2012年07月26日 (木)
こんにちは。
2012年7月26日の読売新聞・医療ルネサンスに糖質制限食に賛否両論という記事が載り、加藤浩樹さんから、コメントをいただきました.
加藤さん、情報をありがとうございます。
ルネサンスの記事ですが、最初に糖質制限食でHbA1cが、8.3%→5.8%に下がった、東京・新橋の糖質制限食専門の中華料理店「梅花」の経営者の梅橋さんの成功体験が紹介されています。
ここまではいいのですが、そのあと、
#1 ケトン体が増えすぎる危険な状態に陥った報告がある。
#2 死亡率、脳卒中や心筋梗塞の危険性が高まったという長期の追跡調査がある。
という文章が記載されていて、糖質制限食を実践している人には不安を与える内容です。
#2に関しては、加藤さんが指摘された「ブリティッシュ・メディカル・ジャーナル」論文のことと考えられます。
2012年7月13日 (金)の本ブログ記事
「低糖質・高蛋白質で心血管イベントが上昇!?という論文へ専門家の批判」
2012年7月3日(火)の本ブログ記事
「低糖質・高蛋白質摂取で心血管イベントが上昇!?という論文を検討」
で述べましたように、大変信頼度の低い論文です。
・食事の調査を最初の一度しかしていないまま15年間追跡。
・調査方法が「自己申告」である。正しく申告されないケースが多々あることは分かりきっている。
・質問事項が、食べた食物の項目で答えるタイプで、炭水化物(糖質)量など各栄養素の算出方法が明確でない。
・塩分摂取量での調節がなされていない。
・心臓病リスクとなりうる他の要因(投薬・塩分摂取・喫煙・肥満など)について触れていない。
・挙げられている証拠が、結論を支持していない。
・主張されている相関関係がごく小さい。
・スコアリングシステムが間違っている。
このように「ブリティッシュ・メディカル・ジャーナル」の公式サイトに、この論文に対する各国の専門家からの批判が相次いでいます。
ここまで批判意見ばかりで、賛成意見がない論文はさすがに珍しいと思います。
それぐらい信頼度が低いので、本来「ブリティッシュ・メディカル・ジャーナル」には載せてはいけない、低レベルの論文と言えます。
#2に関しては、2012年07月19日 (木) の本ブログ記事
「糖尿病食事療法の短期効果と長期安全性、シンプルだけどこわい話②」
もご参照ください。
食後高血糖と血糖変動幅に対する短期的効果が、壊滅的に悪い「カロリー制限食」の長期的効果が良くなる可能性は、理論上あり得ないということです。
食後高血糖と血糖変動幅に対する短期的効果は「糖質制限食」なら、著明な改善があります。少なくとも高血糖による長期的動脈硬化のリスクに関しては糖質制限食ではほとんどないと言えます。
長くなりましたので
#1に関しては、明日の記事にします。
江部康二
【12/07/26 加藤浩樹
7/26読売新聞医療ルネサンス
この件とは関係ありませんが、本日の医療ルネサンス、糖質制限で死亡率、脳卒中や心筋梗塞のリスクが上がったとする長期の追跡調査もある、 というのは以前の先生のブログにもあった、信用の置けない記事のことでよろしいでしょうか?
この医療ルネサンスの内容を見ると明らかに『糖質制限は辞めた方がよい』という誤解を生じると思います。】
2012年7月26日の読売新聞・医療ルネサンスに糖質制限食に賛否両論という記事が載り、加藤浩樹さんから、コメントをいただきました.
加藤さん、情報をありがとうございます。
ルネサンスの記事ですが、最初に糖質制限食でHbA1cが、8.3%→5.8%に下がった、東京・新橋の糖質制限食専門の中華料理店「梅花」の経営者の梅橋さんの成功体験が紹介されています。
ここまではいいのですが、そのあと、
#1 ケトン体が増えすぎる危険な状態に陥った報告がある。
#2 死亡率、脳卒中や心筋梗塞の危険性が高まったという長期の追跡調査がある。
という文章が記載されていて、糖質制限食を実践している人には不安を与える内容です。
#2に関しては、加藤さんが指摘された「ブリティッシュ・メディカル・ジャーナル」論文のことと考えられます。
2012年7月13日 (金)の本ブログ記事
「低糖質・高蛋白質で心血管イベントが上昇!?という論文へ専門家の批判」
2012年7月3日(火)の本ブログ記事
「低糖質・高蛋白質摂取で心血管イベントが上昇!?という論文を検討」
で述べましたように、大変信頼度の低い論文です。
・食事の調査を最初の一度しかしていないまま15年間追跡。
・調査方法が「自己申告」である。正しく申告されないケースが多々あることは分かりきっている。
・質問事項が、食べた食物の項目で答えるタイプで、炭水化物(糖質)量など各栄養素の算出方法が明確でない。
・塩分摂取量での調節がなされていない。
・心臓病リスクとなりうる他の要因(投薬・塩分摂取・喫煙・肥満など)について触れていない。
・挙げられている証拠が、結論を支持していない。
・主張されている相関関係がごく小さい。
・スコアリングシステムが間違っている。
このように「ブリティッシュ・メディカル・ジャーナル」の公式サイトに、この論文に対する各国の専門家からの批判が相次いでいます。
ここまで批判意見ばかりで、賛成意見がない論文はさすがに珍しいと思います。
それぐらい信頼度が低いので、本来「ブリティッシュ・メディカル・ジャーナル」には載せてはいけない、低レベルの論文と言えます。
#2に関しては、2012年07月19日 (木) の本ブログ記事
「糖尿病食事療法の短期効果と長期安全性、シンプルだけどこわい話②」
もご参照ください。
食後高血糖と血糖変動幅に対する短期的効果が、壊滅的に悪い「カロリー制限食」の長期的効果が良くなる可能性は、理論上あり得ないということです。
食後高血糖と血糖変動幅に対する短期的効果は「糖質制限食」なら、著明な改善があります。少なくとも高血糖による長期的動脈硬化のリスクに関しては糖質制限食ではほとんどないと言えます。
長くなりましたので
#1に関しては、明日の記事にします。
江部康二
【12/07/26 加藤浩樹
7/26読売新聞医療ルネサンス
この件とは関係ありませんが、本日の医療ルネサンス、糖質制限で死亡率、脳卒中や心筋梗塞のリスクが上がったとする長期の追跡調査もある、 というのは以前の先生のブログにもあった、信用の置けない記事のことでよろしいでしょうか?
この医療ルネサンスの内容を見ると明らかに『糖質制限は辞めた方がよい』という誤解を生じると思います。】
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