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ブドウ糖負荷試験の禁忌とシンプルだけどこわい話
おはようございます。

75g経口ブドウ糖負荷試験は、糖尿病が確定していない段階の人において、血糖値を意図的に上昇させて、糖尿病型であるか否かを調べる検査です。

空腹時血糖や随時血糖が明らかに高値の症例で、すでに糖尿病と診断されている場合、経口ブドウ糖負荷試験は当然、不必要です。

あるいは

「糖尿病と確定している患者には、経口ブドウ糖負荷試験は原則として禁忌である。」

と強調する医師もいます。

すなわち糖尿病の患者さんに、経口ブドウ糖負荷試験を実施すれば、必ずや200mgを超える高血糖をまねき、明らかに生体に不利益を生じるからです。

さて、ここまでは前置きで、これからが本番です。

例えば、身長165cmくらいの男性2型糖尿人が病院を受診して、従来の糖尿病食を栄養士に指導されたとしましょう。

カロリー制限・高糖質食になりますから、どの病院でも1600kcal/日くらいで、そのうち糖質を50~60%摂取するように指導されると思います。

50%の糖質(穀物)としても、200g/日ですから、朝が50gくらいの糖質で、昼と夜が75gくらいの糖質摂取ですね。

炊いたご飯や食パンは100%ブドウ糖に変わりますから、朝が50g、昼と夜は75g経口ブドウ糖負荷試験をしているのと同じことになります。

まして60%の糖質摂取なら、240g/日なので、1日3回、80g経口ブドウ糖負荷試験をしているのと同じ血糖上昇が、2型糖尿人の体内で生じることとなります。

「糖尿病が確定している人に、経口ブドウ糖負荷試験は禁忌である。」

ということが医学界の共通理解なら、糖質を80g×3回/日摂取させる「カロリー制限・高糖質食」は、何故糖尿人には禁忌とならないのか大変疑問に思います。

ちなみに、75gの糖質は、炊いたご飯が200gちょっとで、茶碗に一膳盛りきりくらいです。

糖尿人のご同輩、ゆめゆめ油断はめされぬように・・・。

今日は、シンプルだけどこわいお話しでした。



江部康二

テーマ:糖尿病
ジャンル:ヘルス・ダイエット
コメント
凹みそうになります
信じられないような事が、ある業界では疑うことなく平然と続けられている・・・。どこかで聞いたことのある話です。教育業界しかり、医学界しかり、原子力業界しかり。こういったパラダイムを打破するには、どうしたらよいのか?と暗澹たる思いが致します。
2012/07/18(Wed) 10:42 | URL | oyasam | 【編集
特保飲料の効果の真偽は如何に⁈
夏の風物詩・稲川淳二を彷彿させる怖い話、静かに拝読させて頂きました。

先生、一つ質問なのですが、最近話題の

『花王・カテキン緑茶』
『KIRIN・メッツコーラ』

等の特保飲料は、理にかなった脂肪消費誘発飲料なのでしょうか???

先生的には、どのような考察されてますか???

並びに、効果的な飲み方などありましたらアドバイスお願いします!

お忙しいとは思いますが、よろしくお願いします。


2012/07/18(Wed) 11:07 | URL | なぽりたんじん | 【編集
Re: 特保飲料の効果の真偽は如何に⁈
なぽりたんじん さん。

いずれも、特保ですので、それなりに少しは効能があるのだと思います。
ただそれほど多くは期待できません。
糖質制限食のほうがはるかに有効です。

ちなみに私は、それらは飲みません。
普通のお茶や水を飲みます。
2012/07/18(Wed) 13:23 | URL | ドクター江部 | 【編集
ホントに恐ろしいです
三度ブドウ糖負荷しているのとかわりないと言われてぞっとします(T_T)
糖質制限継続中にブドウ糖負荷で200越えてアウトになりましたから日々こんな糖質をとってたら血管はボロボロ小さい我が子を残してポックリあの世行きだなとしみじみ思います(T_T)
やっと糖質制限を理解できる医院が遠いですが通える範囲に見つかりました。

遺伝だからと投薬をさせようとする主治医を説得できないですし…新しい病院で医師の指導のもと糖質制限を頑張れたらと思います(^^) 子供のためにも長生きしたいので投薬しないで糖尿と末長く付き合って行きます(^^)

本日日本食品標準成分表と先生の本が二冊届きます(^^)先生の本全て買っておりませんが参考に勉強したいと思います。
2012/07/18(Wed) 13:24 | URL | かよりん☆☆ | 【編集
re:特保飲料の効果の真偽は如何に?!
なぽりたんじんさん、はじめまして。
ざとと申します。
前にTVで検証結果を放送しているのを見たのですが、
効果は多少ありますが、殆ど期待出来ないそうです。

しかし、明らかに効果があったグループと
全く効果が無かったり悪くなったグループがあったそうです。

そのグループを対比すると効果的な飲み方が判りました。
実は効果的な飲み方はマインドセットにありました。

・効果的な飲み方

1.トクホ飲料を飲む
2.折角飲んだのだから、普段より食事量を減らそう!
3.結果として痩せる

との事でした。

・一方、効果が無かった飲み方

1.トクホ飲料を飲む
2.飲んだのだから、普段と同じ食事量や増やしても大丈夫!
3.結果として効果無しや悪化

まぁ、当たり前と言えば当たり前なのですが、凄く納得しました。
物に頼りたくなりますが、糖尿病と同じで自助努力が重要ですね(笑)。


糖質制限まとめサイト公開中
http://sites.google.com/site/tsmatome/
2012/07/18(Wed) 22:39 | URL | ざと | 【編集
モンティニャックのパスタ
先日モンティニャックのパスタについて投稿した者です。誤解を与えるような書き方をして申し訳ありません。
推奨したのではなく、その説明に感じるところがあったからなのです。

食品としては先生のおっしゃるように、既に糖尿人である人にとってはあまり意味がないかもしれませんが、発病していない家族の将来の予防のためには良い選択肢だと思いました。
2012/07/19(Thu) 07:55 | URL | Necobabar | 【編集
糖負荷試験・・・
はじめまして。。。いつも拝見しております。
糖負荷試験について。。。思う事が。。。意見をお聞かせ下さい。

職場の健康検査で糖尿が発覚し、すぐ病院へ。
検査の結果、空腹時血糖265 A1Cが12,3と検査入院を勧められましたが、仕事の都合で3週間後に。帰りに薬局にて薬を貰い帰宅。

ネットにて色々検索(かなり動揺してました)
知識のないまま、単純に食べる物を極端に減らし、食後の散歩。
するとめまいや冷や汗が。。。
またまたちゃんと知識がないにもかかわらず、これは低血糖だぁと、勝手に薬をやめました。

数日後、立ちくらみ、手足の冷え、物が見づらくなり焦点があいません。不安の中入院し、早速血液をかなり採られ。。。自分が病気なんだとやっと認識(笑)
結果はA1C10,0で、先生はビックリ。
3週間の間に何をしたか?と聞かれ上記の事をお話しました。担当医からは空腹時も85~105の間だし、これからは薬なしでいきましょうと。以来、薬なく2年半ほどたちます。

最近診察に行っていませんが、半年前の診察ではA1C5,2です。
しかしながら、神経障害あり、網膜症はまだですが検診で白内症、尿は+-か+が出ます。
あっ、年は46歳。男性でした(^_^;)

本題です(笑)
単身赴任のため、なかなか帰省しかかかりつけの病院にいけません。
赴任地はかなり小さい町のため専門医師が不在のため二時間かけて出かけるはめに。
受診するのですが(糖尿発覚時の状況やら体の状態を説明)糖尿専門医でも、いまの状況を知りたいので糖負荷試験を進めてきますし、1軒は受診前にその試験を受けてもらわないとダメですと言われ、受付もせず帰ってきました。

できれば、なかなかかかりつけの病院にかかれない状況なので、内心二つ目のかかりつけになって欲しい(勝手ですね)のですが、わざわざリスクがあるのに糖負荷試験を行うのは如何なものでしょうか?

2012/07/19(Thu) 08:15 | URL | tomo | 【編集
全くその通りです
とある理由で都内の某大病院に2週間ほど入院しました。退院前に栄養士の栄養指導を受けて1ヶ月後の血液検査でHa1cが1も上昇!栄養指導を厳密に守ってですよ!偉い糖尿病の専門曰く「何故かなぁ????」(これで部長ですよwww)

もう大病院の糖尿病専門医は信用しません。
2012/07/19(Thu) 08:43 | URL | 糖尿パーソン | 【編集
ホントに怖かったです
何度か書き込みさせていただいてる、1型のみいこです。
私も入院中のカロリー制限食が恐怖でした。
なんで砂糖と油と塩をこんなに厳しく制限するのに、主食は食え食えと言うのでしょうか?
挙げ句に当然はねあがる血糖値に対して、大量のインスリン注射。それで低血糖をおこせば、ブドウ糖を10gも摂れという。
そしてわざわざ血糖値を上げてから、わざわざインスリンを注射。納得できません。

糖質制限には批判的でも、食後高血糖、即ち急激な上昇及び急激な下降の方が問題であることは認識されているはずですよね?
2012/07/19(Thu) 15:23 | URL | みいこ | 【編集
Re: 糖負荷試験・・・
tomo さん。

HbA1c:5.2%とコントロール優秀にもかかわらず、神経障害がでたのは、
食後高血糖と血糖変動幅が大きかったのだと思います。
尿糖が時に陽性ですので、食後血糖値が180mg/dlを超えている可能性があります。

2年半前の検査データ<空腹時血糖265 A1Cが12,3>を、医師に示せばいいと思います。
もう糖尿病確定しているので、負荷試験は必要ないと思います。
2012/07/19(Thu) 18:53 | URL | ドクター江部 | 【編集
Re: 全くその通りです
糖尿パーソン さん。

それは大変でしたね。

糖質を摂取すれば、必ず食後高血糖となります。
食後高血糖に関してはカロリー計算は、ほとんど無意味です。
これは生理学的事実と論理に基づくことです。
2012/07/19(Thu) 18:56 | URL | ドクター江部 | 【編集
Re: ホントに怖かったです
みいこ さん。

カロリー計算では、食後血糖値の予測は不可能なので、インスリンの量とのマッチング良好は
極めて困難であり、高血糖と低血糖の乱高下になります。
理論的には、すぐ理解できるはずなのですが・・・?
最低限、1型では糖質管理食(カーボカウント)が必要です。

「糖質制限には批判的でも、食後高血糖、即ち急激な上昇及び急激な下降の方が問題であることは認識されているはずですよね?」

その通りです。世界中の糖尿病専門医の共通理解と思います。
2012/07/19(Thu) 19:04 | URL | ドクター江部 | 【編集
子供でもわかること
江部先生、はじめまして。
新しい創傷治療の夏目先生のサイトから来ました。
わたし自身も家族も糖尿人ではありませんが「糖質は身体に必要ない」ことが理解できたので、家族ともどもスタンダード糖質制限を実践しております。
本日の「シンプルだけど怖い話」について子供たち(高三・中二)に話したところ「あたりまえじゃん」「ばかじゃないの?」という答えでした。
まったく、子供にもわかる話です。
○○すると××になる、なら○○しなければいいのですから。
2012/07/19(Thu) 22:06 | URL | arinko | 【編集
Re: 子供でもわかること
arinko さん。

子供達は、予断や常識への拘りがないので、
すっと理論的に考えることができるのでしょう。
2012/07/19(Thu) 23:16 | URL | ドクター江部 | 【編集
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