2012年07月06日 (金)
こんばんは。
昨日の精神科医Aさんによる「食事摂取基準の変遷」の続きです。
昨日の記事で、食事摂取基準変遷の大きな流れとしては、
精神科医Aさんのコメント
【食事摂取基準2005年と2010年を比較してみると、2005年では「ぶどう糖要求量は少なくとも100g/日」との記述があった。2010年には100g/日以下でも糖新生が行われる、との記述が加わった。推定平均必要量も明記されていない。
また2005年では「炭水化物エネルギー比率として50~70%エネルギーを成人の目標量」としているが、2010年では「そこで、十分な根拠はないものの、おおむね…」の表現が加わった。
結論として、炭水化物のエネルギー比率を決定する明確なエビデンスは全くなく、低炭水化物食を否定しない方向に傾いている。】
にもあるように、糖質制限食を否定する表現が後退して、「100g/日以下でも糖新生が行われる」など容認する方向性がでてきているようです。
さらに、食事摂取基準と国会審議(1)における、古川俊治委員の発言をみると
【今年の7月のニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシンは、炭水化物を減らすことがいいんだと、実は。脂肪は不飽和脂肪酸を取る限りは問題がないというようなデータがこれは確実に出ます。
これはもう明らかなエビデンスなんですけれども、そのほかにも私知っているだけで四つのエビデンスがあります。低炭水化物食が一番メタボリックシンドロームを良くするということなんですね。
それについて、これ日本人の食事基準にもうずうっと使っていますけれども、こういうエビデンス、新しいのが出たら速やかにそういったものを使う、そういった体制を整えるべきじゃないかと、私はそう考えるんですが、いかがでしょうか。】
炭水化物を減らすことがいいというエビデンスが、ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシンの論文にあり、それに加えてさらに4つエビデンスがあると発言しておられます。
糖質制限食の味方が、確実に増えていますね。
江部康二
☆☆☆精神科医Aさんのコメント
最後に、日本人の食事摂取基準(2010年版)ブロック別講習会資料の総論から引用しておく
www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/pdf/blockbetu-shiryou01.pdf
(総論3) 今までの食事・栄養と健康に関するさまざまな研究の結果を、世界中から集め(エビデンスの収集)、それぞれの研究結果について、専門家が内容を読み、まとめる作業を行い(系統的レビュー)、科学的根拠に基づく策定を行った。2000年以後、参考文献の数は急増している。最近の栄養学の進歩と変化はめざましい。
(総論14) 食事摂取基準は、数値の時代から理論・理屈の時代に入った。活用は、数値をあてはめる時代から、考える時代に入った。専門職として、深く理解し、適切に活用したい。
「総論」を3回読んでください。
1回目:ざっと
2回目:肯定的に(理解しようと前向きに)
3回目:懐疑的に(疑問をもって)
2012/04/12(Thu) 21:18 | URL | 精神科医師A | 【編集】
食事摂取基準と国会審議(1)
参院厚生労働委員会2008年11月13日
http://kokkai.ndl.go.jp/SENTAKU/sangiin/170/0062/17011130062002c.html
○古川俊治委員
ちょっと急ぎになりましたけれども、今日ちょっとお配りしていただいたこの表を見ていただきたいと思います。
ちょっと御興味ある方、是非覚えていただきたいんですね。これは、抗メタボリックとともに、同時に、抗加齢ということも言われていますね、なるべく若くしていくにはこういうのが必要だ。ちょっと出典は示しておりませんが、左側の表が今年の3月の日本医師会雑誌の2385ページの表でございます。
それから右側の表は、2005年の、最新版のハーバード・メディカル・スクールのパブリックヘルスの教室から出ております食料のピラミッドというやつでありまして、一番新しいデータを参考にして入っております。その二つが出典なんでございますが。
従来ですと、このメタボリックシンドローム、今日、櫻井議員からも、今席外していらっしゃるんですが、メタボリックシンドロームがリスクの要因であって、心疾患の発症に大きく影響しているということは日本の基準を使ってもあります、データは。そこはあるんですね、エビデンスが。
それから、メタボリックシンドロームは疾患が多いということはあります。それから、メタボリックシンドロームに対して運動介入を行うと疾患の罹患率が下がるというエビデンスもあります。そこは正しいんですね。
あとは、医療費が下がるかどうかというところについては、医療費を下げたというパイロットスタディー、幾つかあると。健診の値段とそれが見合うかというところについてはまだありません。だから、多分今後はそれが必要なんだろうというふうに私は考えています。
それで、その上で、2005年の食事基準、食料基準ですか、というのが厚生労働省がいろいろと、栄養基準ですね、これを作っておりまして、2010年までこれが使われる予定になっているんですけれども、そこで、総カロリーについて大体55から60%ぐらいが炭水化物から取れというような指針になっていて、今の食事バランスガイドも全部それになっています。
なるべく脂肪を減らしなさい、今まで脂肪摂取量が増えたんで日本人は不健康になったんだと、炭水化物は55から60%取れというんですね。
ところが、今年の7月のニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシンは、炭水化物を減らすことがいいんだと、実は。脂肪は不飽和脂肪酸を取る限りは問題がないというようなデータがこれは確実に出ます。
これはもう明らかなエビデンスなんですけれども、そのほかにも私知っているだけで四つのエビデンスがあります。低炭水化物食が一番メタボリックシンドロームを良くするということなんですね。
それについて、これ日本人の食事基準にもうずうっと使っていますけれども、こういうエビデンス、新しいのが出たら速やかにそういったものを使う、そういった体制を整えるべきじゃないかと、私はそう考えるんですが、いかがでしょうか。
2012/04/12(Thu) 21:19 | URL | 精神科医師A | 【編集】
食事摂取基準と国会審議(2)
○上田博三 厚生労働省健康局長
日本人の食事摂取基準は、健康な個人又は集団を対象として国民の健康の保持増進に資するため、食事によるエネルギー及び栄養素の摂取量の基準を示したものでございまして、昭和45年以来おおむね5年ごとに改定されております。
現在、我が国の栄養指導に用いられているものは2005年度版でございますが、これを改定をして、今2010年度版を作るべく既に検討会を立ち上げたところでございます。
検討会におきましては、近年の国民の栄養状態の推移や国内外における最新文献等を分析、評価をしているところでございまして、委員御指摘の研究成果も踏まえその場において議論されるものと考えておりますけれども、このことによりまして食事摂取基準が最新の科学的知見を踏まえたものになるように改定作業を進めていくこととしております。
○古川俊治
5年のうちに今の食事の常識というのは明らかに変わるほど知見が集積されるようになりました。速やかに国民に使われることこそ必要だと思います。正しい知見を広めていくこと、間違った基準を使ってそのまま施策が行われるという状態を早く改善していく、これを、情報を開示することぐらいはやっていただきたいというふうに考えます。
もう一つ重要なのが糖尿病の問題なんですね。これ、今の成人人口の約20%はもう既に予備軍と言われておりまして、今後は30%ぐらいに増える、医療費のすごく足かせになるわけですけれども、これで、グルコース・インシュリン・インデックスというのが決まっておりまして、食事によってこれを低いものを食べた方が血糖値が上がりにくいんですね。
これは、血糖値が上がることが実を言うと今老化やメタボリックに非常に悪いということがだんだん分かってきておりまして、これできるだけ低いものを食べた方がいい。こういう考え方も全然食事摂取基準に入っていないんですよね、栄養バランスにですね。
これは驚くことに、GIは白米が実は77なんですよ、驚くというか寂しいことにですね。ケーキとかチョコレートやビスケットの方が同じカロリーを取るんだと血糖値が上がりにくいんですよね。
ホワイトブレッドと白米、いわゆる食パンの白いやつ、これが一番はっきり言って良くなくて、この右側のピラミッドを見ていただきたいんですが、一番上、ホワイトライス、ホワイトブレッドと書いてありますよね。
これはスイーツと同じところに置かれているんですよ。これだけは毎日取るなと言うんですね。控えめにしてくれと言っているんですよね、すごく。
ところが、下から二番目の左側にホール・グレーン・フーズってありますよね。すなわち、グラハムパンとかあるいは玄米のことなんですよね、こういうのは。そういうのが血糖値が上がりにくいから、こっちに変えろと言っているんですね。
現在のところ、玄米の方が白米よりいいなんという指針も全然表れていないですし、これ食べ方にもよるんですが、一般にもう高GI食というのはまずいということが定説になっている、こういうことも是非踏まえてやっていただきたいと思います。これはちょっと、以上御紹介だけにしておきますが、そういったことも入れないともう5年ごとでは遅いということだけ申し上げさせていただきます。
*健康科学 No.2:食事と運動による健康づくり 古川俊治先生のサイト
www.toshiharu-furukawa.jp/healthscience/index.html
食生活としては、脂肪(特に飽和脂肪酸)や炭水化物の摂取を抑え、低カロリー高たんぱくで、多くの種類の食材を用いた食事とするのが原則です。日本食や地中海食が健康食の代表です。
2012/04/12(Thu) 21:20 | URL | 精神科医師A
昨日の精神科医Aさんによる「食事摂取基準の変遷」の続きです。
昨日の記事で、食事摂取基準変遷の大きな流れとしては、
精神科医Aさんのコメント
【食事摂取基準2005年と2010年を比較してみると、2005年では「ぶどう糖要求量は少なくとも100g/日」との記述があった。2010年には100g/日以下でも糖新生が行われる、との記述が加わった。推定平均必要量も明記されていない。
また2005年では「炭水化物エネルギー比率として50~70%エネルギーを成人の目標量」としているが、2010年では「そこで、十分な根拠はないものの、おおむね…」の表現が加わった。
結論として、炭水化物のエネルギー比率を決定する明確なエビデンスは全くなく、低炭水化物食を否定しない方向に傾いている。】
にもあるように、糖質制限食を否定する表現が後退して、「100g/日以下でも糖新生が行われる」など容認する方向性がでてきているようです。
さらに、食事摂取基準と国会審議(1)における、古川俊治委員の発言をみると
【今年の7月のニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシンは、炭水化物を減らすことがいいんだと、実は。脂肪は不飽和脂肪酸を取る限りは問題がないというようなデータがこれは確実に出ます。
これはもう明らかなエビデンスなんですけれども、そのほかにも私知っているだけで四つのエビデンスがあります。低炭水化物食が一番メタボリックシンドロームを良くするということなんですね。
それについて、これ日本人の食事基準にもうずうっと使っていますけれども、こういうエビデンス、新しいのが出たら速やかにそういったものを使う、そういった体制を整えるべきじゃないかと、私はそう考えるんですが、いかがでしょうか。】
炭水化物を減らすことがいいというエビデンスが、ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシンの論文にあり、それに加えてさらに4つエビデンスがあると発言しておられます。
糖質制限食の味方が、確実に増えていますね。
江部康二
☆☆☆精神科医Aさんのコメント
最後に、日本人の食事摂取基準(2010年版)ブロック別講習会資料の総論から引用しておく
www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/pdf/blockbetu-shiryou01.pdf
(総論3) 今までの食事・栄養と健康に関するさまざまな研究の結果を、世界中から集め(エビデンスの収集)、それぞれの研究結果について、専門家が内容を読み、まとめる作業を行い(系統的レビュー)、科学的根拠に基づく策定を行った。2000年以後、参考文献の数は急増している。最近の栄養学の進歩と変化はめざましい。
(総論14) 食事摂取基準は、数値の時代から理論・理屈の時代に入った。活用は、数値をあてはめる時代から、考える時代に入った。専門職として、深く理解し、適切に活用したい。
「総論」を3回読んでください。
1回目:ざっと
2回目:肯定的に(理解しようと前向きに)
3回目:懐疑的に(疑問をもって)
2012/04/12(Thu) 21:18 | URL | 精神科医師A | 【編集】
食事摂取基準と国会審議(1)
参院厚生労働委員会2008年11月13日
http://kokkai.ndl.go.jp/SENTAKU/sangiin/170/0062/17011130062002c.html
○古川俊治委員
ちょっと急ぎになりましたけれども、今日ちょっとお配りしていただいたこの表を見ていただきたいと思います。
ちょっと御興味ある方、是非覚えていただきたいんですね。これは、抗メタボリックとともに、同時に、抗加齢ということも言われていますね、なるべく若くしていくにはこういうのが必要だ。ちょっと出典は示しておりませんが、左側の表が今年の3月の日本医師会雑誌の2385ページの表でございます。
それから右側の表は、2005年の、最新版のハーバード・メディカル・スクールのパブリックヘルスの教室から出ております食料のピラミッドというやつでありまして、一番新しいデータを参考にして入っております。その二つが出典なんでございますが。
従来ですと、このメタボリックシンドローム、今日、櫻井議員からも、今席外していらっしゃるんですが、メタボリックシンドロームがリスクの要因であって、心疾患の発症に大きく影響しているということは日本の基準を使ってもあります、データは。そこはあるんですね、エビデンスが。
それから、メタボリックシンドロームは疾患が多いということはあります。それから、メタボリックシンドロームに対して運動介入を行うと疾患の罹患率が下がるというエビデンスもあります。そこは正しいんですね。
あとは、医療費が下がるかどうかというところについては、医療費を下げたというパイロットスタディー、幾つかあると。健診の値段とそれが見合うかというところについてはまだありません。だから、多分今後はそれが必要なんだろうというふうに私は考えています。
それで、その上で、2005年の食事基準、食料基準ですか、というのが厚生労働省がいろいろと、栄養基準ですね、これを作っておりまして、2010年までこれが使われる予定になっているんですけれども、そこで、総カロリーについて大体55から60%ぐらいが炭水化物から取れというような指針になっていて、今の食事バランスガイドも全部それになっています。
なるべく脂肪を減らしなさい、今まで脂肪摂取量が増えたんで日本人は不健康になったんだと、炭水化物は55から60%取れというんですね。
ところが、今年の7月のニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシンは、炭水化物を減らすことがいいんだと、実は。脂肪は不飽和脂肪酸を取る限りは問題がないというようなデータがこれは確実に出ます。
これはもう明らかなエビデンスなんですけれども、そのほかにも私知っているだけで四つのエビデンスがあります。低炭水化物食が一番メタボリックシンドロームを良くするということなんですね。
それについて、これ日本人の食事基準にもうずうっと使っていますけれども、こういうエビデンス、新しいのが出たら速やかにそういったものを使う、そういった体制を整えるべきじゃないかと、私はそう考えるんですが、いかがでしょうか。
2012/04/12(Thu) 21:19 | URL | 精神科医師A | 【編集】
食事摂取基準と国会審議(2)
○上田博三 厚生労働省健康局長
日本人の食事摂取基準は、健康な個人又は集団を対象として国民の健康の保持増進に資するため、食事によるエネルギー及び栄養素の摂取量の基準を示したものでございまして、昭和45年以来おおむね5年ごとに改定されております。
現在、我が国の栄養指導に用いられているものは2005年度版でございますが、これを改定をして、今2010年度版を作るべく既に検討会を立ち上げたところでございます。
検討会におきましては、近年の国民の栄養状態の推移や国内外における最新文献等を分析、評価をしているところでございまして、委員御指摘の研究成果も踏まえその場において議論されるものと考えておりますけれども、このことによりまして食事摂取基準が最新の科学的知見を踏まえたものになるように改定作業を進めていくこととしております。
○古川俊治
5年のうちに今の食事の常識というのは明らかに変わるほど知見が集積されるようになりました。速やかに国民に使われることこそ必要だと思います。正しい知見を広めていくこと、間違った基準を使ってそのまま施策が行われるという状態を早く改善していく、これを、情報を開示することぐらいはやっていただきたいというふうに考えます。
もう一つ重要なのが糖尿病の問題なんですね。これ、今の成人人口の約20%はもう既に予備軍と言われておりまして、今後は30%ぐらいに増える、医療費のすごく足かせになるわけですけれども、これで、グルコース・インシュリン・インデックスというのが決まっておりまして、食事によってこれを低いものを食べた方が血糖値が上がりにくいんですね。
これは、血糖値が上がることが実を言うと今老化やメタボリックに非常に悪いということがだんだん分かってきておりまして、これできるだけ低いものを食べた方がいい。こういう考え方も全然食事摂取基準に入っていないんですよね、栄養バランスにですね。
これは驚くことに、GIは白米が実は77なんですよ、驚くというか寂しいことにですね。ケーキとかチョコレートやビスケットの方が同じカロリーを取るんだと血糖値が上がりにくいんですよね。
ホワイトブレッドと白米、いわゆる食パンの白いやつ、これが一番はっきり言って良くなくて、この右側のピラミッドを見ていただきたいんですが、一番上、ホワイトライス、ホワイトブレッドと書いてありますよね。
これはスイーツと同じところに置かれているんですよ。これだけは毎日取るなと言うんですね。控えめにしてくれと言っているんですよね、すごく。
ところが、下から二番目の左側にホール・グレーン・フーズってありますよね。すなわち、グラハムパンとかあるいは玄米のことなんですよね、こういうのは。そういうのが血糖値が上がりにくいから、こっちに変えろと言っているんですね。
現在のところ、玄米の方が白米よりいいなんという指針も全然表れていないですし、これ食べ方にもよるんですが、一般にもう高GI食というのはまずいということが定説になっている、こういうことも是非踏まえてやっていただきたいと思います。これはちょっと、以上御紹介だけにしておきますが、そういったことも入れないともう5年ごとでは遅いということだけ申し上げさせていただきます。
*健康科学 No.2:食事と運動による健康づくり 古川俊治先生のサイト
www.toshiharu-furukawa.jp/healthscience/index.html
食生活としては、脂肪(特に飽和脂肪酸)や炭水化物の摂取を抑え、低カロリー高たんぱくで、多くの種類の食材を用いた食事とするのが原則です。日本食や地中海食が健康食の代表です。
2012/04/12(Thu) 21:20 | URL | 精神科医師A
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