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5 アトキンスダイエットとケトアシドーシス、世界で2例報告ですが?
こんにちは。

全世界で2例、アトキンスダイエット中の肥満女性がケトアシドーシスになったという報告(ニューイングランド・ジャーナルとランセット)があり、(☆)(☆☆)それを心配される医師もおられます。

ごもっともとは思いますが、まず言えることは全世界でアトキンスダイエット(スーパー糖質制限食)を実践した人は、少なくとも数十万人以上はいるので、非常にまれな特殊例です。

論文を読むと2例とも、アトキンスダイエットで生理的ケトーシスがあった人が、たまたま胃腸疾患で嘔吐を数日繰り返して食事摂取もできず、脱水となり、脱水のためにアシドーシスが生じたと考えられます。いずれも短期間で回復しています。

すなわち、ことの本質は「嘔吐と食事摂取不能による脱水が原因のアシドーシス」であり、アトキンスダイエットは直接の関係はないと私は考察しました。

言い換えると、生理的ケトーシスがあって元気だった人に、「嘔吐・食事摂取不能→脱水→脱水によるアシドーシス」が加わって、結果としてケトアシドーシスを生じたということです。

例えば、江部康二は血中ケトン体値が1000μM/L(26~122)くらいあって、生理的ケトーシスですが正常で元気です。

もし私が一人で山に登って滑落して足を骨折して動けなくなり、水も飲めない状態になれば、数日で脱水によるアシドーシスになります。

この時発見されて入院すれば、初日はケトアシシドーシスということで、主治医は大騒ぎすることになるでしょう。

入院して生理的食塩水の点滴で脱水を補正すれば、アシドーシスはすぐに良くなり、元気回復です。

生理的ケトーシスは残りますが、もとの状態にもどるだけなので正常です。

ニューイングランド・ジャーナルとランセットの2例も、あくまでも私見ですが、同様に考えれば理解しやすいです。

液体糖質摂取によるペットボトル症候群は、日本だけでも少なくとも数百人以上は報告されていて、中には死亡例もあると思います。

「糖質制限食」と「高糖質食」のどちらが危険か、冷静に考えれば明らかですね。


(☆)
Ketoacidosis during a Low-Carbohydrate Diet. N Engl J Med 2006; 354:97-98

(☆☆)
A life-threatening complication of Atkins diet
Lancet 2006;367:958


江部康二
テーマ:糖質制限食
ジャンル:ヘルス・ダイエット
コメント
二日ほどまえに質問させていただいたchieと申します。
乾癬を患っているchieと申します。
確かに体重の減りは緩やかというか1キロしか落ちてないのですが、乾癬の症状自体は軽快している感じです。
福岡在住なので、ちょっと診察に行くという距離じゃないので、入院してしっかり治療とコントロールしたほうがいいのでしょうか?
2012/05/09(Wed) 17:16 | URL | chie | 【編集
Re: 二日ほどまえに質問させていただいたchieと申します。
chie さん。

「入院してしっかり治療とコントロール」

過去そのような方もおられました。
可能ならばそういう選択肢もあると思います。
2012/05/09(Wed) 23:01 | URL | ドクター江部 | 【編集
お久しぶりです。
先生お久しぶりです。最近落ち着いていたのでついつい糖質食品を食べてしまってます。
とはいえご飯半分ラーメンも半分残し、ケーキも残しますが。

昨日友人に誘われパンのバイキングに行ったのですが食べないつもりが5・6個食べてしまいました。

測定器で測定したところ
一時間127・二時間半137・4時間半138と言う結果
でした。4時間半は病院の院内測定の結果です。
A1cは5.6%でした。(前の基準では5.2%)

で、先生にお聞きしたかった事は食後4時間以上経った場合の血糖値は空腹時血糖値
と同じ程度まで下がっていないとおかしいのでしょうか?
それとも食べた内容・個々その日の体調や消化時間によっても異なるのでしょうか?
やはり糖質は食べるもんじゃないですね・・・。
2012/05/10(Thu) 08:42 | URL | シュガーライフ | 【編集
Re: お久しぶりです。
シュガーライフ さん。

A1cは5.6%(NGSP)
パンを5.6個食べて、一時間127・二時間半137・4時間半138

なら、まあいいんじゃないでしょうか。
食後、二時間半・4時間半のほうが、1時間値よりやや高値なので、
追加分泌インスリンはやや遅延経口なので、油断は禁物ですが・・・。

空腹時血糖値は、絶食10時間が基準です。
2012/05/10(Thu) 18:20 | URL | ドクター江部 | 【編集
急激な改善ですが
2月末、体重78キロ、血糖値145、HbA1c(旧)6.4でした。都内某大学病院で各種検査後、薬不要、食餌療法1800キロcalの処方。しかし、栄養士の言うことが要領を得ないので自己判断で、カロリー制限はせず完全血糖制限食に踏み切りました。その結果、本日時点、73キロ、101、5.5になり、医師は「この数値だと糖尿病の診断は下りない」と驚いていました。ただ、糖質制限の結果であることを告げると、「糖質制限は有効な薬のなかった時代の処方であり、肉とワイン療法といわれたもの。それを経ていま、カロリー制限に進化した。筋肉を溶かすなど不自然な処方だから、カロリー制限をして下さい」と言う話でした。結局、もう少し糖質をとってください、という話。いい先生ですが、この先どうしたものか悩みます。
2012/05/10(Thu) 18:21 | URL | MU | 【編集
糖質オフスペイン料理とワインの夕べ
カフェハルディンにて糖質オフスペイン料理とワインの夕べ宴たけなわです。参加して本当に良かったです。
2012/05/10(Thu) 19:18 | URL | おかだ | 【編集
Re: 急激な改善ですが
MU さん。

このまま、薬なしで、スーパー糖質制限食をつづけて何の問題もありません。
糖質制限食は農耕が始まる前の、人類本来の食生活であり人類の健康食です。
人類において、糖質制限食の歴史は700万年間、穀物(糖質)を主食としたのはわずか1万年間です。

米国糖尿病協会は、2012年の論文の中で、糖質制限食を格上げしてポジティブに評価しました。

2012年03月16日 (金)の本ブログ記事「ADAが糖質制限食を格上げ! 次期声明改訂に向け系統的レビュー」
をご参照ください。
2012/05/10(Thu) 19:30 | URL | ドクター江部 | 【編集
Re: 糖質オフスペイン料理とワインの夕べ
おかだ さん。

それはよかったです。
糖質制限食OKのスペイン料理の宴、デザートもあるでしょう。
とてもとても美味しそうですね。
2012/05/10(Thu) 19:37 | URL | ドクター江部 | 【編集
はじめまして。糖質オフダイエットの経過について質問があります。
現在40歳・女・身長160センチ・体重54.5キロ。目標体重53キロ3ヶ月間キープして完了と考えています。

母親が糖尿病を発症した後、くも膜下出血⇒腎不全⇒他界いたしました。
父親も脳梗塞の後肺炎で他界。

現在異常は全くなく貧血があるくらいで問題ありません。ただ日頃から体重管理には気をつけようと思っています。5年前から「低GI食品」や「低炭水化物」を意識して食事を摂っています。
目標体重にたどり着くまでに思ったより時間がかかる為に戸惑っている最中です。
カロリー計算や筋トレや有酸素運動など行ってもいます。一般的な摂取カロリー<消費カロリーの構図を継続していても結果が出ません。
そこで「酒呑み、肉三昧でrも一生太らない食べ方」や「糖質オフでやせるレシピ」を熟読し今に至っております。
そこで、質問ですが、スーパー制限ダイエットを約3週間行っていますが、ストレスなく楽しく食事を摂り特に太ることなく体重管理が出来ているのですが、思ったより減量が少ないのです。
かなりストイックな糖質制限をしておりますがやはり「有酸素運動」も必要でしょうか。
よろしくお願いいたします。
2012/05/12(Sat) 16:27 | URL | なな☆ | 【編集
Re: はじめまして。糖質オフダイエットの経過について質問があります。
なな☆ さん。

BMI21.3で、すでに適正体重なので、
体重はこれ以上あまり減らないと思います。

有酸素運動は、できればしたほうがよいでしょう。
2012/05/13(Sun) 21:10 | URL | ドクター江部 | 【編集
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