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糖質制限食とホメオスタシスと自然治癒力
こんばんは。

今日は、医療関係者サイトm3.com、臨床道場「糖質制限」の最後の日です。

江部康二の糖質制限な食事日記も最終回ですので、記念(?)に見栄を張って、ステーキを食べてきました。

閑話休題。

糖質制限食により、食前・食後血糖値の変動幅がほとんどなくなります。

インスリンの追加分泌もごく少量ですみます。

現在、糖尿病のコントロールを良好に保つには、空腹時血糖値、食後血糖値、平均血糖変動幅の3つの要素を管理することが必要とされています。

この3つを良好に保てば、糖尿病による動脈硬化のリスクもなくなります。

逆に言えば、HbA1cがコントロール良好でも、食後高血糖や平均血糖変動幅が大きいと動脈硬化のリスクになります。

糖質を摂取しながらインスリン強化療法をするとこのリスクが生じ、総死亡率が上昇することがACCORD試験で実証されました。

糖質制限食なら、薬物はなしか最小限で、3つの要素が良好となります。

糖尿病に限らず、アレルギー疾患など様々な生活習慣病が糖質制限食で改善します。その理由を考えてみます。

糖質制限食実践により、食前・食後の血糖値とインスリン値の変動幅が少なくなり代謝が安定します。

糖代謝が安定し、脂質代謝、タンパク質代謝も安定し、代謝全てが落ち着いて、体内環境が平穏でゆったりし、ホメオスタシス的には、代謝の変動が少なくて、大変好ましい状況となります。

人類のご先祖がもともと食べていた食生活が糖質制限食ですので、糖質制限食は、人類本来の食生活、人類の健康食と考えられます。

ヒトだけではなくて全ての生命体や細胞の生存においては、本来恒常性(ホメオスタシス)を保つことが大切です。

ヒトに限らず、ホメオスタシスのためには、その動物本来の食生活を保つことは重要な要素と思います。

糖質制限食実践により、ホメオスタシスが保たれますので、闘争やストレスで放出されるアドレナリンや副腎皮質ステロイドホルモンは、血中に必要最低限が確保されていて、過剰にでることはないと思います。

逆に、糖質を摂取した場合は、食後血糖が急上昇し、追加分泌インスリンが耐糖能正常者では、基礎分泌インスリンの数倍~30倍レベル放出されます。

ホルモンが10倍・20倍レベル放出されるのは、緊急事態であり救急車の出動といえます。

食後血糖値が180mg/dlを超えてくると、糖毒と化して酸化ストレス上昇など様々なリスクとなりますので、救急車の出動で、血糖が180mgを超えないようにしているのでしょう。

しかし、この事態は代謝の嵐と言え、ホメオスタシスが大いに乱れています。

それを修正するために人体の代謝には、様々な過大な負担がかかると思います。

このようなことを日常的に繰り返していれば、人体の自然治癒力は浪費され消耗するので、様々な生活習慣病が発症しやすくなります。

言い換えれば、糖質摂取による「ブドウ糖ミニスパイクとインスリン大量分泌」の日常的な繰り返し(ホメオスタシスの乱れ)が、生活習慣病の元凶と言えます。

700万年の進化の歴史において、人類にとって、糖質はあくまでもラッキー食材であり、日常的に摂取するようなものではなかったのです。

農耕開始後の1万年間、そのラッキー食材を毎日摂取するようになったのです。

基礎分泌インスリンは生命維持に絶対に必要ですが、過剰なインスリンには、発ガンリスクやアルツハイマー病発症リスクのエビデンスがあります。

さらに、老化や動脈硬化にも過剰なインスリンが関与している可能性があります。

最初に書いた、糖尿病治療目標の3要素「空腹時血糖値、食後血糖値、平均血糖変動幅」を良好に保つことは、まさにホメオスタシスを保つこととなります。

糖尿病だけでなく、アレルギー疾患など様々な生活習慣病が糖質制限食で改善することがあります。

この現象の根本には、人体のホメオスタシスが保たれることで、自然治癒力が活性化されることがあると、あくまでも仮説ですが考えています。



江部康二
テーマ:糖質制限食
ジャンル:ヘルス・ダイエット
コメント
江部先生殿
以前、糖質制限だと肝臓への負担が増すと思うのですが、という質問をさせていただきましたが、生理学的に説明するとどのようになるのでしょうか?糖質制限の説明をする際、肝臓への負担は?と質問されることがありますが、生理学的な回答ができず戸惑うことがあるためです。
検査データでみると、肝機能の増悪は認めませんが、生理学的にいうと・・・その部分をご回答いただければ幸いです。よろしくお願いいたします。
2012/06/05(Tue) 00:03 | URL | マエアツ | 【編集
参考です
以前メールした事のある、糖尿病のteturou と
申します、御返事は不要ですが、こういう日本糖尿病学会専門医の方もいるのかなぁと思いまして(大多数??)、参考に、メールいたします。



http://kenko100.jp/trivia/2012/2/21/1

質問
炭水化物を一切食べないダイエットって安全?
たかひろ(男性 30代)
2012年2月21日 掲載
炭水化物を一切食べない健康法があると聞いたのですが、
人は炭水化物を取らなくても生きて行けるのでしょうか。



回答
炭水化物を一切食べないで生きて行くことはできません。「炭水化物を一切食べない」ことはとても危険です。
 「炭水化物」というと「ご飯」を思い浮かべる方が多いでしょう。ダイエットの大敵と考えられている炭水化物ですが、実はとても重要な役目を果たしているのです。

 まずは、「炭水化物」についてご説明します。炭水化物には消化吸収されるもの(糖質)とされないもの(食物繊維)があります。糖質は、お砂糖や果物などの甘い物だけでなく、ご飯やパン、麺類、お芋などにもでんぷんとして含まれています。脂質と比べて燃焼が早く、体に吸収されるとすぐにエネルギーになり、脳や体を動かす大切なエネルギー源になります。

 肝臓や筋肉ではエネルギー源として利用されるほか、グリコーゲンとして蓄えられます。蓄えられたグリコーゲンは、体内でエネルギーが必要になった時に分解されて、筋肉や脳が活動するときのエネルギーになります。このほか、脂肪やアミノ酸の材料にもなります。

 厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2010年版)」では、18歳以上の場合、1日に必要なエネルギー量のうち50~70%を炭水化物から取るように目標値を定めています。

 炭水化物を取り過ぎると、余分な糖質は体脂肪として蓄えられるので、太る可能性があります。 一方、不足するとエネルギー不足で、疲れやすくなります。

 そして何よりも、糖質は脳の唯一のエネルギー源なのです。脳や中枢神経系などは ブドウ糖以外からエネルギーを得ることができません。糖質を全く取らなければエネルギー不足になって、頭の働きが鈍くなり、集中力が低下したり、無気力を引き起こしたりします。

 糖質が不足すると、肝臓に蓄えたグリコーゲンを分解するため、肝臓に大きな負担が掛かります。さらに、肝臓の貯えが10時間ほどでなくなると、今度は筋肉のタンパク質を分解してブドウ糖に替えて補うようになります。その結果、血液が酸性に傾いて、呼吸が激しくなったり、昏睡を引き起こしたりします。

 このように「炭水化物を一切食べない」ことは命にかかわります。非常に危険ですので、絶対になさらないで下さい。

回答者
中野 里美(なかの さとみ)


1990年、東京女子医科大学卒業後、慶應義塾大学医学部内科学教室に入局。都立広尾病院、国立病院機構栃木病院などを経て、2007年から三菱UFJニコス株式会社診療所勤務。同社において初代統括産業医として、社員の健康管理を行っている。 日本内科学会総合内科専門医、日本糖尿病学会専門医、日本医師会認定産業医、労働衛生コンサルタント。
2012/06/05(Tue) 06:07 | URL | terurou | 【編集
お陰様でインシュリン注射から離脱できました。

先生、ご無沙汰しています。
以前コメントさせていただいた、ほねつぎJUNです。
5月末の診察で、担当医から経過良好なので、注射を止めてみようとなりました。
作年10月から治療が始まって、時間はかかりましたが、順調に過ごせていますので、大変感謝しております。

昨年5月(1年前:糖尿病発覚前)
体重:78.4 BMI24.7 体脂肪率27.8%
昨年10月(糖尿病発覚時)
体重:75.9 BMI23.8 体脂肪率24.7% 食後血糖値375mg/dl Hba1c13.7%
本年5月(インシュリン離脱)
体重:70.6 BMI22.3 体脂肪率18.6% 食後血糖値119mg/dl Hba1c(NGSP)6.0

となりました。

最近は、「高雄病院の糖質制限給食」を読みながら、先生の食事を参考にさせていただいています。
特に、私の場合、暁現象でしょうか、起床時の血糖値が130~140で、そのまま朝食をとると、いくら糖質制限をしていても150台になってしまうことが多々あるのと、夕食の時間の関係で、朝がそれほど空腹でないので、朝食を抜いて一日2食にしています。
午前中に空腹感で苦労することもなく、起床時の血糖値も1時間後には120以下になって、昼食前には110を切っています。
しばらくは、このリズムで生活してみようと思っていますが、先生のご意見がお聞きできれば幸いです。
2012/06/05(Tue) 12:09 | URL | ほねつぎJUN | 【編集
Re: タイトルなし
マエアツ さん。

肝臓は、人体において「栄養分の代謝と貯蔵」「解毒作用」「胆汁の生成と分泌」
などを行っています。
糖質制限食で肝臓に負担がかかるというよりも、本来の働きを活性化させるというイメージです。

「栄養分の代謝と貯蔵」の中に、コレステロールを作ったり、ブドウ糖を作ったり、という働きもあります。

しいて負担といえば糖新生なのですが、これとても人類史上日常的に司ってきたことなので
肝臓本来の仕事と思います。

ただ肝硬変の人だけは、負担というか糖新生がうまくできないので、糖質制限食の適応となりません。
2012/06/05(Tue) 15:26 | URL | ドクター江部 | 【編集
Re: 参考です
terurou さん。

「脳はブドウ糖しかエネルギー源とできない」

→脂肪酸の分解物のケトン体をいくらでも利用します。


「糖質が不足すると、肝臓に蓄えたグリコーゲンを分解するため、肝臓に大きな負担が掛かります。」

→グリコーゲン分解は、食事からの糖質の吸収が終了した2時間後から、日常的に誰でも行っています。
 その後、肝臓でアミノ酸、乳酸、グリセロールなどから糖新生が始まります。

残念ながら、この医師は基本的な知識不足ですね。
2012/06/05(Tue) 17:16 | URL | ドクター江部 | 【編集
Re: こんにちは
特命係 さん。

糖尿病学会会員は、医師であればだれでもなれると思います。

この医師は基本的な知識不足です。
日本糖尿病学会では、2012年5月に始めてコンセンサスをえました。

一方、米国糖尿病学会では、2002年に、肥満を伴う糖尿病患者にランクAで推奨しています。
2012年2月には、肥満を伴うという文言が、はずれて推奨しています。
2012/06/05(Tue) 17:31 | URL | ドクター江部 | 【編集
Re: タイトルなし
ほねつぎJUN さん。

インスリンの離脱、良かったですね。

「食後血糖値119mg/dl Hba1c(NGSP)6.0 」
このデータならコントロール優秀ですので、素晴らしいです。

このまましばらく経過をみて、
早朝空腹時血糖値が、下がりにくい場合、DPP-4阻害剤やメトグルコが有効なことがあります。
これらの単独、あるいは併用で、早朝空腹時血糖値126mg未満、理想的には110mg未満を
めざしてくださいね。
2012/06/05(Tue) 17:48 | URL | ドクター江部 | 【編集
Re: 参考です
 食事摂取基準については、2012/4/12のblogのコメントをご覧ください。炭水化物の目標量は「十分な根拠はない」はずです。
 東京女子医大小児科は1968年からケトン食療法に取り組んでいます。2012/3/13のblogのコメントをご覧ください。学生時代に教わらなかったのでしょうか
2012/06/05(Tue) 18:52 | URL | 精神科医師A | 【編集
はじめまして。
この記事での変動幅に関してお聞きしたいのですが。

空腹血糖値から食後血糖値の変動幅がほとんど変わらないのが一番理想で良いと思いますが、最低でもこれぐらいは達成すべき血糖値の変動幅はどの程度だと先生はお考えになりますか?
2012/06/06(Wed) 21:18 | URL | しょう | 【編集
Re: 栄養療法のクリニックで・・
ロバート・ダウっ子 さん。

機能性低血糖症そのものは、理論的に考えれば、糖質制限食が有効です。

ただ多彩な症状の患者さんで、機能性低血糖も少しあるけれど心理的疾患・精神疾患など伴っているかたは
そう簡単にはいかないです。

糖質制限食で精神的に安定することが多く、アレルギー疾患も改善することが多いです。
エネルギー不足は糖質制限食とは無関係のお話ですね。
糖質制限食でエネルギー不足という人は、結果として脂肪制限もしていてそうなることが多いです。
脂質・タンパク質はしっかり摂取するのが糖質制限食です。

ホームページを見ましたが、根拠のない論述がほとんどです。
2012/06/06(Wed) 23:15 | URL | ドクター江部 | 【編集
Re: タイトルなし
しょう さん。

食後1時間が180mg/dl以内、
食後2時間が140mg/dl以内、
が血糖値の目標です。

血糖変動幅は、この目標を達成していれば、まあまあになります。

理想的には食後1時間も140mgを超えなければ、血糖変動幅ももっと小さくなりますね。
2012/06/06(Wed) 23:47 | URL | ドクター江部 | 【編集
食後の血糖値を上昇させないために、野菜を一番最初に食べてから通常の食事をするという方法は有効ですか?
2012/06/07(Thu) 13:17 | URL | ふじこ | 【編集
Re: タイトルなし
ふじこ さん。

食物繊維や脂質を先に摂取して、その後糖質を摂取すれば血糖値の上昇が緩やかになるとは思います。
しかしその食後高血糖を防ぐ効果は、それほどないと思います。

摂取した糖質のグラム数が重要です。
1gの糖質が3mg血糖値を上昇させます。

また糖質制限食ならば、食べる順番などには意味ありません。
食べる順番に関係なく食後高血糖は生じません。

糖質を摂取する場合に食べる順番は一定有効な可能性はありますが、効果は糖質制限食に比べたら微々たるものです。

2012/06/07(Thu) 22:57 | URL | ドクター江部 | 【編集
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