2012-2013」

において、タンパク質量制限に関して、記載が違うとのご指摘をコメントいただきました。

*CKD:Chronic Kidney Disease・・・日本語では「慢性腎臓病」

腎臓病ニュースピックアップのサイト
http://www.kidneydirections.ne.jp/kidney_news/120601.html
に「日本腎臓病学会編 CKD診療ガイド 2012」について、わかりやすく、書いてあります。


精神科医師A さん
情報をありがとうございます。

CKD診療ガイド2012 (JSN) によれば、GFRが60ml/分以上あれば、顕性タンパク尿の段階でも、タンパク質制限必要なしです。

すなわち「G2A3」の段階までは、タンパク質制限なしなので、糖質制限食OKとなります。

G3aの段階から、タンパク質制限食(0.8~1.0 g/kg体重/日)の開始となります。

*GはGFRのことで、G1、G2、G3a、G3b、G4、G5と進行していきます。
 G1はGFRが90ml/分以上です。
 G2はGFRが60~89ml/分
 G3aはGFRが45~59ml/分

*Aはアルブミン尿のことで、糖尿病においては
 A1:正常 30未満(尿アルブミン/Cr比  mg/gCr)
 A2:微量アルブミン尿 30~299
 A3:顕性アルブミン尿 300以上


「日本糖尿病学会編 糖尿病治療ガイド 2012-2013」では、糖尿病腎症第3期Aは、タンパク質制限食(0.8~1.0 g/kg体重/日)となっています。

しかし糖尿病腎症第3期AはGFRが60ml/分以上なので、「日本腎臓病学会編 CKD診療ガイド 2012」では、顕性タンパク尿でも、摂取タンパク質制限なしとなります。

確かに、糖質制限食に追い風ですね。

「日本腎臓病学会編 CKD診療ガイド 2012」

によれば、糖尿病腎症第2期も勿論、タンパク質制限なしです。

「日本人の糖尿病の食事療法に関する日本糖尿病学会の提言 2013年3月 日本糖尿病学会」で、

「タンパク質については、糖尿病患者の高齢化に伴い、潜在的な腎障害の合併例が増していることに留意し、CKDにあってはその指針に従う」

と、 CKD診療ガイド2012に従うことを決められたとのことですので、「日本糖尿病学会編 糖尿病治療ガイド 2012-2013」からみると、タンパク質制限に関しては、糖質制限食にとって良い方に前進しました。



江部康二

【13/03/22 精神科医師A

糖尿病性腎症(1)

糖尿病性腎症の食事療法:蛋白質摂取量 g/kg/dayについて
―日本糖尿病学会(JDS)と日本腎臓学会(JSN)との見解相違

(1) 糖尿病治療ガイド2012-2013 (JDS)

第1期(腎症前期)---------規定なし
第2期(早期腎症)---------1.0~1.2
第3期A(顕性腎症前期)----0.8~1.0
第3期B(顕性腎症後期)----0.8~1.0
第4期(腎不全期)---------0.6~0.8
第5期(透析療法期)-------HD:1.0-1.2, CAPD:1.1-1.3
http://www.810810.co.jp/point/diabetic-nephropathy.html

厚生省糖尿病調査研究班報告1992,1993および、日本糖尿病学会・日本腎臓学会糖尿病性腎症合同委員会報告1999より引用改変


(2) CKD診療ガイド2012 (JSN)

Stage--GFR
1-----90以上 蛋白は過剰摂取しない、高血圧があれば減塩6g/day未満
2-----60~89    々
3a----45~59 減塩6g未満、蛋白制限食0.8~1.0
3b----30~44    々
4-----15~29 減塩6g未満、蛋白制限食0.6~0.8, 高Kがあれば摂取制限
5-----15未満    々

http://taka-yuki.com/index.php?CKD
http://www.jsn.or.jp/guideline/ckd2012.php

上記のように、2012年現在で、JDSとJSNでは見解が分かれていた。JSNはCKD診療ガイドを2007・2009・2012年と改正していったのに、JDSは99年のJNSとの合同報告のままであった。JDSは前世期の遺物を続けて、JSNを侮辱していたといえる。

なお、『今日の治療指針』はCKD診療ガイドにそった記述が毎年行われていた。JDSのメンバーからも、特に糖尿病と腎臓病が一つの講座にある大学からは、両学会の解離は指摘されてきた(medicina 48(3)442-445, 2011)

今回、2013/3/18の提言で、「たんぱく質については、糖尿病患者の高齢化に伴い、潜在的な腎障害の合併例が増していることに留意し、CKDにあってはその指針に従う」と、 CKD診療ガイド2012に従うことを決めた。これは評価できる。

例えば1999報告の第3期Aでは「蛋白0.8~1.0g/kg/dayに制限」となっていたが、CKD2012ではG2A2となり「蛋白質は過剰摂取しなければよい」ことになる。糖質制限に順風が吹いたことになる

今後このblogでも、CKD診療ガイド2012に沿った記述にすべきである。更に付け加えると、CKD2012では超低蛋白質食について、少数意見として条件付きながら認めている。なぜなら金沢医大・古屋教授がRCTを行っても、CKDでの蛋白質摂取量について有意な結論を得られなかった。そのため超低蛋白質食を否定するだけのevidenceが存在しないからである。JDSもこういった姿勢を見習い、糖質制限食を認めるべきであろう】



テーマ:糖質制限食
ジャンル:ヘルス・ダイエット
コメント
はじめの一歩
心配なのは、医療不信と医療崩壊です

マスコミなどが余り報道していないようですが、
糖尿病合併症による死者は、かなりなものだと思います。
年間 人口透析16000人。 失明、壊死による切断 各3000人もすごい数
ですが、心筋梗塞・脳卒中や認知症などを考えれば、大変な被害です。
残念ながら、久山町の悲劇もほっかぶりされていますが、
 いつか矛盾は爆発します。「大衆反乱」は起きると思います。そのさいに
正しい指針、リーダーが必要です。
 私はここ数年、済生会栗橋病院本田宏先生  https://mobile.twitter.com/honda_hiroshi
の本を読んだり、講演会に行ったりしていますが、「長生きしたけりゃ病院に行くな」
のような新書が、何種類も図書館に置いてあります。
 下記の本も、考えさせられました。
『さらば厚労省 それでもあなたは役人に生命を預けますか  村重直子
2010年3月、厚労省を退職した――
日米の病院で医師として経験を積み、厚労省に入省した元女性キャリア。
混乱する新型インフルエンザ行政の渦中で彼女が見たものは、国民の健康よりも
自分たちの都合を優先させる“ペーパードクター”医系技官の呆れた実態だった。
官僚に支配される医療を、国民の手に取り戻せるか』

 患者に出来るのは、まず糖質制限で自分の血糖を良好にコントロールし、維持する。
埼玉・北九州・沖縄のように、低糖質・糖質OFFの地域ネットを作っていくことだと思います。
 他には、コツコツと議員やマスコミに意見を送ることです。
もんたろさん 私もコツコツ頑張ります。
誰かがやるのではなく、自分がやらなければ、少しも動きません。
2013/03/24(Sun) 11:44 | URL | 板橋 長谷川 (わんわん) | 【編集
メールの利用
江部先生、皆さん、こんにちは

今回の糖尿病学会の提言はとても納得できませんでしたので、私は先日安倍総理宛にメールを送りました(政治、経済問題でもちょくちょく送っていますので)

もんたろさんのように、直接総理や厚生労働大臣や国会議員宛に手紙を出す事もとても有効と思います。

ご存じかもしれませんが、自民党のホームページや厚労省ホームページからでもメールを送れますので、皆さんも活用されてはいかがかと思います。
2013/03/24(Sun) 16:26 | URL | モン吉 | 【編集
Re: はじめの一歩
板橋 長谷川 (わんわん) さん。

同感です。
患者さんも医師も、自分にできる範囲で、まず行動することが大切ですね。

本田宏先生も村重直子先生も自分の信念で行動しておられるのだと思います。
2013/03/24(Sun) 18:33 | URL | ドクター江部 | 【編集
Re: メールの利用
モン吉 さん。

地道な活動、ご苦労様です。

一人一人が、自分にできることを、行動に示せば、
世の中徐々に変わっていくと思います。
2013/03/24(Sun) 18:46 | URL | ドクター江部 | 【編集
精神科医Aさん ありがとうございます
 いつも貴重な情報を教えていただき、素晴らしい情報収集能力、探究心に関心しています。

去年、NHKで、清野先生が
「糖尿病の人は4割がすでに腎機能に異常があるので、タンパク負荷の高い糖質制限は行うべきではない。」
 と言っていましたが、3期Bと腎不全の人を除く9割以上の腎症患者が、注意しながら、糖質制限OKということですね。
 まだ、報告するほどではないのですが、兄嫁は、1か月でA1c 11.1→ 9.1に下がったそうです。
薬は、ジャヌビアのみです。一緒に糖質制限している兄は、体重が3.5kg減って快調だそうです。
「半年で、正常値になれるよ」と励ましてきました。農家の出身なので、お米少しは食べているようですが
糖質を出来るだけ避けているそうです。
 姪が外資系の薬剤会社に勤めており、糖尿病の薬を販売していたそうで、糖質制限のことはよく知っていました。
2013/03/24(Sun) 18:53 | URL | わんわん | 【編集
5,300年前の人類は、糖質セイゲニスト
3/24(日) 21:00~NHKスペシャル「アイスマン」の放送内容を報告します。
我々糖質セイゲニストとしては、5,300年前の人類が何を食べていたかは、多いに関心のあるところである。放送は全体的として、エビデンスに基づいた内容。私の主観を排除し、概要を報告。

① オーストリア・アルプス標高3,500mの氷河から発見された、5,300年前に死亡した世界最古の冷凍ミイラの話。体全体が冷凍保存状態で、これを「アイスマン」と名付け、多くの科学者によって、解凍され分析された。胃・腸・脳・皮膚などから、食餌内容物や体細胞などが収集・解析された結果が報じられた。
② 胃の内容物は、先ずは動物性脂肪で、ヨーロッパ・アルプスに棲息する山羊(ヤギ)の種類を食べていた。次に現在ハーブとして用いられている植物種。
③ 胃と腸には、加水性の小麦と煤(スス)があり、その実態はパンであった。ちなみに人類にとってパンは、既に8,000年前にエジプトで焼かれていたが、給料として用いられた程に超貴重品であった(即ち少量しかなかった)。
以上が、5,300年前の人類の食餌。

さらに以下は、道具や衣に関する解析結果。
④ 純度99.7%の銅製の斧(オノ)。アイスマンの発見により、精錬技術の歴史は定説より1,000年も繰り上がることに。
⑤ 山羊(ヤギ)の毛皮で、黒と茶のツートンカラーに縫われたマント。そして、アルプスの山を歩くに耐えうる程の靴(材料は草本?木本?の植物に見えた)。
⑥ 中国文明での「針」に類似する傷が皮膚皮下にあり、一種の医療行為と推定される。
⑦ 「アイスマン」の死因は、背後から胸部に矢じりを打ち込まれ、側頭部を殴打されたことによる大量脳出血。即ち、殺人事件であった。
⑧ 胃から腸にかけての消化器部位ごとの内容物の分析から、死の直前3日の間、アルプス山中のアップダウンを激しく移動していた。死に様も併せて推理すると、殺害者に追われていたと考えるのが自然。
以上が、番組の概要です。

ここから、私の主観を二つ三つ。
Ⅰ。 5,300年前の人類の食餌は、野生種の小麦を僅かに食べたかも知れないが、生命維持の専らの食餌は、動物性の蛋白質と脂質であり、紛れもなく糖質セイゲニストであったと確信する。
Ⅱ。 エジプト・メソポタミヤから遠く離れたアルプス地方に、思いのほか高度な文明があった。
Ⅲ。 しかし、文明が無条件に素晴らしいことではない。石器・鉄器・小麦/米の農耕を手にして以降、物や土地や命の奪い合いを、人間は始めた。

長々とすいませんでした。


2013/03/24(Sun) 23:46 | URL | とっさん | 【編集
医系技官のことに触れてらっしゃるコメントがあります。私は軽い免疫疾患があり、目が乾きます。20数年前に診て頂いた国立大の眼科医。大変やる気まんまんで、そこの卒業生とばかり思っていました。私学出身でそこの院卒ですが、あまり評判のよくない病院に回されていてその後米国に留学されています。私は熱意のある名医だと思っています。発明するのが好きで、ある治療法を開発され、承認を待つも二年三年と待たされ、役人は仕事をしないと憤っておられました。旧帝大などの学歴から外れると能力の優れた医師も軽く扱われると思いました。学校と同じ。日本人自身がそういう構造に疑問もなく、寄りかかっていて因習を壊そうとしない限り、進歩はないように感じます。
2013/03/25(Mon) 09:11 | URL | ゆき | 【編集
清野裕の熱弁
www.nhk.or.jp/gendai/kiroku/detail02_3239_3.html

●リスクをどうみているのか

 食事療法というのは、誰にでも安全に行なわれるものでなければならないと

 糖尿病の4割強の方は、すでに腎臓の障害があるので、「たんぱく」をたくさん食べると、さらに腎機能が低下するおそれがあるということが、一つあります

 むしろ「たんぱく」を少なくするような治療が推奨されますし、この糖質制限をしたことによって、安全に長期間、この血糖コントロールなり、体の代謝がうまくいっているエビデンスがない現在は、これを一般的な治療法として推奨はしていないと、こういうことになりますね


…そもそも”「たんぱく」を少なくするような治療”そのものにevidenceが存在しない
2013/03/25(Mon) 12:45 | URL | 精神科医師A | 【編集
Re: 清野裕の熱弁
精神科医師A さん。

仰有るとおりですね。

ご教示いただいた
日本腎臓病学会CKDガイド2012年でも、G2A3まではタンパク制限なしです。

さらにカロリー制限食(高糖質食)は、毎日最低三回は食後高血糖を生じ、毎日平均血糖幅を増大させる
危険な食事です。決して安全ではありません。
2013/03/25(Mon) 16:29 | URL | ドクター江部 | 【編集
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