2012年07月07日 (土)
こんにちは。
糖質制限食で、HbA1cが改善。
尿素窒素高値は大丈夫?
というコメントをいただきました。
拙著のご購入ありがとうございます。
約1年半の糖質制限食実践で、HbA1c:10.0%(JDS)→5.8%(JDS?NGSP?)
直近のHbA1c5.8%がNGSP値なら、JDS換算だと5.4%ですから、コントロール優秀で正常範囲ですね。
尿素窒素(BUN)ですが、ご質問の21.9mg/dlていどなら、全く問題ありません。
確かに尿素窒素(BUN)の一般的な基準値は8~20mg/dlくらいです。
しかし、糖質制限食中は、30mg/dl程度なら生理的で正常値と考えてOKです。
細胞内の蛋白質が限度まで満たされると、体液中のアミノ酸は分解され、エネルギーとして使われたり、主に脂質あるいは、わずかながらグリコーゲンとして貯蔵されます。この大部分は、肝臓で行われます。
アミノ酸分解産物であるアンモニアが、そのままでは神経毒性を有するため、肝で尿素サイクルの代謝をうけて尿素が産生されます。
尿素のほとんどは、腎臓の糸球体で濾過されて尿中に排泄されますが、その一部は再吸収され、血中に戻されます。
一部再吸収されるので、高タンパク食(糖質制限食)により、血中尿素窒素(BUN)が高値となることはありますが、これは生理的な現象で、腎機能障害ではありません。血中クレアチニン値や血中シスタチンCの値が正常であれば問題ありません。
また、高タンパク食(糖質制限食)で、正常な腎臓に負担がかかるということもありません。
従いまして糖質制限食実践中で、尿素窒素が21.9mg/dlでもクレアチニン値が0.5mg/dlならば、腎機能は正常であり、尿素窒素の見かけ上の軽度高値は、生理的なもので、何の心配もいりません。
江部康二
【12/07/07
はじめまして!
私は、1年半前に体の倦怠感を感じ近医を受診したところ糖尿病と診断されHA1c10で即入院となりました。
そこで江部先生の糖質制限食の本と出会い、それからずっと糖質制限食を実行させて頂いております。 おかげさまでHA1cも今では、5、8となっております。
ですが、今回会社の健康診断で尿素窒素が21.9と正常範囲を超えてしまい経過観察となりました。
それから心配と不安感が募ったため、今日は思い切って江部先生に相談させていただきます。
このような数字は、あまり心配しないほうがいいのでしょうか?ちなみにクレアチニンは0.5と正常範囲でした。】
糖質制限食で、HbA1cが改善。
尿素窒素高値は大丈夫?
というコメントをいただきました。
拙著のご購入ありがとうございます。
約1年半の糖質制限食実践で、HbA1c:10.0%(JDS)→5.8%(JDS?NGSP?)
直近のHbA1c5.8%がNGSP値なら、JDS換算だと5.4%ですから、コントロール優秀で正常範囲ですね。
尿素窒素(BUN)ですが、ご質問の21.9mg/dlていどなら、全く問題ありません。
確かに尿素窒素(BUN)の一般的な基準値は8~20mg/dlくらいです。
しかし、糖質制限食中は、30mg/dl程度なら生理的で正常値と考えてOKです。
細胞内の蛋白質が限度まで満たされると、体液中のアミノ酸は分解され、エネルギーとして使われたり、主に脂質あるいは、わずかながらグリコーゲンとして貯蔵されます。この大部分は、肝臓で行われます。
アミノ酸分解産物であるアンモニアが、そのままでは神経毒性を有するため、肝で尿素サイクルの代謝をうけて尿素が産生されます。
尿素のほとんどは、腎臓の糸球体で濾過されて尿中に排泄されますが、その一部は再吸収され、血中に戻されます。
一部再吸収されるので、高タンパク食(糖質制限食)により、血中尿素窒素(BUN)が高値となることはありますが、これは生理的な現象で、腎機能障害ではありません。血中クレアチニン値や血中シスタチンCの値が正常であれば問題ありません。
また、高タンパク食(糖質制限食)で、正常な腎臓に負担がかかるということもありません。
従いまして糖質制限食実践中で、尿素窒素が21.9mg/dlでもクレアチニン値が0.5mg/dlならば、腎機能は正常であり、尿素窒素の見かけ上の軽度高値は、生理的なもので、何の心配もいりません。
江部康二
【12/07/07
はじめまして!
私は、1年半前に体の倦怠感を感じ近医を受診したところ糖尿病と診断されHA1c10で即入院となりました。
そこで江部先生の糖質制限食の本と出会い、それからずっと糖質制限食を実行させて頂いております。 おかげさまでHA1cも今では、5、8となっております。
ですが、今回会社の健康診断で尿素窒素が21.9と正常範囲を超えてしまい経過観察となりました。
それから心配と不安感が募ったため、今日は思い切って江部先生に相談させていただきます。
このような数字は、あまり心配しないほうがいいのでしょうか?ちなみにクレアチニンは0.5と正常範囲でした。】
江部先生、はじめまして。
現在40歳の女性です。10年前より、過食ではないのに体重が増え続け、非常にコントロールがむずかしく、尚且つリンパ浮腫と疑われるほどの脚の浮腫みがあり、一年間様々な検査をし、ようやく先月婦人科でPCOSと診断されたことを受け、婦人科からは勧められませんでしたが、
自ら内科を受診したところインシュリン抵抗性と診断されました。
診断後、先生の著書などを参考に最初の一週間はスタンダード糖質制限、その後3週間のスーパー糖質制限で体重はマイナス3.5キロです。ダイエットすればするほど太っていったのですが、
今回短期間でここまで体重が落ちて喜んでいます。
ちなみに医者からもらったメトグルコ250を朝晩飲んでいます。
また、PCOSにより生理痛が激しいのと、浮腫み等が改善できるかということを期待して婦人科でリュープリンを2回打ちました。今日の診察で婦人科医にはインシュリン抵抗性の件を話し、
今後はインシュリン抵抗性改善を第一と考えることにし、婦人科では特に治療をしないこととして、リュープリンは中止しました。ぶどう糖負荷試験は受けていません。
この一ヶ月の血液検査の数値は以下の通りです。
6月: 血糖:96(空腹時) インシュリン:12.4 HbAlc:(JDS)5.0
7月: 血糖:104 (低糖質ワッフルとハムエッグの朝食後)インシュリン:18.4 HbAlc:(JDS)4.9
コレステロールは227から212へ下がりました。
PCOSの観点からお話すると初潮以来ずっと生理は安定しません。そのことから
思春期からPCOSの所見は見られたのですが、当時診断はつきませんでした。
今回、婦人科、内科ともに思春期ごろからインシュリン抵抗性(PCOS)があったと思われると
言われました。ですが、私は30際直前まで痩せており、体重のコントロールが効かなくなったのはこの10年です。
肥満がインシュリンの分泌を促し、インシュリン抵抗性となると効きますが、私の場合は
もともとインシュリン抵抗性があったために、太ってきたと思うのですが、先生はどう思われますか?鶏と卵の関係です。
現在私は中性脂肪は高いものの、コレステロールやHbA1cが正常値なので糖尿ではなく、
あくまでも典型的なPCOS&インシュリン抵抗性(体質?) なのか?
家族に糖尿人はおらず、肥満しているものもいません。
前置きが長くなりましたが、いくつか疑問点があります。
先生のご意見が伺いたく存じます。
スーパー糖質制限中でもメトグルコは飲み続けてよいでしょうか。
体重の減りがあまり芳しくないのは、抵抗性が改善していないからか。
リュープリンやメトグルコの作用があるのでしょうか?
目標体重(-20kg)に達したら、糖質を採ってもグルコーススパイクは起こらないか。または、糖尿人ではないが、体質的に繰り返すならば目標体重に達した後も糖質制限を続けるべきか。
尿検査でケトン体は検出されなかったが、3週間のスーパー糖質制限でこれは普通ですか?
32歳でがんになったのも、インシュリン抵抗性によるものでしょうか?
膠原病の検査では、抗核抗体が40倍でした。経過観察中ですが、糖質制限で良くなると思われますか?
どうぞ宜しくお願い申し上げます。
現在40歳の女性です。10年前より、過食ではないのに体重が増え続け、非常にコントロールがむずかしく、尚且つリンパ浮腫と疑われるほどの脚の浮腫みがあり、一年間様々な検査をし、ようやく先月婦人科でPCOSと診断されたことを受け、婦人科からは勧められませんでしたが、
自ら内科を受診したところインシュリン抵抗性と診断されました。
診断後、先生の著書などを参考に最初の一週間はスタンダード糖質制限、その後3週間のスーパー糖質制限で体重はマイナス3.5キロです。ダイエットすればするほど太っていったのですが、
今回短期間でここまで体重が落ちて喜んでいます。
ちなみに医者からもらったメトグルコ250を朝晩飲んでいます。
また、PCOSにより生理痛が激しいのと、浮腫み等が改善できるかということを期待して婦人科でリュープリンを2回打ちました。今日の診察で婦人科医にはインシュリン抵抗性の件を話し、
今後はインシュリン抵抗性改善を第一と考えることにし、婦人科では特に治療をしないこととして、リュープリンは中止しました。ぶどう糖負荷試験は受けていません。
この一ヶ月の血液検査の数値は以下の通りです。
6月: 血糖:96(空腹時) インシュリン:12.4 HbAlc:(JDS)5.0
7月: 血糖:104 (低糖質ワッフルとハムエッグの朝食後)インシュリン:18.4 HbAlc:(JDS)4.9
コレステロールは227から212へ下がりました。
PCOSの観点からお話すると初潮以来ずっと生理は安定しません。そのことから
思春期からPCOSの所見は見られたのですが、当時診断はつきませんでした。
今回、婦人科、内科ともに思春期ごろからインシュリン抵抗性(PCOS)があったと思われると
言われました。ですが、私は30際直前まで痩せており、体重のコントロールが効かなくなったのはこの10年です。
肥満がインシュリンの分泌を促し、インシュリン抵抗性となると効きますが、私の場合は
もともとインシュリン抵抗性があったために、太ってきたと思うのですが、先生はどう思われますか?鶏と卵の関係です。
現在私は中性脂肪は高いものの、コレステロールやHbA1cが正常値なので糖尿ではなく、
あくまでも典型的なPCOS&インシュリン抵抗性(体質?) なのか?
家族に糖尿人はおらず、肥満しているものもいません。
前置きが長くなりましたが、いくつか疑問点があります。
先生のご意見が伺いたく存じます。
スーパー糖質制限中でもメトグルコは飲み続けてよいでしょうか。
体重の減りがあまり芳しくないのは、抵抗性が改善していないからか。
リュープリンやメトグルコの作用があるのでしょうか?
目標体重(-20kg)に達したら、糖質を採ってもグルコーススパイクは起こらないか。または、糖尿人ではないが、体質的に繰り返すならば目標体重に達した後も糖質制限を続けるべきか。
尿検査でケトン体は検出されなかったが、3週間のスーパー糖質制限でこれは普通ですか?
32歳でがんになったのも、インシュリン抵抗性によるものでしょうか?
膠原病の検査では、抗核抗体が40倍でした。経過観察中ですが、糖質制限で良くなると思われますか?
どうぞ宜しくお願い申し上げます。
2012/07/07(Sat) 16:24 | URL | ぽち子 | 【編集】
ぽち子 さん。
PCOSの根本要因は、糖質の頻回・過剰摂取ではないかと考えています。
従って糖質制限食がPCOSの根本治療といえるかもしれません。
体重は、4週間で3.5kg減量なら個人差がありますがそんなものです。
メトグルコは飲んでも問題はありません。
「尿検査でケトン体は検出されなかったが、3週間のスーパー糖質制限でこれは普通ですか?」
個人差があります。3.5kg減量なのでよいと思います。
「32歳でがんになったのも、インシュリン抵抗性によるものでしょうか?」
高インスリン血症は、発ガンのリスクとなります。
「膠原病の検査では、抗核抗体が40倍でした。経過観察中ですが、糖質制限で良くなると思われますか? 」
これは経験がないので、わかりません。
2010年12月23日 (木)の本ブログ記事「多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)と糖質制限食」
をご参照ください。
PCOSの根本要因は、糖質の頻回・過剰摂取ではないかと考えています。
従って糖質制限食がPCOSの根本治療といえるかもしれません。
体重は、4週間で3.5kg減量なら個人差がありますがそんなものです。
メトグルコは飲んでも問題はありません。
「尿検査でケトン体は検出されなかったが、3週間のスーパー糖質制限でこれは普通ですか?」
個人差があります。3.5kg減量なのでよいと思います。
「32歳でがんになったのも、インシュリン抵抗性によるものでしょうか?」
高インスリン血症は、発ガンのリスクとなります。
「膠原病の検査では、抗核抗体が40倍でした。経過観察中ですが、糖質制限で良くなると思われますか? 」
これは経験がないので、わかりません。
2010年12月23日 (木)の本ブログ記事「多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)と糖質制限食」
をご参照ください。
2012/07/07(Sat) 18:52 | URL | ドクター江部 | 【編集】
わだりゅう さん。
実際に良い結果がでておられるので、
今の、「タンパク制限+糖質制限」で脂質でエネルギー摂取でよりと思います。
1:ご飯を食べれば必ず食後高血糖となり、クレアチニンはどんどん悪化するので食べない方がいいです。
2:クレアチニンのほうが正確ですので、今のやりかたでいいと思います。
3:180mgまでなら薬は増やさなくていいと思います。
ただ腎不全の場合は、メトホルミン(メトグルコ)は通常は使いませんので主治医とご相談ください。
4:今の食事でデータ改善してますので、それでいいと思います。
実際に良い結果がでておられるので、
今の、「タンパク制限+糖質制限」で脂質でエネルギー摂取でよりと思います。
1:ご飯を食べれば必ず食後高血糖となり、クレアチニンはどんどん悪化するので食べない方がいいです。
2:クレアチニンのほうが正確ですので、今のやりかたでいいと思います。
3:180mgまでなら薬は増やさなくていいと思います。
ただ腎不全の場合は、メトホルミン(メトグルコ)は通常は使いませんので主治医とご相談ください。
4:今の食事でデータ改善してますので、それでいいと思います。
2012/07/07(Sat) 20:00 | URL | ドクター江部 | 【編集】
江部先生、
迅速なお返事ありがとうございました。
2010年12月23日の記事も読みました。
やはりPCOSの原因はいまだ不明だけれど、糖質の頻回・過剰摂取が原因と思われるということですね。がんにしてもそうですが、同じことをしても病気になる人、ならない人の差は遺伝情報など、個人差としか言えないでしょうか?
母も私以上に糖質を摂取していますが、痩せすぎです。バセドウ病になったので、もしかしたら原因は同じかもしれませんが。
どうもありがとうございました。
糖質制限続けていきます。
迅速なお返事ありがとうございました。
2010年12月23日の記事も読みました。
やはりPCOSの原因はいまだ不明だけれど、糖質の頻回・過剰摂取が原因と思われるということですね。がんにしてもそうですが、同じことをしても病気になる人、ならない人の差は遺伝情報など、個人差としか言えないでしょうか?
母も私以上に糖質を摂取していますが、痩せすぎです。バセドウ病になったので、もしかしたら原因は同じかもしれませんが。
どうもありがとうございました。
糖質制限続けていきます。
2012/07/07(Sat) 20:32 | URL | ぽち子 | 【編集】
早速のご返信ありがとうございました。
不安が父親も不安が解消され、安心して治療に専念できます。
親孝行と思い、家族で頑張って行きます。
本当にありがとうございました。
わだりゅう
不安が父親も不安が解消され、安心して治療に専念できます。
親孝行と思い、家族で頑張って行きます。
本当にありがとうございました。
わだりゅう
2012/07/07(Sat) 21:13 | URL | わだりゅう | 【編集】
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