2012年10月07日 (日)
おはようございます。
お二人の透析専門医から、「透析中の糖尿人と糖質制限食」について、コメントをいただきました。
迅速な、アドバイスに感謝いたします。
松原博先生、腎臓外科医さん、ありがとうございます。
お二人のご意見を考慮すると
1)
透析中の糖尿人も血糖コントロール良好を保つことが、合併症予防に大切である。
2)
糖質制限食で血糖コントロール良好となり、インスリンの量も減量できて、血清アルブミンも増えて栄養状態もよくなる。
3)
血清リンのコントロールができる範囲で、摂取タンパク量を増やしてもOK。
4)
脂質の摂取を増やすことで、糖質制限食を実行しやすくなる。
5)
腎不全用経口アミノ酸製剤も考慮する。
人工透析中の糖尿人にも、糖質制限食は、上記、1)2)3)4)5)により実践可能であり、かつおおいに有用と考えられます。
江部康二
【12/10/06 松原 博
糖尿病で透析中の糖質制限
新しい創傷治療と江部先生の本やページをいつも読み勉強させていただいております。
透析管理医をしていますが糖尿病の方に低血糖やリンの状態に注意しながら糖質制限食を勧めています。
徐々にインスリン量も減らせており、思ったよりもリンの値はあまり上がって来ないし、総蛋白やアルブミン量も増えて栄養状態が改善傾向にあります。
もちろん血糖値の変動も数値も改善されています。
また、今のところ悪い兆候は認められません。
糖尿病の透析患者さんにも十分適応ありの手ごたえ十分と感じております。】
【12/10/07 腎臓外科医
いつも楽しく拝見しております。
私は医師として透析に携わっております。
糖尿病により腎不全(透析)になられた患者さんは、血糖コントロールが悪ければさらなる合併症のリスクにさらされます。
血糖コントロールには糖質制限が必要と考えますが、ご指摘の通りタンパク質を摂ると高リン血症が問題となります。
高リン血症は、生命予後に関与してのリスクファクターになっているため、透析においてコントロールすべき重要項目であります。
血清リンがコントロールできるのであれば蛋白質を増やしてよいのではと考えます。
さらに糖質のかわりに、もう少し脂質を増やしたほうが良いのではと考えております。
また、アミノ酸製剤の投与も考慮すべきなのではと愚考しているところです。
透析中の糖尿人の食事は、まだまだ改善の余地があるように感じており僭越ではございますが、コメントさせていただきました。
先生のさらなるご活躍を期待しております。】
<再掲>
高雄病院では、糖尿人で人工透析中の患者さんへの栄養指導も、時に行います。
腎不全で、透析はしておられない段階の糖尿人は、低タンパク食が標準であり、相対的に高タンパク食となる糖質制限食は適応となりません。
しかし、既に人工透析中であれば、腎不全でも普通人と同様ていどのタンパク質摂取がOKとなるので、糖質制限食も可能となります。
糖尿病治療ガイド(2008-20009)の表16「糖尿病腎症生活指導基準」をみると、
透析患者さんに対して一般的に指導される蛋白摂取は、1.0~1.2g/kgであり、
第3期腎症が0.8~1.0g/kg
第4期腎症が0.6~0.8g/kg
なのに比べて多くなってます。
一般人の蛋白摂取量は、
2008年の厚生労働省の統計で総摂取カロリーの14.7%で、68.6g/日です。
これが平均値ですから、おおよそ1.1g/kg くらいになるのでしょうか。
腎不全があると、透析導入前は基本的に蛋白制限食が指導されます。
しかし、透析を開始した患者さんに対しては、一般人並みあるいは少し多くの蛋白質を摂取する方が、栄養状態の改善において好ましいようです。
ただ蛋白摂取量が増え過ぎるとリン摂取量も増加するので、血清リン濃度が上昇する可能性があります。
血清リン濃度が高いと死亡のリスクが増大するので、ここは注意が必要です。
従いまして、人工透析中の糖尿人においては、1.0~1.2g/kgの範囲で、タンパク質を摂取して、糖質制限食を実践して血糖コントロールされればよいと思います。
腎臓に関しては人工透析中なのでOKと思いますが、糖質を普通に一人前摂取すると、食後高血糖や一日平均血糖変動幅の乱高下による、全身の血管の動脈硬化が進行します。
そうすると脳梗塞・心筋梗塞や糖尿病網膜症などの合併症のリスクが増大しますので、糖質制限食実践で、食後高血糖や一日平均血糖変動幅の乱高下が改善すれば、リスクが減少します。
江部康二
お二人の透析専門医から、「透析中の糖尿人と糖質制限食」について、コメントをいただきました。
迅速な、アドバイスに感謝いたします。
松原博先生、腎臓外科医さん、ありがとうございます。
お二人のご意見を考慮すると
1)
透析中の糖尿人も血糖コントロール良好を保つことが、合併症予防に大切である。
2)
糖質制限食で血糖コントロール良好となり、インスリンの量も減量できて、血清アルブミンも増えて栄養状態もよくなる。
3)
血清リンのコントロールができる範囲で、摂取タンパク量を増やしてもOK。
4)
脂質の摂取を増やすことで、糖質制限食を実行しやすくなる。
5)
腎不全用経口アミノ酸製剤も考慮する。
人工透析中の糖尿人にも、糖質制限食は、上記、1)2)3)4)5)により実践可能であり、かつおおいに有用と考えられます。
江部康二
【12/10/06 松原 博
糖尿病で透析中の糖質制限
新しい創傷治療と江部先生の本やページをいつも読み勉強させていただいております。
透析管理医をしていますが糖尿病の方に低血糖やリンの状態に注意しながら糖質制限食を勧めています。
徐々にインスリン量も減らせており、思ったよりもリンの値はあまり上がって来ないし、総蛋白やアルブミン量も増えて栄養状態が改善傾向にあります。
もちろん血糖値の変動も数値も改善されています。
また、今のところ悪い兆候は認められません。
糖尿病の透析患者さんにも十分適応ありの手ごたえ十分と感じております。】
【12/10/07 腎臓外科医
いつも楽しく拝見しております。
私は医師として透析に携わっております。
糖尿病により腎不全(透析)になられた患者さんは、血糖コントロールが悪ければさらなる合併症のリスクにさらされます。
血糖コントロールには糖質制限が必要と考えますが、ご指摘の通りタンパク質を摂ると高リン血症が問題となります。
高リン血症は、生命予後に関与してのリスクファクターになっているため、透析においてコントロールすべき重要項目であります。
血清リンがコントロールできるのであれば蛋白質を増やしてよいのではと考えます。
さらに糖質のかわりに、もう少し脂質を増やしたほうが良いのではと考えております。
また、アミノ酸製剤の投与も考慮すべきなのではと愚考しているところです。
透析中の糖尿人の食事は、まだまだ改善の余地があるように感じており僭越ではございますが、コメントさせていただきました。
先生のさらなるご活躍を期待しております。】
<再掲>
高雄病院では、糖尿人で人工透析中の患者さんへの栄養指導も、時に行います。
腎不全で、透析はしておられない段階の糖尿人は、低タンパク食が標準であり、相対的に高タンパク食となる糖質制限食は適応となりません。
しかし、既に人工透析中であれば、腎不全でも普通人と同様ていどのタンパク質摂取がOKとなるので、糖質制限食も可能となります。
糖尿病治療ガイド(2008-20009)の表16「糖尿病腎症生活指導基準」をみると、
透析患者さんに対して一般的に指導される蛋白摂取は、1.0~1.2g/kgであり、
第3期腎症が0.8~1.0g/kg
第4期腎症が0.6~0.8g/kg
なのに比べて多くなってます。
一般人の蛋白摂取量は、
2008年の厚生労働省の統計で総摂取カロリーの14.7%で、68.6g/日です。
これが平均値ですから、おおよそ1.1g/kg くらいになるのでしょうか。
腎不全があると、透析導入前は基本的に蛋白制限食が指導されます。
しかし、透析を開始した患者さんに対しては、一般人並みあるいは少し多くの蛋白質を摂取する方が、栄養状態の改善において好ましいようです。
ただ蛋白摂取量が増え過ぎるとリン摂取量も増加するので、血清リン濃度が上昇する可能性があります。
血清リン濃度が高いと死亡のリスクが増大するので、ここは注意が必要です。
従いまして、人工透析中の糖尿人においては、1.0~1.2g/kgの範囲で、タンパク質を摂取して、糖質制限食を実践して血糖コントロールされればよいと思います。
腎臓に関しては人工透析中なのでOKと思いますが、糖質を普通に一人前摂取すると、食後高血糖や一日平均血糖変動幅の乱高下による、全身の血管の動脈硬化が進行します。
そうすると脳梗塞・心筋梗塞や糖尿病網膜症などの合併症のリスクが増大しますので、糖質制限食実践で、食後高血糖や一日平均血糖変動幅の乱高下が改善すれば、リスクが減少します。
江部康二
こんにちは
(´∀`)
糖質制限食と透析患者さんの話題という事で、たけし軍団のグレート義太夫さんにコメントでお知らせしました
(⌒~⌒)
義太夫さんは現在、週に3回、合計15時間の透析を行いながら、たくさんの仕事や糖尿病・透析患者さんへの講演をされています。
明るく元気にされているので、具合の程はわかりかねますが、本やブログからすると、糖質制限食のことはご存知ないと思い江部先生のブログをご紹介しました。
読んでくれたかなぁ?
是非実行されて、他の透析患者さん達にも発信して頂きたいです(^-^)v
長谷川さんへ
私も同じ意見です。
最初に江部先生のこちらのブログを拝読して、「こんなに丁寧で、面白くて、すべてを教えてくださるのに、“タダ”でいいの!?」と驚きました(笑)
実際、私は先生の診察も受けていないし(本は購入しましたが)、ブログに書かれている事と、コメント欄のみなさんの体験などを読んでいわば“真似”して、劇的に改善したのですから、糖質制限食にも驚きですが、江部先生の心意気とか度量にも感嘆しました。
だから、せっかくのブログ記事やコメント欄は読んで(本も)、自分のからだも自分でちゃ~んと診て(時には自分なりに工夫して)、実行して成果を出して頂きたいと思います。
(´∀`)
糖質制限食と透析患者さんの話題という事で、たけし軍団のグレート義太夫さんにコメントでお知らせしました
(⌒~⌒)
義太夫さんは現在、週に3回、合計15時間の透析を行いながら、たくさんの仕事や糖尿病・透析患者さんへの講演をされています。
明るく元気にされているので、具合の程はわかりかねますが、本やブログからすると、糖質制限食のことはご存知ないと思い江部先生のブログをご紹介しました。
読んでくれたかなぁ?
是非実行されて、他の透析患者さん達にも発信して頂きたいです(^-^)v
長谷川さんへ
私も同じ意見です。
最初に江部先生のこちらのブログを拝読して、「こんなに丁寧で、面白くて、すべてを教えてくださるのに、“タダ”でいいの!?」と驚きました(笑)
実際、私は先生の診察も受けていないし(本は購入しましたが)、ブログに書かれている事と、コメント欄のみなさんの体験などを読んでいわば“真似”して、劇的に改善したのですから、糖質制限食にも驚きですが、江部先生の心意気とか度量にも感嘆しました。
だから、せっかくのブログ記事やコメント欄は読んで(本も)、自分のからだも自分でちゃ~んと診て(時には自分なりに工夫して)、実行して成果を出して頂きたいと思います。
2012/10/07(Sun) 14:29 | URL | もんたろ | 【編集】
さっそくに掲載いただき恐縮です。
透析中の糖尿人の糖質制限食を下記のように判り易く勧めています。
ご飯150g位の代わりには、同じ位のリンの量で豚肉・牛肉などで40~50g位は食べられ脂肪のより多いものを食べればカロリーも増やせます。
カロリーを足したい折などはリン、カリウムの全く心配のないオリーヴ油を摂るようにして下さい。
などとお勧めしています。
ただ、透析中の患者さんも色々と食事を準備される状況が異なること、食費が少しかかってくるのがネックではあります。
透析中の糖尿人の糖質制限食を下記のように判り易く勧めています。
ご飯150g位の代わりには、同じ位のリンの量で豚肉・牛肉などで40~50g位は食べられ脂肪のより多いものを食べればカロリーも増やせます。
カロリーを足したい折などはリン、カリウムの全く心配のないオリーヴ油を摂るようにして下さい。
などとお勧めしています。
ただ、透析中の患者さんも色々と食事を準備される状況が異なること、食費が少しかかってくるのがネックではあります。
もんたろ さん。
拙著のご購入、コメントありがとうございます。
グレート義太夫さん、もんたろさんのコメントを読んでくれたらいいですね。
拙著のご購入、コメントありがとうございます。
グレート義太夫さん、もんたろさんのコメントを読んでくれたらいいですね。
2012/10/07(Sun) 17:49 | URL | ドクター江部 | 【編集】
はじめまして、毎日先生のブログに励まされて日々頑張っている一人です。
今年9月に先生の本と出合い、また次の本と3冊購入させて頂き最近は、「食品別糖質量ハンドブック」を購入させて頂きました。
おかげさまで2ヶ月の間に、
夢の様な結果が出ました
HbA1c6.5%~5.8% 1ヶ月
HbA1c5.8%~5.2% 2ヶ月
アマリール朝1ミリ、夕2ミリから朝1、夕1に
そして2ヶ月目には朝1、夕0.5ミリに減らしました
他には、毎食前にメトグルコ250ミリ2錠とセイブル50ミリ1錠を飲んでいます。
主治医は、初めの1ヶ月目は頑張ってるねと、
機嫌が良かったのですが、勝手にどんどん薬を
減らした上に,HbA1c5.2%なんてありえないとゆう顔で、糖質制限に気づかれた様で、急に機嫌が悪くなり、そんな事をしていたら腎臓が悪くなるといわれましたが、今までの先生の本やブログで勉強していましたのでこれからもがんばりたいと思っています。
ただ一つ気がかりな事があります。
血中クレアチニン 0.83
eGFR 73.1
血清アルブミン 3.7 ↓
尿酸窒素 21 ↑
尿たんぱく +2
特に毎回病院での尿検査はもう10年以上前から たんぱく+1か+2が続いていて、ここ数年は
ずっと+2の状態です。
一度先生の病院に伺おうかと真剣に悩んでいます。
最近は特にお忙しいと言う事はわかっておりながら、はじめて書かせて頂きました。
本当にお手すきの時で結構ですので
何らかのアドバイスを頂ければ幸いです
どうか宜しくお願い致します。
今年9月に先生の本と出合い、また次の本と3冊購入させて頂き最近は、「食品別糖質量ハンドブック」を購入させて頂きました。
おかげさまで2ヶ月の間に、
夢の様な結果が出ました
HbA1c6.5%~5.8% 1ヶ月
HbA1c5.8%~5.2% 2ヶ月
アマリール朝1ミリ、夕2ミリから朝1、夕1に
そして2ヶ月目には朝1、夕0.5ミリに減らしました
他には、毎食前にメトグルコ250ミリ2錠とセイブル50ミリ1錠を飲んでいます。
主治医は、初めの1ヶ月目は頑張ってるねと、
機嫌が良かったのですが、勝手にどんどん薬を
減らした上に,HbA1c5.2%なんてありえないとゆう顔で、糖質制限に気づかれた様で、急に機嫌が悪くなり、そんな事をしていたら腎臓が悪くなるといわれましたが、今までの先生の本やブログで勉強していましたのでこれからもがんばりたいと思っています。
ただ一つ気がかりな事があります。
血中クレアチニン 0.83
eGFR 73.1
血清アルブミン 3.7 ↓
尿酸窒素 21 ↑
尿たんぱく +2
特に毎回病院での尿検査はもう10年以上前から たんぱく+1か+2が続いていて、ここ数年は
ずっと+2の状態です。
一度先生の病院に伺おうかと真剣に悩んでいます。
最近は特にお忙しいと言う事はわかっておりながら、はじめて書かせて頂きました。
本当にお手すきの時で結構ですので
何らかのアドバイスを頂ければ幸いです
どうか宜しくお願い致します。
レモン さん。
糖尿病腎症第3期Aか第3期Bの段階です。
蛋白尿10年以上なら、第3期Bでしょうか。
血糖コントロール良好を保ち、何とか糖尿病腎症の進行をくいとめる或いは遅くすることをめざしましょう。
血中クレアチニン 0.83
eGFR 73.1
なら糖質制限食実践は大丈夫ですが、蛋白尿が改善することは、困難なこともあります。
糖尿病腎症第3期Aか第3期Bの段階です。
蛋白尿10年以上なら、第3期Bでしょうか。
血糖コントロール良好を保ち、何とか糖尿病腎症の進行をくいとめる或いは遅くすることをめざしましょう。
血中クレアチニン 0.83
eGFR 73.1
なら糖質制限食実践は大丈夫ですが、蛋白尿が改善することは、困難なこともあります。
2012/11/20(Tue) 17:38 | URL | ドクター江部 | 【編集】
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