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1954年の「糖尿病食餌療法の実際」とGI
こんばんは。

精神科医師Aさんから、興味深いコメントをいただきました。

【13/01/02 精神科医師A

今年の仕事始め

新年明けましておめでとうございます。今年もnetで最新の医学研究を学ぶことと、図書館の地下の書庫で埃まみれの図書を調べることの両方を進めてまいります。

では、今年の仕事始めから…


日本臨床1954年10月号pp923-927「糖尿病食餌療法の実際」
東京女子医科大学 中山光重

pp925

こゝで注意しなければならないのは、食餌分析表の含水炭素含有量のみで律してはならない。これは消化、吸収、調理、その他の諸条件で一様にいかないことである。例えば、米飯とふかし馬鈴薯との含水炭素量を同一として糖尿病者に投与すると、過血糖の最高値はほゞ同値であるが、馬鈴薯の方が消化吸収が速いためか、最高血糖値に達する時間が早く、従って旧値にもどる時間も速い。

また、大豆・蚕豆等と米飯とを含水炭素量を同一として行った結果では、豆類の時は血糖上昇が非帯に少ない。すなわち、 同一含水炭素量を投与しても大豆等では糖尿が起ってこない。これは糖尿病食として大豆が重要視され、戦時中インシュリンの欠乏時には、糖尿病の食餌療法として大豆食が愛用せられた所以である。】 


精神科医師Aさん

早くも仕事始めですか。
ご苦労様です。

1954年の日本臨床、私が生まれたのが1950年ですから、いやはや歴史の重みを感じますね。

東京女子医科大学 中山光重 先生のお話、これはどうやらグリセミック・インデックスのことのようです。

「米飯とふかし馬鈴薯との含水炭素量を同一として糖尿病者に投与すると、過血糖の最高値はほゞ同値であるが、馬鈴薯の方が消化吸収が速いためか、最高血糖値に達する時間が早く、従って旧値にもどる時間も速い。」

ジャガイモのGIが78で、白米のGIが73です。

GIは微妙な差ですが、食後血糖値のピークは同一含水炭素量なので一緒です。

ジャガイモも白米も食物繊維は少ないので、含水炭素(炭水化物)≒糖質と考えていいです。

「同一含水炭素量を投与しても大豆等では糖尿が起ってこない。」

これは、少し不思議な見解です。

大豆はGIが15で圧倒的に低GI食品です。

茹でた大豆100g中に糖質2.7gで低糖質食品です。

ご飯1膳150gに含まれる糖質は55gくらいです。

大豆で55gの糖質を摂ろうと思ったら約2kgの茹でた大豆を食べる必要があり、とてもあり得ません。

茹でた大豆に含まれる炭水化物は9.7gで、食物繊維が7gです。

中山先生が糖質ではなくて炭水化物を同一量とされたのなら、茹でた大豆560gくらい食べることになりますが、結構多いけど頑張れば食べられる量でしょうか。

茹でた大豆を560g食べても糖質は15gくらなので、確かに食後高血糖は生じないですね。

*<血糖指数:グリセミック・インデックス:Glycemic Index: GI>

GIは血糖上昇反応度とも言われる。糖質50gを含む食品を摂取した後の血糖値の上昇を基準となる食品(ブドウ糖50g)を摂取した後の血糖値の上昇と比較し、パーセントで表した数字である。

GIが高い食品ほど食後の血糖が急激に上昇し、インスリンを急激に分泌する必要がある。

GIの算出方法
「糖質50gを含有する食品摂取後2時間までの血糖曲線下面積」÷
「糖質50gを含有する基準食(ブドウ糖50g)摂取後2時間までの血糖曲線下面積」×100=GI

**
http://www.mendosa.com/gilists.htm

このサイトは、David Mendosaという、「ミスターGI」とも呼べるマニアックなおじさんが運営していて、およそGIのことならなんでも載っています。
英文ですが、GIに興味がある方はお暇なときに覗いてみてください。

以下はメンドーサおじさんのサイト、いろんなGI研究の平均値です。
White wheat bread*        75±2 白いパン
Whole wheat/whole meal bread   74±2 全粒粉のパン
Speciality grain bread       53±2 ?
White rice, boiled*        73±4 炊いた白米
Brown rice, boiled        68±4 炊いた玄米
Udon noodles          55±7 うどん
Spaghetti, white         49±2 スパゲッティ
Potato, boiled          78±4 ゆでたジャガイモ
Potato, instant mashed       87±3 マッシュポテト
Soya beans           15±5茹でた大豆

Sugars
Fructose 15±4 果糖
Sucrose 65±4 ショ糖
Glucose 103±3 ブドウ糖
Honey 61±3 蜂蜜



ともあれ、

「1gの糖質が体重64kgの2型糖尿人の血糖値を3mg上げ、1型糖尿人なら5mg上げる」

という、糖質量の公式が優先順位の一番で、大事です。

GIは正常人にはあるていど役立つ概念ですが、糖尿人にあまり役に立たないのは 知っておきましょう。



江部康二

テーマ:糖尿病
ジャンル:ヘルス・ダイエット
コメント
あけましておめでとうございます。
Yahoo ニュースに糖質制限をされている林芳正農相が話題で出ていました。「米を食べない農相は如何なものか」という内容です。どこからか圧力がかかっていそうですが、踏ん張って糖質制限を継続して欲しいですね。
また、今月号のPresidentに「食べ合わせダイエット」で有名な栄養士さんがコメントしていましたが、「日本人を太らせたのは小麦で、米ではない。糖質制限をされている方は全ての炭水化物をとらない方もいるが、米は食べなくてはダメ。」
糖質制限の理論を全くご存知ないようです。こんな意味不明なコメントを平気で言い、誌面に掲載するなんて残念な限りです。
今年も糖質制限を正しい解釈が出来る専門家が増えることを願ってやみません。
2013/01/02(Wed) 21:59 | URL | Miju | 【編集
Re: タイトルなし
Miju さん

林芳正農相は、糖質制限食で減量成功され、
別人のようです。

論理的な人なので、今後も米を少なくとも多く食べるようなことは、
ないでしょうね。
2013/01/03(Thu) 09:51 | URL | ドクター江部 | 【編集
肥満の「元凶」は腸内細菌? 腸内細菌・肥満・糖尿病・インスリン抵抗性
 江部先生、皆様

 明けましておめでとうございます。

 昨年末、年初に、以下の研究・論文についての記事が掲載されておりました。

 国際学術誌に、研究論文を発表との事ですが、どれ位確からしいのでしょうかね?


http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20121221-00000008-rcdc-cn

 肥満の「元凶」は腸内細菌、上海交通大の研究―中国メディア

 Record China 2012年12月21日(金)10時40分配信

 2012年12月20日、「水を飲んでも太る」。ダイエットに励む人で、これを実感している人はかなり多い。太る原因とは、一体何なのか。多くの人々にとって関心事であるこの問題について、上海交通大学が研究を進め、このほど大きな進展が得られた。人民日報が報じた。

 上海交通大学の趙立平(ジャオ・リーピン)教授率いる研究チームはこのほど、国際微生物生態学会の国際学術誌「ISMEジャーナル」に研究論文を発表した。腸内細菌がヒトの肥満や糖尿病に深い影響を及ぼすという「慢性病の腸原因説」に直接的かつ有力な証拠が、研究チームの実験から得られた。研究員は、臨床研究において、毒素を発生し得る病原菌が、体重175kgの肥満患者の腸内で異常に増殖した場合、腸内菌全体の3分の1を占めるに至ったことを発見した。特別に考えられた治療食による食事療法によって、この患者の腸内細菌数は、測定不能のレベルにまで激減した。患者の体重は約半年間で51.4キロ減り、高血糖・高血圧・高コレステロールなどの症状も改善され、正常値になった。

 研究者が、この細菌の一部を無菌マウスの体内に接種するという実験を行ったところ、深刻な肥満症と初期糖尿病の症状(インスリン抵抗性)が現れた。今回の研究によって、世界で初めて、腸内細菌と肥満の間に直接関係があることが証明された。

(提供/人民網日本語版・翻訳/KM・編集/内山)


http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20121221-00000008-rcdc-cn

 中国人研究者が太る腸内細菌を発見、除去しただけで50kg減の肥満患者も―中国

 Record China 1月2日(水)16時2分配信

 2012年12月29日、中国青年報によると、上海交通大学の趙立平(ジャオ・リーピン)教授の研究室は12月13日発行の国際微生物生態学会の学会誌・ISMEジャーナルに腸内細菌に関する論文を発表した。

 趙教授と研究室のスタッフは体重175kgの肥満患者の腸内細菌に内毒素を発生させる病原菌があるのを発見。その細菌量は腸内細菌全体の3分の1を占めていた。その患者に適切な栄養指導を行ったところ、問題の病原菌の量は短時間でゼロにまで減少。体重は半年間で51.4kgも減り、高血糖、高血圧、高血脂などの症状も正常に戻った。さらに趙教授は腸内細菌のなかから問題の病原菌を採取し、無菌のマウスに移植したところ、マウスに深刻な肥満と糖尿病の初期症状であるインスリン抵抗性が見られた。

 人の腸内には約1000種類の腸内細菌が生きており、その総重量は約1.5kgに上る。その細胞総数は人体自身の細胞総数の約10倍で、遺伝子の総数は人体自身の遺伝子総数の約100倍に相当する。人の腸内細菌の構造変化が肥満や糖尿病の原因となるのか、それとも肥満や糖尿病の結果として起こったことなのか、研究者の意見はこれまで2つに分かれていた。しかし、今回の趙教授の研究から、腸内細菌が肥満の原因であることが明らかになった。今後は腸内細菌の研究を通して、肥満や糖尿病の予防や治療法が確立されることを大いに期待するものである。

 (翻訳・編集/本郷)
2013/01/03(Thu) 11:47 | URL | 糖質制限食 | 【編集
病名
 初めまして。

 糖尿病も、糖尿病ではないけど血糖(値)の異状による症状も含めて「血糖不全症候群」というのは如何でしょうか。
2013/01/03(Thu) 13:56 | URL | e10go | 【編集
Re: 肥満の「元凶」は腸内細菌? 腸内細菌・肥満・糖尿病・インスリン抵抗性
糖質制限食 さん

情報をありがとうございます。

どのような毒素なのか、どのような菌なのか書いてないですね。
また適切な栄養指導も、内容が書いてありません。

ということで、論評のしようがない段階です。
2013/01/03(Thu) 14:53 | URL | ドクター江部 | 【編集
中国の論文です
An opportunistic pathogen isolated from the gut of an obese human causes obesity in germfree mice

www.nature.com/ismej/journal/vaop/ncurrent/full/ismej2012153a.html

 1例の患者だけの研究reportです。何例もの患者で調査研究しないと評価されません

 私の想像ですが、この論文は何人もの患者にやってみて、一番よい結果が出た1例だけを報告しているに過ぎないような気がします
2013/01/03(Thu) 20:28 | URL | 精神科医師A | 【編集
Re: 中国の論文です
精神科医師A さん

コメントありがとうございます。
1例の患者ですか。
それでは、まだまだ評価の対象となる論文とは言えませんね。
2013/01/04(Fri) 08:42 | URL | ドクター江部 | 【編集
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