文春文庫「主食を抜けば糖尿病はよくなる!糖質制限食のすすめ」刊行
おはようございます。

現在第19刷でロングセラーとなっている

「主食を抜けば糖尿病はよくなる!糖質制限食のすすめ」(東洋経済新報社)

が、この度、文春文庫から文庫として刊行されることとなりました。

何と言っても、文庫は¥600-と低価格なのが魅力的です。

以下は今月号(2012年12月号)の文藝春秋、自著推薦文のコーナーに掲載された

「主食を抜けば糖尿病はよくなる!糖質制限食のすすめ」(文春文庫)

の私の文章です。


江部康二


☆☆☆

文藝春秋11月号掲載の
「主食を抜けば糖尿病はよくなる!糖質制限食のすすめ」(文春文庫)
自著推薦文から転載

2005年に「主食を抜けば糖尿病は良くなる!」(東洋経済新報社)を、日本で初めて「糖質制限食」の理論的な本として上梓しました。その後、理論面の本やレシピ本などを各社から多数出版してきました。この間、糖質制限食を日本に広める役目を確実に果たしてきたかなと自負しています。

この1~2年、テレビ・新聞・雑誌などのマスコミが、こぞって糖質制限食を取り上げ、世間一般の認知度は格段に上がりました。特に、2012年は、糖質制限食普及において、飛躍の年となりました。

2012年1月15日、京都国際会館で開催された第15回日本病態栄養学会年次学術集会において「糖尿病治療に糖質制限食は是か?非か?」というディベートセッションが行われ、私は是側の演者として講演しました。

通常は3000人規模の学会に4000人の医師・栄養士が参加し大きな反響を巻き起こしました。このことは糖質制限食が医学界の表舞台に初登場したという意味で、大きな一歩といえます。私のブログ「ドクター江部の糖尿病徒然日記」のアクセス件数もこの日を境に1000件以上増えて、現在1日に15000件のアクセスがある人気ブログとなりました。

このセッション以降、日本全国の医師会や病院から講演依頼が相次ぐようになり、医学界にも爆発的に糖質制限食が広がり始めています。

この度、「主食を抜けば糖尿病は良くなる!」(東洋経済新報社)を文藝春秋出版局から文庫本として出版することとなりました。

本書で紹介している糖質制限食は、高雄病院で1999年から日本で初めて開始した食事療法です。わかりやすく言うとご飯・パン・麺などの穀物製品や芋類などの糖質が多い食品を食べないで、肉・魚貝・豆腐・葉野菜・海藻などをしっかり摂取する食事療法です。糖質を制限したぶん、脂質とたんぱくは充分量食べます。

糖質制限食というと現代の普通の食事である高糖質食と比べると変わった食事という風に思います。しかし、実は糖質制限食こそが、人類本来の自然な食事なのです。

人類がチンパンジーと分かれて誕生したのが約700万年前です。農耕が始まるまでは人類の生業は狩猟・採集であり、全ての人類が糖質制限食でした。約10000年前に農耕が始まり、主食が穀物へと変化し、現在まで続いています。

即ち人類が穀物を主食としたのは、長い歴史の中でわずか1/700(0.14%)の期間に過ぎません。進化の過程をみると「糖質制限食」と「穀物を主食とする高糖質食」、どちらが人類にとって自然な食事なのかはいうまでもありません。

農耕以前の人類にとって糖質は言わばラッキー食材でした。すなわち時々手に入る果物やナッツ、そして山芋や百合根などの根茎類くらいが比較的糖質の多い食材でした。運良く手に入った果物を食べて血糖値が上昇するとインスリンが分泌され筋肉に取り込まれますが、余った血糖は中性脂肪に変わり脂肪組織に蓄えられます。

このように、ラッキー食材から得た糖質は、消化吸収されたあとインスリンにより脂肪に変わり、来るべき飢餓に備える唯一のセーフティーネットとなっていたと考えられます。

インスリンは今でこそ肥満ホルモンというありがたくない別称をもっていますが、狩猟・採集時代はその脂肪を蓄える能力は、とても重要な意味をもっていたわけです。

本来、脂肪を蓄えるためのラッキー食材だったはずの糖質を、農耕開始後は日常的に毎日食べるようになりました。さらにこの200~300年間は精製された炭水化物を食べるようになりました。

現在先進国では、精製された炭水化物であるご飯やパンや麺、そして砂糖水のような清涼飲料水を日常的に大量に摂取しています。このことが肥満や糖尿病や様々な生活習慣病の元凶となっていると私は思います。

人類の身体の消化・吸収・栄養・代謝システムは、700万年間の糖質制限食の過程を経て、突然変異を繰り返して完成されたものです。すなわち我々人類の身体は糖質制限食に適合しています。

このことを思えば、総摂取カロリーの50~60%が糖質という現代の穀物ベースの食生活は、人体にとってはとんでもなくバランスの悪いものなのです。

穀物は、人類を飢えから開放し、人口の増加や文明の基となりましたが、糖質過剰摂取による様々な病気の元ともなりました。糖質制限食は、人類本来の食事、いわば人類の健康食ですので、糖尿病や肥満をはじめとして様々な生活習慣病が改善していきます。

しかも糖質制限食は、糖質を抜くだけで脂質やタンパク質はOKであり、お酒も蒸留酒や辛口ワインはOKなので「美味しく楽しく」続けられるのが特長です。

糖尿病・メタボを克服し、糖質制限食を足かけ11年続けている私にとっても、とても嬉しい食事療法なのです。

皆さんがご自身の健康を守るために、是非本書をご一読頂けば幸いです。


高雄病院理事長
江部康二


テーマ:糖質制限食
ジャンル:ヘルス・ダイエット
コメント
文庫化おめでとうございます
久しぶりに拝見したら、文庫化の話。
おめでとうございます。

先生の本に出会ってから2年。直近の検査ではHbA1c5.3(以前の数値では4.9)、中性脂肪は50前後になり、起床時血糖値が70を切ってしまうようなことも。月に1,2回、普通にピザや回転寿司などを食べても、食後3時間で血糖値100前後に落ちつき、その数時間後に極端に上がるということもないところまでになりました。

糖質制限のありがたさ。
それは、病を持つ「つらさ」、「ストレス」が無くなることだと感じています。

これまでの療法では、友人と食事に行くことも難しく、日々の食事もなんとも寂しい。病名は知られていても、どんな病気だか知られていないので、抽象にさらされる方も未だにいると思います。
ストレスが原因で発症された方もいるかもしれません。そんな方にしてみれば、あまりにもつらい状況です。

ですが、続けていけば人により差はあれど、確実に普通に生活できますし(居酒屋でいっぱいなんて普通にできます)、高血糖により起きていた様々な障害が無くなるので、仕事や休日も楽しく過ごせるようになります(集中力は高くなりました)。

私などは幸いにも発見が早かったのかもしれません。先述のところまで、たどり着けました。

文庫であれば電車でも読めます。ツイッターでつぶやくよりも、確実に有意義なのではと思います。
これを機に、さらに糖質制限が知られ、一人でも多くの方が楽しく生活ができる環境を手に入れられると良いですね。

これからも、お体に気をつけて、がんばってください。
2012/11/14(Wed) 11:34 | URL | str | 【編集
世界糖尿病ディです
江部先生 京都新聞1面の文庫本紹介で、江部康二とありました 11/14は1923ノーベル賞のFバンティングの誕生日(1891.11.14)ですね 彼のインスリンの発見でその後の糖尿病患者の寿命は大幅に延びました 私も1998.8.26からお世話になっています それでも、炭水化物中心の1600kcal食でHbA1c6.5%以下(JDS)を保ったが、腎症が進んでしまいました でも江部先生の「糖質制限食」のおかげで、朝夕のごはんをゼロに、もちろんインスリンも服薬も無しで、HbA1c6.5%(NGSP)、空腹時90以下、食後1時間値130台を達成し、さらに中鎖脂肪酸を推薦頂き、基礎インスリン4単位、昼食・追加インスリン5単位になりました バンティングDrとともに江部先生 本当にありがとう
2012/11/14(Wed) 11:54 | URL | 柚木信也 | 【編集
NHK 今度は過眠症
16(金)19:30~NHK
医師は、病名を付けるのが仕事とはよく言いますが、過眠症???
つい、吹き出してしまいました。
糖質摂取過多の一症状
とか
食後低血糖
とでも言えば済むのに。
タイトルで、見る価値なしとは思いましたが、念のため録画します。(笑)
2012/11/14(Wed) 21:57 | URL | 北九州 三島 | 【編集
普及への壁
江部先生、みなさま、おはようございます。

プライマリケア医を目指す30代神経内科医です。

スーパー糖質制限食を始めてそろそろ1年になります。134kgから始まった体重が現在101kgまで減少し、それに伴い脂漏性皮膚炎、うつ、歯周病、手の謎の皮膚荒れがすべて速やかに改善しました。

糖質制限食のおかげで人生が救われました。これも江部先生をはじめ、皆様がこれだけ普及活動をされていたおかげです。本当にありがとうございます。

理論的にも体感的にも納得のできるこの方法を今後も私も自分の身の回りに広めて参りたいと思います。

それにしても常識の壁は厚いです。

私は大学病院の勤務医ですが、導入の必要があるという入院患者さんには糖質制限食の導入を薦めています。

最初は栄養士に相談して主食を減らせないか交渉していたのですが、「炭水化物がないとエネルギーが確保できません。それは糖尿病の先生に確認しておられるのですか?」と理解を示してもらえず、

一方の糖尿病の先生は「極端な糖質制限」は推奨できない、と反対の意思を表明しておられ、相談すら困難な状況です。

そこでやむなく患者さんに十分に説明し、理解を得た上で常食の主食を抜くという方法で代用して薦めています。

この方法を始めて半年以上たち、すでに十分な成果を上げてきていますが、それでも孤軍奮闘の状態は基本的になかなか変わりません。

なぜならそれが、正規の方法でないと認識されているからです。

正規の方法でなかろと、糖尿病の先生に許可を得てなかろうと、自分で正しいと考える食事療法を指導するのは医師の裁量でできると考えていましたが、

先日、上司より倫理審査委員への書類も作り、正式な同意書を作るようにと言われてしまいました。

それでもそれさえ作れば実践を許してもらえるのであれば作ろうとは思いますが、

患者さんに理論面を説明し、効果を自分の身で体感した自分が安全面を保証し、納得してくれた人にのみ実施し、もしもやめたくなったらいつでもやめてもいいという食事療法に同意書なるものはどこまで意味があるのでしょうか?

江部先生は糖質制限食の指導に同意書を取得しておられますか?

もしよろしければ参考までに御教示頂ければ幸甚です。

何卒宜しくお願い申し上げます。
2012/11/15(Thu) 07:12 | URL | tagashuu | 【編集
栄養と料理12月号
佐々木敏先生が示した論文です
Renal Function or Mild Renal Insufficiency
Ann Intern Med. 138(6):460-467, 2003(Mar18)
www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/12639078

他にこういった論文があります
ndt.oxfordjournals.org/content/20/3/657.full

新しいところではこれらです
www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/23107523
www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/23107524
2012/11/15(Thu) 09:12 | URL | 精神科医師A | 【編集
Re: 世界糖尿病ディです
柚木信也 さん。

インスリン必要量が、1日に合計9単位で、一桁になったのは、素晴らしいです。
血糖コントロール良好に保ち、腎症の進行がくい止まればいいですね。
2012/11/15(Thu) 16:55 | URL | ドクター江部 | 【編集
Re: 普及への壁
tagashuu さん。

「134kgから始まった体重が現在101kgまで減少し、それに伴い脂漏性皮膚炎、うつ、歯周病、手の謎の皮膚荒れがすべて速やかに改善しました」

素晴らしい改善ですね。

一方、大学病院の常識の壁、ご苦労お察し申し上げます。
患者さんに糖質制限食をおすすめして、それを主体的に自己責任で選ぶのは患者さんです。
勿論、私は同意書などは取得しておりません。

現在、「食後高血糖」「平均血糖変動幅の増大」が
酸化ストレスの最大の元凶というエビデンスが出てきています。
私は、酸化ストレスを起こす元凶である「食後高血糖」「平均血糖変動幅の増大」を唯一生じる
糖質摂取の食事療法にこそ、説明義務があると思います。
2012/11/15(Thu) 17:46 | URL | ドクター江部 | 【編集
ご活躍嬉しくおもいます。
ただ一つ心配なことがあります。
それは江部先生が体調を壊したりすると、反対勢力から それみろ! と言われかねないことです。くれぐれも御身大事におねがいします。
2012/11/17(Sat) 21:04 | URL | 千葉のピ-ナツ | 【編集
主食を抜けば~(文庫本)
主食を抜けば糖尿病は良くなる!の文庫本を購入し、読ませていただきました。

御著書の中、6章P210に群馬県で糖質制限を実践されている医療機関がある旨記載されています。
ご迷惑でなければ、ご紹介いただけますか。
2012/11/20(Tue) 14:56 | URL | たつぼ | 【編集
Re: 主食を抜けば~(文庫本)
たつぼ さん。

かなり前の情報で、その先生は東京に引っ越しました。
すいません。
2012/11/20(Tue) 17:30 | URL | ドクター江部 | 【編集
そうでしたか。
残念です。
ありがとうございました。
2012/11/20(Tue) 17:36 | URL | たつぼ | 【編集
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