2007年10月19日 (金)
おはようございます。今朝は雨がしとしと降っています。
梅雨前線に対して秋雨前線というのがあるそうですね。
夏の太平洋高気圧(温かく湿った性質)と秋の高気圧(涼しくて乾燥)が日本の上空で争って秋雨前線が生じるようです。
これが終わると、台風シーズンだそうで要注意です。
さて今回は、久しぶりに人類の進化と食生活シリーズです。
現生人類誕生後に起こった最初の大きな歴史的変化は、1万5千年~5千年前の農業革命です。農耕により単位面積当たりで養える人口は20倍~100倍に激増しました。
しかし「天才と分裂病の進化論」によれば、水棲食物中心の食事から穀物中心への食事への変化は、少なくとも過渡期に人間に健康状態の悪化をもたらしました。
狩猟採集生活者の遺骸が見つかった場所で生活していた農耕生活者の遺骸についての数多くの調査結果で、身長は数インチ低くなり、遺骨は変性疾患の痕跡を示していました。
人口が少ない狩猟民族の頃は、魚や肉など動物性タンパク質をかなりの割合で摂取していたと考えられます。
現代でイメージするとしたら例えばイヌイット(エスキモー)さんの食生活ですね。
組織的農耕が始まってからは、増えた人口を養うためには、穀物(糖質)中心の食生活とならざるを得ず、結果として動物性タンパク質の摂取不足が発生した可能性があります。
現代でイメージするとすれば、穀物と野菜中心の菜食主義者の食生活の場合、ビタミンB12などが不足しがちです。
また、アトピー性皮膚炎の子供達に、一時除去食が過剰に行われたことがあります。穀物と野菜中心で、動物性タンパク質は除去の場合、カロリーは足りていても、成長障害が問題になったのは記憶に新しいところです。
さらに穀物中心の食生活からは、正常な脳機能に必要なEPA・DHA(ω3系必須脂肪酸)の摂取が不足するため脳の代謝に悪影響がでる可能性があります。
EPA・DHAは穀物や野菜・果物・ナッツなど植物性食品にはほとんど含まれていません。一部の海草や苔や肉微小藻類には含まれています。肉微小藻類を食べる水棲小動物や地虫・水鳥・魚・は虫類・両生類・昆虫・肉・臓器・脳・骨髄などの動物性食品にEPA・DHAは含まれています。
精製炭水化物を中心に食事を摂取する文明国の統合失調症は、重症のことが多いのです。
近年、欧米でEPAが統合失調症の治療薬として使われ、一定の効果を得ています。日本でも統合失調症にEPAを投与した臨床試験が始まっています。
このように、脳機能におけるEPAの役割の大切さが立証されてきています。
ブログ読者の皆さんで菜食主義のかたも、EPA不足にならないように、せめてお魚は食べてくださいね。
今回のブログは
「天才と分裂病の進化論」(デビット・ホロビン著、新潮社)を参考にしました。 (デビット・ホロビンは英国の著名な精神科医です。)
江部康二
梅雨前線に対して秋雨前線というのがあるそうですね。
夏の太平洋高気圧(温かく湿った性質)と秋の高気圧(涼しくて乾燥)が日本の上空で争って秋雨前線が生じるようです。
これが終わると、台風シーズンだそうで要注意です。
さて今回は、久しぶりに人類の進化と食生活シリーズです。
現生人類誕生後に起こった最初の大きな歴史的変化は、1万5千年~5千年前の農業革命です。農耕により単位面積当たりで養える人口は20倍~100倍に激増しました。
しかし「天才と分裂病の進化論」によれば、水棲食物中心の食事から穀物中心への食事への変化は、少なくとも過渡期に人間に健康状態の悪化をもたらしました。
狩猟採集生活者の遺骸が見つかった場所で生活していた農耕生活者の遺骸についての数多くの調査結果で、身長は数インチ低くなり、遺骨は変性疾患の痕跡を示していました。
人口が少ない狩猟民族の頃は、魚や肉など動物性タンパク質をかなりの割合で摂取していたと考えられます。
現代でイメージするとしたら例えばイヌイット(エスキモー)さんの食生活ですね。
組織的農耕が始まってからは、増えた人口を養うためには、穀物(糖質)中心の食生活とならざるを得ず、結果として動物性タンパク質の摂取不足が発生した可能性があります。
現代でイメージするとすれば、穀物と野菜中心の菜食主義者の食生活の場合、ビタミンB12などが不足しがちです。
また、アトピー性皮膚炎の子供達に、一時除去食が過剰に行われたことがあります。穀物と野菜中心で、動物性タンパク質は除去の場合、カロリーは足りていても、成長障害が問題になったのは記憶に新しいところです。
さらに穀物中心の食生活からは、正常な脳機能に必要なEPA・DHA(ω3系必須脂肪酸)の摂取が不足するため脳の代謝に悪影響がでる可能性があります。
EPA・DHAは穀物や野菜・果物・ナッツなど植物性食品にはほとんど含まれていません。一部の海草や苔や肉微小藻類には含まれています。肉微小藻類を食べる水棲小動物や地虫・水鳥・魚・は虫類・両生類・昆虫・肉・臓器・脳・骨髄などの動物性食品にEPA・DHAは含まれています。
精製炭水化物を中心に食事を摂取する文明国の統合失調症は、重症のことが多いのです。
近年、欧米でEPAが統合失調症の治療薬として使われ、一定の効果を得ています。日本でも統合失調症にEPAを投与した臨床試験が始まっています。
このように、脳機能におけるEPAの役割の大切さが立証されてきています。
ブログ読者の皆さんで菜食主義のかたも、EPA不足にならないように、せめてお魚は食べてくださいね。
今回のブログは
「天才と分裂病の進化論」(デビット・ホロビン著、新潮社)を参考にしました。 (デビット・ホロビンは英国の著名な精神科医です。)
江部康二
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