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インスリンは二重三重の肥満ホルモン
こんばんは

インスリンは二重三重の肥満ホルモンです。

今回は、生理学的に詳細に考察してみます。

脂肪細胞の周囲の毛細血管壁にあるLPL(リポタンパクリパーゼ)が活発になると、血中の中性脂肪を遊離脂肪酸とグリセロールに分解して、遊離脂肪酸を脂肪細胞内に取り込み中性脂肪に合成して蓄え太っていきます。

インスリンは脂肪細胞の周囲の毛細血管壁にあるLPLを活性化させるので、脂肪細胞内に中性脂肪を蓄える方向に働きます。

これに対してHSL(ホルモン感受性リパーゼ)は脂肪細胞内にあって、中性脂肪を遊離脂肪酸とグリセロールに分解して血中に放出させる作用があります。

まとめると、脂肪細胞の周囲の毛細血管壁にあるLPLは内部に中性脂肪を蓄えて太らせる働きがあり、脂肪細胞内のHSLは逆に内部の中性脂肪を分解して血中に放出させ、やせさせる働きがあります。

インスリンはLPLを活性化させ、HSLを抑制するので、インスリンが分泌されると太りやすいのです。

さらにインスリンは、GLUT4を介して余剰の血糖を脂肪細胞内に取り込み、中性脂肪に合成して蓄えます。

このように二重三重の肥満ホルモンがインスリンなのです。

インスリン療法をしている糖尿病患者はしばしば太ります。

『ジョスリン糖尿病学』には

「食物摂取とは無関係の、インスリンの脂肪組織への直接的な脂肪生成効果」

と説明されています。

ハーバード大学医学部元教授、ジョージ・ケーヒルは

「脂肪を操るインスリンを、炭水化物(糖質)が操る」

と述べています。

肥満のメカニズムは、インスリンによる脂肪蓄積であり、その血中濃度と総量が関係します。

そしてインスリンを大量に分泌させるのは糖質のみです。

結局、糖質の頻回・過剰摂取とそれによるインスリンの頻回・過剰分泌が肥満の元凶なのです。

最後にインスリンの名誉のために一言。

人類の歴史において、農耕開始前の700万年間、インスリンの卓越した中性脂肪合成能力は飢餓に対する唯一のセーフティーネットである体脂肪に関して、極めて大きな役割を果たしていたことは忘れてはなりません。

インスリンがせっせと中性脂肪を蓄えてくれたからこそ、人類のご先祖は生き延びてきたのです。

その卓越した中性脂肪合成能力が、現代は結果としてあだとなってしまったのですね。



江部康二


テーマ:糖尿病
ジャンル:ヘルス・ダイエット
コメント
術後の食事に配慮が必要 高糖質食は大腸がん再発と関連
 江部先生

>体脂肪率平均表(男性、女性、年齢別)
>株式会社タニタの報道資料を元に作成
http://diet.netabon.com/diet/basic/average_body_fat.html
>が参考になるでしょうか。

 どうもありがとうございました。

 BMI(茨城県の10年間の調査、宮城県の12年間の調査)のような、
 『体脂肪率』についての大規模な調査の結果は、特にないのですね。
 
 現状では、タニタ等で、標準とされている値の
 近辺に、体脂肪率の値があれば、
 大丈夫であろう、と考えるように致します。


 さて、以下の記事を見つけました。

 術前術後、大腸がん、関係なく、高糖質食は不健康だと思いますが。

 http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20130107-00030020-diamond-bus_all


 最近なにかと旗色が悪い糖質だが、先月、大腸がんの再発と糖質との関連を示すデータが報告された。米国国立がん研究所ジャーナルの掲載論文から。

 調査研究にはステージ3の大腸がん患者、およそ1万人が参加。それぞれの食事内容を、どれだけ血糖値を上げやすいかの指標である「グリセミック・インデックス(GI値)」と実際の食事の量から計算される「血糖負荷(グリセミック・ロード:GL)」から5グループに分け、術後化学療法中の半年間、追跡した。

 その結果、GLや総炭水化物摂取量が最も高いグループでは、最も低いグループに比較し、再発リスクや死亡リスクが80%も高いことが確認されたのである。この傾向は、術前にBMI25以上の肥満者や現在も肥満の患者でさらに顕著であった。

 糖質、炭水化物の過剰摂取は食後高血糖を招き、インスリン産生量を増やす。糖尿病の発症リスクであることは言うまでもないが、高インスリン血症とがん発症率、死亡率の上昇との関連も指摘されてきた。少し古い研究だが、2006年の厚生労働省「多目的コホート研究」では、40~69歳の男女約4万人から検診等で採血した血液を提供してもらい、11年半追跡した。その結果、インスリン分泌量を反映する血液中の「Cペプチド」が高い男性は大腸がんの発症リスクが最大3.2倍、結腸がんでは3.5倍に上昇することが示されたのである。

 肉や精製された穀物を摂る西洋型の食事が大腸がんの発症、再発リスクであるとは以前から指摘されていたが、そのうちの「何」がリスクを高めるかは不明だった。現在も主犯格をめぐり「赤身肉だ」「糖質だ」との論争が続いている。しかし今回の研究で少なくとも術後の再発予防には、炭水化物の摂取制限が必要であることが明確になった。研究者は「大腸がん手術後の生存率を改善する手段を提供できた」としている。
2013/01/07(Mon) 19:02 | URL | 糖質制限食 | 【編集
Re: 術後の食事に配慮が必要 高糖質食は大腸がん再発と関連
糖質制限食 さん

これは、糖質制限食にとって、朗報ですね。
貴重な、情報をありがとうございます。

「GLや総炭水化物摂取量が最も高いグループでは、最も低いグループに比較し、
再発リスクや死亡リスクが80%も高い」

記事にしたいと思います。
2013/01/07(Mon) 19:56 | URL | ドクター江部 | 【編集
3歳からの糖質制限食について
初めてコメント(質問)させていただきます。
「3歳位からスーパー糖質制限食を継続して大丈夫でしょうか?」


私には3歳の娘がおり、半年程前に「Ⅰ型糖尿病」と診断されました。

病院の方からは「今までの食事にインスリンを合わせて」と言われたのですが、
あまりの難しさに糖質制限食を取り入れました。

今では3食糖質制限食です。

先生のブログや本には子供も糖質制限食は問題ない、と書かれていますが、
ある方から
「病院で、脳にぶどう糖は不可欠だから成長期のこどもに糖質制限は絶対しない事。。そして、糖質制限し違う病気をまねいた事例もあるそう。」
と言われました。

具体的にはどんな違う病気をまねいた、などと言うことはわかりませんが、
「3歳からスーパー糖質制限食をしていて本当に問題はないのだろうか・・・」
と不安をいだきまして質問をさせて頂きました。

どうぞよろしくお願いします。
2013/01/07(Mon) 23:06 | URL | イッチー | 【編集
糖質制限食について
おはようございます。
糖質制限を行っていると、当然ながら炭水化物は激減します。
その食事を行っているときに、たまに1週間に1度だけ昼だけ普通に食事しよう・・ということになると、リバウンドとして身体に発疹や吹き出物が出ることはないのでしょうか?
先生の著書には、息抜き程度は苦しむようなら大丈夫とありましたが・・・。

まぁ、出たところでまた制限食を続けていれば、問題はないと思うのですが・・。

個人差はあるでしょうが、そういった症状を訴えた方はおられなかったのでしょうか?
よろしくお願いします。
2013/01/08(Tue) 09:44 | URL | クワトロ | 【編集
Re: タイトルなし
名無しさん

ありがとうございます。
またまた追い風ですね。
2013/01/08(Tue) 10:13 | URL | ドクター江部 | 【編集
Re: 献血の結果
R32 さん

問題ないと思います。

カテゴリーのコレステロールの項をご参照ください。

あと低カロリーになりすぎないようご注意ください。
2013/01/08(Tue) 10:26 | URL | ドクター江部 | 【編集
Re: 糖質制限食について
クワトロ さん

吹き出物とかはあまり聞きませんが、

日頃スーパー糖質制限食の人が、たまに糖質を摂取すると
ぼーっとしたり、眠気がでたりということが、よくあります。
2013/01/08(Tue) 10:28 | URL | ドクター江部 | 【編集
Re: 3歳からの糖質制限食について
イッチー さん

大丈夫です。
心配要りません。

詳細は記事にします。
2013/01/08(Tue) 10:30 | URL | ドクター江部 | 【編集
高糖質食は大腸がん再発と関連
この論文ですね

Dietary Glycemic Load and Cancer Recurrence and Survival in Patients with Stage III Colon Cancer: Findings From CALGB 89803

JNCI J Natl Cancer Inst (2012) 104 (22): 1702-1711

http://jnci.oxfordjournals.org/content/104/22/1702.abstract
2013/01/08(Tue) 11:21 | URL | 精神科医師A | 【編集
ありがとうございました
ご返答、ありがとうございました。
では、安心して昼食会とかに参加してきます。
後、余談ながら、本当にこの糖質制限という概念が、日本中に広がれば、先生の記事にもありましたように、医療費削減と健康という言葉が当たり前のように広がるでしょうに・・・。
利益が絡むと、人というのは複雑になるのですね。
子供が土地を見ると土ですが、大人が土地を見ると坪単価ですものね。
ありがとうごさいました。

2013/01/08(Tue) 16:17 | URL | クワトロ | 【編集
インスリン療法
糖質制限食でhal1cは半分になりましたが
まだ正常値とは言えません。一生続けるのでしょうがランタスを朝一回16単位㏄注入、
インスリン療法ではしばしば体重増加しますとの先生のブログにありまして私の体重増加の原因が納得できたわけです。しかしながらもう少し
それに関してどれぐらいの範囲で増えても正常なのかとか情報が欲しいのですが。
いろいろな質問をされる方々を見ていると私とおなじように自分のお医者様に質問したり相談したりできない方が多いからだと思います。
なぜなのか?3分診療のお医者様を信用できていないのかと思い、残念です。
患者が自ら情報を集めて病気に向かい合う時代なのかと思います。
そういう意味でも先生の著書やブログは大衆の救世主となっています。
これからも情報発信をよろしくお願いします。
2013/01/14(Mon) 10:10 | URL | キャリントン | 【編集
Re: インスリン療法
キャリントン さん

インスリンによる体重増加に関しては、正常範囲とかいう話ではありません。
個人差はありますが、インスリンは肥満ホルモンなのです。

ランタスが減れば、それだけ体重は減りやすくなります。
2013/01/14(Mon) 14:06 | URL | ドクター江部 | 【編集
Re: 人工甘味料について
ふわふわさん

「人工甘味料は、血糖値は上昇しないが、インスリン分泌大量に起こる」
そのような報道が時々ありますが、
学術論文ではありませんので、根拠はないです。

「人工甘味料は、血糖値は上昇しないが、インスリン分泌大量に起こる」
これが本当なら、ダイエットコーラを飲んだら、低血糖発作多発ということになるので、
ありえないと思います。
2013/02/24(Sun) 17:31 | URL | ドクター江部 | 【編集
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