2007年10月12日 (金)
こんばんは。
今日も涼しくて過ごしやすい一日でした。秋はいいですね。
でも高雄の秋は、ちょっと困るんです。 (-_~-)
紅葉の季節になると、観光客で車もバスも満員で、患者さんはおおいに苦労されますので、つらいところなんです。
さて今日は、哲学者さんからの質問です。
「お疲れ様です。
京都駅前の診療所ができて先生の診察がより受けられやすくなるのでありがたいです。遠方におりますが先生の診察を受けてみたいです。その時は宜しくお願いします。m(__)m
私の食後の血糖値パターンですがブドウ糖負荷の際のパターンと普通に食事を摂った時のパターンとはかなりことなります。ブドウ糖ですと1時間でピークを迎え2時間で落ち着きますがたとえばカレーライス(カーボ140g)ですと2時間で280、3時間でも280で5時間でやっと下がり始めます。で、今のところは空腹時が90から100くらいです。カーボ制限ですと2~3時間で血糖値が元の数値に落ち着くのですが。カーボを摂取した時の血糖値のパターンは2時間までだけでなくもっと後の時間も調べたほうがいいのではないかと思いました。食後の血糖値を測るなんてまだまだ測定法としてあまり知られていませんからね・・・いまだ血糖値といえば「空腹時」の数値を基準に考えている人達が多いです。今後は食後の(とりわけカーボの量による)血糖値のパターンを調べることが大事であることを認知していくようにしていかないといけないですね・・・。
by: 哲学者 * 2007/10/06 12:11」
哲学者さん、コメントありがとうございます。
ブドウ糖負荷試験の時のパターンと、カレーライス摂取の時のパターンが違うのですね。
まず一つは、糖質(カーボ)の量の違いです。ブドウ糖負荷試験は、75gのブドウ糖ですから、糖質140gのカレーライスとは大分違いますね。
もう一つはグリセミック・インデックス(以下GI)が関わると思います。
グリセミック・インデックスは、血糖上昇反応度とも言われます。同じ50gの糖質を含む食品でも、血糖値を急激に上昇させるものとゆっくり上昇させるものがあり、それを数値化したものがGIです。(GIに関しては6.13ブログ参照していただけば幸いです。)
ブドウ糖はGIがもっとも高く、100あります。一方白米は70程度ですので、ブドウ糖に比べれば少しゆっくりと血糖値が上がります。その分血糖値が下がるのも、白米はブドウ糖に比べれば遅れることになります。
ブドウ糖だとピークは30分、白いパンで60分ですので、白米はもうほんの少し遅くなるでしょう。
哲学者さんの血糖値のパターンも、このように糖質の量と食品の質により、一つ説明できます。もう一つは、やはり糖尿病パターンで、インスリン分泌能が衰えているためと考えられます。
「75g経口ブドウ糖負荷試験」で2時間値が
140mg未満は正常、
200mg以上は糖尿病、
この間が境界型と診断されます。
正常の人は、血糖値が上昇し始めたら即インスリンが追加分泌されます。これは第一相反応と呼ばれ、もともとプールされていたインスリンが5~10分間分泌されて、糖質摂取時の急激な食後高血糖を防いでいます。
その後、膵臓のベータ細胞は、第二相反応と呼ばれるやや少なめの持続するインスリン分泌を行います。これは、食事における糖質の残りをカバーしています。即ち、糖質を摂取している間は、第二相のインスリン分泌が持続します。
2型糖尿病患者は、通常、第一相反応が低下或いはなくなっていることが多いようです。従って、糖質摂取時に血糖値の急激な上昇(グルコーススパイク)が起きてしまいます。
また、第二相も低下してますので、糖質を摂取する限り、一旦上昇した血糖値はなかなか下がってきません。
糖質制限食ならば、追加インスリンの出番がほとんどないので、2型糖尿病患者でも食後高血糖を起こさずにすむわけです。
江部康二
今日も涼しくて過ごしやすい一日でした。秋はいいですね。
でも高雄の秋は、ちょっと困るんです。 (-_~-)
紅葉の季節になると、観光客で車もバスも満員で、患者さんはおおいに苦労されますので、つらいところなんです。
さて今日は、哲学者さんからの質問です。
「お疲れ様です。
京都駅前の診療所ができて先生の診察がより受けられやすくなるのでありがたいです。遠方におりますが先生の診察を受けてみたいです。その時は宜しくお願いします。m(__)m
私の食後の血糖値パターンですがブドウ糖負荷の際のパターンと普通に食事を摂った時のパターンとはかなりことなります。ブドウ糖ですと1時間でピークを迎え2時間で落ち着きますがたとえばカレーライス(カーボ140g)ですと2時間で280、3時間でも280で5時間でやっと下がり始めます。で、今のところは空腹時が90から100くらいです。カーボ制限ですと2~3時間で血糖値が元の数値に落ち着くのですが。カーボを摂取した時の血糖値のパターンは2時間までだけでなくもっと後の時間も調べたほうがいいのではないかと思いました。食後の血糖値を測るなんてまだまだ測定法としてあまり知られていませんからね・・・いまだ血糖値といえば「空腹時」の数値を基準に考えている人達が多いです。今後は食後の(とりわけカーボの量による)血糖値のパターンを調べることが大事であることを認知していくようにしていかないといけないですね・・・。
by: 哲学者 * 2007/10/06 12:11」
哲学者さん、コメントありがとうございます。
ブドウ糖負荷試験の時のパターンと、カレーライス摂取の時のパターンが違うのですね。
まず一つは、糖質(カーボ)の量の違いです。ブドウ糖負荷試験は、75gのブドウ糖ですから、糖質140gのカレーライスとは大分違いますね。
もう一つはグリセミック・インデックス(以下GI)が関わると思います。
グリセミック・インデックスは、血糖上昇反応度とも言われます。同じ50gの糖質を含む食品でも、血糖値を急激に上昇させるものとゆっくり上昇させるものがあり、それを数値化したものがGIです。(GIに関しては6.13ブログ参照していただけば幸いです。)
ブドウ糖はGIがもっとも高く、100あります。一方白米は70程度ですので、ブドウ糖に比べれば少しゆっくりと血糖値が上がります。その分血糖値が下がるのも、白米はブドウ糖に比べれば遅れることになります。
ブドウ糖だとピークは30分、白いパンで60分ですので、白米はもうほんの少し遅くなるでしょう。
哲学者さんの血糖値のパターンも、このように糖質の量と食品の質により、一つ説明できます。もう一つは、やはり糖尿病パターンで、インスリン分泌能が衰えているためと考えられます。
「75g経口ブドウ糖負荷試験」で2時間値が
140mg未満は正常、
200mg以上は糖尿病、
この間が境界型と診断されます。
正常の人は、血糖値が上昇し始めたら即インスリンが追加分泌されます。これは第一相反応と呼ばれ、もともとプールされていたインスリンが5~10分間分泌されて、糖質摂取時の急激な食後高血糖を防いでいます。
その後、膵臓のベータ細胞は、第二相反応と呼ばれるやや少なめの持続するインスリン分泌を行います。これは、食事における糖質の残りをカバーしています。即ち、糖質を摂取している間は、第二相のインスリン分泌が持続します。
2型糖尿病患者は、通常、第一相反応が低下或いはなくなっていることが多いようです。従って、糖質摂取時に血糖値の急激な上昇(グルコーススパイク)が起きてしまいます。
また、第二相も低下してますので、糖質を摂取する限り、一旦上昇した血糖値はなかなか下がってきません。
糖質制限食ならば、追加インスリンの出番がほとんどないので、2型糖尿病患者でも食後高血糖を起こさずにすむわけです。
江部康二
どうも丁寧にお答えくださりありがとうございます。恐縮しております。
理解できました。まずは糖質の量、あとはGIによる吸収の度合い、
それと追加インスリンの点ということですね!血糖値のパターンが異なるのは・・・
私達は追加インスリンで第一相反応が衰えているし第二相も衰えているのですね!実は恥ずかしながら追加インスリン分泌で第一相と第二相があるのを初めて知りました・・・^^;;いろいろと勉強になります。まだまだ奥が深いものなのですね。糖尿になってからやはり関心は高いのでいろいろと知りたいことが沢山出てきます!
それにしても糖尿人にとっては糖質を沢山摂る事は結構無謀だったりしますね・・・^^;;それでも今まで糖質に慣れて生活してきたのでとりあえずは今のところ昼食だけ高糖質であとは低糖質にしています。やはりご飯も食べたいもので・・・続けていくために無理せずに頑張っていきたいと思います。
理解できました。まずは糖質の量、あとはGIによる吸収の度合い、
それと追加インスリンの点ということですね!血糖値のパターンが異なるのは・・・
私達は追加インスリンで第一相反応が衰えているし第二相も衰えているのですね!実は恥ずかしながら追加インスリン分泌で第一相と第二相があるのを初めて知りました・・・^^;;いろいろと勉強になります。まだまだ奥が深いものなのですね。糖尿になってからやはり関心は高いのでいろいろと知りたいことが沢山出てきます!
それにしても糖尿人にとっては糖質を沢山摂る事は結構無謀だったりしますね・・・^^;;それでも今まで糖質に慣れて生活してきたのでとりあえずは今のところ昼食だけ高糖質であとは低糖質にしています。やはりご飯も食べたいもので・・・続けていくために無理せずに頑張っていきたいと思います。
2007/10/13(Sat) 11:07 | URL | 哲学者 | 【編集】
書き忘れてしまって思い出したのですが・・・
それにしてもどうして追加インスリンの分泌が遅く出てしまうのでしょうか?
人体とはつくづく不思議なものです。。。
それにしてもどうして追加インスリンの分泌が遅く出てしまうのでしょうか?
人体とはつくづく不思議なものです。。。
2007/10/13(Sat) 11:10 | URL | 哲学者 | 【編集】
食後高血糖値についておしえてください。
12年前に慢性膵炎疑診で投薬治療。半年ほどで回復し、その後食事制限の指示もなかったため、普通に生活してきました。昨年12月より膵炎の症状が再燃。3ヶ月間毎日、毎食後強い痛みに耐えてきました。検査をしても膵炎を示す数値、画像が得られなかったため今回も確定診断をえることができませんでした。今回痛みが強く、また12年経過しているため、膵臓の荒廃が心配だったので、糖尿の検査を申し出て血液検査と、ブドウ糖負荷検査を行いましたところ、負荷前108、30分後198、60分後225、120分後131で消化器科の主治医は治療の対象ではないとなんの説明も指示もありません。この数値から何がわかるんでしょうか。またこのままなにもしなくていいのでしょうか。どうぞご教示ください。お願いします。
12年前に慢性膵炎疑診で投薬治療。半年ほどで回復し、その後食事制限の指示もなかったため、普通に生活してきました。昨年12月より膵炎の症状が再燃。3ヶ月間毎日、毎食後強い痛みに耐えてきました。検査をしても膵炎を示す数値、画像が得られなかったため今回も確定診断をえることができませんでした。今回痛みが強く、また12年経過しているため、膵臓の荒廃が心配だったので、糖尿の検査を申し出て血液検査と、ブドウ糖負荷検査を行いましたところ、負荷前108、30分後198、60分後225、120分後131で消化器科の主治医は治療の対象ではないとなんの説明も指示もありません。この数値から何がわかるんでしょうか。またこのままなにもしなくていいのでしょうか。どうぞご教示ください。お願いします。
2008/03/11(Tue) 12:14 | URL | 糖尿初心者 | 【編集】
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